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北海道自転車ツーリング9日目
中札内〜帯広〜然別湖 −失意の十勝大平原自転車道−
2006年08月12日

9日目の走行地図

 昨日の騒ぎがあったので少し寝坊して4時50分に起きる。どうやら外は小雨が降っているらしいが、屋根の下にテントを張っていたので浸水の心配もないし安心だ。シュラフとマットとジャージを片付けてテントから出ると昨日のおじさんがもう起きていた。どうやら昨日騒いでいた若者たちはこのキャンプ場で2時間ほど騒いだ後、さらに奥に入って林道の終点で寝ていたおじさんの横で騒いでいたらしく、寝れなかったとぼやいていた。まったくとんでもない連中だ。テントを撤収し昨日食べそこねた弁当とカップ野菜を食べる。寝酒だけは今夜に持ち越しになりそうだ。テントを撤収する際、雨が激しくなってきたが、屋根の下なので雨はまったく気にする事なく撤収できた。しかも張り綱やペグを一切使用していないので撤収も早くて楽だ。
 おじさんにお礼を言って6時前に出発する。レインスーツを着て完全雨装備で出発したが、出発する時には雨が止んでおり、昨日とは逆に日高山脈方向は青空が見えていた。出発する時、レインスーツを脱ごうかとも考えたが、昨日のようにまたすぐに降りだしたら嫌だし、少し寒かった事もあったのでレインスーツを着たまま走る。道道111号線は札内川園地キャンプ場からは緩やかな下りになるので走りやすい。しかも途中から少しだけ太陽が顔を出し、太陽に向かって走るのは何となく嬉しいものだ。写真を撮りながらも道道111号線と道道55号線のまっすぐな直線道路をひた走り、1時間で20km先の中札内に到着した。
撮影日時:2006/08/12 06:09:58 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:230mm
道道111号線の直線道路を走る
前方は太陽の光が反射して明るい
撮影日時:2006/08/12 06:42:01 シャッター速度:1/160 絞り:F6.3 焦点距離:200mm
道道55号線の直線道路を走る
このあたりもまだ路面が濡れている
 道の駅「なかさつない」でボトルに水を補給ししばらく休憩する。ここでようやく携帯電話の電波が届くようになったので天気予報を調べると、今日は十勝平野はどこも曇りの予報だ。私は然別湖に行くか池田町に行くかで悩んでいたが、両方曇りなら当初の予定通り然別湖まで走る事に決めた。
 この道の駅にはライダーが何人かテントを張って泊まっていた。バイクだったら10分も走ればキャンプ場くらいあるだろうにと思っていたが、きっとトイレも水道もある道の駅が気に入ったのであろう。しかしトイレ近くの人通りの多い場所にテントを張っていたので、夜中でも近くを人が歩く事が気にならないのだろうかと不思議に思ってしまった。
 道の駅で休憩しているとトラックの運ちゃんに声をかけられた。どこに行くのと聞かれたので、昨日、日勝峠を越えて、今日は然別湖まで行くと言うと「方向が反対じゃないか」と言われた。確かに日勝峠から然別湖に行くなら中札内はまったく逆方向だが、ピョウタンの滝を見たかったのだと説明する。しかしピョウタンの滝の為だけに往復100km以上も逆方向に走ってしまうのだから、我ながら呆れてしまう。トラックの運ちゃんは私が東京都港区から来た事を知ると、東品川には荷物の配達でよく行くと言っていた。苫小牧→仙台のフェリーで仙台に上陸後、順番に配送しながら南下し、最後に品川の国連センターに届けて、品川でパチンコをするそうだ。何を届けるのかまでは聞かなかったが、トラックの形状からして何かの液体のように思われた。後で知った事だが、同じ形状のトラックに牛乳と書かれていたので、おそらく牛乳を運んでいたのであろう。しかし国連も市販の牛乳を買わずに北海道から直送させるとはたいしたものだ。
 7時過ぎに道の駅を出発すると、今度はコンビニに行き、昨日見つけた凍らせたペットボトルを購入する。これがあるのとないのとでは大違いだ。どれくらい大違いかというと551の蓬莱がある時とない時くらい違う。いつでも冷たいジュースが飲めると考えただけで元気100倍になるのだ。
撮影日時:2006/08/12 07:13:46 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:320mm
帯広まであと27km
撮影日時:2006/08/12 07:27:39 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
幸福駅にて
 中札内の町を抜けた直後に、反対車線の歩道を歩いている人を見かけた。大きなリュックを背負っていたが、こんな場所を一人で歩いているとは地元の人だろうかと考えながら接近すると、向こうから手を上げて挨拶してきた。どうやらそれは徒歩で北海道を旅するトホダーのようだ。ライダーやチャリダーはよく見かけるが、トホダーはほとんど見かけないのでびっくりしてしまった。徒歩だと1日30kmくらいしか移動できないから、キャンプ場を渡り歩くのでさえ大変だろう。それにしてもこの時間にこの場所を歩いていたという事は、彼は一体昨晩どこに泊まったのだろうと思ってしまう。
 そのまま国道236号線を北上すると幸福駅の標識が見えてきたので行ってみる事にした。幸福駅は国道から300mほど入った所にあったが7時25分に到着。まだ朝早かったのに土産物屋が開いていたのにはびっくりする。この時間だと観光客はほとんどいないのに店を開ける意味があるのかと思ってしまう。誰もいないホームに入って写真を撮ったり幸福の水を飲んだりして時間を潰した。
撮影日時:2006/08/12 07:30:43 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:38mm
幸福駅のホームから
撮影日時:2006/08/12 07:32:45 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
幸福駅にやって来た
 ちなみに幸福駅の名前の由来は、元々このあたりはアイヌ語でサチナイと呼ばれ幸震という漢字が当てられていた。しかし幸震には福井県からの移住者が多かった事から両方の頭文字を取って集落名を幸福と変更し1956年に幸福駅が開業したとの事だ。しかし1987年に広尾線の廃線と共に幸福駅も駅としての役目は終えたが、その名前による知名度から観光地化され今に至るらしい。
 幸福駅を出発し再び国道236号線を北上する。昨日は南南東からの向かい風で走りにくかったが、今日も風向きは同じで追い風となったので自転車で走りやすい。帯広目指して国道236号線を走っていると500m程離れた牧草地に親子連れと思われる野生の鹿が遊んでいるのが目に入った。知床で人間慣れした鹿を撮影する事はあっても、こういった場所で野生の鹿を撮影できる機会はほとんどなかったので自転車を止めて鹿を撮影する。
撮影日時:2006/08/12 08:03:38 シャッター速度:1/320 絞り:F8.0 焦点距離:320mm
親子連れの野生の鹿が
牧草地を駆け回っていた
撮影日時:2006/08/12 08:09:56 シャッター速度:1/200 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
愛の国から幸福への切符
 さらに国道236号線を北に走ると国道が左に曲がるポイントに、今度は愛国駅の標識が見えてきた。さっそく愛国駅にも向かうが、どこにあるのかよくわからない。周囲をうろうろすると8時10分にどうにか愛国駅にたどり着く事ができた。さっそく駅舎の横に置いてあった愛国から幸福ゆきの切符のモニュメントをバックに写真を撮ろうとするが、夫婦がこの切符の前でお互いの写真を何枚も撮っていてどいてくれない。こちらが待っているのにもかかわらず、切符をバックに1枚撮影しては撮影した写真を確認し、また撮影するのを繰り返す。あまりに腹が立ったので、撮影した写真を確認している間に切符の前に自転車を乗りつけ、割り込んで写真を撮影する。この愛国駅は幸福駅とほど観光地化されていないように感じたが、何となく趣きがあった。
 ちなみに愛国駅の名前の由来は、このあたりに愛国青年団という開拓団があった事から愛国という地名になり、1929年に愛国駅が開業したとの事だ。1973年にNHKの紀行番組「新日本紀行」において「幸福への旅 〜帯広〜」として紹介された事から知名度が上昇し、「愛国から幸福ゆき」という切符が一大ブームとなる。1972年には年間でたった7枚しか売れなかった「愛国から幸福ゆき」の切符が、翌年には年間で300万枚も売れたらしい。しかし愛国駅も幸福駅同様、1987年に広尾線の廃線と共に愛国駅も駅としての役目は終え、愛国駅の駅舎は改修され、現在は交通記念館となっている。
撮影日時:2006/08/12 08:11:51 シャッター速度:1/200 絞り:F10 焦点距離:77mm
愛国駅のプレート
撮影日時:2006/08/12 08:12:15 シャッター速度:1/125 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
愛国駅にはSLが保存されていた
 愛国駅からは十勝大平原サイクリングロードを走る為に国道236号線を離れ道道238号線に入る。愛国駅から道道238号線を西北西に5kmほど進むと道道216号線沿いに自転車道があるのだ、いや、あるはずだった。しかしいざ現場に到着しても整備されていないデコボコで雑草だらけの歩道があるだけで自転車道らしき道はない。おまけに自転車道の標識どころか自転車通行可の標識すらないのだ。私は道を間違えたかと思ったが、よく確かめてもここで間違いない。私は幻滅した。石狩川自転車道でもそうだったが、まあ都会の自転車道はこんなものだろう。
 しばらくは自転車道と呼ばれる歩道沿いを走る。もちろんこんな雑草だらけのデコボコな歩道は走れないので車道を走る。8時45分にそろそろお腹が空いてきたので帯広の町に入る前にパンを食べる事にした。さすがに朝食はおにぎりではなく弁当を食べたので、3時間ほどもってくれたようだ。今日は9時までに50kmを走破しており何だか嬉しい。
 この先どうするか、ツーリングマップルを見ながら考える。そういえば日高のキャンプ場で知り合ったライダーは帯広で豚丼を食べたと言っていた。せっかくだから私も帯広名物豚丼でも食べようかと思ったが、よく考えたらたった今パンを食べたばかりだし、何より帯広の中心部には入りたくなかったので、豚丼は断念し帯広の町をかすめるように走る事にした。
 名ばかりの自転車道を走るのは断念し道道216号線で北上。さらによくわからない街中の道に入り、恐ろしいほど急な坂を下って帯広の街中に入ったところで完全に現在地を見失ってしまったが、とりあえず北上を続ければJR根室本線か国道38号線にぶつかるはずだから道に迷う事はない。それにしてもここ帯広の町も平地だけではなく、十勝川の南側は丘になっていた。やはり北海道の大きな町で平地だけなのは釧路だけなのだろうか。街中を走っていると途中にホームセンターを見つけた。私はここでなくなりかけているガスを買おうかと思ったが、まだ持ちこたえそうだったのでギリギリまで購入を待つ事にして先へ進む。
撮影日時:2006/08/12 08:52:22 シャッター速度:1/60 絞り:F6.3 焦点距離:53mm
この雑草だらけの歩道が
十勝大平原サイクリングロードだ
撮影日時:2006/08/12 09:27:46 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
平原大橋から十勝川上流を撮影
この頃から青空が見えはじめた
 さらに帯広の町を北上すると、やがて根室本線を越え国道38号線に出た。東と西のどっちに行けばいいのかよくわからなかったが、西に500mほど走ると目的の国道241号線のバイパスに出た。十勝川にかかる平原大橋を渡り国道241号線を北に自転車を走らせると、この頃から雲の切れ間から太陽が見えはじめた。今日は比較的涼しい方だが、それでも太陽の直射日光を浴びると暑い。この国道241号線は交通量は多いが路肩が広くて走りやすかった。
 国道241号線を走っていた時、弟子屈まで141kmと書かれた標識を見かけた。この国道241号線がどのようなルートで弟子屈まで行くのか不思議に思ったが、士幌、足寄、阿寒湖畔、双湖台を通って弟子屈に行く、一昨年通ったあのルートだという事がわかった。なるほど、この道だったら足寄周辺と阿寒湖から弟子屈までは走った事がある。
 10時ちょうどに国道241号線と道道133号線との交差点に到着し、脇にあったパーキングで休憩する。朝キャンプ場を出発する時には雨が降っていたので日焼け止めを塗っていなかったが、さすがに太陽の直射日光を浴びて腕が日焼けでヒリヒリしたので、ここでしっかりと日焼け止めを塗っておく。
 ここから然別湖に向かうには西から順に道道133号線と国道274号線を通るコース、道道133号線と道道54号線と国道274号線を通るコース、道道337号線と国道274号線を通るコース、国道241号線と国道274号線を通るコースの合計4つのコースがある。さらに私は十勝平野はわずかに丘のような地形をしており、川の部分だけ低くなっている事に気付いていたので、川を横切るには激しいアップダウンを繰り返す事になり、できる事なら川は横切りたくない。また一番東の国道241号線は少し大回りになるので避けたい。それよりも国道274号線の信号なしの直線道路がアップダウンを繰り返しながら16km続くというのを体験してみたかったので、道道337号線で北上した後、国道274号線で西に進む事にする。
撮影日時:2006/08/12 10:07:34 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:200mm
然別湖まであと48km
撮影日時:2006/08/12 10:33:14 シャッター速度:1/200 絞り:F10 焦点距離:64mm
直線の続く道道337号線を走る
 国道241号線はさすがに交通量が多かったが、道道133号線、そして道道337号線に入ると交通量は格段に減った。また雲の切れ間から青空が見えてきた事もあって、このあたりから写真撮影の回数が増える。
 道道133号線から道道37号線への分岐に通りかかった時、家畜改良センター十勝牧場展望台に行こうかと思った。昨日清水円山展望台に行きそびれていたし、今日は晴れているのでぜひとも展望台から十勝平野を見ておきたかったのだ。しかしツーリングマップルを見ると、片道8km近くのダートを走らなければならないし、おまけに展望台というくらいだから間違いなく登り坂だろう。登り坂のダートを炎天下に8km。ちょっと考えたくないような光景なので今回はパスする事にした。
 道道337号線に入ると、ひたすらまっすぐな直線が続く。天候が良くなってきた事もあってここでも写真撮影を繰り返す。やがて11時10分に国道274号線に到着。国道274号線に入ってすぐに道端で休憩する。この国道274号線もひたすらまっすぐな直線だ。ツーリングマップルには「アップダウンのある」と書かれていたので、チャリダーには辛そうだなと思っていたが、実際には確かにアップダウンはあるものの、それほどきついというわけではなく、しかも追い風という事もあって、これならチャリダーにも十分お薦めできる道だと思ってしまった。ただここでも写真撮影をしようとするが、この国道274号線は先程の道道337号線に比べて交通量が多いので、写真撮影の為に車が途切れるのを待つのにずいぶん待たされてしまった。
撮影日時:2006/08/12 11:09:26 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:320mm
国道274号線も直線ばかりだ
撮影日時:2006/08/12 11:57:05 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:77mm
ようやく青空が見えるようになってきた
 国道274号線を西に走り続けると11時45分に東瓜幕パーキングエリアに到着。ここでボトルの水を補給し、ついでに頭から水を被る。このパーキングエリアには展望台があったので登ってみたが、残念な事に展望台からの眺めは写真を撮るにも値しなかった。東瓜幕にもコンビニはなく、このままでは今日はこの先、コンビニはなさそうな雰囲気だ。もう食料はほとんど残っておらず、これから白樺峠を登るとハンガーノックになってしまいそうだったので、東瓜幕パーキングエリアの向かいにある商店に入ってパンを購入する。
 東瓜幕パーキングエリアを出発し、さらに国道274号線を西に進むと、しだいに雲がなくなって快晴に近付いてきた。東ヌプカウシヌプリなどの山々が頂上まではっきりと見えるようになった。かなり暑いが写真撮影には最適だ。追い風を背に受けながら楽な走りだ。今日は午前中で92kmも走破した。まるで3年前のガムシャラな走りが復活したようで嬉しい。
 国道274号線を西に走り続け、ようやく道道85号との分岐に到着した。もうここから先はコンビニはない。今ある携行食はおにぎりが1つと、先程買ったパンが1つ。これだけで白樺峠を越えなければならない。それならば携行食は残しておく事にして、どこかで昼食でも食べてから白樺峠に挑む事にしようと考えた。あたりを見回すと「森のオアシス グルメの里」という食事処があったので、そこで食事をする事にした。
撮影日時:2006/08/12 12:22:02 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:38mm
東ヌプカウシヌプリをバックに
自転車を撮影
撮影日時:2006/08/12 13:35:57 シャッター速度:1/60 絞り:F5.6 焦点距離:64mm
これから白樺峠を登る
 12時30分に店に入ると、店には客がおらず、私が初めての客のようだった。本当は何か定食が食べたかったのだが、残念な事にメニューにはラーメンかカレーしかないようだ。仕方なくカツカレーを注文するが、よく考えたらカレーは毎日のように自炊で食べている。それよりも夏限定のメニューで冷やしラーメンというのがあった。これの方が良さそうに思えたので、すぐに冷やしラーメンに注文し直した。
 テーブルに新聞が置いてあったので冷やしラーメンが出てくるまでの間、世間の情報を見ておく事にした。北海道自転車ツーリングの間、テレビ、ラジオ、新聞などは一切見ていないので、世の中で何が起きているのかまったく知らないのだ。新聞を見ていると、その中で一番私の目を引いたのがホンダが1週間ほど前のF1ハンガリーGPで優勝したという一面広告だった。とうとうホンダF1第3期で優勝したかと感慨深くなってしまった。
 注文から15分後に出てきた冷やしラーメンは具の種類が思った以上に多く、また麺もおいしかった。これはあたりだった。しかも食事後コーヒー牛乳までサービスだと言ってついてきた。お勘定をしている時、店のおじさんは店の外に車がない事に気付いたようで、外をよく見ると自転車が置いてあったからびっくりしていた。一昨日までは暑かったが昨日から気温が下がったそうで、まだ今日は走りやすいでしょと言っていた。確かにもう13時だが、今日はまだそれほど暑くない。しかし白樺峠を登りはじめたら暑い事には変わりなくなるだろう。
 店を出ると今度は道道85号線を北に走る。最初のうちは緩やかな登りが続く。この段階で今日は既に100km程走っており、右ひざの調子が少しおかしかったが、気にするほどではないし、まあ何とかなるだろう。今日はこれから標高900mまで550mの登りだ。緩やかな登りを走っていると軽装のマウンテンバイクが挨拶と共に追い抜いていった。やはり軽ければ登りは楽だろうと思ってしまう。
撮影日時:2006/08/12 13:46:40 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
青空に向かって駆け上がっていく
撮影日時:2006/08/12 13:51:54 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:34mm
今日も日差しがきつかった
 鹿の湯への道道1088号線との分岐を過ぎると登りは一気に急になる。ギアは一番軽くしないと登れないので傾斜は10%はあるだろう。この道道85号線は道の両脇の木をあまり切り倒していないので日陰に困る事はないが、走っている時は直射日光を浴びてしまい暑い。汗を滴らしながら登り、13時25分から標高500m地点で休憩し、凍らせたペットボトルを飲む。一つ気付いた事は、暑い時に冷たいものを飲むと発汗が抑えられるという事に気付いた。
撮影日時:2006/08/12 14:02:44 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:64mm
登りは延々と続いた
撮影日時:2006/08/12 14:15:16 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
そろそろ見晴らしも良くなってきた
 その後600m、700mと休憩を繰り返しながら標高を上げるに従い見晴らしが良くなっていく。さらに登ると14時10分に扇が原展望台に着いた。ここからの眺めは確かに十勝平野を一望できる。私は記念碑の前に自転車を持ち込んで記念撮影し、展望台からの写真も何枚か撮影する。展望台にはトイレがあったので給水しようかと考えたが、凍らせたペットボトルがあると意外な事にそれほど水は飲まないので、ほとんど水は飲んでおらず給水の必要はなかった。十勝平野には展望台がいくつもあるが、どれが一番眺めがよく見えるか確かめてみたいところだ。
撮影日時:2006/08/12 14:20:12 シャッター速度:1/125 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
扇が原展望台で記念撮影
撮影日時:2006/08/12 14:21:31 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
扇が原展望台からの眺め
 この扇が原展望台には人間に慣れた野生のキタキツネが住み着いているらしいが、あいにく見る事はできなかった。扇が原展望台を出発し、さらに標高800mで休憩し、15時ちょうどに標高900mの白樺峠頂上に着いた。気温が低かったせいもあるが、凍らせたペットボトルがあると峠でも楽に登れるものだ。しかも早朝に買った凍らせたペットボトルが、15時でもまだちょうどいいくらいの溶け加減だ。しかし濡れタオルを巻くと乾いたタオルに比べると氷が溶けるのが少し早いかもしれない。
撮影日時:2006/08/12 14:47:20 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
白樺峠頂上付近から見た
東ヌプカウシヌプリ
撮影日時:2006/08/12 14:56:12 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:320mm
白樺峠頂上で自転車を撮影
 白樺峠から下ると、ほどなく然別湖が見えてきた。登りに比べて下りが極端に短く感じたのは然別湖の標高が810mと北海道で一番高い場所にある湖だからであろう。然別湖は大雪山系唯一の自然湖で、遠い昔、凶作が然別のコタンを襲った時、白いヘビに姿を変えた神が然別湖の存在を教え、そこに棲むオショロコマを飢えた人々に与えたという言い伝えが残されている。
 明日行く予定の東雲湖への入口を探すが、それらしき場所はあったもののよくわからなかった。後でネイチャーセンターで確認する事にしよう。さらに道道85号線を北に走り、湖畔トンネルを抜けるとすぐに然別湖畔温泉街に着いた。
 この温泉街の真ん中に然別湖を見下ろす展望台があったので、いつものように自転車を持ち込んで写真を撮り、展望台から然別湖の湖岸に降りてみる。然別湖には手漕ぎボートや遊覧船など、様々な船が浮かんでいた。時間があれば私も遊覧船に乗りたいところだが、今日はぜひとも温泉に入りたかったので断念する。
撮影日時:2006/08/12 15:13:45 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:29mm
大雪山国立公園の然別湖
撮影日時:2006/08/12 15:16:28 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
然別湖
 せっかくだから今日は然別湖を眺めながら露天風呂に浸かりたいなと思い、湖岸にあった一番高級そうな然別湖畔温泉ホテル風水に行く事にした。本当はキャンプ場でテントを張ってから温泉に入りに来ようかとも思ったが、日帰り入浴が17時までと聞いて、15時20分から先に日帰り入浴する事にした。料金が1000円と聞いて、これまでの北海道旅行で一番高い温泉だと思ってしまう。きっとこれだけ高いのだから浴槽も露天風呂も休憩室も相当立派なのだろう。ロビーで受付を済ませエレベーターで脱衣場に来てからタオルを忘れた事に気付いた。しかし今から自転車まで取りに戻るのも面倒だったので、今着ている服で体を洗う事にした。これなら体を洗うと同時に服まで洗濯できるので一石二鳥だと考えたのだが、まるで浮浪者のようであまりに恥ずかしいので二度とやりたいとは思わなかった。
 浴槽から見る然別湖はなかなかのものだったが、この温泉には湯船が1つしかなく、露天風呂はもちろんの事、水風呂さえなかった。一体この温泉のどこに1000円分の価値があるのだろうと思いながら温泉からあがる。さすがに脱衣場では服で体を拭くのは恥ずかしいので浴室の中でしっかりと体を拭いてから脱衣所に出てくる。それでも服をタオル代わりに体を洗ったり服で体を拭いたりするのは恥ずかしかった。服を着替えて休憩室で旅の日記を書こうとするが、休憩室がどこにもない。どこにあるのかまったくわからないのでロビーのボーイに聞くと、休憩室はないとの事。いったいどこで旅の日記を書けばいいのか… 1000円も払って露天風呂がないのはもちろんの事、浴槽も1つしかなく、おまけにゆっくりとくつろげる休憩室もないとは、観光地のボッタクリ価格とはこんなものかと思ってしまった。
 仕方なくホテル入口のロビーで旅の日記を書くが、このロビーもそれほど広いわけでもなく、またボーイの目の前の椅子に座って旅の日記を書くというのも居心地が悪かったので30分ほどで切り上げる。ネイチャーセンターの場所がわからなかったのでホテルを出る時にボーイに聞くと目の前にあると教えてくれた。自転車を止めたまま向かいのネイチャーセンターで東雲湖への地図をもらう。地図といっても大した地図ではないが、ツーリングマップルよりはマシだ。
 然別湖畔温泉街を出発する時、公衆便所があるのを見かけた。ここで給水しようかとも考えたが、どうせあと5kmも走ればキャンプ場なので、給水せずにそのまま走る事にする。然別湖畔温泉街から国設然別湖北岸野営場までの道道85号線は道幅は狭いものの、洞爺湖の周回道路のように、木立に囲まれた中を木々の間から然別湖を見ながら走るというロケーションで、とても良かった。
撮影日時:2006/08/12 17:40:47 シャッター速度:1/60 絞り:F4.0 焦点距離:34mm
雰囲気の良い道道85号線を走る
撮影日時:2006/08/12 17:48:43 シャッター速度:1/60 絞り:F4.5 焦点距離:53mm
国設然別湖北岸野営場
 16時40分に国設然別湖北岸野営場に到着。受付を済ませてフリーサイトに向かうが、もう時間も遅い事もあってフリーサイトは満員に近く、一番奥のトイレに近い場所にテントを張る。受付のお兄さんに聞いたのだが、このキャンプ場の水は煮沸しないと生のままでは飲めないと言う。正確には塩素殺菌は実施しているが水道ではないのでエキノコックスの危険があるという。飲めば必ずエキノコックスにかかるというわけではないし、受付のお兄さんもキャンプ場の水を飲んでいると言うが、やはり危険は避けたほうがいい。どこに行けば安全な水が手に入るかと聞くと然別湖畔温泉街なら水道が引かれているので安全だと言うではないか。先程温泉街の公衆便所でボトルに水を給水すべきだったと後悔しながら、先にテントを張ってしまい、17時20分からもう一度温泉街まで水を汲みに自転車を走らせる事にした。
撮影日時:2006/08/12 17:10:29 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
国設然別湖北岸野営場から見た然別湖
撮影日時:2006/08/12 17:52:03 シャッター速度:1/60 絞り:F4.5 焦点距離:53mm
国設然別湖北岸野営場でのキャンプ風景
 テントを張ったので軽くなった自転車で道道85号線の然別湖岸を温泉街まで走り、公衆便所でボトルに満タンに給水し、17時40分にキャンプ場に帰ってきた。往復10kmを20分で走ったのでたいしたものだ。キャンプ場を出発した時には太陽がまだ見えていたので、キャンプ場に戻ってきた頃には夕陽が見れるかもしれないと考えていたが、キャンプ場に戻ってきた時には太陽は雲に隠れて見えなくなっていた。
 17時40分から自炊開始。今日はカレーとわかめの味噌汁。コンビニには立ち寄れなかったのでトマトはないが、昨夜飲みそこねた寝酒はあった。今日も米がうまく炊けたのでとても嬉しい。18時30分には後片づけも終り、然別湖の湖岸まで撮影に行ってみる。17時くらいまでは晴れていたが、夕方になると曇ってしまい夕陽を見る事はできなかった。18時40分から旅の日記を書く。今日は温泉で旅の日記をほとんど書けなかったので、テントの中で書くのに時間がかかり、書き終わった時には21時30分になっていた。
 このキャンプ場はライダーもいるにはいるが、やはり家族連れが多くて、夜になってもかなり賑やかだ。天気予報では今日は曇りと言っていたが、実際には昼から晴れてくれたおかげで、十勝平野の展望や美しい東ヌプカウシヌプリ、そして然別湖の写真を撮る事ができた。明日も晴れてくれるとありがたいのだが… 今日は30℃を越える事もなく、また凍らせたペットボトルがあったおかげで、水を2リットルしか飲まなかった。このキャンプ場は標高800mを越えており、かなり冷え込みそうなので、ニセコ野営場以来、久しぶりにジャージの上を着て22時に就寝する。

走行データ
走行距離   128.5km
走行時間   7時間45分
ペダリング数   21000回
平均時速   16.5km/h
最大速度   45.0km/h
平均ペダリング数   45rpm
総走行距離   989.3km
天候   曇り後晴れ
最高気温/最低気温   29℃/21℃

食事
朝食   弁当(コンビニ)
昼食   冷麺
夕食   カレー(自炊)

出費
朝(コンビニ)   ジュース   157円
昼(コンビニ)   パン   113円
温泉   然別湖畔温泉ホテル風水   1000円
キャンプ場   国設然別湖北岸野営場   250円
合計   1520円

キャンプ場
名称   国設然別湖北岸野営場
場所   然別湖北岸
  北緯43度17分54秒、東経143度07分06秒
費用   250円
設備   トイレ、炊事場
風呂   山田温泉まで1km
ゴミ   持ち帰り
行きやすさ   標識があるのでわかりやすい
乗り入れ   テントまでバイクの乗り入れ不可
特徴   然別湖にあるキャンプ場
  湖岸にテントは張れないが少し歩けば湖岸に行ける
  トイレは簡易トイレで設備は最小限
  その割には家族連れが多い
  水は水道ではないのでエキノコックスの危険性あり
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