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サーマレスト プロライト レギュラー
私は2003年の初めての北海道自転車ツーリングに行くにあたり、事前に練習がてらに泊まりがけで地元のツーリングに行き、その時のマットに銀マットを使ったが、腰が痛くてあまり寝られなかった。その時の経験を元に、当時このマットで寝られない場所はないと絶賛されていたカスケードデザイン社のインフレーターマット「サーマレスト」のウルトラライトを購入した。
サーマレスト プロライト レギュラー
サーマレストはカスケードデザイン社が1972年に発売した自立膨張式マット(インフレーターマット)のブランド名だ。このマットは気密性のあるマット内部にウレタンクッションが封入されており、バルブを開くだけで自動的に膨らんでくれるのだ。もちろんそれだけではエアーが足りないので少しは空気を吹き込む必要があるが、エアーベッドに比べると圧倒的に空気を吹き込む量は少なく楽に設営できる。
このサーマレストは当時使われていた銀マットなどと比べて圧倒的に寝心地がよく、かつ軽量でコンパクトに畳むことができることからアウトドア界に革命を起こした。しかしサーマレストはただのマットでありながら10年ほど前でも15000円ほどの価格と超高級マットの代名詞となっていた。
左がプロライト、右がウルトラライトのスタッフサック
カスケードデザインはこのインフレーターマットで特許を取得していたため、このインフレーターマットは長い間サーマレストしか存在せず高値で安定していた。しかし特許が切れたことから2005年頃から各社が相次いでインフレーターマットに参入し、今ではモンベルやスノーピーク、イスカ、ロゴス、コールマンなどのメーカー各社が参入し、安いものは5000円くらいで販売されるようになった。
しかし私が北海道自転車ツーリングを始めた頃はまだインフレーターマットと言えばカスケードデザイン社のサーマレストしか販売していなかった。私の購入したサーマレストウルトラライトは当時15000円くらいとマットとしてはとても高価だったが、それだけに地面の固さや凹凸が原因で寝られないことは一度もなく、大きめの砂利の上でも安眠できるほどだった。
下がプロライト、上がウルトラライトの表面
特にこのサーマレストの特徴として裏面が防水になっていることが挙げられる。雨の日に濡れた地面にテントを張ると地面の水分がテントに上がってきてどうしてもテントの床が濡れてしまう。そのままシュラフをひくとシュラフまで濡れてしまうところだが、サーマレストは裏面が防水になっているので少なくともマットの上だけは濡れることがなくシュラフも濡らさずに済むことができる。私はこのおかげで雨の日にもずいぶんと救われた。
このサーマレストウルトラライトを自転車キャンプ旅で11年間使ってきた。これだけ酷使しても一度もパンクすることなくサーマレストのブランドに恥じずまだまだ現役で問題なく使えるのだが、11年の間に何度かモデルチェンジされ重量も半分くらいになったことから荷物の軽量化に合わせて2014年から新しいインフレーターマットに新調することにした。
下がプロライト、上がウルトラライトの裏面
現在においてはインフレーターマットなど各社から発売されているが、私としては軽量化のために買い換えるので、可能な限り軽いものを買いたい。しかしいくら軽量化したいと言っても全身用のフルサイズがほしい。半身用のは確かに軽いが雨の日にテントの床が濡れるとシュラフまで濡れてしまう。
そうして各社のインフレーターマットを調べたが、結局またもやカスケードデザインのサーマレスト プロライト レギュラーが一番軽いことが判明し、再びサーマレストを買ってしまった。同じサーマレストのネオエアー Xライト レギュラーの方が軽いのだが、これはインフレーターマットではなくただのエアーマットで膨らませるのが大変なだけでなく、パンクした時にまったく役に立たなくなるので断念した。プロライトであればパンクしてもウレタンクッションの分だけはクッション性が残ってくれる。
長方形のウルトラライトに比べてプロライトは足先が細くなっている
これまで使っていたウルトラライトはカタログスペックで790g、スタッフサック込みの実測値で821gの重さだったが、プロライトではウレタンクッションを肉抜きし足元の合図を絞り込むことで40%も軽量化し、カタログスペックで460g、スタッフサック込みの実測値でも487gまで軽くなった。手にするとその差は歴然としている。
また重量だけでなくサイズも小さくなった。従来のウルトラライトは完全な長方形で裏表はあっても頭側と足側の違いはなかった。しかしプロライトでは裏表があるのはもちろんの事、頭側と足側も異なり足側は先端が先細りになっていて少しでも重量を減らそうとしているのがうかがえる。
サーマレストのロゴ
インフレーターマットの欠点は撤収するのが面倒というのが挙げられる。丸めれば終わりの銀マットと違ってウルトラライトの場合、丁寧に空気を抜きながら丸めていかないとスタッフサックに入らないのだ。撤収にかかる時間は確実に遅くなる。しかしプロライトは元々のサイズが小さく、かつスタッフサックのサイズが大きいのでそれほど空気を丁寧に抜かなくてもスタッフサックに入るようになってしまった。これだけでも撤収が楽になった。
空気の注入口は変わらない
しかしそれでは収納時のサイズが小さくならない。そこで私はスタッフサックを付属のものからモンベルのGORE−TEXスタッフバッグ2Lに変更した。このスタッフサックに入れるには空気を丁寧に抜きつつかなり小さく丸めないとスタッフサックに入らないので面倒ではあるのだが、ちゃんと入れることができれば自転車用のボトル程度の大きさになるのでとても小さくパッキングできる。
GORE−TEXスタッフバッグ2Lに入れると自転車用のボトル程度になる
またサーマレストウルトラライトからサーマレスト プロライト レギュラーに変更した事で重量は40%削減されたが、その分だけ明らかにクッション性が減ったように感じる。ウルトラライトの時は空気をしっかりと入れておけば地面の凹凸を感じることはなかったが、このプロライト レギュラーにしてからは地面の凹凸を多少感じるようになった。ただ寝られないと言うほどではないので軽量化のためにこれで我慢するしかないようだ。
このカスケードデザイン社はアメリカのアウトドアメーカーだが、このプロライトはアイルランドで生産されている。私のアウトドア用品はモンベルやパールイズミの製品に中国製というのが多くそれ以外はほとんど日本製が多いが、その中でもペルツのフランス製のヘッドライトに続いて珍しい海外製の用品だ。
キャンプでの使用風景
マットは安い銀マットでもいいが、マットは睡眠に直結するだけに一度でも銀マットで寝てみて、寝られないようであればこうしたインフレーターマットを買ってみるのもいいだろう。きっとその寝心地の良さに驚くことだろう。
素材:50Dポリエステル(表面)
素材:70Dナイロン(裏面)
サイズ:510mm×1830mm×25mm(展開時)
サイズ:Φ280mm×100mm(収納時)
重量:460g(カタログスペック)
重量:487g(スタッフサック込みの実測値)
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