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エアライズ2
私が自転車キャンプ旅で使用するテントはアライテントのエアライズ2だ。2003年の北海道自転車ツーリングの初回からずっと愛用しており、既に12シーズン目に突入しようとしており、このテントで宿泊した回数は200泊に達するほどだが、今でも現役で頑張っている。
洞爺湖岸の今はなき洞爺湖滝之上キャンプで設営
私が北海道自転車ツーリングを始めようとした2003年当時は今のように選べるほどのテントの種類はなかった。当時でもロゴスやコールマン等のツーリング用のテントはホームセンターに行けば5000円程度で購入できたが、これらはいずれも3kg以上の重さがあり重さを気にしないバイクならそれでも問題ないのだが、自転車の場合は重さがそのまま峠越えの疲労に直結するので1gでも軽くしたい。3kgオーバーでも自転車で運べない事はないがもう少し軽いものがほしかった。
網走湖岸で設営
そこでツーリング用テントではなく、山岳用テントを選ぶと、選択肢はアライテント、モンベル、ダンロップ(現プロモンテ)の3つしかない。当時のモンベルのステラリッジは現行モデルと異なり、重量が他の2つに比べて重かったので却下。アライテントとダンロップの2社択一となった。入口が長辺側にあるか短辺側にあるかの大きな違いはあるが、アライの方が厳しい気象条件にも対応できそうだったのと、グランドシートやフライシートなどのオプションも豊富だったのでアライテントのエアライズを選んだ。
女満別湖畔キャンプ場での夕景
この選択は間違いではなかったようで、後で知った話だが当時のアライテントは山岳用テントの代名詞のようなもので、山のテン場に行けばアライテントの数が多すぎて、どれが自分のテントかわからなくなると言った都市伝説に事欠かないほどだ。ただ、自転車ツーリングでは山ほど気象条件が悪くないので、アライテントの比率は大きく落ちるが、それでもチャリダー・ライダーの1割近くはアライテントを使用しているのではないだろうか。
こうした湖岸にテントを張るのも楽しみの1つ
最近でこそ安物の1000均テントや中華テントが台頭してきたが、これらは軽いもののフライがなかったり、雨風などの厳しい気象条件に対応できなかったり、耐久性に劣るので1シーズン限りの使い捨てなどという問題がある。自転車ツーリングが1回限りで、かつ天候が悪ければ宿に逃げるというのであれば中華テントでも問題ないが、2〜3シーズン繰り返したり、雨風の強い日でもテントを張るのであれば、アライテントのエアライズやモンベルのステラリッジなど、それなりの山岳用テントを選んだ方がいいだろう。
キムアネップ岬キャンプ場の日の出
最近でこそ安物の1000均テントや中華テントが台頭してきたが、これらは軽いもののフライがなかったり、雨風などの厳しい気象条件に対応できなかったり、耐久性に劣るので1シーズン限りの使い捨てなどという問題がある。自転車ツーリングが1回限りで、かつ天候が悪ければ宿に逃げるというのであれば中華テントでも問題ないが、2〜3シーズン繰り返したり、雨風の強い日でもテントを張るのであれば、アライテントのエアライズやモンベルのステラリッジなど、それなりの山岳用テントを選んだ方がいいだろう。
網走湖をバックに
アライテントにも欠点はある。まず出入り口が短辺側にあるので前室が狭く、靴くらいしか置けない。テントの中から前室で自炊などとてもできない。またフライシートが標準で赤色なので目立ちすぎる。山で遭難した時には目立つ必要があるので赤色にしたのだろうけど、ツーリングではそこまで目立つ必要はない。特にこっそりと野宿したい時などは目立ちすぎるほどだ。ただしこの色のおかげで他のテントとは一目で区別が付き、フライシートの色を見ただけでアライテントというのがわかってしまうほどだ。
ニセコの山々をバックに
また、アライテントの欠点として、入口が短辺側に、ベンチレーターが長辺側にあるので換気が悪い。入口にメッシュが付いているが、長辺側に入口とベンチレーターがあるテントに比べると換気が悪く、熱帯夜は暑くて寝られない事態に陥りやすい。自分の場合このテントは北海道でしか使わなかったので、夜暑くて寝られないという事はほとんどなく、どちらかというと寒くて寝られないことの方が多かったが、真夏に暑い地方で使うなら換気のことも考えてテントを選んだ方がいいだろう。ただ短辺側に入口のあるテントが換気性能が悪くて蒸し暑いからといっても、長辺側に入口のあるテントだと劇的に換気性能が向上するわけではない。所詮あんな小さなベンチレーターでは換気できる量もしれているし、まして蒸し暑い日はたいてい風もないので風がなければ換気性能など関係ない。換気にこだわって入口の方向を選ぶくらいなら、うちわを1つ用意した方がはるかに効果的だろう。換気性能を追求するならインナーが全面メッシュになったテントを選択するという手もあるが、北海道は夏でも朝は寒い事が多いし、全面メッシュでは雨風等の悪天候に弱いので、少なくとも北海道で長期に使用するのであればインナーがメッシュのテントはあまりお勧めしない。
景色のよいきじひき高原キャンプ場で設営
テントの入口が短辺側にあるか長辺側にあるかでテントの使い勝手が変わってくる。入口が短辺側にあると有利な点として
- 設営スペースが小さい
- 断面積が小さいので風に強く、入口も風下にできる
- 軽量化しやすい
などが挙げられる。設営スペースについては、キャンプ場の決められた芝生のエリアにしかテントを張らないのであればまったく関係ないが、悪天候の際に東屋の中にテントを張る場合などは正方形のスペースを確保する事が難しく、長辺側に入口があると出入りできない場合が多く自分にとっては影響が大きい。東屋など狭い場所にテントを張るのであれば短辺側に入口があった方が有利だ。
エアライズ2とキャンプ風景
また入口が短辺側にあると断面積は確かに小さくできるが、風向きが常に一定とは限らないのでこれはあまり関係ないかもしれない。重さについては短辺側に入口がある方が軽量化しやすく、モンベルのステラリッジも2011年までの旧型は長辺側に入口があったが、2012年からの新型では軽量化のために入口を短辺側に変更したほどだ。
逆に入り口が長辺側にあると有利な点として
- 換気性能が高い
- 前室が広く使える
- 雨の日の出入りでテント内部を濡らしにくい
などが挙げられる。換気性能については少なくとも私自身としてはその差は微々たるものだと思っているのであまり気にしていないが、前室の広さは歴然としている。長辺側に入口があれば雨の日に前室で炊事ができるが、短辺側に入口があると前室が狭すぎて厳しい。私の場合、雨の日は狭い前室ではなく自転車ごとキャンプ場の東屋か炊事場に乗り付けて、そこで炊事しているので前室の狭さはそれほど気にしていないが、やはり長辺側に入口があるテントと短辺側に入口があるテントの最大の違いは前室の広さの差だろう。どちらがいいかは正解があるわけではなく個人の使い方によってくるので、前室を優先するのであれば長辺側に入口のあるテントを、東屋にテントを張る可能性があるのなら短辺側に入口のあるテントを選ぶといいだろう。
初山別村みさき台公園キャンプ場の夜景
私の購入したアライテントのエアライズも12シーズン目を迎え、さすがに限界を感じるようになってきた。トラブルとしては2005年の北海道自転車ツーリングの途中にポールが折れるトラブルが発生し、帰宅後にフレームだけ新調した。そして2012年にはフライシートのファスナーがバカになったが、これは帰宅後にファスナーのスライダーをペンチでカシメる事により自分で修理した。またテントのグランドシートの中央部に貼ってあるシームテープが加水分解でボロボロになったり、フライシートのファスナー部に貼ってあるシームテープが剥がれてきたりしているが、これはもう手の施しようがない。
白滝高原キャンプ場の夜景
そろそろ次のテントの購入を検討しておりいくつか候補は絞ってみた。私の場合やはりテントの短辺側に入口がほしかったので選択肢としては今と同じアライテントのエアライズ2かモンベルのステラリッジ2しかない。この2つでいろいろと比較検討したのだが、やはり私にとっては設営の容易さでエアライズ2に軍配を上げてしまった。
和琴半島湖畔キャンプ場のクッチャロ湖湖畔に設営
ここでいう設営の容易さとはポールを通すスリーブの形状を意味する。小型テントの構造には吊り下げ式とスリーブの2種類がある。ダンロップのVシリーズのみ吊り下げ式を採用しエアライズやステラリッジはスリーブを採用している。吊り下げ式はペグダウンしてからテントを立ち上げる事ができるので強風下での設営が楽という利点がある反面、多数のフックを1つ1つ掛ける必要があるので多少面倒だ。スリーブはフックを掛ける手間がいらない分、強風下での設営が難しい。といっても風上側1ヶ所だけテント本体をペグダウンしてからスリーブにポールを通せば強風下でも設営は不可能ではない。
浜中海岸野営場の夕陽
エアライズとステラリッジは同じスリーブだが構造が若干異なる。エアライズはスリーブの片側が袋とじになっているのに対しステラリッジはパイプのように両側に穴が開いている。エアライズはスリーブの片側が袋とじになっているおかげでテントの入口側に陣取れば一度も場所を移動する事なくポールを延ばしてそのポールをスリーブに通しテントを立ち上げる事ができる。それに対してステラリッジはスリーブが袋とじになっていないので一度スリーブにポールを通すと、最低でも1回は反対側に移動してポールをガイラインにはめる必要がある。簡単な事のようでこれが意外と面倒なのだ。エアライズであればテントの入口側からしかポールを抜き差しできないがステラリッジであればスリーブのどちら側からでもポールを抜き差しできるからこの方が早いとか、エアライズでもテントを広げた時に反対側に入口が来たら結局移動しなければならないから同じだという意見もあるが、私に言わせれば畳んだテントを広げる際に入口をどちらにするかは必ず決まっているので、入口の位置を確かめて広げるので一度テントを広げたらポールをスリーブに通してテントを立ち上げるまではほとんど場所は動かない。もちろんその後にフライシートを掛けたりペグダウンする時にはテントの周りをグルグルと動き回るが、雨の日など素早くテントを広げて立ち上げ、一刻も早くフライシートまで掛けてしまいたい時にはエアライズのような袋とじのスリーブはとても役に立つ。
三重湖公園キャンプ場の夜景
ただし重量の点ではステラリッジに軍配が上がる。同じ床面積の2型で比較した場合、ペグや張り綱を含めた総重量はエアライズ2が1750gに対しステラリッジ2型は1650gと100g軽い。これはエアライズ2が2006年にモデルチェンジしているのに対し、ステラリッジはそれから6年後の2012年にモデルチェンジしており、その間の技術革新と後発ゆえの他社解析の成果と思われる。私としてはエアライズの前回のモデルチェンジが10年ぶりだったので2016年には再びエアライズがモデルチェンジしてステラリッジよりも軽量化されるのに期待してそれまで待つつもりだ。
サイズ:2100mm×1300mm×1050mm(設営時)
サイズ:φ150mm×300mm(収納時)
重量:1650g(本体、フライシート、ポールのみのカタログスペック)
重量:1768g(ペグ、張り綱、収納袋含む実測値)
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