昨夜は22時過ぎに寝たが、あっと言う間に眠りに陥り一度も目覚めることなく朝目覚めたら4時前だった。まだ少し早かったので二度寝しようとするがキツツキのドラミングがうるさくて寝られそうになかったので4時過ぎから起き出して昨日の旅の日記の続きを書いた。 テントから出ると外は空一面の曇り空で雨は降っていなかったが露付きでテントは完全に濡れていた。外の気温は15℃しかなくかなり肌寒い。昨夜はジャージーを着込んでシュラフに潜り込んで寝たのは正解だった。さすがにこの気温でサイクリングジャージーだけでは寒いので、しばらくは寝間着代わりのジャージで過ごす。
タイヤの空気を入れるついでにチェーンにも油を差しておく。輪行する際チェーンの油で汚れると嫌なので輪行前にチェーンをしっかりと磨いて油を拭き取っていたのだ。昨日はそのまま走っていたが、やはりチェーンが油切れしているような音がしていたので油を差しておく。私が使用するチェーンオイルはフィニッシュラインのクロスカントリーだ。このチェーンオイルは非常に粘性が高くて耐久性があり雨の中を走っても全然問題ないので長期の自転車ツーリング向きだが、その分チェーンが汚れやすいのが問題だ。 着替えたり色々と支度をしていたら準備は遅々として進まなかった。北海道自転車ツーリングの最初の朝はいつもこんなものだろう。ラジオの天気予報を聞くと台風11号は9日5時現在で種子島の東方140kmの海上を時速15kmというゆっくりしたスピードで北北東に進んでいるとのことだ。九州・四国をはじめとする西日本は台風11号が接近するせいで大雨と強風らしいが、ここ北海道は晴れるそうだ。しかしそれも今日だけで明日以降は雨になり11日にはその台風11号が北海道にも来るとの予報だ。
テントを乾かすのは断念してテントを濡れたまま撤収する。今日は晴れとのことだったのでアームカバーの下の腕にもしっかりと日焼け止めを塗り洗面を済ませて、今日走るコースをツーリングマップルを見ながら頭にたたき込む。今日は1本道ではなくかなり曲がることになるのでちゃんと把握しておかないと道を間違えて時間をロスしてしまう。そして6時5分にキャンプ場を出発する。 キャンプ場を出発すると昨日走った道を再び戻る。まずは30mほど下ると再び30mの丘を登り、そして道道86号線の分岐まで50mほど下る。昨日立ち寄ったパーキングが見えてきたが今はキャンプ場を出発したばかりなので素通りする。しかしその先に三階滝公園という雰囲気のいい公園があったので立ち寄ってみた。公園はなかなかよく思わずテントを張りたくなるような公園だった。
ここからの道道86号線は初めて走る道となり、さらに標高で50mほど下って国道453号線に合流する。ここまではほとんど下りだけだったので楽だった。ここが標高386mと一番低く、ここから国道276号線まで緩やかな登りが続く。 道道86号線は交通量は皆無に等しかったが国道453号線はそれなりに交通量があった。しかも大きな石を満載したダンプカーが多い。いったい石を積んでどこからどこへ行くのだろう? こんな朝早くからご苦労なことだと思ってしまう。
しかし広島峠はこれを登っただけでは済まない。標高562mの峠を過ぎると今度は125m下り道道695号線の分岐から再び40m登らなければならないのだ。しかし道道695号線であれば峠を越えずとも下りだけで喜茂別までたどり着けることを知っていたので迷わず国道276号線を外れて道道695号線に入る。 オロウェンシリベツ川に沿って道道695号線を10kmちょっと下る。この道道695号線はとても走りやすい道で、前半の5kmほどは所々ブレーキをかける必要があったがほとんどは緩やかな勾配2%程度の下り、後半の5kmほどは勾配1%程度の下りが延々と続き、おまけに朝一番で交通量が皆無に等しく広島峠を越えてきたご褒美のような楽な走りができた。 この道道695号線を下っていると前方に尻別岳とその奥に羊蹄山が見えてきた。嬉しいことに羊蹄山は頂上までよく見えている。羊蹄山が見えなければ留寿都経由、見えれば京極近くから道道97号線に入ろうと思っていた。なぜなら京極に行く途中の国道276号線には羊蹄山ビュースポットというパーキングがありここから羊蹄山がよく見えるのだ。私は迷わず京極目指して走ることにした。
コンビニで飲むヨーグルトを買い、昨日買ったおにぎりと共に店の前で食べる。この時買った飲むヨーグルトはイチゴの果肉がたくさん入っていてストローが異常に太かったがとてもおいしかった。店の前で食べているとおじさんに話しかけられた。「どこまで行くの」というありきたりな質問に寿都と言うと「日本海側まで行くんだ、遠いねぇ」と言われた。おにぎりを食べて8時10分に出発する。 国道276号線は喜茂別の町をかすめるように走っており国道230号線と分岐して相川橋を渡るとすぐに急坂が始まる。この国道276号線の喜茂別から京極までの間には30mクラスの丘が2つあり、その1つ目の登りだ。ここに来たとき2007年に雨に苦しめられながらこの坂を登った記憶がまざまざとよみがえった。
国道276号線は途中から左折して京極コースから外れ道道97号線に向かって走る。この道道97号線に向かって走る道からも羊蹄山がよく見えたので写真を撮っておく。しかしついさっきまでは頂上には雲1つなかったのに今では頂上に雲がかかりつつあった。山の天気は変わりやすいことを実感する。 国道276号線を外れてからは羊蹄山に向かって緩やかな登りが道道97号線に入っても続くが、3.5kmほどの距離で標高90mほど登るので勾配は3%程度とそれほどでもない。この道は道道97号線に行くまでにどこかで曲がらなければならないと思っていたが、曲がることなく道道97号線に合流した。
真狩から先の道道66号線はしばらく羊蹄山の麓の平坦な直線が続く。このあたりは羊蹄山の眺めがよいことを2009年に走ったときの経験から知っていたが、真狩に着いた頃から羊蹄山の頂上が完全に雲で隠れてしまった。それでも道端に自転車を止めて写真を撮った。 美しい羊蹄山の見える道道66号線の開けた区間は終わりを迎え森林地帯に入ると羊蹄山青少年の森パーキングエリアに到着した。しかしこのすぐ先に羊蹄山の湧き水があるのを知っていたのでここはパスして羊蹄山の湧き水に行く。
羊蹄山に降った雨や雪は隙間の多い溶岩や火山灰の中に浸み込み地下水となる。火山の中を透過するように浸み込んだ水は水通しの悪い粘土質の地層で浸透がさえぎられ、標高250m前後にある溶岩と粘土層の境目付近で地表に流れ出て、地中を流れ落ちる際にきれいにろ過された地下水は、カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が程良く溶け込みおいしく感じる。一年を通して水温も6.8℃とほぼ一定しておりこの季節はとても冷たく感じる。 羊蹄山の湧き水からは緩やかな登りが続き標高で30mほど登ると今度は下りが続くようになる。かなり下ったのでどれだけ下るのだろうと思っていたら道の駅ニセコビュープラザまで標高で120mほど下った。下りだけでニセコまでたどり着けるので楽なものだ。時折後方に見える羊蹄山をバックミラーでチェックしながら走ったが、あいにく羊蹄山は頂上が雲で隠れており写真を撮りたいとは思わなかった。 道道66号線を下り続けてようやく国道5号線に到着。交差点に道の駅ニセコビュープラザがあったがあまりに多くの車が止まっていたので嫌気が差し休憩することなく素通りする。これだけ込んでいると休憩するためのベンチも空いていないし、ジロジロと見られるだけだ。 ここからは蘭越目指して国道5号線を走る。ここから蘭越までの18kmは基本的に下り基調ではあるのだが、かなりアップダウンがある。道の駅を出発するとまず30m下って50m登り、55m下って45m登り、35m下って25m登り、105m下って40m登り、45m下って20m登り、30m下って10m登り、最後に20m下って蘭越に到着するという、わずか18kmの間に6個も丘があるのだ。さすがにこれだけ丘が続くと嫌になってくる。
下を向いて洗濯物を交換する作業をしていたら突然チャリダーがやって来て話しかけられた。4サイドにサイドバッグを付けた彼の自転車はとても重そうだった。彼は昨日大阪から札幌まで列車で来て今日は森まで行くと言う。森の場所は知っていたが、ここからかなり離れているのでどうやって行くのだろうと考え込むほどだった。彼が言うにはここから森まで120kmほどあるらしい。もう10時だしこの重い自転車でこれから120kmも走れるとは思えなかったが、彼は明日には函館に行かなければならないとのことで、今日の晴れているうちにできるだけ距離を伸ばしておきたいとのことだった。 彼は私の自転車がデュラエースのディープリムのホイールを履いている見て「ツーリング用の自転車でカーボンのエアロホイールを履いているのを初めて見た」と言っていた。そりゃそうだろう、こんな馬鹿げたことをするのは私くらいのものだ。彼の自転車はフロントサスペンションの付いたマウンテンバイクで私のタイヤよりも2倍以上太いタイヤを履いていた。少なくともホイールやタイヤだけでも大違いだ。 彼はまだ先が長いので先に出発し、私も彼の後を追うように出発した。200m先に彼の姿が見えていたので追いつけるかなと思っていたが彼のスピードは尋常ではなく丘を1つ越えただけで彼の姿は見えなくなってしまった。このスピードなら今日のうちに120km走るのは不可能ではないと思ってしまった。しかしチャリダーと話ができたことで私の心は晴れ渡り、このニセコから蘭越までは国道5号線の交通量が多くて丘の続く走りにくい道のはずだったが、そんなことはすっかりと忘れてしまうほど気分良く走った。 10時45分にようやく蘭越の町に到着。この町でセイコーマートに立ち寄る。バナナと牛乳を買い店の前で食べたがバナナは中が完全に腐っていた。店に文句言ってやろうかと思ったが先を急ぐのでそのまま食べて11時ちょうどに出発する。それ以降バナナを買う時は緑色のバナナを買うようになったため堅いバナナしか口にできなくなってしまった。 蘭越のコンビニはセイコーマートの他にセブンイレブンとローソンがある。私はバナナを食べたかったのでセイコーマートに入ったが、これだけ気温が上がるのなら凍らせたペットボトルを買おうかと思ったが、この時にはまだ凍らせたペットボトルの必要性をあまり感じなかったので買わずに素通りする。
この交差点を右にそれて道道267号線に入る。この道道267号線は過去に2009年と2013年に走った覚えがある。2009年は今日と同じ北向き、2013年は反対の南向きに走った。この道は尻別川に沿った平坦な田園の中を走る道で雰囲気があって良い。しかし今日は北からの風速3〜4m/s程度の風が吹いていたので向かい風となり走るのは楽ではなかった。 私はこの道道267号線沿いで行きたい場所があった。それはフイッシュ・アンド・名駒だ。これは蘭越町における学術文化の向上と観光の振興を図ると共に、都市と農村の交流及び地域住民の交流を図るため簡易保険積立金融資施設として1994年に建設された渓流釣りのメッカ尻別川のほとりにある学習体験施設だ。一度行きたいと思っており、ちょうど今回近くを通りかかることから訪れることにした。
再び道道267号線を北上するがこのあたりからは風速5〜6m/sの向かい風となり自転車のスピードがますます遅くなってきた。日本海に近づくに従いますます風が強くなってくるのだ。私はこれが台風11号の影響ではないかと思い始めた。台風が来るのは2日後なのに今からこれだけ風が吹くようでは、一体台風が来た時にはどれだけの風が吹くのか? この風では今日のテントを設営するのでさえ苦労しそうなのに、明日の宿泊はどうするのか? 本当に台風の中、テントで過ごすことができるのか? おそらく当日は古平か余市にいると思われたが、宿に逃げようにも夕方に着いてから宿を探すことができるのか? そんな悲観的なことばかり考えるようになり天気も良くて景色もいいのにちっとも走りを楽しむ事はできなかった。
能津登トンネルを抜けると視界が開け右手に日本海を見て走るようになった。この日本海沿いの国道229号線は過去に2005年と2013年の2回走ったが、いずれも逆方向に走っている。そもそも北海道一周だと時計回りに走った方が海沿いを走る事ができるのでどうしても時計回りを走る事が多いが、逆に反時計回りに走ると新鮮味があっていい。しかも今日は北からの風なので追い風となって走りやすかった。
国道229号線に入ってから14km走ると国道は日本海から外れるようになる。今日はキャンプ場への最後のコンビニは蘭越のコンビニだと思っていたが、キャンプ場から2kmほど場所にコンビニがあった。よく見るとツーリングマップルにもコンビニのマークがあったので私が見落としていただけだろう。しかし既に必要なものは蘭越のコンビニですべて購入していたので素通りする。明日キャンプ場を出発したら立ち寄ることにしよう。 国道229号線沿いにある潮路小学校の向かいの脇道を日本海側に外れて道なりに2km程走れば浜中海岸野営場だ。しかしあいにくこの道は工事で通行止めとなっており野営場まで3kmちょっと大回りすることとなった。ぐるっと大回りして13時40分に浜中海岸野営場に到着した。 この浜中海岸野営場は海岸沿いのキャンプ場ではあるのだが、一般的な海岸のキャンプ場とは違い細長い駐車場が海岸沿いに伸び、その駐車場の横が砂浜になっているのでオートキャンプが可能だ。かなり長さのあるキャンプ場なのでテントを張る場所に困ることはないが、炊事場とトイレが真ん中の一ヶ所しかないのでキャンプ場の端にテントを張るとトイレまで500mほど歩かなければならないことになりかねない。 浜中海岸野営場には家族連ればかり10組ほどテントを張っていた。キャンプ場はかなり広く、かつ家族連れはいずれもトイレや炊事場に近いところにテントを張っているのでテントは中心部に固まっていて端の方はガラガラだ。端の方にテントを張るとトイレに行くのが大変になるが、自転車に乗って行けばいいと考えうるさい家族連れからは距離を開けてテントを張ることにした。 今日は北風つまり海からの風が強く、すぐ近くの風力発電機がうなりを上げて回っている。本当なら入り口を海の方に向けて眺めを楽しみたいところだが、入り口を風下側にするためにあえて海とは反対側を入口とする。しかしこのキャンプ場は設営が難しい。砂浜の部分と砂利の部分が明確に分かれており、砂浜の部分ではペグがすぐに抜けるし砂利の部分ではペグが刺さらないのだ。それでもどうにかテントを設営し米を水に浸して夕食の準備をする。
国道229号線を横断し、さらに南下して道道9号線に合流。キャンプ場から8km程走ったところで右に曲がって脇道に入り、さらに1.5km走って道道523号線に出た。このあたり今日は北風なので南下するのは楽だが道道523号線を北上するようになると一気に辛さが倍増した。 道道523号線に入ってからはしばらく緩やかな登りが続いたが、やがて峠が始まる。この月越峠は平均勾配6%の急坂が6kmほど続く。重量物をテントに下ろしてきたとはいえそれでも自転車は重く、ちょうど中間の3km走った途中の道端で一度休憩する。今日は暑くて日差しもきついので水をすごい勢いで消費する。気をつけていないと1回の休憩で水を500ccくらい飲んでしまいそうだ。羊蹄山の湧き水を満タンに詰めたボトルを持ってきていたが、あっという間に飲み干してしまいそうだ。 これだけ大量の水を飲むと体の塩分濃度のバランスが崩れてしまいそうだ。水ではなく生理食塩水にするかポカリスエットの粉末を溶かすかしないと熱中症で体調が悪くなってしまう。こんな事なら蘭越のコンビニで凍らせたペットボトルでも買っておくんだったと後悔する。凍らせたペットボトルがあれば少量の水分でも体を冷やすことができるので水を飲む量を減らすことができる。 この月越峠を越えるために重量物をテントに下ろしてきたので自転車は軽いはずだ。しかし軽い自転車なら峠を登るのも楽かと思ったが荷物が軽くてもスピードが上がるだけで楽になるわけではない事がわかった。正確には緩やかな登り坂の場合、軽い自転車だとスピードを落とさずに登ることができるのに対し、重い自転車の場合は緩やかな登りでも一気にスピードが落ちてしまうため軽い方が楽だ。しかし6%にも達するような勾配の坂の場合、軽い自転車でもスピードは落ちてしまう。その落ちたスピードが軽い自転車の場合、自転車が軽くなった分だけ早くなると言うだけで決して楽になるわけではない。 この道道523号線は交通量が少ない。そのため自転車で走っていると野生動物を数多く見かけた。キタキツネを3匹と、よくわからないイタチ科の動物を見かけた。体はかなり赤みの強い茶色で鼻の部分が真っ黒のイタチのような動物だったが、家に帰って図鑑を調べてみてもそれが何かはよくわからなかった。この道路は交通量が少ないのでこうした動物が闊歩しているのだろう。自転車は無音で近づくので彼らは私に気付かないことが多く、すぐそばまで近づいてようやく気付くと慌てて逃げていくパターンを繰り返すからおもしろい。
そして16時10分に標高408mの月越峠に到着した。正確には頂上はスノーシェルターの中にある。月越峠の頂上には島牧ウインドファームの風力発電機が6基回ってっており、その下でしばらく休憩した。この月越峠を登るのに汗だくになったが、頂上は風が強くて汗はあっという間に乾いていった。 月越峠を出発し道道523号線の島牧側に下る。この島牧側の下りは所々日本海が見え、もう日も傾いていたことから日本海が太陽の光をキラキラと映し出し美しく、途中で何度か自転車を止めて写真を撮った。そして平均勾配6%弱の急坂を7kmほど下り続けると国道229号線の本目海岸に出た。
どうにか丘を越えて坂を下り17時20分に弁慶岬に到着。弁慶像の前には女性二人が陣取ってあーでもないこうでもないと延々とスマホで撮影を続けていて、私が待っているのにまったく譲る気配はなかったので、私は無理矢理弁慶像の前に自転車を持ち込んで撮影した。私の場合、時間がないので撮影したら再生画面も見ずにすぐに立ち退くのだが、こうした人達は撮影しても立ち退くことなくその場で再生画面を確認し、気に入らなければ後ろにどれだけ人が待っていようとも何度もそれを繰り返す事が多い。私の場合はそう人達に遭遇すると、この人達のペースに付き合っていられないので撮影した瞬間に無理矢理割り込んで撮影するようにしている。
弁慶岬からもアップダウンは続き、寿都の町までに10〜20mの丘が3つほど、そして寿都の町を過ぎても10〜15mの丘が3つほど続いた。寿都の町でコンビニに入り飲むヨーグルトを買おうとしたがあいにく売り切れていたのでメロンゼリーを購入し店の前で飲んだ。おいしかったが個人的には飲むヨーグルトの方が好きだ。さらに夕食用にヨーグルトとカップ野菜を購入しておく。
テントに戻ると太陽はもう沈みそうだった。今日は西の空に雲がないことから美しい夕陽が見られそうだ。自転車を海岸線沿いに持ち出して夕陽の写真を撮りつつ食事の準備を進める。久しぶりに見ることができた夕陽に私は色々と自転車の写真を撮り続けた。今日の夕食はポークカレーと小松菜の味噌汁とカップ野菜だ。ご飯が炊ける前に夕陽は歌島高原の山並みに沈んでしまった。
キャンプ場を出発した時にはまだライトなしでもギリギリ走る事ができたが、やがて真っ暗となってライトなしでは走れなくなった。湯の浜大橋の上から夕焼けを映す朱太川が美しく見えたので写真を撮る。こうした写真は数多く取りたいものだ。
温泉から上がると休憩室でガラナを飲みながら旅の日記を書く。この寿都温泉ゆべつのゆは夜21時30分まで営業しているので遅くまで旅の日記を書く事ができる。閉店ギリギリまで粘って旅の日記を書いていたが今日は自転車で走りながらここまでほとんど旅の日記を書いてこなかったので遅くまで粘っても全然書き終えることはできなかった。
21時20分に温泉を出発し夜の道を走った。キャンプ場までの道は昼間と夕方に計2回走っているので道はよく知っているはずだが街灯も人家もまったくない真っ暗な道をライトの明かりだけを頼りに走るのは気持ち悪いものだ。 21時30分にキャンプ場に到着。このキャンプ場は炊事場を兼ねたトイレが1ヶ所しかなく私がテントを張った場所はかなり離れていたので自転車で炊事場まで乗り付けて水を補給しておく。炊事場に一番近い場所にテントを張ったキャンパーの集団がトイレから延長ケーブルを延ばして盗電していたのには閉口した。 テントに戻ると先にキャンプ場の夜景を撮影する。今日も満月であたりは明るくて空は晴れているが星はまったく見えなかった。三脚を使って夜景を撮影するが昨日に続いて昼間のような写真となってしまった。帰宅後に写真を見ると北斗七星が見事に映っていたが、残念な事にホームページに載せるレベルまで写真を縮小すると見えなくなった。
しばらく足のメンテナンスをした後、旅の日記の続きを書く。温泉の休憩室で飲んでいたガラナエールを半分ほど持ち帰っていたので、ウイスキーをガラナエールで割って飲む。これは毎年やっていることだがとてもおいしい。北海道に来たら必ずウィスキーのガラナ割りを作ってしまう。 今日は旅の日記を朝キャンプ場と夜に温泉の休憩室で書いただけなので、テントで続きを書いてもとても今日の分を書き終えることはできそうになかった。とても今日のうちに書き切ることはできそうになかったので、旅の日記を書くのを早めにあきらめて明日に向けての作業を始めた。 昨日に自転車をX線検査機に通した時に親指の爪の一部を剥がしてしまったが、その傷がまったく治っていない。触れる度に痛みが走る状態だ。そこでこれまでずっと放置していたが剥がれた部分に絆創膏を貼ってみた。これは以外にも具合が良くこんなことなら昨日から貼っておけば痛い目に遭わなくて済んだのにと思ってしまった。傷口を乾かしてしまうと治りが遅くなるので絆創膏で湿潤療法を試みる。 天気予報を確認すると明日の天気は曇り後雨で11日は一日雨の予報。やはり当初の予定通り台風は11日に北海道を通過するのだろうか。台風の状況がよくわからない。北海道に来るのはいつになるのか、どの程度の規模なのか、熱帯低気圧に変わるのか? こうした情報はラジオや携帯の天気予報ではなかなか把握できずやきもきさせられた。 ラジオのニュースでは台風11号は高知県足摺岬の南およそ40キロを時速15kmで北北東へ進んでいるそうだ。中心の気圧は965ヘクトパスカル、最大瞬間風速は50メートルとの事だ。しかしこれだけでは北海道のどのあたりをいつ頃通過するのかわからない。おそらく11日の午前中に通過すると思われたが、その間どうしようか? 私はいくつか行動をシミュレーションしてみた。 明日行ける範囲としては泊村の盃野営場か余市のモイレ浜中海水浴場あたりになるだろう。盃野営場であればここから60kmしか離れていないので午前中にも到着するだろう。盃野営場は周りを山に囲まれているので台風でも風の影響は受けにくいだろうし、まして隣に温泉街があるのでいざとなれば宿に泊まることができるだろう。台風をやり過ごすにはベストな選択に思えたが11日が問題だ。11日の午前中は台風通過で動けないとして、午後に動けたとしても余市までが限度でその先にはキャンプ場はない。もしかしたらトーマル峠も台風で通行止めかもしれない。つまり盃野営場に泊まると台風の影響は受けにくいがその後のスケジュールが難しくなる。 明日の午後からの雨を押してモイレ浜中海水浴場まで行くと、台風を風の吹き抜ける海岸の砂浜で過ごすことになる。もちろん余市くらいの町であれば民宿やビジネスホテルくらいはあるだろうけど、この台風の日に営業しているか微妙だし空きがあるかどうかも疑問だ。念のためにツーリングマップルで余市のライダーハウスを調べたがあいにく余市にはライダーハウスはなかった。しかし10日のうちに余市まで行っておけば11日の朝に暴風雨で動けなかったとしても10時くらいまでに出発すれば江別か南幌あたりのキャンプ場にたどり着くことができる。 どちらが正しい選択か、この時点では情報が少なすぎてわからなかった。しかし考えれば考えるほど心配になってくる。あまり考え込むのも嫌だったのでどうせなるようになるさと考え行き当たりばったりで行動することにした。 今日はかなり暑くて水をがぶがぶ飲んでしまい、計算したら今日一日で4リットルほど飲んだ。これだけ暑いとただの水なら気をつけていないといくらでも飲めてしまう。しかしあまり水ばかり飲むと体の塩分濃度が薄くなって熱中症で気分が悪くなってしまう。これを防止するには水ではなくスポーツドリンクを飲めばいいのだが、凍らせたペットボトルでも水を飲む量を減らして内側から体温を下げることができるので効果的だ。 色々とテントの中で考えていたが、そろそろウイスキーも回ってきて眠くなってきたので22時30分に寝ることにした。24時間後にはどうなっていることだろう?
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