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北海道自転車ツーリング12日目
池田〜釧路〜阿寒 −久しぶりの激走−
2006年08月15日

12日目の走行地図

 4時にアラームをセットしていたが、驚いた事に3時55分に目が覚めた。昨日は21時にはぐっすり寝たので7時間は寝た事になる。さすがに朝4時では、まだ薄暗くて誰も起きてはいないが、テントの撤収を開始する。昨夜は雨こそ降っていなかったが、夜露でフライシートは完全に濡れており、乾かす事はできそうにない。仕方なく濡れたままたたんで自転車に積み込むが、濡れたままだとその分重くなるし、昨日洗濯した洗濯物も当然まだ乾いていないから、水を吸っていつもより1kgは重くなっているはずだ。今日は長距離を走らなければならないというのに困ったものだ。
 朝食にパンを食べ5時にキャンプ場を出発する。こんなに朝早い出発は3日目の奥尻島以来ではないだろうか。キャンプ場を出発し急坂を下って池田駅近くのコンビニで食料と凍らせたペットボトルを購入する。今日は朝から今にも雨が降り出しそうな曇天で、おまけにまだ朝早くて肌寒く、凍らせたペットボトルにありがたみは感じないが、昼前には釧勝峠越えが待っているので、その頃には凍らせたペットボトルは必要になる事だろう。また今日は国道242号線と国道392号線をつないで阿寒まで行くが、少なくとも本別から白糠までの70km近くはコンビニはないと思われたので、その5時間分の食料を購入しておく必要があった。
 コンビニを出発し、本別目指して北上しようとするが、せっかく池田町に来たのだから池田ワイン城だけでも見て行こうと、1kmだけバックして高架の上から写真だけ撮っておく。ワイン城まではかなり遠く、電柱なども多くてあまりいい写真は撮れなかった。さすがにこの時間では開城していないだろうから、中の見学は断念するしかない。
撮影日時:2006/08/15 05:14:56 シャッター速度:1/200 絞り:F7.1 焦点距離:200mm
遠くから見ただけのワイン城
撮影日時:2006/08/15 05:22:08 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
利別川の下流を撮影
 本別へは途中までは道道237号線を走ろうと思っていたが、池田の町でどれが道道237号線かわからず、道道237号線を走るのは断念し、オーソドックスに国道242号線で本別まで走る事にする。利別川にかかる池田大橋を渡って国道242号線に出た時には5時30分になっていた。
 国道242号線に入ってからは南からの弱い追い風だった事もあり、ハイペースで飛ばし続ける。今日は雲が垂れ込んでいるだけでなく、霧で視界が1kmくらいしかない。このあたりは山に囲まれた田舎町といった感じで趣きがあるが、山の上の方は霧で隠れている。この様子だと、もう少し走れば霧雨になりそうな雰囲気だ。6時20分に北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線大森駅に到着し、パンを食べながら少し休憩する。出発から1時間20分、途中コンビニに立ち寄ったりしたが、ここまでで24km走った。今日はなかなかいいペースだ。
 国道242号線に並行して道東自動車道が十勝清水から足寄まで伸びている。この道東自動車道は十勝スカイロードという名称があるそうだが、あまりに交通量が少ない為、十勝スカスカロードと揶揄され、無駄な高速道路の代表例として国会でも取り挙げられる事の多い高速道路だ。しかも帯広から釧路に延びるならまだしも、なぜか大物政治家の出身地である足寄に伸びており、大物政治家の名前を取ってムネオ道路と呼ばれているそうだ。私も国道242号線を走りながらムネオ道路を見ていたが、ほとんど車は走っていなかった。
撮影日時:2006/08/15 05:25:55 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:320mm
本別まであと31km
撮影日時:2006/08/15 05:29:49 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
今日は霧で視界が悪かった
 さらに走ると勇足あたりから小雨が降り始めた。しかしまだレインスーツを着るほどではない。私はいつもレインスーツを着るかどうかを路面が濡れているかどうかで判断しているが、まだ路面が濡れるまでには至っていない。しかしそれから3kmも走ると本格的に雨が降りはじめてしまい、結局自転車を止めてレインスーツを着る事にした。
 チャリダーにとって雨は辛い。しかし今日はそれほど見たいものがあるわけでもなく、十勝平野から釧路湿原への単なる移動日なので、走りに専念しよう。そういえば私の走りには移動日と撮影日がある。当然、移動日は曇りでもいいから涼しい方がよく、撮影日は暑くてもいいから晴れた方がよい。幸いな事に日勝峠越えや、今日の釧勝峠越えは移動日で涼しく、逆に然別湖やナイタイ高原牧場は晴れていてくれたので良かったのかもしれない。それでも明日以降は撮影日になるので晴れてくれないと困るのだが、天気予報では明日以降も雨となっており、憂鬱になってしまう。
 7時ちょうどに本別に到着。義経の里や義経の館など、本別は源義経で町おこしをしている日本で唯一の町らしい。源義経は1189年,奥州平泉で藤原泰衡の軍勢に攻められ自刃して果てたというのが定説である。しかし北海道内には源義経にまつわる伝承が数多く残されており、実は義経は生存しており、弁慶ら腹心の家来を連れて密かに蝦夷地へ逃れ、やがて大陸に渡ってジンギスカンになったというものである。まあ真偽のほどはともかくとして、北海道には源義経にまつわる伝説が多い。寿都町の北西にある弁慶岬は常陸坊海尊が義経再挙の兵を募って蝦夷へ向かったという情報を得た弁慶が、毎日毎日、この岬の先端に立って海尊の到着を待ち、そんな弁慶の姿を見ていたアイヌたちは、この岬を弁慶岬と呼ぶようになったと言われている。また積丹半島の神威岬は奥州からひそかに逃れた源義経が日高の首長のもとに身を寄せ、首長の娘チャレンカは義経を強く慕うようになったが、義経は北へ向かって旅立ち、後を追ってチャレンカも神威岬までたどり着いたが、義経一行は既に出帆してしまった後で、チャレンカは恨みを残して身を投げたと言われている。さらに平取には義経公園や義経神社などがあり、この本別の町にも義経の里や義経の館などがあり、北海道には源義経にまつわる伝説が数多く存在し、歴史書にも載っていないような伝説で町おこしをするとは大胆な町だと思ってしまう。
 本別の町に入るとコンビニがあったので、昼食用におにぎりを購入。ここから国道392号線に入る。これまで走っていた国道242号線は北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線に並行して走っていたが、この国道392号に入った直後に陸橋でふるさと銀河線を越える。ところが陸橋の上に来た時、ふるさと銀河線の線路を見下ろして驚いた。線路は雑草で覆われていたのだ。JRの線路だったら軌道内はもちろんの事、周辺まできれいに雑草は刈り取られているものだが、このふるさと銀河線は線路が見えなくなるほど雑草で覆われておりびっくりしてしまった。こんな状態で鉄道の安全な運行ができるのかと思ったが、この北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線は、つい3ヶ月前に廃線になったという事を後で知った。それなら線路が雑草で見えなくてもおかしくはないが、それを知って別の意味で驚いてしまった。できる事ならこの廃線跡も自転車道としてもらえるとありがたいのだが…
撮影日時:2006/08/15 07:10:08 シャッター速度:1/60 絞り:F5.0 焦点距離:29mm
雑草だらけだったふるさと銀河線
撮影日時:2006/08/15 07:18:12 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:29mm
パーキングから本別町を撮影
 国道392号線に入ると本別大坂と呼ばれる峠の登りが続く。レインスーツを着ての登りは辛いが、登りはじめるといつしか雨は止んだ。どこかでレインスーツを脱ぎたいなと思っていたら、本別大坂の峠の途中にパーキングがあったので、7時20分からパンを食べながら休憩する。このパーキングは展望台になっており本別の町を見渡せると書いてあったが、実際に展望台から本別の町を見下ろしても霧でほとんど何も見えなかった。
 まだ雨は降りそうだったのでパーキングでレインスーツの上だけ脱ぎ、脱いだレインスーツの上を腰に巻き付けて再び出発する。ツーリングマップルには本別大坂という峠のように書かれていたが、実際には台地のような地形で、標高100mほど登っただけで下る事はなかった。国道242号線沿いの利別川河岸が低い地形になっていたのだろう。
 そこから先は平坦な地形をハイペースで飛ばす。この国道392号線は国道なのに交通量も少ないので走りやすい。晴れていれば景色は美しそうに見えたが、霧が深くてほとんど何も見えず写真を撮る気が起きなかった。写真撮影をせず自転車を止める事なく走り続けるので、なおさら自転車の走行距離が延びる。少し登り坂が始まりだした8時30分にパーキングがあったので、ここでおにぎりを食べながら少し休憩する事にした。休憩中に少し太陽が見えてきた事もあり、この後に待っている釧勝峠に備えてレインスーツをすべて脱いでしまう。今日はここまでで51km走っており、なかなかいいペースだ。まるで3年前のがむしゃらな走りのようだ。
撮影日時:2006/08/15 07:36:20 シャッター速度:1/100 絞り:F5.6 焦点距離:230mm
白糠まであと65kmだ
撮影日時:2006/08/15 07:46:03 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
国道392号線に入っても霧が深かった
 8時40分にパーキングを出発し、釧勝峠を登りはじめる。ところがツーリングマップルには釧勝峠の標高は490mと書かれていたのに、実際には420m程度しかなく、おまけに本別大坂で標高200m程度まで登っていたので予想外にあっさりと登ってしまう。頂上の釧勝トンネルを抜けると白糠までは下りだけだと思っていたが、下りだったのは最初の2kmほどだけで、その後はタクタクベオベツ川沿いのアップダウンのある道が続いた。しかも釧勝峠の頂上から続く下りが終ったところから、白妙覆道、薫楓覆道、鶯啼覆道、華菜覆道、左股2号覆道、左股1号覆道と6つもアップダウンのある覆道が続き、この覆道がいずれも路肩が狭くてとても恐かった。
 釧勝峠から先も全体的には下りだがアップダウンのある道が続く。9時30分に道端で再び休憩。ここまでで65km走破。今日は比較的涼しいし、雨もどうにか降らずに済んでいるので、1時間に1回の休憩でちょうどいいペースだ。この休憩場所は奥が牧草地になっており、休憩のついでに自転車を牧草地に持ち出して写真を撮るが、その時、草にからまれてスタンドの先端のゴムをなくしてしまった。休憩中にその事に気付いて必死になって自転車を持ち込んだあたりを探したが、深い草むらの中で小さなゴムを発見する事は困難で、とうとう見つけられなかった。
 さらに自転車を走らせるが、この国道392号線は山道となっており、ひたすらアップダウンを繰り返すので走りにくい。釧勝峠の本別側はアップダウンはほとんどなく、釧勝峠に向かって単調に登っていくだけだが、白糠側はアップダウンだらけだ。私はこの国道392号線を本別側から入って本当によかったと思ってしまった。なぜなら白糠側から入っていたら標高420mの釧勝峠を越えるのに、せっかく標高300mまで登って「あと120mだ」と思っても再び標高250mまで下るというような事を繰り返していたら、そのうち嫌になってしまった事だろう。
 二股までは人家のほとんどない山道が続いたが、二股でようやく小さな集落が見えてきた。この国道392号線の釧勝峠以降はタクタクベオベツ川、そして二股からは名前を変えて茶路川の渓谷に沿って走る。ところが二股を過ぎた頃から茶路川に鉄橋が見えてきた。これは旧国鉄白糠線の廃線跡だ。白糠から二股まで走っており、計画では足寄まで延びる予定だったが、沿線の炭坑の閉山に伴い人口が激減。国鉄再建法の制定により1983年に真っ先に廃線となってしまった線路だ。この廃線跡の鉄橋はその後も数多く見られた
撮影日時:2006/08/15 09:40:00 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:141mm
国道392号線沿いにも牧場はある
撮影日時:2006/08/15 09:49:47 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:45mm
旧国鉄白糠線の廃線跡の鉄橋
 さらに走ると上茶路に到着。ここには白糠町青少年旅行村キャンプ場があり、阿寒までたどり着けなかった場合の緊急避難用のキャンプ場として考えていたが、まだ10時30分だし先に進む事にする。上茶路を過ぎた頃、再び雨が降り出した。まだ路面が濡れるほどではなかったのでレインスーツを着る事なく我慢して走る。上茶路から5kmほど走ったところで再び休憩。10時40分で80kmを走破しているのでかなりハイペースだ。
 雨が強くなりはじめたので仕方なくレインスーツを着る。この頃から南からの逆風が強くなりはじめ、雨と逆風の二重苦に苦しんだ。昨日も今日も終盤になってから逆風に苦しむものだと嘆く。雨はそれからも降り続き、レインスーツを着て走り続ける事になる。
 中茶路を過ぎ12時前になった時、白糠の町に迫っていたので、町に入る前に休憩を取り、おにぎりでも食べようと考えた。しかしせっかくお腹を空かせた状態で町に入るのだから何かうまいものでも食べる事にした。ましてこの3日間、野菜をまったく食べていなかったので、何が何でも野菜を食べたかったのだ。白糠の町に迫った頃から雨が止んだが、白糠の町が近かったのでレインスーツを着たまま走り続けた。
 12時ちょうどに白糠の町に入り国道38号線に入る。ここまで103km。午前中で100kmを超えたのだからこれは記録だろう。まして峠越えやアップダウンがあったのに我ながらすごいものだ。国道38号線を走りながら、どこで昼食を食べようかとあたりを見回しながら悩む。厚岸だったらカキとすぐにわかるのだが、白糠の名物が何かまったくわからないのだ。仕方なく国道38号線沿いにあった、白糠で一番大きいと思われるファミリー向けのレストラン「はまなす」で食べる事にした。雨の中を走っていたのでレインスーツを着ていたとはいえ服は濡れていたが、気にしていてはメシも食えないので気にせずに入る。
シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:38mm
NHKが取材していたレストランはまなす
 12時というかきいれ時なのだから、一人の客はカウンター席の方がいいのではないかと思ったが、案内されたのは4人がけのテーブル席だった。案内されては仕方がないのでテーブル席に座るが、案の定5分後には満席になり、店の入口で行列ができはじめた。とりあえず私はメニューも見ずに日替わりランチを注文する。だいたいこの手の店では日替わりランチが一番リーズナブルだし、料理が出てくるのも早いものだ。
 さて、料理を注文して落ち着いたところで店内を見渡すと、何やら店の中で大きなカメラやライトなどの撮影機材を持ち込んで取材をしているのに気付いた。最初は誰か有名人でも来ているのかと思って、取材されている人を見たが、芸能人に疎い私にはまったくわからない。しかし取材陣は今度は別のテーブルの移って取材を始めたので、どうやら有名人ではなく、店の取材で店に来る人の話を聞いているという事がわかった。もしかしたら自分も取材されるのではないかと思ったが、よく考えたら汚いチャリダーが一人でメシを食べているのを、いったい誰が取材するというのか。まして今日は雨だったので服や頭は濡れたままだし、絶対に取材される事はないと安心して料理が出て来るのを待つ。注文から10分ほど待っていると料理が出てきた。今日の日替わり定食はハヤシライスとサラダ、スープ、コーヒーだ。ハヤシライスに入っている牛肉がとてもおいしかった。
 食事を食べ終え、食後のコーヒーが出された時、「すみませんNHKですが取材よろしいですか?」と声をかけられた。その時の会話の内容は以下のようなものだった。
 「今日はどちらから来られましたか?」
 「東京から来ましたけど、今日は池田町から自転車で走ってきました。」
私にとってどこから来たかと、どこに行くのかという質問が一番難しい。今日は池田町から来たけど池田町に住んでいるわけではないし、まして東京には住んでいるが、言葉は大阪弁丸出しなので、こんな大阪弁を喋る東京の人間がいるかと突っ込まれそうだ。
 「この店が地元の名産の食材を使う店で知られているのは御存じですか?」
 「いえ、知りません。適当に入っただけなので… 白糠に名産なんってありましたっけ?」
和商市場のようにこの店が目的で来たのならともかく、そんなの知る訳ないやん。だいたい白糠の名産って何? 厚岸ならカキってわかるけど。
 「メニューにこの食材を作った人の名前と顔写真が載っているのはどう思われました?」
 「え? そんなのが載っていたのですか? メニューを見ずに注文したので気付きませんでした。」
だってメニュー見なかったんだもん。こんな応対では絶対にカットだな。そこで取材者にむりやりメニューを見せられるが、テレビカメラもメニューを写そうとするので、その内容まではほとんど見えなかった。それでもチーズ工房や綿羊牧場などの生産者の顔写真が写っていたのは見えた。
 「こんな風に生産者の顔が見えるのはどう思われますか?」
 「いいですねえ〜 こういう取り組みは」
 「チーズなんかはここから10kmほど山に入ったところにあるチーズ工房酪恵舎で作ってるんですよ、行ってみたいと思いませんか?」
 「ぜひ機会があれば」
白糠のチーズなんか聞いた事ないよ。チーズと言えば東藻琴のカマンベールチーズでしょと喉元まで出かかったが、ぐっとこらえて我慢する。
 「チーズ工房酪恵舎は、ここから国道392号線を北に10kmほど走った所にあるのですよ」
 「その道はついさっき走ってきたけどチーズ工房は見かけなかったなぁ〜」
どうやら取材陣は私をチーズ工房酪恵舎に行かせたいような雰囲気だったが、そうでなくてもあと30km以上走らなければならないのに、これ以上のロスはしたくなかったので、うやむやに回答して何とか取材は終った。
 こんないいかげんな回答しかしなかったので、間違いなくカットだろう。もう少しディレクターの求めるような回答を嘘でもいいから答えた方がよかったのだろうか。10分近くインタビューされ、上記以外にも色々聞かれたような気がしたが、あまり何を言ったか覚えていない。どうせ汚いチャリダーなど放映に耐えないのだから間違いなくカットだろうし、万が一にも間違って放映されたとしても、NHKとはいえ地元のローカル番組に使うくらいだから、私がそれを見る事は絶対にないだろう。インタビューが終った後、取材クルーの一人が私に自転車ツーリングの事をいくつか聞いてきた。店の取材よりも私の体験の方が興味があったようだが、それに関して取材される事はなかった。
 インタビューという奇特な体験をした後、12時30分には店を出る。自転車は店の駐車場の車を止めるところに止めていたが、店は満員で駐車場まで満車になっており、私が出発の準備をしていると私の止めていた場所にまさに車を入れようとしていた。何となくせかされているように感じだが、店も行列ができるほど満員になっていたので、車を止める前に、先に同乗の人が店の様子を確認された方がいいですよとアドバイスして店を後にした。
 国道38号線を東に走ると、やがて海沿いを走るようになった。雨は完全に止んでいたのでレインスーツを脱いで走るが、霧で視界は500mくらいしかなく、海はほとんど見えなかった。3年前にもこの道を逆方向に走った事があったが、その時にもこんな小雨の降る霧で海は見えなかった。白糠から釧路までの国道38号線は海岸線沿いを走っており、おまけに私は反時計回りに走っているのでチャリダーによく出会う。池田から白糠までは一人のチャリダーとも出会わなかったが、この国道38号線ではわずかの短い期間で3名のソロのチャリダーに出会った。チャリダーの多くは海岸線沿いを時計回りに走るので海岸線沿いを反時計回りで走ると、チャリダーによく出会うというわけだ。逆に今日私が走ったような内陸、しかも峠道ではチャリダーはほとんど見かけない。私はアップダウンの続く道は嫌いだが、峠は好きなので峠道もよく走るが、一般的なチャリダーは海岸線沿いの平地しか走らないようだ。
 今日は阿寒町のあかんランド丹頂の里キャンプ場に泊まる予定だが、そこへ行く道に釧路空港へのショートカットを使うつもりでいた。しかしツーリングマップルをよく見ると、この道は等高線を何回か越えている。これは丘越えがある事を意味する。まだ13時前と今日は予想外に時間的余裕ができた事から、大回りして国道38号線から釧路の町をかすめるようにして直接国道240号線に行く事にした。
撮影日時:2006/08/15 13:05:55 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
恋問海岸の碑をバックに自転車を撮影
撮影日時:2006/08/15 13:12:32 シャッター速度:1/200 絞り:F10 焦点距離:40mm
恋問海岸は海が荒れていた
 途中、道の駅「しらぬか恋問」が見えてきた。この道の駅は3年前に隣接するコンビニで買い物した覚えがあったが、今日は先程レストランで食事したばかりなのでコンビニにも用はない。そのまま素通りしようとしたが、よく見るとこの道の駅から海岸に降りる事ができるのを発見。すぐにUターンして駐車場に自転車を止め恋問海岸まで下りてみた。波がかなり高くて泳ぐ事はできなかったが、多くの人が休憩がてらに海岸まで下りていた。私も海岸に降りて波打ち際まで行き、荒れる海の写真を撮った。道の駅を出る時、チャリダーの大群が駐車場に入ってきたのを見たが、どうやら彼らは私に気付く事はなかった。
撮影日時:2006/08/15 12:56:09 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
霧の深い国道38号線を走る
撮影日時:2006/08/15 13:21:12 シャッター速度:1/250 絞り:F8.0 焦点距離:170mm
ようやく釧路市に入る
 道の駅を出発して再び国道38号線を東に走る。このあたりの国道38号線は付近に建物も何もなく、左手には牧草地、右手には海という、ただっ広い中にあるひたすらまっすぐな直線をどこまでも走る。しかもこの区間では追い風だったので、楽に走る事ができた。釧路市街に近づくと、すぐに国道240号線との分岐が見えてきたので左折して国道240号線に入る。不思議な事に国道240号線でも追い風だった。しかし国道240号線をしばらく走り海岸から離れると霧雨が降りだした。まだ路面は濡れていないが、レインスーツを着るかどうかは微妙なところだ。私はレインスーツを着るのが面倒だったので、そのまま霧雨の中を走り続けた。
撮影日時:2006/08/15 13:28:06 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:200mm
今日は13時になっても20℃しかない
撮影日時:2006/08/15 13:40:00 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
国道240号線は釧路湿原に沿って走る
 阿寒の町までは国道240号線に入ってからも22〜23km走らなければならないが、レストランで久しぶりにまともな食事を食べたおかげでパワーがみなぎり、休憩なしでハイペースで走り続けた。この国道240号線沿いは畑や牧草地ばかりだったが霧で視界が悪く、写真撮影をほとんどしないまま走り続け釧路市丹頂鶴自然公園も通過、14時30分に阿寒の町に入る。阿寒の町の交差点に「風雪に耐えて伸びゆく我が阿寒」という看板があり、この町が冬の間、いかに厳しい気象条件になるかがうかがわれた。阿寒の町を走ってもキャンプ場は見つからなかったので、ツーリングマップルをよく見ると、目的のあかんランド丹頂の里キャンプ場は阿寒の町から4kmほど先に走ったところにある事が判明。阿寒の町を抜けてさらに国道240号線を北に走り、ようやく14時50分に道の駅「阿寒丹頂の里」に到着した。
撮影日時:2006/08/15 14:32:55 シャッター速度:1/200 絞り:F8.0 焦点距離:141mm
風雪に耐えて伸びゆく我が阿寒
とはさぞかし冬は厳しいに違いない
撮影日時:2006/08/15 16:06:55 シャッター速度:1/40 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
阿寒自然休養村野営場でのキャンプ風景
 道の駅の向かいにはサークルハウスという温泉があり、目的のあかんランド丹頂の里キャンプ場は、そのすぐそばにあるはずなのだが、どこにあるのかわからない。阿寒自然休養村野営場の標識ならあるのだが、ここは730円と高いので、できればここは避け、520円のあかんランド丹頂の里キャンプ場に泊まろうと考えていたが、どうしても目的のあかんランド丹頂の里キャンプ場を見つける事ができない。結局、あかんランド丹頂の里キャンプ場は阿寒自然休養村野営場に名前を変えて値上げしたのだという事で結論付けてしまい、阿寒自然休養村野営場に泊まる事にした。後で知った話だが、あかんランド丹頂の里は阿寒自然休養村の愛称であり、同じ施設という事だそうだ。
 阿寒自然休養村野営場は標識こそあったが、サークルハウスの温泉からどうやって行くのかよくわからない。自転車道らしき道を適当に走っていたら、最初はキャンプ場の管理人さんの家と思われる民家の庭先に入ってしまった。引き返して別の道を進むと、今度は公園にたどり着いた。何度も道を走り直して、15時ちょうどにようやく受付に到着した。受付を済ませるとテントをどこに張ろうかと悩む。今夜は絶対に雨が降りそうだから水はけのよい場所にテントを張りたいし、このキャンプ場は家族連れが多いので、できれば家族連れのテントからは離れたい。そこで自転車でキャンプ場をぐるっと一回りすると、通路沿いの大きな木の下に少し高い場所があり、ここなら水たまりができる心配はないし、大きな木の下なので雨も多少なら防げると考え、この大きな木の下にテントを張る事にした。慎重に場所を選ぶと設営を開始し、15時25分にはテントを張り終えた。
 先程、国道240号線を走っていた時、阿寒の町でコンビニを発見していた。そこで温泉に行く前にコンビニで弁当と寝酒の買い出しに行く事にした。今日は自炊してもいいのだが、ガスが残り少ないので、コンビニのある場所ではできる限りコンビニ弁当を食べる事にする。片道4kmの往復8kmの走りだが、ここでもハイペースで飛ばし、16時にはキャンプ場に戻ってきた。仕度をして16時20分から温泉に向かう。温泉はキャンプ場の隣にあるのだが距離は少し離れており、遊歩道を歩いて行く。この温泉サークルハウスはツーリングマップルによると赤いベレー帽を被って入浴すると書かれていたので、どんな温泉なのかと楽しみにしていたが、実際にはそんな事はなく、至って普通の温泉だった。
 この温泉には残念な事に露天風呂がなかったが水風呂はあったので、浴室から出る時に水風呂に2分間浸かってから脱衣場に出る。これをすると脱衣場で着替えている最中に汗をかかないのでありがたい。16時50分から温泉のとても広い休憩室で旅の日記を書く。今日は取材を受けたりと書く事がたくさんあったので、2時間かかっても書き終える事はできなかった。しかしこれ以上テントに戻るのが遅くなると真っ暗になってテントまで戻れなくなってしまうので、適当なところで切り上げて18時50分にテントに戻ってきたが、それでもほとんど真っ暗になっていた。
撮影日時:2006/08/15 16:08:09 シャッター速度:1/60 絞り:F5.0 焦点距離:64mm
池の対岸には公園がある
撮影日時:2006/08/15 18:53:34 シャッター速度:1/15 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
夜には家族連れが花火をしていた
 今日で3日連続のコンビニ弁当になってしまった。自炊するのが嫌なのではなく、単にガスの残量が足りないだけなので、本当は自炊したいのだ。時間があれば今日も夕食は自炊して、弁当は明日の朝にでも食べようと考えていたが、さすがにこの時間ではもうあたりは真っ暗で自炊は不可能だった。ヘッドライトを照らしながらなら自炊できない事もないが、弁当が買ってあるのにさすがにそこまでして自炊したいとは思わず、結局テントの中でコンビニ弁当を食べた。食事が終ると19時10分からエアーサロンパスを足に吹きかけて至福の時を過ごす。そして20時から再び旅の日記を書く。
 それにしても今日はよく走った。距離、スピード共に、こんなに走ったのは3年前以来だろう。釧勝峠を越えたのにこの記録はたいしたものだ。きっとレストランでの食事が後半のパワーを持続させた原因に違いない。
 明日以降の道東の天気予報は、16日…雨のち曇り、17日…雨、18日…曇り一時雨、19日…曇り一時雨となっている。これでは多和平開陽台などの展望台はあきらめた方がいいかもしれない。一昨日決めたばかりの計画が早くも無駄になりそうな気配が濃厚だ。とりあえず明日は釧路阿寒自転車道で釧路まで行き和商市場で勝手丼を食べた後、釧路湿原道路を通ってシラルトロ湖キャンプ場に行くとしよう。このキャンプ場の奥にはシラルトロ歩道がありその先には釧路湿原を見下ろす展望台があるというので、そこで夕陽が見れれば嬉しいのだが、明日の天気予報は雨のち曇りなのできっと無理だろう。
 このキャンプ場はテントを張る場所によってはオートキャンプもできるので家族連れが多く、花火までしていてとても賑やかだ。今日はよく走ったが気温が低かったので水を2リットルしか飲んでいない。今夜も冷え込みそうだったので、ジャージの上を着込んで21時に就寝する。

走行データ
走行距離   154.1km
走行時間   8時間15分
ペダリング数   23300回
平均時速   18.6km/h
最大速度   49.7km/h
平均ペダリング数   47rpm
総走行距離   1355.2km
天候   曇り
最高気温/最低気温   23℃/22℃

食事
朝食   パン
昼食   ハヤシライス
夕食   弁当(コンビニ)

出費
朝(コンビニ)   飲むヨーグルト、パン、ジュース、おにぎり   514円
朝(コンビニ)   おにぎり   135円
昼(レストラン)   日替わり定食   819円
キャンプ場   阿寒自然休養村野営場   730円
夕(コンビニ)   弁当、寝酒、クッキー   790円
温泉   サークルハウス赤いベレー   400円
温泉   ジュース   120円
合計   3508円

キャンプ場
名称   阿寒自然休養村野営場
場所   阿寒町の北5kmくらい
  北緯43度08分35秒、東経144度08分28秒
費用   730円
設備   トイレ、炊事場
風呂   隣にサークルハウス赤いベレー
ゴミ   ゴミ箱あり
行きやすさ   道の駅の向かい
乗り入れ   テントまでバイク・車の乗り入れ可
特徴   阿寒町にあるキャンプ場
  キャンプ場はわかっても入口がわかりにくいかも
  公園と一体になっており昼間からテントを張るのは気が引ける
  家族連れ中心のキャンプ場だがトイレは汚い
  遊歩道や自転車道があり朝早くに散歩したくなる
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