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北海道自転車ツーリング10日目
然別湖〜糠平〜士幌 −たどり着けなかった東雲湖−
2006年08月13日

10日目の走行地図

 目が覚めたら5時30分だった。昨日は22時に寝て一度も目を覚まさなかったのだから、よほど前日が寝不足だったのと、昨日の900mの白樺峠越えで疲れていたのだろう。さすがに寝坊し過ぎたので急いで撤収する。とは言うものの、昨日はコンビニに立ち寄らなかったので朝食がない。正確にはパンとおにぎりがあるが、これは幌鹿峠を登る時に食べる事にしていた。そこで今日の朝食はラーメンを作るつもりでいたので、自転車のサイドバッグからコッヘルとバーナーを取り出すと急いでお湯を沸かしてラーメンを作って食べる。朝に食べるラーメンというのはいまいち食欲がわかないものだ。長万部以来、便の通じが良くなり今朝もトイレに行くが、このキャンプ場のトイレはバイオトイレで、おがくずの上に用をたすと、ボタンを押せばおがくずをミキサーが掻き回して排泄物を隠してくれるのでおもしろかった。
 撤収を完了し、出発する直前に国設然別湖北岸野営場から然別湖の写真を撮影して6時40分に出発する。いつもより1時間の遅れだ。キャンプ場の入口にはチャリダーの自転車が1台止められていたが、チャリダー本人はどこにいるのかわからず挨拶する事はできなかった。キャンプ場を出発すると道道85号線を南下し然別湖畔温泉街の展望台から朝日を浴びた然別湖を撮影し、さらに走って6時50分に登山道入口に到着した。
撮影日時:2006/08/13 06:28:13 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
キャンプ場から見た然別湖
撮影日時:2006/08/13 06:49:57 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
朝日の映える然別湖
 ここからは自転車を置いて東雲湖まで往復3時間の徒歩によるトレッキングだ。東雲湖はオンネトー湖、オコタンペ湖と並んで北海道三大秘湖の1つで、水深は1m程度ととても浅く湖の陸化が進んでおり、いずれ消えてしまう可能性があると言われている、周囲約1km程の小さな湖だ。ナキウサギの生息地としても有名で、運が良ければナキウサギの鳴き声が聞けるかもしれないとの事だ。
 登山道入口に自転車を止めて準備をする。準備と言ってもウエストバッグにカメラとおにぎり1つを入れて腰に巻き、片手に水の入った500ccのペットボトルを持つだけだ。私はてっきり東雲湖への道は、せいぜいハイキング程度の整備された遊歩道を散歩がてらに片道1時間30分歩くものだと思っていた。しかし登山道入口からいきなり藪の中に突入するようで素人の侵入を拒むかのよう見えた。これはこの先の前途多難を予感させた。
撮影日時:2006/08/13 06:55:53 シャッター速度:1/60 絞り:F4.0 焦点距離:29mm
東雲湖への登山道入口
撮影日時:2006/08/13 07:50:48 シャッター速度:1/30 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
入口からいきなり藪の中を歩く
 7時から登山道に突入し東雲湖を目指す。しかし整備された遊歩道という予想は大きく外れ、笹と藪に覆われた完全な登山道だった。まず困ったのが朝露で濡れた藪の中を歩くので、あっという間にズボンの裾がドロドロに汚れて濡れてしまった。こんな事なら下だけでもレインスーツを着てくればよかった。さらにこの道はほとんど人が歩いた気配がなく、クモの巣だらけなのだ。クモの巣に引っかからないように慎重に歩くが、それでは歩くスピードが遅いので適当な枝を拾い、それを前方に突き出してレーダーのように前方を探りながらクモの巣に引っかからないように歩く。また靴は小指の付け根を保護する為に右足のつま先だけトイレットペーパーを丸めて入れており、これは自転車で走るには都合がいいが、歩くにはつま先が痛くなってあまりよろしくなかった。
 歩きはじめてすぐに白雲山への登山道の分岐に到着したが、もちろん私は左手の東雲湖への道を進む。この道は然別湖の湖畔沿いの道なので木々の間から然別湖を眺めながらの歩きとなりロケーションは良い。しかし道は登山道としては標準的だが、登山の用意をしていない一般観光客にはかなり厳しいコースで、とにかく笹と藪とクモの巣に悩まされた。然別湖はカヌーが多く、湖岸に人の気配がするので何だろうと思って見ると、カヌーが湖岸に着いて何やらゆっくりくつろいでいるような光景を何度となく見た。おそらくカヌーで誰もいない湖岸に行き、のんびりしたかったのだろう。またこのあたりは登山道から湖岸に降りる事のできる場所も多く、何度か登山道を外れて湖岸に降り然別湖の写真を撮る。
撮影日時:2006/08/13 07:18:32 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
登山道の途中から見た然別湖のパノラマ写真
 登山道入口から20分ほど歩くと、しだいに笹が深くなり、どれが道かわからなくなってきた。さらに歩くと再び白雲山・天望山への登山道と東雲湖への分岐が見えてきた。もちろん私は東雲湖へと向かうが、ここから先はさらに笹が深くなり、もうどれが道かまったくわからない。しかも地面は岩でごつごつしているので、笹で地面の見えないところに足を踏み出すのも危険な状態だ。登山靴やトレッキングポールなど、もう少しちゃんとした装備で来ないといけないのだろうか。私はそう考えたのだが、せっかくここまで歩いたのだから念願だった東雲湖まで歩こうという思いが強い。しかし歩けば歩くほど段々と笹が深くなり、最初は膝のあたりまでだった笹が、とうとう腰のあたりまで延びてくるようになると私はあきらめムードになり、とうとう登山道入口から30分歩いたところで引き返す事を決心した。後で知った事だが登山道入口から東雲湖まではおよそ3kmちょっとあり、私はそのちょうど中間点まで歩いていた。
 私は東雲湖へ行くのを断念し、来たばかりの道をすごすごと引き返す。先程の白雲山・天望山への登山道の分岐まで戻って写真を撮ろうとしていた時、山の上の方から人の話し声が聞こえてきた。登山者だろうかと思ってしばらく待つと、おじさんの登山者2人が降りてくるのが見えた。挨拶して話をすると既に白雲山まで登り、これから下山するところだと言う。彼らは私にこれから登山するのかと聞いてきたので、東雲湖に行くつもりだったが笹が深くて断念して引き返すところだと言い、私も戻るつもりだったので彼らと同行させてもらう事にした。
 彼らは然別湖畔の温泉街に泊まっており、日の出と共に山に登りホテルの朝食までに下山するのだと言って登山道を早歩きで進むので、ついて行くのが大変で写真を撮る余裕すらなかった。しかし彼らと色々と旅の話をしながら歩いたので、気が紛れてそれほど辛い思いをする事なく歩く事ができた。彼らが言うには東雲湖に近づくほど笹がひどくなって登山道が見えなくなるそうで、東雲湖に行くなら笹がまだ延びていない6月頃でないと厳しいだろうという事だった。それを聞いて私は、あれ以上笹が延びるのだったら引き返して正解だったと思わずにはいられなかった。
 朝食に遅れまいと早足で歩く彼らの後について歩いたので、帰りはあっという間で7時50分には登山道入口に戻ってきた。同行した彼らはすぐに車でホテルに戻ってしまい、私は登山から自転車ツーリングへの装備に切替え、8時ちょうどに登山道入口から出発する。1時間も歩いて肝心の東雲湖を見る事はできなかったが、それほど後悔はしていなかった。この先、給水できる場所がなかったし、今日泊まる予定の士幌高原ヌプカの里も生水が飲めないような気がしたので、然別湖畔温泉街の公衆便所で昨日に続いてボトルに水を満タンに給水する。
撮影日時:2006/08/13 08:25:56 シャッター速度:1/80 絞り:F6.3 焦点距離:38mm
今日もよく晴れそうだ
撮影日時:2006/08/13 08:39:00 シャッター速度:1/80 絞り:F7.1 焦点距離:45mm
道道85号線はヤンベツ川の
渓谷沿いを走る
 然別湖畔温泉街を出発し然別湖畔沿いの道道85号線を北上する。もうこの道を走るのは昨日から数えて5回目だが何度走ってもいい道だ。国設然別湖北岸野営場前を8時20分に通過。1時間40分のロスだった。キャンプ場からしばらく走ると山田温泉だ。山田温泉を過ぎると道道85号線はヤンベツ川渓谷に沿った急な登り坂を登る。ここから先は1081mの幌鹿峠越えだ。しかし然別湖の標高が810mなので、実際には270m程度の登りだ。とりあえずここでも100mルールを適用し、まず910mまで登って8時45分から休憩する。驚いた事に今日は9時の段階でたった18kmしか走っていない。これは最低記録かもしれない。
 休憩を終え、それからも幌鹿峠の急坂を登り続けた。まだ朝早いので気温が低いのと、太陽の高度が低いので日陰が多くて走りやすい。この幌鹿峠は不思議な事にはるか上の方を走る車やバイクの音がすぐ近くに聞こえる。近くにバイクの爆音が聞こえるのですぐにやって来るだろうと思ってもなかなかやって来ないのだ。どうしてだろうと思っていたが、どうやら今の場所から1.5kmほど道なりに走ると、ちょうど今の場所から100m程崖の上を走るようになっているらしい事がわかった。
撮影日時:2006/08/13 09:27:25 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:94mm
幌鹿峠の頂上で記念撮影
撮影日時:2006/08/13 09:40:17 シャッター速度:1/80 絞り:F7.1 焦点距離:53mm
幌鹿峠から見た糠平湖
 9時15分に標高1000mまで登ったところで再び休憩。そして9時30分に1081mの幌鹿峠頂上に到着した。頂上で写真撮影して少し休憩した後、出発した。幌鹿峠からは急カーブの急な下りが延々と続く。1081mの幌鹿峠頂上から糠平の町まで500mほど下るのだ。普段だったらノンブレーキで一気に下るところだが、幌鹿峠の糠平側は急なヘアピンカーブの連続だし、私はこの峠の下りから糠平湖が見えるのではないかと期待していたので、ブレーキをかけながらゆっくりと下ってきた。今回の北海道自転車ツーリングではニセコや日勝峠、そしてこの幌鹿峠で長距離の下りをブレーキを酷使して下ってきたのでブレーキシューがずいぶん減った。特に日勝峠の下りは雨だったので減りが早かったが、ブレーキシューはどうにかまだ持ちこたえてくれそうだ。
 途中、糠平湖のよく見えるポイントがあったので自転車を止めて写真撮影し、やがて10時ちょうどに糠平の町まで下ってきた。一昨年に糠平に来た事があったので、糠平にはコンビニはないが商店があった事を覚えており、一昨年にも買い物した商店でパンとおにぎりを購入する。さらに糠平の町を下ると糠平野営場が見えてきた。私はここでボトルに水を給水しようかと思ったが、まだまだ水は残っていたのでそのまま通過する事にした。
 糠平から上士幌への国道273号線はほとんど下りばかりだと知っていたので、ほとんどペダルを廻す事なく464mの糠平トンネル、482mの不二川トンネル、255mのぬかびら湖畔トンネルを抜け、288mの龍門トンネルに入ろうとしたその時、糠平展望台まで0.5kmという標識が目に入った。展望台というくらいだから登らされるのだろうと思ってその場は通過したが、すぐに500m程度の登りは何でもないと考え糠平展望台に行ってみる事にした。実際には登りはほとんどなく、龍門トンネルができる前の旧道を展望台として解放していた。
撮影日時:2006/08/13 10:07:42 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
青空がきれいだった糠平湖
撮影日時:2006/08/13 10:19:01 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
自転車と一緒に記念撮影
 この糠平湖展望台は糠平湖が一望できるだけでなく、糠平ダムの上を走れたり、糠平大橋を一望できたりと予想外に素敵な場所だった。この展望台でジャイアントのグレートジャーニーの自転車に乗ったソロのチャリダーと出会った。真っ黒に日焼けした、一見中学生くらいに見えた小柄な彼は、もう2ヶ月ほど北海道を走っているとの事だった。常に移動するのではなく、一ヶ所にテントを張り続けたりもすると言っていたので、私のような移動型の強行軍ではなく、のんびりタイプかもしれない。事実、彼は昨夜すぐそばの糠平野営場に泊まり、10時過ぎでまだ1km程しか走っていないのだ。私も一昨年、糠平野営場に泊まった時、ネイチャーウォッチングをしようとして遊歩道がまったく整備されておらず、藪の中を進んで断念した事を話すと、今ではちゃんと整備されていて、旧国鉄のコンクリートアーチまで行けるようになっているとの事だった。
撮影日時:2006/08/13 10:21:42 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
糠平ダムから見た糠平大橋
撮影日時:2006/08/13 10:27:59 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
糠平大橋から見た糠平ダム
 彼を残して私は10時20分に糠平展望台を出発。糠平ダムの上から糠平大橋を撮影して国道273号線に戻る。しかし国道273号線に戻ったところで糠平ダムの写真を撮っていない事に気付いた。そこで私は国道273号線を糠平方向に逆走し174mの泉翠峡トンネルを越えると、先程撮影した糠平大橋から逆に糠平ダムを撮影した。
 ここからの国道273号線は一昨年走った経験からずっと下りだと思っていたが、実際には登りも少しあった。その国道273号線を走っていた時、前方から高校生らしき集団がバラバラに走って来るのが見えた。どうやら野球部らしき人達が上士幌方向から走ってきているようだ。先頭から最後尾までかなり開きがあったから、相当長い距離を走っているのだろう。そのうちの何人かは私に挨拶してきたのでこちらも返す。チャリダーも大変だが今の状況では彼らの方が大変だろう。
 一昨年は道道468号線に入って上士幌をショートカットして足寄に向かったが、今日は国道273号線をそのまま上士幌目指して走り続ける。特に道道468号線の分岐の清水沢を過ぎた頃から、ひたすらまっすぐの直線になった。10km程続く先の見えない果てしない直線。今日も南からの風で弱い逆風だったが、それ以上に下りの方が影響が大きく25km/hは楽に出る。おかげで写真を撮りながらも、この10km程を楽に走る事ができた。
撮影日時:2006/08/13 11:02:47 シャッター速度:1/160 絞り:F6.3 焦点距離:230mm
このあたりも景色はきれいだ
撮影日時:2006/08/13 11:07:05 シャッター速度:1/200 絞り:F6.3 焦点距離:320mm
ひたすらまっすぐに国道274号線を走る
 上士幌の町で楽しみにしていた事があった。それはこの時期の週末は上士幌にてバルーンフェスティバルが行われる事を知っていたので、今日は日曜日という事もあって、もしかしたら今日もやっているのではないかと楽しみにしていたが、上士幌が近付いても熱気球は見えてこない。残念な事にどうやらバルーンフェスティバルは先週だったようだ。
 11時30分に上士幌の町に入るとコンビニがあったので昼食と今夜の夕食の弁当を買いに行く。夕食はコンビニ弁当ではなく自炊でもよかったのだがガスが残り少なくなっていたので、コンビニ弁当が調達できるようなら、できる限りコンビニ弁当にしようと考えたのだ。今日を含めてあと9日あるが、ガスの残量はあと4〜5回分しかないような気がする。コンビニに入ると何とここでも凍らせたペットボトルが売っていた。地域によって違うのかもしれないが、十勝平野周辺のセブンイレブンでは凍らせたペットボトルを売っている可能性が高いような気がする。上士幌に入った頃から暑くなってきたので、凍らせたペットボトルを購入してタオルでくるんで溶けないようにして自転車のフロントバッグに入れた。
 今日はこの後ナイタイ高原牧場に行き、それから士幌高原ヌプカの里に泊まる予定でいた。しかし今日はキャンプ場を出発したのが遅かったのと、東雲湖を目指してトレッキングしていたので予想以上に時間がかかり、上士幌の町に着いたのが11時30分と遅く、これからナイタイ高原牧場に行っていたら士幌高原ヌプカの里への到着が遅くなってしまう。それに明日は池田町まで行くだけだから、距離も短いのでナイタイ高原に寄ってもそれほど問題はない。そう考えてナイタイ高原牧場は明日行く事にして、今日は士幌高原ヌプカの里まで直行する事にした。
 小さな上士幌の町を抜けた後、国道274号線を南下し12時過ぎに士幌に到着。国道274号線に沿って右に曲がったところに士幌の町はあった。士幌の町にもコンビニはあったが、既に夕食の弁当も買ってしまっていたし、もう買うものはないだろうとコンビニを通過。しかし500m程通り過ぎてから寝酒を買い忘れていた事に気付きUターンして買い直す。今日は糠平あたりまではそれほど暑くなかったが、上士幌を過ぎた頃から暑くなりはじめ、12時現在の気温は既に30℃に達していた。あまりに暑かったのでコンビニでアイスクリームを購入し店の前で食べた。
 うれしい事にこの士幌のコンビニにも凍らせたペットボトルが売られていた。ついさっき上士幌のコンビニで凍らせたペットボトルを買ったばかりだったので、もう今日は凍らせたペットボトルを購入する必要はないが、明日ナイタイ高原牧場を登る時に凍らせたペットボトルが欲しいので、明日はこのコンビニで凍らせたペットボトルを購入する事にしよう。
撮影日時:2006/08/13 12:35:34 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:170mm
士幌にはこんな看板があった
撮影日時:2006/08/13 13:24:12 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:320mm
牛が餌を食べながらこちらを見ていた
 さらに国道274号線を西に走り、音更川を渡ったところで道道661号線に入る。ここから徐々に登りが始まった事もあり、とても暑くなってきたので30分ルールを適用する事にした。30分走っては5〜10分休憩を繰り返す。今日は凍らせたペットボトルがあったので助かった。これがなかったらこの暑さで坂が登れなかったかもしれない。凍らせたペットボトルを買ったのが昼前と遅かったので溶けるのが遅く、ボトルの生ぬるい水を何杯も凍らせたペットボトルに注ぎ込んで溶かす。溶けるのが早くなるが、時間も昼過ぎで今日はもうそれほど走る予定もないので氷を長くもたせる必要性もないし、生ぬるいボトルの水を注ぎ込んだ分だけ冷たい水がたくさん飲めるようになるのでありがたい。
撮影日時:2006/08/13 12:40:41 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
遠くに東ヌプカウシヌプリの山々が見える
撮影日時:2006/08/13 13:33:13 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:320mm
道道661号線もひたすらまっすぐだ
 13時頃、いよいよ暑くなってへばって休憩していたら、前方からロードの自転車が駆け下りてきた。荷物はまったく積んでいないので軽いだろうし、まして下りだ。楽だろうと思っていたらすれ違いざまに励まされた。そうだ、こんな暑さで負けていてはいけない。こんなのいつもの事ではないか。そう考えて再び自転車を走らせはじめた。
 士幌高原ヌプカの里へあと4kmくらいになった頃から登り坂が急になる。標識には傾斜8%と書かれている。暑さと戦いながら急坂をあえぐように登っていると、いつしか雲が増えて太陽を隠しはじめた。朝のうちはあれだけ晴れていたのに今では空一杯の雲だ。直射日光に当たらなくなったおかげで暑さはそれほど感じなくなったが、せっかく高度を上げて十勝平野の展望が見えるようになってきたのに、日陰になったので今ひとつの眺望だった。
撮影日時:2006/08/13 13:54:11 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
目の前に東ヌプカウシヌプリを見ながら走る
撮影日時:2006/08/13 14:03:05 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:45mm
坂を登るとともに景色が良くなる
 曇ってくれたおかげで快適とまでは言わないまでも、どうにか14時40分に標高640mの士幌高原ヌプカの里まで登ってくる事ができた。キャンプ場の入口に大雪山国立公園の看板があったので、それをバックに自転車の写真を撮ろうとするが、自転車がうまく立たない。何とか自転車を立たせて写真を撮ろうと自転車から離れると、自転車はガシャンという嫌な音と共に倒れてしまった。かなり嫌な音がしたので何かあったと思ったが、自転車を起こすとバックミラーが根元から見事なまでに折れていた。写真を撮る時に自転車はよく倒してしまうが、いつもは正面を向いていたハンドルが横を向いた衝撃で倒れるので、自転車はフロントバッグとツーリングマップルで倒れた衝撃を吸収してきた。だから今やツーリングマップルは見る影もないほどボロボロになってしまった。ところが今回はハンドルが正面を向いたまま倒れてしまったので、ハンドルの横に張り出していたバックミラーが衝撃を吸収する事になり、根元から折れてしまったようだった。バックミラーがないと北海道自転車ツーリングが続けられないわけではないが、後方からライダーが近付いて来るのを確認したり、トンネルや下り坂で車が来ているのを確認するのに重宝していたのに、この先8日間も確認できないのは辛いものがある。しかしこんな北海道の僻地でバックミラーが売っているとも思えないし、バックミラーはあきらめるしかなさそうだ。
撮影日時:2006/08/13 14:21:28 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
士幌高原ヌプカの里からの景色
撮影日時:2006/08/13 14:37:34 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
この写真を撮っていて
バックミラーを折ってしまった
 ソロのライダーと一緒にキャンプ場に着いたが、ライダーは家族連れのファミリーキャンプばかりだと嘆いて、別のキャンプ場に行ってしまった。さすがに私はせっかくここまで登ってきたのだから、そう簡単にこのキャンプ場を断念したくなかったし、何より家族連ればかりではあるが、眺めが良くて芝生もまずまずのこのキャンプ場が、そんなに悪いとは思わなかったので、ここで泊まる事にする。
 不思議な事だが、この士幌高原ヌプカの里は、私が今朝、東雲湖へ行こうとして途中で挫折した場所から直線距離で2.5kmしか離れていないのだ。もちろんその間には山があるので直線に進む事はできないが、わずか2.5kmしか離れていない士幌高原ヌプカの里に行くのに自転車で80km近くも大回りして走らなければならないのだから、すごいとしか言いようがない。
 キャンプ場はフリーサイトの中まで車が乗り入れ可なのか、車が堂々とフリーサイトの芝生の中まで入り込んでいた。普通、車が頻繁に入り込むような場所には芝生は生えないので、きっと今日に限って誰か一人が車でフリーサイトに入り込んだら、後から来た人がみんな車で入っていいものだと思い込んでしまったような感じだ。もちろん自転車はフリーサイトに乗り込んでも問題ないので、そのままフリーサイトまで乗りつける。
 フリーサイトはテント床こそないが、傾斜地にテントが張りやすいように平坦な場所をいくつか用意してあったので、その1つを選んでテントを張った。テントを張っていると、ますます雲が低く垂れ込め、小雨が降り出した。そしてテントを張った直後の15時から本格的に雨が降りはじめた。私は張ったばかりのテントに逃げ込み雨をかわした。まさに間一髪だった。自転車で走っている時に雨に降られなくて本当によかった。
 雨は10分ほどで止んだので、テントから出て東屋に陣取り旅の日記を書く。16時からは洗濯まで始める。さすがに今日は乾かす事ができないが、明日走りながらでも乾かす事にしよう。洗濯しようとしてとんでもない事に気が付いた。3日前に日高のキャンプ場で洗濯した時の洗剤の残りをサイドバッグのポケットに入れていたのだが、2日前に中札内近くで自転車を牧草地に落とした時に洗剤がポケットの中に全部出てしまっていたのだ。おかげでサイドバッグのポケットの中が洗剤で汚れてしまい、これには困ってしまった。
 洗濯が終り再び東屋で旅の日記を書いていたが、17時30分頃に暗くなりはじめたので、テントに戻る。空を見ると真っ黒な雲が空いっぱいに広がっている。まもなく17時50分頃から大雨が降り始めた。まさにバケツをひっくり返したような大雨だ。私は雨が降る事を想定してテントを張っていなかったので、自分がまわりよりも低い土地にテントを張ったのではないかと心配になってきた。土砂降りの雨の中、テントにこもって浸水しないか確かめていたが、どうやら大丈夫のようだ。被害はベンチレーターから雨漏りしてマットを少し濡らしたくらいだった。
撮影日時:2006/08/13 18:33:19 シャッター速度:1/25 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
士幌高原ヌプカの里のキャンプ風景
撮影日時:2006/08/13 18:34:49 シャッター速度:1/50 絞り:F4.0 焦点距離:29mm
今日の夕焼けはこれだけだった
 30分ほどで雨は止んだのでテントを出てまわりを確認すると、水たまりのすぐ前にテントを張っているようで、これ以上雨が降ると水たまりが広がって浸水しそうな雰囲気だった。私は水たまりの水を排水しようとしたが、溝を掘る事はできそうになかったのでスーパーの袋で水をすくい出して捨てるのを10回ほど繰り返すと水たまりはほとんどなくなった。しかしその後、水たまりを確認すると完全に水はなくなっていたので、案外水はけはいいかもしれない。これならよほどの土砂降りでない限り浸水する事はないだろう。
 18時45分からコンビニ弁当で夕食を済ませ、19時から濡れタオルで体を拭く。この士幌高原ヌプカの里には近くに温泉がないので今日は温泉をあきらめるしかなかった。19時10分からエアーサロンパスを足に吹き付けて至福の時を過ごす。隣の家族連れのテントからは高校野球のラジオ中継が大音量で流れておりとてもうるさかった。このキャンプ場は自分のテントの隣まで芝生の中を車で乗りつける人が多いが、基本的に傾斜地のフリーサイトなので、テントまで車で行こうとして芝生が雨で滑って登れなくなった車があった。このキャンプ場は車の乗り入れがダメだと思うのだが…
 20時から旅の日記の続きを書く。明日の池田までの予定はあらかじめ出発前に立てていたが、それ以降の予定は立てていなかったので、時間も余った事だし明日以降の予定を考えてみる事にした。
日程行動予定予定走行距離
12日目池田〜白糠〜阿寒130km
13日目阿寒〜釧路〜シラルトロ湖70km
14日目シラルトロ湖〜900草原〜多和平75km
15日目多和平〜裏摩周〜開陽台90km
16日目開陽台〜羅臼〜ウトロ90km
17日目ウトロ〜網走〜女満別101km
18日目女満別〜美幌峠〜女満別70km

 だいたいこんなところだろうか。比較的のんびりと道東の展望台を中心に見て廻るコースを立てたが、時間が足りなければ多和平かウトロをパスしよう。天気予報では17日(14日目)は雨との事なので、雨では900草原に行ったり、まして多和平にテントを張っても意味はないので、多和平がパスされて14日目に一気に開陽台まで行ってしまう可能性が高そうだ。
 旅が始まって10日が経過したのでテントの中で爪を切る。やはり2週間を越える旅行では爪切りは欠かせない。旅の開始以来ずっと左手の親指の爪が巻き爪で皮膚を傷付けて膿んでいたが、今日になってようやく直る兆しが見えてきた。右足小指の調子も3日目には壊死しかかったように変色していたが、長万部で靴にトイレットペーパーを詰めて以来、完全に完治したし、今では体の調子は万全だ。
 今の心配事といえば、前回の北海道自転車ツーリングからタイヤを交換せずに同じタイヤで来たので、タイヤが磨り減ってそろそろ危ない事。タイヤ交換せずにもう7000km近くも走っており、果たして今回の旅の最後まで持ちこたえてくれるかどうか心配だ。さらにガスが少ない事。昨年まではそれほど減りが早いとは思わなかったが、今回はやたらと減りが早いように感じる。まあガスは自炊せずにコンビニ弁当に切換えて節約すれば何とかなるが、タイヤはバーストしたら終わりだ。
 そんな事を考えているうちに夜も更けてきたので21時に就寝する。今日も昼間は暑かったが凍らせたペットボトルのおかげで水は2リットルしか飲まなかった。この士幌高原ヌプカの里も標高640mと高く今夜も冷え込みそうなのでジャージの上を着込んで寝る。

走行データ
走行距離   83.4km
走行時間   5時間10分
ペダリング数   13000回
平均時速   16.1km/h
最大速度   45.3km/h
平均ペダリング数   42rpm
総走行距離   1072.7km
天候   晴れ後曇り
最高気温/最低気温   32℃/19℃

食事
朝食   ラーメン(自炊)
昼食   おにぎり
夕食   弁当(コンビニ)

出費
朝(コンビニ)   おにぎり、パン   274円
昼(コンビニ)   弁当、おにぎり×2、ジュース、飲むヨーグルト   898円
昼(コンビニ)   寝酒、アイスクリーム   304円
合計   1476円

キャンプ場
名称   士幌高原ヌプカの里
場所   士幌高原をめざせばすぐ
  北緯43度14分33秒、東経143度07分23秒
費用   無料
設備   トイレ、炊事場
風呂   なし
ゴミ   持ち帰り
行きやすさ   標識があるのでわかりやすい
乗り入れ   テントまでバイク・車の乗り入れ可
特徴   士幌高原にあるキャンプ場
  傾斜のある芝生だがむりやり車でも進入可能
  ゆえにオートキャンプもどきの家族連れが多い
  十勝平野が見下ろせて見晴らしは良い
  コンビニや温泉は20km以上離れていて不便
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