HIRAO'S HOME PAGE > 北海道自転車ツーリング > 北海道自転車ツーリング2013 > 北海道自転車ツーリング2013年 15日目

北海道自転車ツーリング 15日目
チミケップ湖〜津別〜屈斜路湖 −ザ・峠−
2013年08月16日

15日目の走行地図

15日目の速度グラフ
速度
15日目の高度グラフ
高度

 昨夜は21時に寝たはずだったが何度も目が覚めてどれだけ寝たのかもよくわからない状態だった。昼間は寒かったが夜になると暖かくなりシュラフに入っていると暑かったので途中からシュラフから出てシュラフを体にかけて寝た。これでちょうどの適温だったがあまりぐっすりとは寝られなかった。
 目が覚めた時には4時20分になっていた。テントを開けると空は一面の曇り空で今にも雨が降り出しそうだった。私は少しだけ旅の日記を書いて4時50分から撤収をスタートした。まずはサイクリングジャージーとパッド付きのパンツに着替えて、シュラフや寝間着代わりにしていたジャージーを畳む。そして朝食にラーメンを作る。今日もおいしく食べることができた。
撮影日時:2013/08/16 05:35:34 シャッター速度:1/13 絞り:F8.0 焦点距離:50mm
チミケップ湖キャンプ場のキャンプ風景
撮影日時:2013/08/16 05:13:18 シャッター速度:1/25 絞り:F5.0 焦点距離:80mm
ラーメンを自炊する
 昨夜は風が強かったが今朝になると風はおさまっていた。おかげで撤収は楽だった。ここは携帯電話が圏外で天気予報を確認することができないので、5時50分からラジオの天気予報を聞く。今日は北見も釧路も曇りで所によって昼から雨とのことだった。あまり芳しい天気ではないが仕方ないだろう。それにしても北海道はいったい何日連続で気圧の谷の中にいるのだろう。
 それより気になったのはNHKのラジオでオホーツク海側はフェーン現象が発生するので暑くなると言っていた。ここ北見の最高気温は32℃に達するらしい。できるだけ早い涼しいうちに津別峠を越えて釧路管区の屈斜路湖に行きたいものだ。
 今日は思いのほか撤収作業が順調に進み6時10分にキャンプ場を出発する。今日から目の腫れを押さえる軟膏は昼間は塗らないことにする。自転車で走っている時に塗っているとサングラスが軟膏で汚れて左目がほとんど見えなくなるのだ。
撮影日時:2013/08/16 06:05:28 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
チミケップ湖
撮影日時:2013/08/16 06:08:55 シャッター速度:1/25 絞り:F5.6 焦点距離:24mm
チミケップ湖キャンプ場
 キャンプ場を出発するとダートの道を南下する。このチミケップ湖沿いの道道494号線はダートではあるが砂利は締まっているしアップダウンは少ないし湖畔沿いの雰囲気の良い道を走るのでとてもよい。お勧めしたいのだが、ここにたどり着くまでが大変だろう。
 チミケップホテルの先に2ヶ所ほど湖岸に降りることのできる場所がありチミケップ湖の写真を撮るがあいにくの曇り空であまりぱっとしない眺めだった。残念ながら自転車と一緒にチミケップ湖を撮影できる場所はキャンプ場だけだった。
 道道494号線はチミケップ湖を離れると津別目指して下りとなる。この下りの区間もダートは締まっていたので走りやすい。ダートの下りで砂利が浮いているとブレーキが効かなくてコントロール不能になるので怖いのだが、ここは砂利が浮いていないのでそんな危険もなかった。どちらかと言うと訓子府から来るより津別から来た方が峠はないし道幅も広いので走りやすそうだったが、訓子府から来た方がオロムシ川の清流沿いを登るので雰囲気はいいだろう。
撮影日時:2013/08/16 06:23:29 シャッター速度:1/25 絞り:F8.0 焦点距離:27mm
湖沿いの道道494号線
撮影日時:2013/08/16 06:36:34 シャッター速度:1/15 絞り:F8.0 焦点距離:80mm
ダートを走る
 ようやくダートの区間が終わり舗装路となった。ここまでチミケップ湖周囲のダートをずいぶんと走ったが、いずれも砂利の締まったダートで私のような23cという細いタイヤでも安心して走ることができた。これならロードのバイクでも問題なく走ることができるだろう。
 道道494号線の舗装路の下りを走るが、ここで私は嫌な事実に直面した。それはアスファルトの温度ひび割れだ。10〜20m間隔で進行方向と垂直にアスファルトが割れておりその割れた部分が凹んでいるので、ここを通過する際に大きな衝撃が自転車や手、首にかかるのだ。これが1つや2つなら何の問題もない。しかしこれが10kmに渡って続くとなると500〜1000もの衝撃が繰り返されることになる。この道道494号線の津別側の下りはまさにそんな感じの道だった。おかげで私のやる気はすっかりとそがれてしまった。
撮影日時:2013/08/16 06:57:32 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:26mm
アスファルトの温度ひび割れ
撮影日時:2013/08/16 07:02:37 シャッター速度:1/100 絞り:F8.0 焦点距離:56mm
牛が興味深くこちらを見ていた
 この道道494号線沿いには牧場があり牛がのんびりと草を食べていたので写真を撮ろうと自転車を止めると、私に興味を持った牛たちが大挙して押し寄せてきた。興味深く見る事はあってもこれだけ押しかけてくるのは珍しくなかなか絵になった。
 この津別町には国道や道道の他に町道というのも存在したが、その町道に町道366号線とかいう名前が付いていたので、本当に津別町にはこれだけの町道の数があるのか数えたくなってしまった。でも自転車で走っていた限りではほとんどの道に町道の番号が入っていたので案外本当にそれだけの数があるのかもしれない。
 国道240号線に出ると進行方向が北東に変わったこともあり追い風となってとても楽に走る。今日も南からの風だがこの区間だけは追い風となるのだ。すると津別からの道道588号線は昨日の道道494号線と同様に辛い走りとなるのだろうか。
撮影日時:2013/08/16 07:13:14 シャッター速度:1/400 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
次第に晴れ間が見えてきた
撮影日時:2013/08/16 07:30:20 シャッター速度:1/320 絞り:F8.0 焦点距離:136mm
国道240号線の直線道路を走る
 国道240号線を7kmほど走ると津別の町に入り7時35分にコンビニに到着する。そして2回目の朝食としておにぎりと飲むヨーグルトを買って店の前で食べた。ここから先はコンビニはないので津別峠を越えるための食料は買い込んでおく。本当は和琴半島に着いてもコンビニはないし、さらにもう米も昨日で尽きたので今日の夕食も買わなければならないのだが、さすがにそれだけの荷物を持って津別峠を登りたくなかったので、夕食のことは考えないことにする。その代わりに今日はフェーン現象で暑くなるとのことだったので凍らせたペットボトルを買っておく。
 7時50分にコンビニを出発。道道588号線に入る。この道道588号線は津別から津別峠の麓まで20kmほどかけて300mほど標高を稼ぐ。平均勾配にしたら1.5%くらいだ。この程度の登りであれば勢いで登りきろうと考えていた。津別からは南東に走るので昨日と同様に向かい風で苦しむだろうと覚悟していた。しかし向かい風ではあったものの昨日に比べると予想以上に風が弱く2〜3m/s程度しかなかったので平均勾配1.5%の道を時速15kmで走り続けた。
撮影日時:2013/08/16 07:39:06 シャッター速度:1/320 絞り:F8.0 焦点距離:61mm
コンビニでおにぎりと飲むヨーグルトを食べる
撮影日時:2013/08/16 07:56:31 シャッター速度:1/400 絞り:F8.0 焦点距離:136mm
津別峠まであと27km
 しかし平地ではないし若干の向かい風ということもあり疲労はたまっていく。私はあまり無理するとまた足を痛めてしまうので、津別から17km走った津別川沿いの道ばたの日陰で9時10分からパンを食べながら10分ほど休憩する。パーキングもない単なる道端の木陰だったが津別川沿いの川の流れる音の聞こえるなかなかいい場所だった。津別峠の頂上まではあと11キロだ。
 それからも道道588号線を走り続けた。津別に入った頃から太陽が顔を出し、道道588号線を走っている時はずっと晴れだった。今日はまだ10時にもなっていないがもうずいぶん暑くなっている。暑くなるだろうと津別のコンビニで凍らせたペットボトルを購入したが、今日はこれが役に立ちそうだ。
 この道道588号線にもアスファルトの温度ひび割れが多数あり不快な思いをする。どうも私の想像では津別町の道道はあまり整備されていないように思える。でもよく考えたら道道は津別町が整備するのではなく北海道が整備するのだから予算不足という事はないのだろうけど、単に津別町には大物政治家がいなくて整備も後回しにされているということだろうか?
撮影日時:2013/08/16 08:49:56 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
津別あたりから天候は晴れとなった
撮影日時:2013/08/16 08:58:20 シャッター速度:1/400 絞り:F8.0 焦点距離:98mm
この前方左手に津別峠がある
 9時50分にようやく津別峠の麓に到着。ここからが峠の本番だ。いきなり出だしから壁のように迫る急坂と勾配8%の標識があり出鼻をくじかれる。そうか、ここはそういう峠だったんだ。これまでの道北の道道とはひと味もふた味も違う峠だ。それにもめげずに自転車を進めると勾配は9%になり、やがて11%という標識まで現れた。さすがに勾配11%にもなるとギアを一番落とさないと登れなくなる。私はフロントに24T、リアに34Tというかなり低いギア比を用意しているが、今日ほどこのギア比をありがたいと思ったことはなかった。
 津別峠は一定の勾配で登り続けるのではなく、傾斜にメリハリがある。だからきついところは本当にきついし逆に息抜きできる場所もある。変速が頻繁になるので大変ではあるが気分転換にはなってよい。しかしこの峠、序盤から勾配11%とはそこらのヤワな峠とは違う。私はこうした峠の代表としてオロフレ峠を知っていたが、ここはそれ以上だ。
 津別峠に入って急坂にあえぎながらも休息することなく30分間登り続け10時20分に標高520m地点でようやく1回目の休憩を取る。さすがに暑くてたまらなかったので凍らせたペットボトルを脇に挟んだり首に押しつけたりして涼しんだ。凍らせたペットボトルはいい感じに溶けていたが飲み足りなかったのでボトルの水を追加して冷やして飲んだ。
 この休憩をしていたとき後方からゆっくりと一台の車が登ってきた。いかにもヤンキーの兄ちゃんの乗りそうなエンジン音のでかいシャコタンの車に、運転席と助手席にいかにもヤンキーの兄ちゃんが乗っている。この車が私の休憩している所を2〜3m通り過ぎてから止まると、二人とも振り向いて右手を挙げて私を応援してくれた。私も手を挙げてやり返すがこの時ほど嬉しいことはなかった。きっと彼らは「こんな急な坂を登るチャリダーがいるぜ、すごいなぁ〜 挨拶しておこう」てなノリだったと思うが、それがとても励みになった。
撮影日時:2013/08/16 09:47:02 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:34mm
いきなり勾配8%が
撮影日時:2013/08/16 10:47:10 シャッター速度:1/400 絞り:F8.0 焦点距離:45mm
とうとう勾配12%となる
 パンを食べながら10分ほどだけ休憩して10時30分に出発。標高745mの頂上まではあと1回休憩することにしよう。出発した直後にリアのギアを一番ロー側に持っていくといきなりチェーンが外れた。フロントギアを変速した時にチェーンが外れるのはよくあることだが、リアを変速してチェーンが外れるのは初めてだったので何が起きたのかと自転車を見ると、チェーンがリアのカセットスプロケットのロー側とスポークの間に落ちていた。これはスポークとの間に落ちたチェーンを引っ張り上げれば直るのだが、私は油で汚れたチェーンを手で触りたくなかったので、自転車をバックさせたり前進させたりしてどうにか手を触れることなく元に戻すことができた。チェーンがロー側を行き過ぎてリアカセットとスポークとの間に落ちたのはリアディレイラーの調整がおかしくなったと思われたが、これを回避するにはリアディレイラーのローアジャストボルトを調整するしかなく、この場所でその調整は難しそうだったので調整は断念し、ロー側への変速の際にシフトレバーを押しすぎないことで対応する事にした。
 ここからは傾斜が少し緩やかになり登りやすくなった。津別峠の津別側はどうも出だしが一番急で頂上に近づけば傾斜が緩やかになるようだ。ところが頂上近くで今日一番の勾配12%の標識が現れた。もう登るしかない。私は覚悟を決めて登りにかかった。空荷なら昨年の北海道自転車ツーリンクで利尻島の姫沼への登りで勾配14%を登ったが、さすがにフル装備では勾配12%でもきつかった。それでも自転車を降りることなく頑張って登り続けた。
 峠の頂上までにもう1回休憩しようと考えていたが、何を計算間違いしたのか休憩を取る前の10時55分に標高745mの津別峠の頂上に到着してしまった。私はいつもカシオのプロトレックで高度を確認しながら走っているが、もう10年も使っているのでどうも500m以上の標高の計測値がおかしくなっているようだ。峠の麓の登りはじめから1時間5分で登ったことになる。ここから屈斜路湖側に下ってもよかったのだが、まだ時間は十分あったのとせっかくここまで来たのだしあと200m登って津別峠展望台まで行くことにした。
撮影日時:2013/08/16 10:54:06 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
津別峠頂上
撮影日時:2013/08/16 11:01:30 シャッター速度:1/320 絞り:F8.0 焦点距離:80mm
雄阿寒岳が見えてきた
 展望台への道を登ろうとしたそのとき軽装のサイクリストが展望台から降りてきて私に「ここから先の登りはきついよ」と言ってきた。どの程度きついのかよくわからなかったがここからは標識には勾配がパーセントではなく「上り急勾配」と書かれるようになった。
 展望台への道は確かに急勾配だった。標識がないのでどの程度の勾配かはよくわからなかったが平均的に10パーセント近く、部分的には12〜13%あったのではないだろうか。私は津別峠頂上までの最後の休憩を取らずに登り続けていたのでかなり疲れきっており、展望台までの道をちょうど半分くらい登ったと思われる場所でとうとう力尽きてしまい11時10分からおにぎりを食べて15分休憩する。
 さすがにここまで登ると気温も下がったし、さらに標高600mを越えたあたりから曇ってきたと言うより雲の中に入ったので涼しかった。もし暑かったら2日目の雲石峠の登りのように動けなくなっていたかもしれない。
 休憩後も急坂を登り続ける。この道には上り急勾配と書かれた標識があるだけに、とにかく急傾斜が延々と続きとても疲れた。津別峠の頂上から津別峠展望台までは2.5kmの距離で200m近くの標高差を登るので平均勾配は8%。しかし頂上近くで勾配の緩やかな区間が少し続くので、それを除けば平均勾配は10%程度で場所によっては勾配12〜13%と思われた。正直言って津別峠を登る以上に津別峠展望台への道はきつい。それでも頑張って登り続け11時40分にようやく標高947mの津別峠展望台に到着した。
撮影日時:2013/08/16 12:06:02 シャッター速度:1/320 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
津別峠展望台
撮影日時:2013/08/16 11:43:37 シャッター速度:1/2000 絞り:F6.3 焦点距離:24mm
屈斜路湖はほとんど見えなかった
 私は津別峠展望台から見る屈斜路湖をとても楽しみにしていた。ここは標高が500m程度の美幌峠などと違って標高が947mもあるので屈斜路湖をかなり上から眺めることができるのだ。しかしいざ展望台に上がってみると屈斜路湖は霧の隙間からわずかに見えるだけでほとんど何も見えなかった。せっかく苦労して登ってきたのに何も見えないのだから残念無念とはこのことだろう。仕方なく展望台裏のテーブルでパンを食べながら休憩し霧の晴れるのを待ったが、30分待っても霧の晴れる気配はなかったのであきらめて帰ることにした。
撮影日時:2013/08/16 11:48:17 シャッター速度:1/1250 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
津別峠の石碑
撮影日時:2013/08/16 11:42:50 シャッター速度:1/50 絞り:F6.3 焦点距離:24mm
展望台内部
 12時10分に津別峠展望台を出発。津別峠の頂上から津別峠展望台まで45分かけて苦労して登った急坂をわずか5分で駆け降りた。そしてそこからも津別峠を屈斜路湖側に下る。津別峠の津別側には勾配の標識が多数あったが屈斜路湖側には1つもなかった。下りだったのでよくわからなかったがそれでも津別側に負けないくらい急な傾斜だったと思う。私はブレーキをかけ続けたが、そのうちにブレーキを握る手が麻痺してしまい指がしばらく曲がらなくなるほどだった。
 標高947mの展望台から標高差で800メートルほど一気に下ってきたので気圧差で耳が痛くなってしまった。自転車で気圧差により耳が痛くなったのは初めてだった。これだけ一気に下る峠というのも珍しいのだろう。そして標高が下がるにつれて気温が上がってきた。フェーン現象はオホーツク海側だけではなかったのだろうか。
 津別峠の屈斜路湖側のヘアピンカーブの連続を一気に下るとやがて道は太くなってセンターラインが引かれるようになり、長い直線道路の先に屈斜路湖が見えてきた。今日は天気こそ悪いがそろそろ北海道自転車ツーリングも終わりに近づいており、ここらで自分撮りをしないと本当にキャンプ場の夜景のためだけに三脚を持ってきたことになりかねないのでこの直線道路で自分撮りに挑戦する。道端に三脚とカメラをセットして赤外線レリーズで走りながらシャッターを切る。今回も一回で成功させた。最近自分撮りを極めてきたようだ。
撮影日時:2013/08/16 12:27:51 シャッター速度:1/25 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
森の中を下る
撮影日時:2013/08/16 12:40:19 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:136mm
屈斜路湖をバックに自分撮り
 この直線道路を下ると国道243号線に合流した。ここからは勝手知ったるクッシー街道で、もう和琴半島は目と鼻の先だ。そして13時ちょうどに和琴半島湖畔キャンプ場に到着した。一昨日のつつじ公園キャンプ場で知り合ったチャリダーさんは前日に和琴半島湖畔キャンプ場に泊まったそうだが湖畔のテントサイトのライダーゾーンが満員で入れなかったと聞いていた。そこでその事を受付の人に聞いてみると3日前も一昨日も昨日もライダーゾーンは満員だったそうだ。でも今日は大丈夫じゃないかという話だった。
 まだ時間が早いこともあってライダーゾーンはまだ30%くらいしか埋まっていなかったので最前列の特等席に設営する。このキャンプ場のライダーゾーンは5m角くらいのメッシュ状にロープでエリアが区切られており他のキャンプ場と比べてテントとテントの間隔がとても密集する。湖畔側から通路側にかけてそんなメッシュが3列あり、ライダーたちはバイクに近い手前側の列を取ろうとするが、私は眺めのよい最前列が好きだ。ただし最前列は地面が砂利になるのでそれなりのマットが必要になるのと、湖面に向かって若干の傾斜があるのと、ペグの効きが悪いので風の強い日には危険だ。このキャンプ場にはゴミ箱があったので、つつじ公園キャンプ場で使い切っていたガス缶をここでようやく捨てる。
撮影日時:2013/08/16 16:34:10 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
和琴半島に到着
撮影日時:2013/08/16 13:18:05 シャッター速度:1/400 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
湖畔にテントを張る
 米は昨日で尽きてしまったしレトルト食品ももうない。今日の夕食をどうしようかと考えた。この和琴半島には土産物屋もありカップラーメンぐらいなら売っているが、ここまで来てカップラーメンでは味気ない。そこで川湯温泉にあるコンビニまで往復42kmの買い出しに出かけることにした。これまでの北海道自転車ツーリングでキャンプ場にテントを設営した後、買い出しや温泉に出かけたことはあったが、これだけ長い距離を買い出しや温泉のためだけに往復するのは初めてだろう。いや、2006年と2009年に洞爺湖滝之上キャンプ場に泊まった時、温泉とコンビニへの買い出しのために洞爺湖を1周36.5km走ったことがあったがそれ以来だろう。
 湖畔にテントを設営すると13時30分にキャンプ場を出発し国道243号線と道道52号線のクッシー街道を走る。しかし国道243号線に出た途端に雨が降り始めた。最初は傘を必要としない程度だったがやがて激しさを増し、とうとう道端に自転車を止めてレインスーツを着た。ところがレインスーツを着てしばらく走ると雨が止んだだけでなく太陽まで顔を出した。これでは暑くてレインスーツを着ていられない。まだ雨が降る可能性はあったものの暑さのあまりコタン温泉前でレインスーツを脱ぐことにした。
 この屈斜路湖沿いには観光地が多い。私はそれらに立ち寄りながら川湯を目指そうと考えていた。しかしコタン温泉や砂湯は観光客であふれていたし、池の湯はこれ以上ダートを走るのが嫌で結局ほとんどどこにも訪れることのないまま走り続けた。途中ソロのチャリダーとすれ違った。彼は今日どこに泊まるのだろう。まだ時間は14時頃なので選択肢はいくらでもありそうだが、もし和琴半島湖畔キャンプ場に来るようなら話をしよう。
 一度はレインスーツを脱いだもののすぐに太陽は雲に隠れてしまいいつ雨が降ってもおかしくない状態が続いた。砂湯を過ぎてしばらく走ると再び雨が降り始めた。私は今度もまたすぐに止むだろうと考えてレインスーツは着ずに頑張った。すると私の予想通り雨が降っているのに太陽が出ている状態となった。これは気象学的に何と言うのだろう? 雨か晴れか?
撮影日時:2013/08/16 14:24:35 シャッター速度:1/40 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
森に囲まれたクッシー街道を走る
撮影日時:2013/08/16 15:00:52 シャッター速度:1/100 絞り:F8.0 焦点距離:32mm
バナナを食べる
 道道52号線を走り続けて14時55分に川湯のコンビニに到着した。和琴半島湖畔キャンプ場にはゴミ箱があったので今夜は豪勢にしようとコンビニ弁当とカップ野菜、ヨーグルトの他にウィスキーで割るためのガラナとウメッシュを購入。さらに帰りの21km走るためのエネルギー補給としてバナナを買って店の前で食べた。飲み物として津別のコンビニで買った凍らせたペットボトルを飲んだが購入から7時間ですべて溶けきった。
 15時10分に川湯のコンビニを出発。帰りはまず川湯相撲記念館に行く。ここは国民栄誉賞を受賞した第48代横綱大鵬の優勝額や化粧まわし、鉄砲柱、そして歴代横綱の写真など数多くを展示した記念館だ。大鵬は少年時代をここ川湯で過ごしており、彼の偉業をたたえてこの川湯温泉に国技館を模した記念館が建設されたそうだ。中を見学している時間はなかったので外の大鵬の銅像だけを撮影する。
撮影日時:2013/08/16 14:49:13 シャッター速度:1/50 絞り:F8.0 焦点距離:30mm
川湯相撲記念館
撮影日時:2013/08/16 15:12:25 シャッター速度:1/80 絞り:F8.0 焦点距離:32mm
足湯
 次は川湯エコミュージアムセンターに行こうとすると、そのすぐそばの交差点に川湯温泉あし湯があった。温泉はキャンプ場にもあるのでここで足湯に浸かる必要はないが、写真だけは撮っておく。この足湯のある交差点に気温計があったので確認すると26℃を示していた。この時間でこの気温は高い方だろう。
 そして川湯エコミュージアムセンターに行く。ここは屈斜路カルデラを中心とする川湯地域の自然を観光客に紹介するために作られた施設で、館内には周囲の屈斜路湖や摩周湖、硫黄山などの自然、歴史などがパネル展示され、火山の作り出した地形をジオラマで再現したり、川湯温泉や屈斜路湖周辺の温泉が紹介されている。北海道の有名な観光地にはこうしたビジターセンターやネイチャーセンター、エコミュージアムなどが多数存在し、こうした観光地の特徴、歴史、自然、季節毎の情報をわかりやすく紹介しているので私自身もよく利用するし勉強にもなる。私は内部を一回りするとラウンジで5分だけ旅の日記を書いてすぐに出発した。
撮影日時:2013/08/16 15:10:25 シャッター速度:1/80 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
川湯エコミュージアムセンター
シャッター速度:1/13 絞り:F7.1 焦点距離:24mm
川湯エコミュージアムセンターの内部
 川湯エコミュージアムセンターを出発した直後雨が激しく降り始めた。私は道端に自転車を止めてレインスーツを着込んだ。しかしものの5分も走らないうちにまたしても太陽が顔を出し暑くてレインスーツが着ていられなくなり、また自転車を止めてレインスーツを脱いだ。どうもこの屈斜路湖周辺では曇り→雨→晴れ→曇りのサイクルで天気が回っているらしい。
 この道道52号線のクッシー街道は屈斜路湖の湖畔沿いを両側を林のトンネルに囲まれた気持ちのよい道だ。私はこの道でも自分撮りがしてみたくなり、道端に自転車を止めると赤外線レリーズを取り付けたカメラを三脚にセットして設置。そしてそこへ自転車で走りながら赤外線レリーズのスイッチを何度も押せばOKだ。今回も一回で決めることができた。
撮影日時:2013/08/16 15:41:54 シャッター速度:1/100 絞り:F8.0 焦点距離:136mm
クッシー街道でも自分撮り
撮影日時:2013/08/16 15:50:04 シャッター速度:1/500 絞り:F8.0 焦点距離:24mm
人で溢れていた砂湯
 しばらく走ると砂湯が見えてきた。ここは湖畔の砂を掘れば自分専用の温泉ができるとあって家族連れに大人気で、湖畔の至る所にすごい密度でテントが張られていた。ライダーも何人かいたようだったが周りが家族連ればかりで肩身が狭そうだ。こういうときファミリー用とライダー用にエリアを分けている和琴半島湖畔キャンプ場は偉いと思う。私はこの混雑した砂湯の写真だけ撮ってすぐに立ち去った。
 今日は津別峠を展望台まで走ったので既に900mほど登っている。その状態で42kmのお散歩に出かけたものだからそろそろ足が疲れてきた。足の痛みの件もあるし少し自粛してればよかったと思わないでもなかった。それでも16時35分にキャンプ場に戻って来ることができた。3時間5分のお散歩だった。
 キャンプ場に戻って荷物をテントに積み込んでいる時ライダーの人たちと話をする。私の後ろにテントを張った人は昔チャリダーをしていた時、屈斜路湖から阿寒湖に抜ける永山峠が大変だったと言っていた。確かに阿寒湖側からならまだ傾斜は緩やかだが弟子屈側から登ると傾斜が急で大変だったことだろう。
 17時20分からテントの前の湖畔に面してレジャーシートを敷いてその上に座って旅の日記を書く。今日も自転車で走りながら旅の日記を書いてこなかったので書くことが満載だ。しかし18時頃から先ほどの元チャリダーの人が話しかけてきたので、それ以上旅の日記は書けなかった。
 ライダーとの話は続いたがそろそろ暗くなってきたので18時40分から夕食の準備に取りかかる。準備と言っても今日はコンビニ弁当なので味噌汁を作るだけだ。今日の夕食はコンビニ弁当と味噌汁とカップ野菜とヨーグルト。これを薄暗くなった屈斜路湖を前に食べた。
撮影日時:2013/08/16 18:39:47 シャッター速度:1/13 絞り:F5.6 焦点距離:56mm
今日の夕食はコンビニ弁当
撮影日時:2013/08/16 18:40:43 シャッター速度:1/10 絞り:F5.6 焦点距離:24mm
屈斜路湖を見ながら夕食を食べる
 食事を終えると再び19時から屈斜路湖の前でヘッドライトを灯しながら旅の日記を書いた。薄暗くなった屈斜路湖は何だか神秘的でクッシーでも出そうな雰囲気だ。クッシーとは今から40年ほど前、この屈斜路湖で首長竜のような未確認生物が相次いで目撃され社会的ブームとなったものだ。結局正体はわからないまま今に至っているが、今でもクッシーには懸賞金がかけられており捕まえたら1億円との事だ。
 19時30分から再びライダーがやって来たので話し始めた。この元チャリダーだった人は母親の実家が静岡の梅ヶ島の山奥にあるらしく、私も梅ヶ島には何度か行った事がありその場所を知っていたことから北海道で静岡のローカルな話で盛り上がった。他にも北海道の観光地について色々と話をしたが、私が地元民でもないのにあまりにも北海道の観光地をよく知っていたので「学校の先生ですか?」と聞かれてしまった。いや、先生ではなくちょっと北海道に詳しいただのサラリーマンです。
 20時30分から温泉に行くことにして話を切り上げ、温泉の準備をして和琴温泉露天風呂に行く。ここは昼間は家族連れが水着を着てプール代わりに使っているので恥ずかしくて入れないが、夜は温泉に街灯が一切ないので真っ暗で安心して入ることができる。私は昨日も温泉に入っていなかったし、今日は津別峠の登りで大汗をかいていたので温泉はかなり熱かったが二日ぶりの温泉に気持ちよく浸かることができた。残念ながらここは体を洗う場所がないので温泉に浸かるだけだ。湯船には2〜3人の人がいたが、暗すぎて男か女かもよくわからなかった。
 温泉から戻ると20時50分から再び旅の日記を書き始めた。しかし今日は書くことが多いしなかなか進まない。いつもだったら旅の日記が途中でも22時になれば寝てしまうところだが、ここは夜になっても会話に夢中になるうるさいライダーが多いので23時まで旅の日記を延長することにした。ついでに毎度のことになるがキャンプ場の夜景も撮影しておく。このキャンプ場は管理棟として使われている土産物屋の自動販売機の照明が明るすぎて周囲を煌々と照らしていたので、これを利用して湖畔の木と一緒に自転車を撮影しようとするが、ちょうどその場所に携帯電話で電話中の人がいてなかなか立ち退いてくれなかったのでずいぶん待たされることになった。
撮影日時:2013/08/16 21:13:37 シャッター速度:30 絞り:F5.6 焦点距離:24mm
和琴半島湖畔キャンプ場の夜景
撮影日時:2013/08/16 21:24:00 シャッター速度:30 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
自動販売機の明かりだけでこれだけ明るい
 今日はコンビニでガラナを買っていたのでウィスキーのガラナ割りを2杯作って飲んだ。これでようやく家から持参したサントリー山崎640ccを飲みきったことになる。昨日を含めて2〜3日は飲まない日もあったが、ほとんどは飲んでいた。15日として1日40〜50cc飲んでいたことになるだろう。コンビニで缶酎ハイを買ってくるのと違っていつでも自分の好きな量を好きな濃さで飲めるのがうれしい。
 今日は念願の津別峠を登ることができた。私は少々津別峠を甘く見ていたようだ。確かに標高は745m、北海道の峠の標高順で13位とそれほど高いわけではない。しかし交通量の少なさ、傾斜の起伏と激しさ、さらに木立に囲まれていて日陰が多いこと。そして展望台からの眺めの良さを考えると、私も数多くの峠に登ってきたがこれに匹敵する峠はなかったのではないだろうか。津別峠はこれぞ峠の中の峠、「ザ・峠」ではないかと思える。こんないい峠がありながら今まで登ったことがないのが悔やまれるくらいだった。こんないい峠があるのだったら毎年でも登りたくなると言うものだ。
 一言付け加えておくと、私は万人に津別峠を勧めているわけではない。あまりの傾斜のきつさとその規模によって素人は挫折してしまうかもしれない。またロード用のギア比の自転車で登ろうとするならそのほとんどの行程を押して歩くことになるだろう。しかし坂好きのチャリダーが腰を据えて登るならこれほどよい峠はないと思われた。
 今夜紹介するアイテムはシューズカバーだ。初めての北海道自転車ツーリングの時、雨の日はレインスーツさえあればシューズカバーは必要ないと思っていた。しかし雨の日に一日中自転車を走らせていると靴の中まで濡れて嫌な思いをしていた。そこで2004年と2005年にオーストリッチ製のレインシューズカバーを持ってきていたが、これが予想以上に装着するのに手間がかかり、シューズカバーを付けるのが面倒で多少の雨ならシューズカバーを付けないまま走ってしまい、結局靴の中まで濡らしてしまうことが多かった。そこで2006年は靴自体をゴアテックスにして、シューズカバーを付けなくても靴の中まで濡れないようにした。しかしこれは大失敗だった。なぜなら確かにゴアテックス製の靴だと水は染み込まないが、レインスーツを伝って滴り落ちる雨水が靴と足首の間から入り込むのだ。これではゴアテックスの靴を使っても防ぐ事はできない。そこで2007年からはパールイズミ製のレインシューズカバーを持っていくようになった。
 このレインシューズカバーはオーストリッチ製と違ってベルクロで固定するため装着が比較的容易で雨が降り出してもすぐに対応することができたので、それ以降ずっと愛用することとなった。しかし北海道自転車ツーリングだけでなく普段の通勤でも雨の日には着用していたことから5年間ほどの使用でつま先の部分が破れてしまい買い換えることとなった。同じパールイズミ製のレインシューズカバーを購入したがモデルチェンジされており以前のものに比べるとつま先の部分が補強されていた。きっとつま先の部分が破れる同様のトラブルが多発していたのだろう。モデルチェンジ後のレインシューズカバーは補強された分だけ重量が重く携帯性が悪くなった。個人的にはモデルチェンジ前のものがお気に入りだったが既に生産終了しておりもう入手はできなくなった。
 明日の天気予報ではまたもや北海道は気圧の谷にあるらしく釧路管区は曇り、網走管区は曇り後雨となっており夕方から明後日の午前中まで雨になるらしい。つまり最終日の撤収は雨ということになる。う〜む、気が重い。
 今日は夜になってもかなり暑いのでテントの入り口はメッシュにしたままジャージーも着ずにシュラフだけお腹にかけて23時に寝ることにする。目の腫れの軟膏を自転車に積んだままで取りに行くのが面倒だったのでもう塗らずに寝ることにする。今朝も塗らなかったがもうほとんど目は腫れていないので塗らなくても大丈夫だろう。隣のライダーのいびきがひどいので今日は音楽を聴きながら寝ることにする。

走行データ
走行距離   111.4km
走行時間   7時間28分
ペダリング数   20200回
平均時速   14.9km/h
最大速度   39.7km/h
平均ペダリング数   45rpm
総走行距離   1478.5km
天候   曇り時々晴れ
最高気温/最低気温   23℃/22℃

食事
朝食   ラーメン
昼食   おにぎり、パン
夕食   コンビニ弁当、味噌汁、カップの野菜、ヨーグルト

出費
朝(コンビニ)   おにぎり、パン、飲むヨーグルト、凍らせたペットボトル   470円
キャンプ場   和琴半島湖畔キャンプ場   450円
夕(コンビニ)   コンビニ弁当、カップの野菜、ヨーグルト、バナナ、寝酒、ガラナ、ポテトチップス   983円
合計   1903円

キャンプ場
名称   和琴半島湖畔キャンプ場
場所   和琴半島付け根の屈斜路湖湖畔
  北緯43度34分40秒、東経144度18分30秒
費用   450円
設備   トイレ、炊事場、コインランドリー、売店
風呂   無料温泉と有料日帰り温泉が隣にある
ゴミ   ゴミ箱あり
行きやすさ   屈斜路湖の和琴半島を目指せばすぐ
乗り入れ   テントまで車、バイクの乗り入れ不可
特徴   和琴半島付け根にある屈斜路湖湖畔のキャンプ場
  屈斜路湖のすぐそばにテントを張れるので
  ロケーションは最高に良い。その代わりに家族連れが
  多いが、ライダー専用のスペースがあるのがうれしい
  人気が高いのでシーズン中は早目に行かないと
  スペースがなくなる
← 14日目へ  北海道自転車ツーリング2013  16日目へ →
inserted by FC2 system