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EXUSサーキュラーPL 72mm
PLフィルターとはPolarized Light(偏光)の略でカメラのレンズの前に偏光板を配して自然光を偏光させるフィルターで、主にガラスや水面の反射を取り除いたり、空や海をより濃い青色に見せる効果があり、風景写真には必須のアイテムともされる。オートフォーカスなどでハーフミラーを使用することが多いため、直線偏光ではなく通常は円偏光を使用する。私が使用するPLフィルターはマルミ光機製のEXUSサーキュラーPLだ。
EXUSサーキュラーPL 72mm
光は電磁波であり、その波は進行方向と垂直に振動する横波で、太陽光を始めとする自然光は横波の振動方向が一定ではなく、あらゆる方向に振動している。それに対してガラスや水面などでの反射光はある反射面に平行な方向の横波を多く含む部分偏光となっている。この自然光と部分偏光が混じった光に円偏光板(PLフィルター)を回転させ適切な角度にすることで、反射光を多く含む確度の横波のみをカットし、それ以外の横波を通し、反射光を取り除くことができる。
また青空に対してもPLフィルターは効果がある。空が青く見えるのは、空気中に含まれる窒素や酸素などの分子に光がぶつかると波長の短い青色の光のみが反射する。これをレイリー拡散と呼び、空が青いのはレイリー拡散のためとされる。この拡散光も太陽との位置関係で偏光され、この偏光された光をPLフィルターでカットすることにより青空をより濃い青色に見せることができる。
高透過偏光膜を採用している
特に晴天時に使うと空をより青く綺麗に写す事ができ、風景写真での必須アイテムと言えるだろう。コンパクトデジカメには使えないので私の場合はデジタル一眼レフを北海道自転車ツーリングに持参するようになった2005年からPLフィルターも合わせて装備し、青空が見えていれば必ずレンズに取り付けているほど愛用している。
風景写真にはPLフィルターの効果は大きいが、それとは引き替えに欠点も多い。まず空が青く見えるレイリー拡散を利用しているので、青空の見えない曇りの日や室内での撮影には効果がない。さらにあらゆる方向に振動する自然光のうち、約半分の光をカットしているので透過率が低く、露出を1.5〜2倍程度開けなければならず、シャッター速度が稼ぎにくくなる。また偏光サングラスをかけたままファインダーを覗くとPLフィルターと偏光サングラスが干渉して虹ムラが見えてしまう。
卵形のケースに入っている
さらにPLフィルターの構造的欠点として、レイリー拡散を利用したPLフィルターは太陽光と90度直交した角度も効果的に青空を美しく見せることができ、90度から外れるに従いその効果が失われる。よって完全な逆光や順光では効果がまったくない。そして広角レンズのように画角が広い場合、画面の左右で太陽光との公差角が変わってしまうため画面の左右で空の青さが不自然に違うと言うことが起きてしまう。
しかしそれでも晴れた日にはその効果は絶大で、青空をすっきりとした青色に見せることができ風景写真家の必須アイテムとなっているだけに、デジタル一眼のカメラを使っているならぜひとも用意したい装備の1つだ。
EXUSサーキュラーPL 72mm
このEXUSサーキュラーPLは同社の何種類かラインナップするPLフィルターの中で最上位のフラッグシップにあたるEXUSのブランドとなっている。高透過偏光膜を採用し従来のPLフィルターよりもファインダーが明るく見やすくなりPL効果の確認やピントが合わせ易く、また被写体のシャドー部がツブレにくいためきめ細かな表現ができる。また撥水・防汚コーティングを採用することで水滴や指紋などの汚れが付きづらくふき取りやすくなっている。さらに表面反射を0.6%まで抑えレンズの描写力を極限まで引き出すとともに枠自体に遮光線を施し乱反射によるフレア・ゴーストを軽減している。
レンズに取り付けたところ
非常に優れたPLフィルターではあるのだがその最大の欠点は価格の高さにある。私の採用するフィルター径72mmの場合、定価で23800円と安いレンズと変わらないほどの価格なのだ。これはさすがに躊躇してしまうが、それでもその性能の良さから使ってしまう。PLフィルターにもこだわりたいならEXUSサーキュラーPLだろう。
サイズ:Φ75mm×7mm
重量:25g(実測値)
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