昨夜は23時に寝たはずだった。周りの話し声やいびきの音がうるさかったので音楽を聴きながら寝たがなかなか寝ることができない。本格的に寝たのは2時30分頃から1時間30分だけだった。4時には起きてゴソゴソと作業する人がいたのでつられて起きてしまい、その後カラスがうるさくて寝ることはできず、結局4時40分には起き出す事にした。
テントから出ると外は一面の曇り空だった。朝から気温は20℃もありシュラフに入らずに正解だったようだ。テントの中で着替えを済ませると外でラーメンを自炊する。ところが自炊を始めると小雨が降り始めた。まだ傘を差すほどではなかったが今日は藻琴峠を越えるだけにテントは濡らしたくない。
テントから見た屈斜路湖
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屈斜路湖湖畔での朝食
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この和琴半島湖畔キャンプ場は最前列に陣取るとテントの横まで自転車を乗り付けることができない。だから撤収に手間がかかるかと思ったが、効率よく作業を進めたおかげで6時前には撤収作業が完了してしまった。ただしひげ剃りや日焼け止め塗り、毎朝の日課となったタイヤの空気入れなどはフリーサイト横の駐車場では邪魔なのでキャンプ場受付の土産物屋の前に移動して作業を行った。
ここに移動する途中、自転車を押しているとなぜかチェーンが外れた。よく見るとトークリップのストラップがフロントのチェーンリングに絡まっていた。通常ではありえないことだが私は足の痛みの問題からずっとトークリップのない面でペダルを踏んでいたのでストラップが地面とすれて摩耗し金具が脱落してストラップだけが伸びている状態になっており、これがチェーンリングに絡まっていた。もうストラップは使い物にならなくなっていたので外してゴミ箱に捨てていく。出発前の作業を色々していたらキャンプ場からの出発は6時10分となっていた。
ラ王を食べる
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和琴半島
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朝から小雨が降っていたがレインスーツを着るほどでもなく、国道243号線まで出ると雨は止んでしまった。そのまま国道243号線を走り昨日と同じく川湯温泉目指して道道52号線のクッシー街道に入る。今日はまだ6時30分と朝早いしコタン温泉には誰もいないだろうと行ってみることにした。私が到着すると家族連れが温泉から上がったばかりで温泉には誰もいなかった。おかげで入り口まで自転車を乗り付けて写真を撮った。ここは無料の混浴露天風呂で湯船の岩1つ隔てた先に屈斜路湖が広がり抜群の眺望の露天風呂だ。本当ならここで一風呂浴びたいところだが、まだまだ先が長いので温泉には入らずに先に進むことにする。
誰もいなかったコタン温泉
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岩を挟んだすぐ隣が屈斜路湖だ
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次は池の湯だ。ここは道道52号線からまつや旅館と書かれた小さな標識のある脇道を湖畔側に入り、まつや旅館を過ぎて少しダートを入ったところにある。ダートを走るのが嫌だったのでどうしようかと悩んだがとりあえず行ってみることにした。森の中のダートを少し走ると6時50分に池の湯に到着。ここも誰もいなくて大きな丸い温泉だけがたたずんでいた。ここは屈斜路湖からは10mほど離れているが、かなり大きな混浴露天風呂だ。ここでも入ろうかどうしようか悩んだが、やはりあまり時間がないので先に進むことにする。
クッシー街道
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池の湯
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次はイソの湯だが、ここに立ち寄ろうとすると人の気配がしたのでここに行くのは止めておく。さらに道道52号線を進むと今度は砂湯だ。さすがにここはキャンプ場になっているだけあって無人ではなかったが、朝早くて人は少なかったので写真だけ撮影して先に進む。これで朝から温泉を3つ制覇した。1つも浸かってないけど…
砂湯
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森の中を走る
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川湯温泉に到着したが私には立ち寄りたい場所があった。それはつつじヶ原自然探勝路だ。つつじヶ原自然探勝路は川湯温泉から硫黄山まで続く全長2.5kmの遊歩道で、川湯温泉側は白ミズナラの森の中を歩く道、硫黄山側はイソツツジやハイマツなど背の低い植物が広がる荒涼とした道となる。私は硫黄山側は何度か歩いたことがあったが川湯温泉側の遊歩道は歩いたことがなかったのでこの機会に少し歩いてみることにした。川湯温泉駐車場横の入口に自転車を止めて白ミズナラの森の中を数百m歩いてみたが、それは気持ちのいい道だった。このつつじヶ原自然探勝路はぜひとも歩くことをお勧めする道だ。
つつじヶ原自然探勝路の入り口
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硫黄山が見えてきた
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私はここまで来たのだし硫黄山にも行くことにした。自転車を走らせると少し太陽が出てきたので道からも撮影しておく。そして7時45分に硫黄山に到着した。この硫黄山の駐車場は車はもちろんの事バイクも有料だが自転車は無料なのでそのまま入っていく。まだ時間も早くて誰もいなかったので自転車置き場ではなくて駐車場の硫黄山に一番近い場所まで自転車を乗り付けて硫黄山と一緒に写真を撮り、そのまま硫黄山の噴出口まで歩いていく。噴出口近くに行くととても硫黄臭かった。
噴煙たなびく硫黄山
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硫黄が噴出していた
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硫黄山を出発し再び川湯温泉に戻って8時にコンビニに入る。2回目の朝食としてバナナとカツゲンを購入、そして昨日食べ残していたヨーグルトを店の前で食べる。今日の網走の最高気温は30℃と言っていたので本当なら凍らせたペットボトルがほしいところだが、あいにくセイコーマートには売っていない。セイコーマートで凍らせたペットボトルを取り扱ってもらえるようになったら、私はもうセブンイレブンやローソンには行かなくなることだろう。
コンビニを8時15分に出発。ここからは国道391号線に入る。この国道391号線は2006年の北海道自転車ツーリングで走ったことがあったが、少し走っただけで本日のメインイベント、藻琴峠を越えるべく8時30分より道道102号線に入る。
バナナとヨーグルトを食べる
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網走まであと53km
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道道102号線は序盤こそ傾斜は緩やかだったが、やがて一般的な峠の指標である勾配6%に達し、とうとうそれをも越えるような傾斜になり始めた。この道道102号線は隣を走る国道391号線に比べて交通量が圧倒的に少なく走りやすい。しかも眺めのまったく期待できない国道391号線に対してこちらは屈斜路湖を見ながら走る。おそらく峠を登りながら屈斜路湖が見えるという意味では野上峠、藻琴峠、美幌峠、津別峠の中で藻琴峠が一番見えやすいと思う。
藻琴峠の急坂を登る
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屈斜路湖が見えてきた
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川湯の標高が130m程度で藻琴峠の頂上が648m、その間の標高500m程度に藻琴山展望台パーキングがあるので、今日は標高320m付近と藻琴山展望台パーキングで休憩することにしよう。そう考えながら登り続けて9時10分に標高320m地点に到着。パンを食べながら5分だけ休憩する。今日の気温は現在のところ20℃くらいしかなくそれほど暑くはないのだがこれだけ急な傾斜を登り続けると体中の汗腺から汗が吹き出て髪の毛からボトボトになってしまった。
さらに急坂を自転車で登り続ける。気温はどんどんと低下するがそれでも汗は出続けた。そしてようやく標高500m地点の藻琴山展望駐車公園に9時40分に到着した。ここでも体中ボトボトになるほど濡れていたが、気温が低くて風が強いので汗はすぐに乾いて逆に肌寒さを感じた。ここからは屈斜路湖が見えるはずだったが残念なことに川湯方面が見えるだけで和琴半島や屈斜路湖の真ん中に浮かぶ中島はガスで見えなかった。このパーキングには東屋があったので旅の日記を書きながら燃料補給におにぎりを食べ10時ちょうどに出発した。
藻琴山展望駐車公園から見た屈斜路湖
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藻琴山展望駐車公園
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この藻琴山展望台パーキングを越えるとガスが一気に増えて視界が100m程度まで落ちた。こうなったらもう屈斜路湖どころではなく、後続車にぶつけられないようにするしかないが、リアのフラッシングライトはヘッドライトの電池がなくなったことよりフラッシングライトから電池を抜いて使っていたので点滅させることができなかった。
ガスで視界の悪い中を登り続け、吹雪よけのシェルターを通り抜けると10時30分にようやく標高648mの藻琴峠の頂上に到着した。しかしこの峠には頂上を示す標識も何もなくガスがかかっていて何も見えないことから何だか寂しかった。
私は晴れていれば藻琴峠だけでなくハイランド小清水725に行こうと考えていた。しかし今日のようなガスではどうせ苦労して登っても何も見えないだろうから通過するつもりでいた。しかし藻琴峠の頂上に何もないのであれば頂上まで登ったあかしとしてハイランド小清水725まで行くしかないだろう。標高差で77mの登りが追加になったが15分もあれば登れるはずだ。
霧が出てきた
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ハイランド小清水725
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しかしこのハイランド小清水725への登りもかなりの急坂で苦しめられた。勾配にすると場所によっては10%はあっただろう。しかもますますガスが深くなりもう50m先も見えなくなってきた。後続車に気付いてもらえるかそれだけが心配だ。ハイランド小清水725への坂を登っている時にも何台かの車に追い抜かれたが、きっと彼らは突然霧の中から現れた自転車にびっくりしたことだろう。そして10時40分にようやくハイランド小清水725に到着した。
駐車場に到着すると驚いた。ガスで何も見えないのだ。道が突然開けたので駐車場に着いたという事はわかったが視界が20mくらいしかなく建物がどこにあるのかまったく見えない。とりあえず手探りで進むように駐車場の端に沿って自転車を走らせるとようやく建物が見えてきた。これでは屈斜路湖など見えるはずもない。建物には売店の他、軽食も提供していたが食べたいものがなかったのでそのまま退散する。
このハイランド小清水725の頂上には長命水という湧水が湧いていた。この藻琴山に湧く水は昔から日本でも有数の良質な水であると語り継がれており、誰言うともなく「長命水」と呼ぶようになり、健康と長寿を願う多くの人がこの水を求めて訪れるとのことだ。私もこれにならって自転車に積んでいたボトルの水をすべて入れ替える。これを飲めば長生きできるのだろうか。朝キャンプ場でボトルを満タンにしていたがここまで500ccも飲んでいないのでボトルの水は1kg以上のウエイトでしかなかった。しかし気にするほどのことではないだろう。チミケップ湖で出会ったチャリダーの水の搭載量に比べれば問題にする量ではないはずだ。
ハイランド小清水725の内部
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長命水
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頂上はおそらく気温15℃くらいだっただろう。かなり寒くて風も強く汗が冷えて寒かった。このハイランド小清水725の駐車場から130m歩いたところに屈斜路湖を見渡すことのできる展望台があるはずだったが、この霧では屈斜路湖が見えないのはもちろんの事、その展望台に向かう道さえ見えなかったので展望台に行くのは断念する。私はハイランド小清水725に10分ほどいただけで10時50分に出発し霧の中へと消えていった。この寒さだとウィンドブレーカーを着た方がいいような気もしたが、面倒だったのでそのまま下る。
藻琴峠を藻琴側に下るとすぐにハイランド小清水キャンプ場があった。私は以前からこのキャンプ場に泊まりたいと思っていたが、あいにく藻琴峠とあわせてその機会は今までなかった。藻琴峠は先程クリアしたがこのキャンプ場はさすがに今日泊まるわけにはいかないので次の機会の楽しみに取っておこう。
ハイランド小清水キャンプ場
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小清水峠の急坂を下る
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ハイランド小清水キャンプ場を過ぎるとすぐに霧は晴れた。ここから先はひたすらブレーキを駆使しながら坂を下る。今回の北海道自転車ツーリングでは峠越えが多く、下りの時にブレーキシューをすり減らしていたので特に前輪のブレーキシューが持つかどうか心配だったがどうにか持ちこたえることができた。峠の下りで雨が降らなかったのがよかったようだ。
私は急坂を下りながらこれが最後の峠になるんだと実感していた。今回の北海道自転車ツーリングでは数多くの峠をコースに組み入れた。そしてそれらをすべて登りきりミッションコンプリートした。簡単な峠から大変だったもの、そして足の痛みとの戦い。自転車で峠を下りながらそうしたものが走馬燈のようにかけ巡り感慨深いものがあった。
道道102号線を藻琴側に下ると徐々に気温が上がってきた。今日の網走の最高気温は30℃とのことだったが、それを裏付けるかのように標高が下がる度に気温が上昇していくのを感じていた。そしてこんなに暑くなるのだったらハイランド小清水725で旅の日記でも書きながら時間を潰せばよかったと思ってしまった。
標高350mあたりにチェーン装着場があり、そこからの眺めが東藻琴を見渡せたので撮影がてらに11時10分から休憩することにした。ここでパンを食べながら30分ほど旅の日記を書き時間をつぶした。このまま女満別を目指すとキャンプ場に早く着きすぎるので、どこかで時間調整しなければならないのだ。
11時40分にチェーン装着場を出発。今日もこのあたりは南風だったがかなり強い風が吹いていた。風速にして7〜8m/sくらいで木立は嵐のように揺らめいている。今日は道道102号線を北に向かって走っているので追い風となってありがたいが、これを逆に走っていたら挫折したかもしれない。
パーキングから見た東藻琴の田園
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ひがしもこと芝桜公園
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下り坂はチェーン装着場からもまだまだ続いた。こんなに登っただろうかと言うほど下り続けてようやく下り坂が終わりを迎えた頃、ひがしもこと芝桜公園に到着した。ここは5月下旬の芝桜の季節に来れば美しいが、今の季節だと単なる公園とキャンプ場にすぎない。温泉という幟が上がっていたので温泉もあるのだろうか? さすがに公園に立ち寄ることはしなかったが、公園の前まで自転車を乗り付けて写真を撮った。
ひがしもこと芝桜公園からは下り坂も緩やかになったが、追い風は相変わらずで楽に自転車を走らせ続けた。このあたりは個人名のバス停があるはずで2005年の北海道自転車ツーリングでも訪れている。しかし今回同じ道を走ってみるとバス停はきれいに消えていた。ここはかつて網走交通バスが山園線として定期バスを運行していたが、その山園線も2009年に廃止されそれに伴ってバス停も撤去されてしまったらしい。
乳酪館
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乳酪館の花壇で撮影
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せっかく東藻琴に立ち寄るのだから私はひがしもこと乳酪館に行くことにした。道道102号線を外れて12時15分に乳酪館に到着。東藻琴に入った頃から雲が晴れて太陽が見えていた。おかげで乳酪館は太陽の日差しを浴びて美しく見えた。駐車場には花壇があったのでその花とセットで自転車の写真を撮っておく。
乳酪館は8年前の2005年の北海道自転車ツーリングでも訪れていたが、館内は当時の8年前からほとんど変わっていなかった。メインのホールの展示規模が少し縮小されその分土産物の展示スペースが増えたような気がしたが、チーズ作りの模型や地下のチーズ製造工場などはまったく同じだった。
乳酪館の内部
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チーズ工場
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一通り写真撮影を済ませると私は東藻琴を代表するカマンベールチーズを食べようと考えた。しかしあいにくその場で食べることができるようなカマンベールチーズは販売していなかった。他にチェダーチーズやゴーダチーズ、スモークチーズ、スモークゴーダなどがあったがどれがおいしいのかよくわからない。そこで店員さんにどれがおいしいのか聞いてみた。するとそれは個人の好みがありますからと無難な答えが返ってきた。その代わりに試食を勧められた。そこで試食を食べてみるとチェダーチーズが味も濃くておいしかったので一口サイズのチェダーチーズを牛乳とともに購入しその場で食べた。瓶牛乳は成分無調整でキャップのところが固まっていたがとてもおいしかった。
試食チーズ
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チーズと牛乳を食べる
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チーズを食べて12時40分には乳酪館を出て自転車を走らせて東藻琴の町に入る。すると道端に温度計がありそれは33.2℃を示していた。私は何かの間違いではないかと思った。ところがその先にも同様に温度計がありそれは33℃を示していた。どうやら間違いではなかったようだ。確かに今日は暑いがこんなに暑かったとは。天気予報では網走の最高気温は30℃と言っていたが、それ以上に気温が上がったということか。
東藻琴でコンビニに立ち寄ろうかと考えていたが、まだパンは残っていたしセイコーマートでは凍らせたペットボトルも売っていないので何も買わずに素通りする。乳酪館を出た頃には太陽が雲に隠れてしまったがそれでも暑かった。
33℃を示していた
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道道102号線を走る
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東藻琴からも道道102号線を北に走り続けた。このあたりでも若干の下り坂に加えて強い追い風のおかげで楽な走りは続いた。今日は藻琴まで走って網走経由で女満別まで走るつもりでいた。ところがツーリングマップルを見ると途中から道道246号線に入って感動の径に行った方が近道だし何より感動の径を走ることができる。しかしそこに行くためには標高140mまで登らなければならない。これが普段であれば140m程度であれば何も考えずに登っただろう。しかし今日のように気温が33℃もあるようでは下手に坂を上ると熱中症で倒れかねないのであまり無理せずに可能な限り平地だけをのんびりと走りたい。
しかも今日は何となく網走の道を走ってみたかった。どうしてだか自分でもわからなかった。でもこれまでの北海道自転車ツーリングで何度となく網走の町を走ってきたが何となく懐かしさというかもう一度走ってみたいという思いに捕らわれた。私は網走の町だけでなく濤沸湖横の国道244号線も再び走ってみたいと思っていた。このあたりにも観光地が多くまた走ってみたかった。しかし今走っている道道102号線は藻琴に抜けるので濤沸湖に行くには逆方向に走る必要がありこれはもう断念する。
楽な走りを続けてようやく藻琴に13時30分に到着。ここからは国道244号線の交通量の多い走りにくい道を走る。藻琴に着いた頃からまだ昼間だというのに空がずいぶん暗くなった。特に西の空は明らかに雨雲だ。天気予報では18時から雨と言っていたのでもう雨が近いのかもしれない。
藻琴湖
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流氷街道鱒浦
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国道244号線を走っているとソロのチャリダーとすれ違った。久しぶりに見るチャリダーに嬉しくなる。内陸のまして道道の峠ではチャリダーなどまず見かけないが、やはり海岸線沿いに走るとチャリダーを多く見かける。途中13時45分から流氷街道鱒浦で5分間だけ休憩し最後のパンを食べた。そして網走市街へと入っていった。
網走市街を走りながら私は何となくホワイトハウスを探そうと思った。別に食事をしようと思ったわけではないが、5年前の2008年の北海道自転車ツーリングで探そうとして網走神社祭をやっていて探せなかったホワイトハウスをぜひとも見てみたかったのだ。ホワイトハウスとは網走にある洋食レストランだが、そのボリュームから何度もテレビでも取り上げられ知名度は全国区となっておりチャリダーやライダーの間でもその名は知れ渡っている。単品料理もあるがやはりお勧めはセットメニューで、例えばビーフステーキ&ミックス丼は120gもの上質な牛モモ肉を柔らかく焼いたステーキと大盛りのご飯に湧別産のホタテと標津産のイクラとオホーツク産の蒸しウニをたっぷりと載せたボリューム満点の料理が1350円だ。これのホタテを抜いたビーフステーキ&コンビ丼であれば1150円だ。小食の私には食べきれないような気がするが一度は食べてみたい店ではある。
網走市街の商店街の中心部をゆっくりと自転車を走らせると確かにホワイトハウスはあった。私は店の写真を撮ろうと道の反対側からカメラを構えた瞬間にハーレーに乗ったライダーが店の前にバイクを横付けして中に入っていった。私は仕方なく店のショーケースの前に自転車を横付けして写真を撮った。ショーケースにはたくさんの見本が並んでいたが、チーズハンバーグやサーロインステーキなどの他にシカゴ、アラスカ、カロライナ、ハワイ、ワシントンライス、アメリカンライス、ピラフニューヨーク、ピラフボストン、ホワイトハウスランチなどネーミングからは料理がイメージできないものまで多数あった。
ホワイトハウス
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久しぶりに撮影した網走駅
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網走市街でコンビニに入った。ここまで暑い中よく頑張った自分へのご褒美にアイスクリームを買って店の前で食べた。さらに自転車を走らせて網走駅の前で写真撮影。昔は毎回のようにこの網走駅の看板の前で記念撮影していたが最近はしなくなっていた。久しぶりに網走駅の前で撮影した気がする。この網走駅の看板が縦書きなのは網走刑務所から出所してくる受刑者が、もう二度と横道に反れないようにという願いが込められているそうだ。
網走の町を抜けて国道39号線に入ると自転車のスピードが大幅に落ちた。向かい風だ。これまではずっと北に向かって走っていたからよかったものの、ここから女満別までは南に向かって走らなければならない。まあこれは仕方がないことだ、あきらめるしかない。
途中呼人浦キャンプ場が見えてきた。今日はここでキャンプを張ってもよかったのだが、ここは雨に弱いのと車の音がうるさいのと明日の移動距離が長くなってしまうので予定通り女満別まで進む事にする。呼人浦キャンプ場には予想通りライダーたちのテントが張ってあったが、意外にその数は少なく5つくらいしかなかった。
国道39号線は序盤の呼人浦あたりはまだ森の中を走っていたので風はマシだった。しかし女満別に近づくと吹きさらしの中を走るようになり、風速7〜8m/sはあろうかという向かい風にスピードは10km近くまで落ちた。呼人から女満別の間にある谷間の下りでさえもペダルを回さないと自転車が止まってしまうほどの風だった。そしてその次の登りでは勾配10%はあろうかと思えるほどギアを落とさないと登れなかった。
国道39号線を走る
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メルヘンの丘
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向かい風で苦しみながらも国道39号線を南下するとメルヘンの丘が見えてきた。今日のように曇り空の日に写真を撮ってもあまり意味はないのだが一応自転車を止めて写真を撮っておく。今日のように向かい風の強い日には自転車のスピードが遅いのでメルヘンの丘が見えてからたどり着くまでにかなりの時間がかかる。この間観光客はただの一人もいなかった。ところが私が自転車を止めて写真を撮りだすとそれを見た車で通りかかった観光客が「こんなところに眺めのいい場所があるんだ」とばかりに次々と車を止めて私と同様に写真を撮りだした。まあ小市民とはこんなものだろう。
女満別の町に入った頃から雨がポツポツと降り始めた。まだ傘を差さなくていい程度の雨だったが地面が濡れる前にテントを張ってしまいたい。そして15時50分にようやく女満別湖畔キャンプ場に到着した。案内所で受付をしている時にこのキャンプ場の奥にある女満別野営場について聞いてみると今年は近くで熊の糞が見つかったので閉鎖しているとのことだった。
受付を済ませて湖畔のフリーサイトに行くと網走湖湖畔にロープが引かれて閉鎖されていた。よく考えたらニュースでやっていたように今年は7月下旬より異臭騒ぎで網走湖のシジミ漁が操業できなくなり、それに合わせて女満別湖畔のシジミ取りも中止になったようだ。ニュースの世界だけかと思っていたが現実にこうして休業に追い込まれているのを見ると物悲しさを感じてしまう。
テントを張ろうとしたが私の指定席の目の前は家族連れで完全に占拠されていた。まあ今日はお盆休み中だし仕方あるまい。それに天気も良くないので湖畔にテントを張ってもあまり意味がない。それよりも夕方から明日の午前中にかけて雨とのことなので、明日の撤収を考えてできる限り雨の当たりにくい場所にテントを張りたい。私はフリーサイトの森の中を歩き回り、結局遊具近くの上空が木の葉で覆われ地面は少し盛り上がった場所を選んで設営を開始した。
網走湖
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美肌の湯
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30分で設営を完了させ支度をして16時30分から女満別温泉ホテル山水の美肌の湯に行く。ここはいつ来てもお客さんでいっぱいだ。よほど人気のある温泉なのだろう。私も久しぶりの温泉にゆっくりと浸かった。昨日にも和琴温泉露天風呂に入ったが、あれは本当に入っただけで体を洗うこともできない。体洗えることのできる温泉に入ったのは豊富以来だが豊富では体を洗わなかったので実際には3日前の温根湯以来だろう。
17時前に温泉から上がると休憩室で旅の日記を書いた。1時間ほど書いたが暗くなる前に食事をしたかったので先にコンビニに行くことにした。今夜は最後の夜になるので多少でも豪勢にしようと考えていた。米はないがガスは余っていたのでさとうのご飯でも買って自炊でもよかったのだが、外は小雨が降っていたのであきらめてコンビニ弁当で済ませてしまう。
女満別湖畔キャンプ場のキャンプ風景
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テントの中で夕食を食べる
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18時ちょうどにテントに戻りテントで夕食。今夜はコンビニ弁当とヨーグルトだけ。カップのサラダは売っていなかった。最終日にしては寂しい内容だ。本当なら湖畔のベンチで網走湖を見ながら食事したかったが、あいにくの小雨だったのでテントの中で食べることになってしまった。
18時20分からテントに入って旅の日記を書く。いつもこのキャンプ場は夜になると静かになるのだが、今日は騒がしい人たちが多い。しかもそれは1組だけではなく、騒がしいのが5〜6組みはいそうだ。徹夜で騒がれたら嫌だなと思っていたが、どうせ明日はほとんど走らないのだし徹夜につきあってもいいくらいだ。
旅の日記を書いていると19時頃どうしても眠くなってしまった。このキャンプ場ではワンセグが入ったことからワンセグを見ながら一寝入りすることにした。暑かったが雨はそこそこ降っていたのでフライシートだけ閉めてテントの入口はメッシュにして横になっていた。ところがフライシートを閉めているはずなのに顔に水が滴り落ちてくるのだ。おかしいなと思ってフライシートをよく見るとシームテープがボロボロになって剥がれており、その縫い目から水が浸入してそれがそのままテントの中にポタポタと落ちていた。私は暑いけど仕方なくテントの入口まで閉めた。もうこのテントも限界かもしれない。
女満別湖畔キャンプ場の夜景
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夜間はライトアップされている
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2時間ほどテレビを見ながら横になっていた。北海道南部で大雨となりJR函館本線では8日前に線路の砂利が流出したのと同じ場所で河川の増水により貨物列車が流木と衝突して脱線したとのニュースが流れていた。今年の北海道はいつも気圧の谷にあって連日のように大雨注意報が発令されているような気がする。しかも網走は今夜から朝にかけてまたもや大雨の予報だ。
21時から再び起きて旅の日記を書く。しかし今夜はうるさい人が多い。近くのテントの人は21時40分頃から打ち上げ花火までやりだす始末だ。私はこの女満別湖畔キャンプ場でも夜景を撮りたかったのだが、今日はあいにくの雨で写真が撮れない。仕方なく雨が止むのを待ちながら旅の日記を書いていたが、22時30分頃再び眠くなったので旅の日記はまだ途中ではあるがワンセグをつけたままもう一度仮眠を取ることにした。しかしそのまま寝てしまいこれ以降起きることはなった。
走行データ
走行距離 |
111.1km |
走行時間 |
7時間17分 |
ペダリング数 |
19700回 |
平均時速 |
15.2km/h |
最大速度 |
41.5km/h |
平均ペダリング数 |
45rpm |
総走行距離 |
1589.6km |
天候 |
曇り |
最高気温/最低気温 |
30℃/19℃ |
食事
朝食 |
ラーメン |
昼食 |
おにぎり、パン |
夕食 |
コンビニ弁当、ヨーグルト |
出費
朝(コンビニ) |
おにぎり、パン、牛乳、バナナ |
376円 |
ひがしもこと乳酪館 |
チーズ、牛乳 |
300円 |
昼(コンビニ) |
アイス |
62円 |
キャンプ場 |
女満別湖畔キャンプ場 |
300円 |
温泉 |
美肌の湯 |
390円 |
温泉 |
ガラナ |
150円 |
夕(コンビニ) |
コンビニ弁当、ヨーグルト、寝酒、バナナ、パン |
861円 |
合計 |
2439円 |
キャンプ場
名称 |
女満別湖畔キャンプ場 |
場所 |
女満別駅裏
北緯43度55分02秒、東経144度10分09秒 |
費用 |
300円 |
設備 |
トイレ、炊事場 |
風呂 |
隣に温泉旅館2軒あり |
ゴミ |
ゴミ箱なし |
行きやすさ |
女満別駅を目指せばすぐ |
乗り入れ |
車、バイクの乗り入れ可 |
特徴 |
女満別駅裏のキャンプ場
とても広くて湖畔沿いで景色もいい
ファミリーには絶対にお薦めできない
昼間はしじみ取りの観光客で賑わう
蚊も少なくてゆっくりくつろぐには最適 |
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