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北海道自転車ツーリング 5日目
洞爺湖〜登別〜厚真 −遠すぎた大沼野営場−
2009年08月11日

5日目の走行地図

5日目の速度グラフ
速度
5日目の高度グラフ
高度

 目が覚めたら4時15分だった。今朝は久しぶりに一度も夜中に目覚めることなく、ぐっすりと寝ることができた。このキャンプ場は裏が道路なので、うるさいというわけではないが、裏を車が通るとそのタイヤの音が雨の音のように感じてしまうからドキッとしてしまう。しかしテントから顔を出しても洞爺湖の空は低い雲が垂れ込めていて曇天だった。
 今朝は不思議なことに露付きがまったくなかった。いったいどういう原理で露付きが起きたり起きなかったりするのかわからないが、残念なことに露付きが起きなくても自転車に干していた洗濯物は完全には乾いていなかった。今日も曇天で朝から少し寒かったので、濡れた服を着ずに、乾いているデュラエースのサイクリングジャージーを着る。
撮影日時:2009/08/11 04:24:24 シャッター速度:1/15 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
朝テントを開けるとこんな感じ
撮影日時:2009/08/11 04:27:56 シャッター速度:1/10 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
洞爺湖滝之上キャンプ場の朝
 今日は標高930mのオロフレ峠を越えて130km先の厚真にある大沼野営場まで走らなければならないので、少し急いで支度する。朝食にいつものようにラーメンを作り、出発の準備をする。3年前のようにコブハクチョウが来ないかと思っていたが残念なことに今年は来なかった。
 荷物を自転車に積み込んで、重い自転車を砂浜を押していき5時40分にキャンプ場を出発する。キャンプ場を出るとすぐに道道2号線を下って滝之町に出た。この町にはコンビニがあるが、残念なことに朝7時にならないと開店しないので、今は素通りだ。そして国道453号線に入り、少し急な坂を登りきると道の駅「そうべつサムズ」がある。私はこれからオロフレ峠を登るのに備えて、ここで給水するつもりでいたが、ボトルに水を1リットル以上の水を既に積んでいたのと、一昨日の経験から気温が高くなければ、それほど水は飲まないだろうと考え、給水なしで道の駅も素通りする。
撮影日時:2009/08/11 05:59:37 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:141mm
朝方は霧が出ていた
撮影日時:2009/08/11 06:01:00 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:29mm
山間の道を走る
 国道453号線の緩やかな登り坂を登り続ける。この国道はトラックの幹線道路になっているようで、朝早い時間なのに大きなトラックが多く走っていた。この道は3年前にも走ったことがあったが、山間の田舎道といった感じの道の雰囲気はよく覚えていた。
 6時10分にスタートから8km地点の道道2号線への分岐である久保内に到着する。ここからいよいよオロフレ峠への登りが17km続く。この頃から空が晴れだしたが、まだ朝早いので太陽が低くて日陰が多いし、何より気温が低くて走りやすい。しかし一つ計算違いがあった。このオロフレ峠も中山峠やニセコパノラマラインのような峠だろうと思っていたが、少々違っていた。それは中山峠やニセコパノラマラインは傾斜が6〜7%程度しかなく、前と後ろのギア比も1:1あれば十分登れた。しかしこのオロフレ峠は傾斜が非常にきつく、場所によっては10%を越えているのだ。もちろんギア比は1:1では登れないので、前24T、後ろ30Tまで落として、それでも登るのが大変なほど傾斜がきついのだ。頂上までたった17kmだと思っていると痛い目に遭うだろう。それほどまでにオロフレ峠は登りがいのある峠だ。
撮影日時:2009/08/11 06:32:34 シャッター速度:1/200 絞り:F6.3 焦点距離:286mm
オロフレ峠まで14kmの登りが続く
撮影日時:2009/08/11 07:16:20 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:115mm
坂を登ると所々陽が差していた
 朝早くて力のあるうちにグイグイ登って、7時からパンを食べながら標高370m地点で10分間休憩。まだ時間が早いので交通量も少なく、ライダーなど皆無だ。さらに登ると、太陽は雲に隠れて登りやすくなった。このまま雲が出ている方が涼しくて登りやすいと思ったが、時々気まぐれのように太陽は顔を出した。
撮影日時:2009/08/11 07:31:15 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:94mm
遠くに羊蹄山を見ながら走る
撮影日時:2009/08/11 07:35:13 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
カーブした黄渓橋
 急な傾斜を登り続けると黄渓橋というカーブした橋があり、ここからの眺めがよくて羊蹄山もくっきりと見えたので写真撮る。このあたりからは眺めがよくなり、前に後ろに羊蹄山を見ながら坂を登り続けた。そして8時ちょうどに700m地点にある黄渓駐車場に到着。パンを食べながら10分休憩する。残念ながらこの展望駐車場からの眺めは空が曇っていた事もあっていまいちだった。
撮影日時:2009/08/11 07:37:45 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
黄渓橋からパノラマ写真を撮影
 さらに登り続けると頂上近くで片側通行止めの道路工事をしており、私が通過する為だけに両側の交通を完全に止めてくれた。おかげで安心して登ることができたものの、迷惑かけないように慌てて登ったので、かなり体力を消耗してしまった。しかし実際には私が通過している間、両側とも車が通りかかることはなかった。いつも思うのだが、チャリダーが片側通行の工事区間を走るのは本当に神経と体力を消耗する。
撮影日時:2009/08/11 08:35:57 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:38mm
まもなく頂上に到着
撮影日時:2009/08/11 08:45:38 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:34mm
オロフレ峠の頂上に到着
ここからオロフレ峠展望台を目指す
 8時45分にオロフレ峠展望台への入り口に到着。ここからオロフレ峠展望台目指してわき道に入る。オロフレ峠展望台とはオロフレ峠のトンネルのできる前の旧道を途中まで解放して展望台にしたものだ。オロフレ峠展望台までは登りはほとんどないと思っていたが、実際には30m程度の丘越えが2つほどあった。
 そして8時55分にやっとオロフレ峠展望台に到着。道道2号線の麓の久保内の標高が130m程度だから標高930mのオロフレ峠展望台まで標高差にして800m、距離にして17kmを2時間40分で登ってきたことになる。休憩を含めても100mを20分のペースだからまずまずのペースだろう。
撮影日時:2009/08/11 08:59:59 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
これがオロフレ峠展望台だ
撮影日時:2009/08/11 09:21:26 シャッター速度:1/160 絞り:F9.0 焦点距離:77mm
オロフレ峠展望台からの眺め
下には雲海が広がり右に羊蹄山が見える
 オロフレ峠展望台はお盆のシーズンだというのに誰もおらず、展望台に自転車を持ち込んで好きなだけ写真を撮る。なんせ景色がよくて写真を撮りまくった。標高の高いオロフレ峠展望台は雲海の上にあり、その雲海の上に羊蹄山もきれいに見えたのは嬉しかった。展望台でおにぎりを食べて写真を撮りながら30分ほど休憩し、9時20分に出発する。ボトルに1リットルほど積んだ水は、オロフレ峠展望台でちょうど750ccのボトルが空になり、残るは予備のボトルに入った300ccほどを倶多楽湖への登りで使えばちょうどだろう。
撮影日時:2009/08/11 08:58:57 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
オロフレ峠展望台から見たパノラマ写真
 オロフレ峠展望台を出発し下り始める。オロフレ峠展望台への分岐点が道道2号線の最高峰となっており、ここからひたすら急な下りを下る。この道道2号線は洞爺湖側よりも登別側の方が景色のいい場所が多いようで、次第に見えてきた羊蹄山をバックに写真を撮り続けた。
 全長909mの少し狭いオロフレトンネルを越えてオロフレ峠を下り続けた。道道2号線の登別側への下りも洞爺湖側の登りと同様に傾斜が急でブレーキをかけ続ける必要がある。特に登別側は滑り止めにアスファルトを縦に削っている箇所が多く、そこをタイヤの細い自転車で走るとふらついて危ないので、時速30km/h以上出さないようにブレーキをかけ続けたら、ここ数日間で酷使した後輪ブレーキはかなりすり減ってしまった。
 下りはゆっくり下ってきたのでカルルス温泉に着いたときには10時ちょうどになっていた。私はてっきり下りだけで登別まで行けるものだと思っていたが、その考えは甘かった。途中でいくつかの丘越えがあり、太陽が燦々と降り注ぐ中、そろそろ気温も上がってきたこともあって苦しめられた。
撮影日時:2009/08/11 10:09:18 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:77mm
オロフレ峠を下りながら自分撮り
撮影日時:2009/08/11 10:27:51 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:29mm
登別温泉街を見下ろす
 途中の丘越えで景色のいい場所があったので、本日初の自分撮りに挑戦。そして道道2号線を離れ、急な下りを下って10時30分にようやく登別に到着した。登別に入るといきなり大きな青い鬼に出迎えられた。この時はなぜ鬼がいるのかよくわからなかったが、後で調べてみると登別は地獄谷のぼりべつクマ牧場だけでなく、鬼でも町おこしをしようとしているらしい。個人的には近くに倶多楽湖があるのだから、それも目玉にすればいいのにと思ってしまう。
 坂を下って登別の温泉街に入ると、そこは観光客だらけで、みんな地獄谷に向かって歩いていた。私も倶多楽湖に行くため同方向に自転車を進めるが、さすがにこれだけ観光客が多いと地獄谷に行く気がせず、地獄谷はそのまま素通りしてしまう。せっかく登別に来たのだから地獄谷に行けばよかったと思わないでもなかったが、まあ次の機会でもいいだろう。
撮影日時:2009/08/11 10:50:58 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
日和山展望台から
撮影日時:2009/08/11 10:48:53 シャッター速度:1/125 絞り:F9.0 焦点距離:53mm
これが大湯沼と日和山だ
 登別から倶多楽湖までは標高で100mくらい登ると思っていた。しかし実際には190mも登ることになり、しかもそれがオロフレ峠よりも急な登りだったので、相当苦しめられた。途中、大湯沼を上から見ることのできる日和山展望台があったので写真を撮っておく。ここから見る大湯沼や噴煙をあげる日和山の景色はなかなかよかった。大湯沼は周囲1km、深さ22mの大きな熱湯の沼で、これだけ大きい湯の沼は世界的珍しいそうだ。
 日和山展望台を過ぎれば、あと少し登れば倶多楽湖かと思っていた。しかしどこまで登っても倶多楽湖に到着しない。とうとう疲れ果てたのとお腹が空いてきたので、11時10分から登り坂の途中の日陰でパンを食べながら5分ほど休憩する。
撮影日時:2009/08/11 10:54:43 シャッター速度:1/100 絞り:F8.0 焦点距離:45mm
灰色に変色している大湯沼
撮影日時:2009/08/11 10:55:44 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:94mm
画面中央ちょい右側から噴煙を上げていた
 休憩して力を付けたところで再び登り始めると、すぐに扇型展望台に到着。ここから倶多楽湖が見渡せるはずだったが、木が邪魔をしてあまり視界は広くなかった。この展望台の駐車場で私は観光客らしき人から話しかけられた。どうも日本人の喋る日本語ではないと感じていたが、「これはどこにありますか」と彼が指を示したガイドブックは中国語で書かれた北海道のガイドブックだった。もちろん中身はすべて中国語で書かれていたが、彼が指さしたのはクマが両手を広げて立っている写真で、それは明らかにクマ牧場だったので、登別の温泉街に行ってロープーウェイで山に登らないと行けないと教えてあげる。
撮影日時:2009/08/11 11:16:48 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
ようやく扇型展望台に到着
撮影日時:2009/08/11 11:17:18 シャッター速度:1/100 絞り:F8.0 焦点距離:45mm
展望台から見た倶多楽湖
木に遮られてあまり視界はよくなかった
 この倶多楽湖は直径約3km、周囲8kmのほぼ円形のカルデラ湖で、流入・流出する川がなく、透明度は摩周湖に次いで第2位とされている。ミズナラやナナカマドが生育する登別原生林に囲まれた湖で、倶多楽湖レイクハウス付近しか湖畔に近づけないため、豊かな自然が残された神秘の湖と呼ばれているそうだ。
撮影日時:2009/08/11 11:25:42 シャッター速度:1/60 絞り:F5.0 焦点距離:29mm
倶多楽湖畔にて
撮影日時:2009/08/11 11:30:27 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:34mm
河童(カッパ)の横断あり 減速・徐行お願いします
倶多楽湖はカッパが出没するらしい
 倶多楽湖はカルデラ湖の為、湖面まで行くには外輪山である扇型展望台から下るしかない。急坂を下ってようやく11時30分に倶多楽湖レイクハウスに到着。私は駐車場に自転車を止めると倶多楽湖の湖岸まで降りて写真を撮り、そして倶多楽湖にタオルをつけてアームカバーとタオルを濡らして冷やした。倶多楽湖の水は噂通りきれいで澄んでいた。透明度は摩周湖が一番だが、摩周湖は湖岸に近づく事ができない為、湖岸に近づく事ができる湖としては倶多楽湖が一番透明度が高いと言えるだろう。
撮影日時:2009/08/11 11:28:08 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:29mm
倶多楽湖のパノラマ写真。摩周湖に次いで日本第二位の透明度だけに、とても水が澄んでいた
 暑い中、倶多楽湖への登りを登るのに予備の水まですべて飲み干していたし、この先、給水できる場所がなかったのでどうしようかと思っていたが、この倶多楽湖レイクハウスにトイレがあったので、ここで無事に給水する。もしここで給水できなければ干上がってしまうところだった。
 倶多楽湖はすぐに出発したが、倶多楽湖を出るのにも、また外輪山を標高で90mほど登らなければならない。倶多楽湖は摩周湖と同じすり鉢状のカルデラ湖なので、湖岸まで降りると登るのも大変だ。どうにか標高350mまで登り、そこから外輪山の外側を一気に下った。
 下っている途中で再びおなかが空いてきたので、森の中でパンを食べながら5分ほど休憩し、再び出発する。ほどなくして道道2号線に合流し、途中、巨大な鬼の写真を撮りながら下りだけで国道36号線まで一気にたどり着くことができた。
 国道36号線に入ったのが12時10分。ここまで山岳コースばかりを60km走ってきた。60kmを6時間30分かかっているので相当遅い。昨日も午前中に60kmしか走らなかったが、昨日は出発が遅かったのと、途中で貝の館を見学したり旅の日記を散々書いていたから距離が伸びなかったのだ。しかし今日は出発はいつもより早かったし、旅の日記も書くことなく、ひたすら走り続けてこの結果だから、相当登りがきつかったのが伺えるだろう。
 国道36号線に入ってからは久しぶりの平地の走りとなる。今日は南からの風なので強い追い風となり、今まで苦労して峠ばかりを走ってきたことに比べると、平地を走るのはこんなにも楽だという事を改めて知る。よく考えたら平地が主体の北海道一周よりも、東北の三陸海岸を上から下まで走破したり、四国一周する方がはるかに厳しいと思われる。
 そんな楽な走りをしていると、「日本三大美人湯 虎杖浜温泉ホテルほくよう」と書かれた大きな看板があった。こんな虎杖浜温泉が日本三大美人湯だっけと疑問に思っていたが、帰宅後に調べると日本三大美人湯は群馬の川中温泉、和歌山の龍神温泉、島根の湯の川温泉だった。まあ勝手に名乗るのはいいけど、せめて北海道三大美人湯くらいにしておかないとJAROに訴えられそうな気がする。
撮影日時:2009/08/11 12:09:40 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:29mm
登別温泉は鬼が出迎えてくれる
撮影日時:2009/08/11 12:33:52 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:77mm
巨大な熊が屋根の上に
 さらに国道36号線を走ると、今度は市場の屋根の上に巨大な熊が登っているのが目に入った。ここは網元感動市場かに御殿といってレストランや土産物屋の入った大きな市場で、そのあまりに巨大に熊には度肝を抜かれる。こんな巨大な熊は6年前にここを通りかかった時には見かけなかったような気がしたが。
 強い追い風に押されながらメーター読みで時速25km/hくらい、平均時速も20km/hくらいで走り続けた。今日は時間がなければ白老のポロトの森キャンプ場に行こうと思っていたが、白老に13時に到着してしまったのでさらに先に進むことにした。この先のキャンプ場というと、登別から70km離れた厚真町の大沼野営場か安平町のときわキャンプ場になる。13時の段階からこれだけの距離を走るのはちょっと気が引けたが、強い追い風の平地ということもあり、まあ大丈夫だろう。
 昼過ぎになりそろそろ暑くなってきたので、白老のコンビニで凍らせたペットボトルを買おうとしたが、あいにく売っていなかったのでアイスを買って店の前で食べた。暑いと言っても自転車で走っていて汗をかかないくらいだから、きっと25℃くらいだろう。しかし凍らせたペットボトルは同じ北海道でも地域によって売っていたり売っていなかったりするので困ってしまう。
 国道36号線は海のすぐそばを走る区間もある。私は一昨日の日本海が海の見納めかと思っていたが、よく考えたら太平洋も見ることができるのだ。しかしこのあたりの海は見るべきものもなく、海が反対車線ということもあり、一度も海の写真を撮影することはなかった。しかしさすがに国道36号線は海沿いの国道ということもあり、また私が反時計回りに走っているという事もあって、チャリダーを数多く見かけた。
撮影日時:2009/08/11 12:52:26 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:53mm
晴れた国道36号線を走る
撮影日時:2009/08/11 13:12:26 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:320mm
苫小牧まであと25km
 交通量の多い国道36号線を、追い風にのってさらに走ると、錦岡の立体交差の日陰で14時から休憩しパンを食べる。休憩している最中に後方からソロのチャリダーに追い抜かれたが、パンを食べるのに夢中になっていた私は彼に気付かず、気付いたときには走り去った後だった。ここまで国道36号線を走り始めて1時間50分で34km走っているのでなかなかのハイペースだろう。この頃から前方の苫小牧が真っ黒な雲に覆われ、今にも雨が降りそうになっているのが気になった。
 そしていよいよ苫小牧の街中に突入する。こんな大きな街は信号と交通量が多くて通りたくないのだが、そんなことは言っていられない。信号と交通量に悩まされながらどうにか苫小牧を突破。途中道道259号線に入るが、この道は海岸沿いの倉庫街を走る道で、自転車で走っていてあまりおもしろい道ではなかった。今日は大沼野営場に泊まるつもりなので、近くにコンビニはないだろうと考え、苫小牧の町外れの沼ノ端のコンビニで寝酒やカップ野菜を購入しておく。苫小牧の上空にあった雲は実際にはもっと海の方にあったようで、苫小牧の町は晴れ渡っていた。
 明日は国道237号線で富川と日高経由のかなやま湖まで行く予定にしていたので、できるだけ富川に近づいておこうと、大沼野営場に泊まるつもりでいた。その為には6年前の北海道一周の時にも走った日高自動車道の側道を走るのが一番近い。私は今回もそこを走るつもりでいたが、いざ日高自動車道に来たものの、側道がないのだ。しばらく周辺を探してみたが、やはり日高自動車道への入り口があるだけで側道はない。これは後でわかった事だが、この日高自動車道への入り口と思われたのが側道への入り口だったのだが、私はそれに気付く事はなかった。
 私はどうしようかと考えた。側道がないのでは大沼野営場には相当な大回りになってしまうので、このまままっすぐ走ってときわキャンプ場に行こうかと考えた。しかしときわキャンプ場に行ってしまうと、明日のコースが夕張経由で日高に行くか夕張経由で富良野に行くか、それとも岩見沢経由で旭川に行くかしかなくなってしまう。夕張経由の日高に行くコースは一昨年走ったコースでもあり、あまり走りたくなる道ではない。夕張経由で富良野に行くコースはかなやま湖をパスしてしまうのであまり嬉しくない。岩見沢経由で旭川に行くコースは、いずれも帰りも同じコースをたどることになるので、これも嬉しくない。やはり今日は遠回りしてでも大沼野営場に泊まることにした。
 日高自動車道の側道が使えないので、仕方なく沼ノ端まで戻って道道781号線に入り、海岸線沿いを厚真まで行くことにした。これまではずっと強い追い風で楽な走りだったが、勇払までは完全に逆風になり、苦しめられた。しかも海沿いは完全な霧で視界も悪く、まるで荒野を走っているようだった。私はこの段階で大沼野営場を選ぶべきではなかったのでないかと疑念が沸いていた。
撮影日時:2009/08/11 15:46:26 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:29mm
JR日高本線に併走する
撮影日時:2009/08/11 15:59:10 シャッター速度:1/200 絞り:F9.0 焦点距離:45mm
勇払に近づくと霧に包まれた
 勇払から浜厚真まで走っていると、突然通行止めで前に進めなくなってしまった。日高自動車道の側道がわからず、迂回した道まで通行止めになっていて、さらに迂回しなければならないとはついていない。もともと今日の走行距離は130kmのはずだったのに、これだけ迂回していると、このままでは今日の走行距離は140kmを越えてしまいそうだ。どうにか道道259号線まで戻り国道235号線を越えて上厚真の町に入ることができた。しかし上厚真の町も交差点が入り組んでおり、ツーリングマップルの1/20万の地図ではとても正しい道に進むことができず、私は道道924号線に入るはずが、間違って道道1046号線に入ってしまった。途中で間違いに気づいたが、このまま走っても大沼野営場には着くはずだったので、私は進路を変えることなくそのまま進み続けた。しかし実際には引き返した方が近く、これによってなおさら距離を走ることになってしまった。私は大沼野営場ではなく、あの時引き返さずにときわキャンプ場に行っておくべきだったと後悔し始めたが、今となってはもう遅い。
 今日の走行距離は140kmを越え、そろそろ大沼野営場が近づいてきたはずだが、キャンプ場の標識が見えない。もし見つけられなかったら、もうこの時間では他のキャンプ場にたどり着けないので、野宿しかない。いったい大沼野営場はどこにあるのだろうと不安になり始めたその時、ようやく気持ち程度の標識を見つけた。その標識によると、いきなりダートの道へ案内している。仕方なく私はダートの道を進み、途中舗装路にでたが、野営場への直前に暗い森の中に突入していくような急な下りのダートがあった。これを見たとき、私は大沼野営場を選んで失敗したと思った。しかし、急なダートを下ると、そこにはこじんまりとした大沼と、その周りに雰囲気のよいキャンプ場が広がっており、ようやく17時ちょうどに大沼野営場に到着した。もうふらふらだった。
 大沼野営場は私の他は夫婦連れが一組しかなく、広いキャンプ場はがらんとしていた。このキャンプ場は有料と聞いていたので、私は先客の夫婦連れに管理人はどこにいるのかと尋ねたが、夫婦連れ曰く、管理人は常駐しておらず、あとでお金を集めに回っているとの事。しかし今日は平日だからきっと集金には来ないといういい加減なものだった。私は大沼の周りのキャンプサイトを自転車で回ったが、湖畔沿いの炊事場に近い場所といえば入り口近くの湖畔沿いしかなかったし、今日はこの雲と霧では夕陽など見れそうもなかったし、どうせ宿泊客は先客の夫婦連れだけだろうと思っていたので、入り口近くにテントを張る。
 テントを張ると17時30分から今度は自炊に備えて米を水に浸し、その間にテントに入り、濡れタオルで体を拭く。大沼野営場は近くに温泉がないのと、今日はもう温泉を考える余裕もなかった。そして服を着替え、今まで着ていた服を洗濯する。洗濯していて気付いたのだが、洗濯物を干すためのロープを持ってくるのを忘れていた。今までずっと自転車に干していたので必要としなかったが、洗濯物を干した後で自転車を使いたい場合、ロープがないと自転車が使えないのだ。それにしても今回の北海道自転車ツーリングではレインスーツやジャージーなどよく忘れ物をする。
撮影日時:2009/08/11 17:29:40 シャッター速度:1/60 絞り:F5.0 焦点距離:29mm
大沼野営場でのキャンプ風景
撮影日時:2009/08/11 18:11:57 シャッター速度:1/40 絞り:F5.0 焦点距離:77mm
U字孔の上で自炊する
 それから炊飯を開始。今日の夕食は牛丼とワカメの味噌汁とカップの野菜。明日の朝はおじやにするつもりなので、米は多めに用意する。米を炊いている間と蒸らしている間に今日始めて旅の日記を書いたが、まだまだ時間がかかりそうだ。食事はテントから少し離れた椅子代わりのU字孔に座って食べたが、この周りには大きな大スズメバチが数匹ねぐらにしていたようで、大きな蜂が歩き回っていたのには閉口した。
 どうにか18時40分までに後かたづけまで終わらせ、それからテントにこもって旅の日記を書いた。あたりが真っ暗になった19時30分頃、一人のチャリダーがキャンプ場にやってきたようだ。もう遅いので挨拶は明日にするが、よくこんな暗くなるまで走れるものだと感心する。さらに20時頃までに車が3台ほどやって来てどこかにテントを張ったようだった。そして21時30分頃、1台の車が家族連れを乗せて私のテントの隣に止まり、すぐそばにテントを張り始めた。こんなに遅い時間にキャンプ場に来るのも論外だが、23時を過ぎても子供に騒がれてしまった。自分がテントを張るときには家族連れのそばはうるさいので避けるが、家族連れが後から自分のそばにテントを張られたらどうしようもない。
 今日は標高930mのオロフレ峠を麓の標高130m地点からと、登別から倶多楽湖までの190m、そして倶多楽湖から出るのに90mと、合計したら今日も峠を登った高さは1080mを越えてしまった。これで2日目と3日目に続いて峠を1000m以上登ったのは3回目になってしまった。しかも1000m以上の峠に登ったあと、80km以上走っているのだからたいしたものだ。一昨日のように80km以上走ってから1000m登るのと、今日のように1000m登ってから80km走るのとどちらか選べと言われたら、それはきっと究極の選択だろう。
 明日の予定は富川、日高、占冠経由でかなやま湖に行くつもりにしていたが、先ほどツーリングマップルを確認していたら、走行距離が135kmくらいになりそうなので、ここはもう日高で手を打つかもしれない。さすがに連日ハードすぎる。明日ここを出発する時間次第だろう。
 今日は昼間の休憩時間中に旅の日記を書かなかったので、夕方以降テントにこもって旅の日記を書くのに5時間もかかってしまい、大変だった。やはり少しずつでも休憩時間中に書いていかないと、夜テントに入ってからやることが多くなりすぎる。このキャンプ場ではワンセグの電波が入ったので報道ステーションを見ていたら、東海地震で東名高速が寸断されたそうな。このお盆の時期に大変なことだろう。23時にようやく旅の日記を書き終え、就寝する事にした。寝る前に外を確認したらすごい霧が発生していた。今日はなぜかとても暖かく、シュラフから腕を出して寝る。

走行データ
走行距離   144.0km
走行時間   8時間54分
ペダリング数   20200回
平均時速   16.1km/h
最大速度   48.8km/h
平均ペダリング数   38rpm
総走行距離   559km
天候   晴れ
最高気温/最低気温   26℃/20℃

食事
朝食   ラーメン
昼食   おにぎり、パン
夕食   牛丼、ワカメの味噌汁、カップ野菜

出費
昼(コンビニ)   アイス   66円
夕(コンビニ)   牛乳、カップ野菜、寝酒、ヨーグルト、電池   987円
合計   1053円

キャンプ場
名称   大沼野営場
場所   上厚真の東4km
  北緯42度38分15秒、東経141度53分49秒
費用   520円
設備   トイレ、炊事場
風呂   なし
ゴミ   ゴミ箱なし
行きやすさ   標識が少ないのでたどり着くのは絶望的
乗り入れ   可
特徴   上厚真の森の中の大沼ぞうにあるキャンプ場
  沼と林が程良く混在していて雰囲気は非常によい
  設備は汚いトイレと炊事場だけで非常に貧弱
  上厚真の町がわかりにくく、標識も少ないので
  キャンプ場にたどり着くのは絶望的
  故に利用者はほとんどおらず、シーズンでも閑散としている
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