第28話 忍びよる影 |
パレーおば様とチルトン先生は結婚し、とうとうポリアンナはベルディングスビルに帰って来る事になりました。駅に着いたポリアンナは何十人ものベルディングスビルの人々に出迎えられ大感激してしまいます。そればかりでなく今日からハリントン家でパレーおば様とチルトン先生と一緒に暮す事ができるのです。ポリアンナには夢のようでした。パレーおば様は昼間、チルトン先生の診療所のお手伝いをしています。ニューヨークの偉い先生がさじを投げたポリアンナの足をチルトン先生が治したと言ってチルトン先生の診療所は大繁盛で、チルトン先生もパレーおば様も大忙しでした。1週間が過ぎてポリアンナは検査とリハビリテーションの為、再びパレーおば様と一緒にボストンへ向かいました。5時間を越える旅の後の検査や訓練はポリアンナにとって想像以上に苦しいものでした。しかしそれ以上に慣れない診療所の仕事で疲れの重なっているパレーには骨の折れる事だったのです。病院で倒れそうになったパレーおば様を見てポリアンナはたいそう心配するのでした。 |
第29話 さよなら!ベルディングスビル |
それから数日後、休暇を取ったデラがチルトン先生の診療所を訪ねてきました。そしてポリアンナを貸してくれと言うのです。デラにはポストンに1人で住む姉がいました。デラは暗く不幸せな毎日を送っている姉の為にポリアンナと一緒に病院に通う2〜3ヶ月の間だけ、姉と一緒に住んでもらって、そこから病院に通ってもらおうと考えたのです。パレーおば様は反対でした。最愛のポリアンナを片時も手放したくなかったのです。チルトン先生に相談したうえ、パレーはテラの提案を断る事にしました。ところが次に検査の為にボストンに行こうとした時、パレーおば様は疲労の為、倒れてしまったのです。パレーおば様はチルトン先生が看病し、ポリアンナはティモシーがボストンの病院に連れていく事になりました。ポリアンナの小さな胸は痛みました。家中が忙しさにてんてこ舞いしたあげく、ついにパレーおば様が倒れてしまったというのに何の役にも立てないどころか週に1度病院に通わねばならない為にいっそうみんなを忙しくさせているのがポリアンナには辛くてたまらなかったのです。 |
第30話 大都会ボストンの生活 |
ボストンのカリウ夫人の家に着いたポリアンナはびっくりしてしまいました。ポリアンナはてっきりカリウ夫人の家は貧乏だと思い込んでいたのですが、とんでもなくお金持ちの家だったのです。ハリントン家やペンデルトン家もお金持ちでしたが、カリウ家はその何倍もお金持ちだったのです。こんな大きな家にチップマックを持って入ると怒られると思ったポリアンナは、とりあえずチップマックを玄関脇の植え込みにカゴごと隠しておく事にしました。ポリアンナは宮殿と見間違うばかりの豪華な建物や部屋に大喜びです。ポリアンナはカリウ夫人に簡単な挨拶をすませるとメイドのメアリに部屋に連れていってもらいました。ポリアンナの暮す事になった部屋もまた豪華でした。ポリアンナはてっきり屋根裏部屋のような部屋で生活するものだと思い込んでいただけに大喜びでした。ところがカリウ夫人はデラを呼び出すと、エームス先生が頼むから仕方なく預かるが少しでも面倒を起こしたらすぐに追い出しますからねと言うのです。カリウ夫人はうるさくされるのが大嫌いだったので、ポリアンナの存在が煙たかったのです。デラはポリアンナをカリウに任せるとさっさと帰ってしまいました。ポリアンナは昼間からカーテンをかけた暗い部屋で静かにしているカリウ婦人のもとにやってくると、さっそくにもカリウ夫人に部屋の中を案内させ、さらには衣装部屋で何十着もある素敵なドレスを見ると感激して、その中の一番素敵なパーティー用のドレスを取り出すとカリウ夫人に着てくれるようにお願いするのでした。ポリアンナの頼みを断る事のできなかったカリウ夫人は、すっかりとポリアンナのペースに乗せられ頭を抱え当惑しながらも渋々ドレスを着るのですが、あまりのポリアンナの喜びように半ばあきれ顔でカリウ夫人はポリアンナを眺めるのでした。 |
第31話 チップマックがいない! |
翌朝、検査の為、病院に行こうと玄関に出たポリアンナはチップマックを探しますが、チップマックはどこにも見つかりません。とうとうポリアンナは泣き出してしまいました。このあたりには野生のリスがたくさんいるからチップマックも嬉しくて遊んでいるだけでしょうとメアリが言ってくれたのでポリアンナも安心して病院に行く事にしました。しかしポリアンナが病院から戻ってきてもチップマックは戻ってきていませんでした。ポリアンナはお昼までに見つければ大丈夫、そう思って引き止められないようにそっとカリウ家を抜け出す事にしました。ポリアンナはボストンの公園を探し回りました。しかしどこにもチップマックは見つかりません。ポリアンナは通りかかる人にシマリスを見かけなかったか尋ねますが、誰も相手にしてくれません。ポリアンナはボストンの町のほとんどの人が知らない人とは口をきこうとしないのが不思議でした。でも誰も答えてくれない以上、1人でチップマックを探すしかありませんでした。 |
第32話 迷子のポリアンナ |
とうとう夕方になってしまいました。ポリアンナは自分がどこにいるのか、そしてどこに向かっているのかまったくわからないまま、足の痛さをこらえて歩き続けていました。しかしとうとうポリアンナはベンチに座り込むと泣き出してしまいます。ところが新聞売りの少年ミッキーがポリアンナを見かねて声をかけてくれました。ポリアンナはやっと言葉が通じる人間に出会えてほっとします。ポリアンナはミッキーにカリウ夫人の家を尋ねますが、ミッキーは知りません。そればかりかポリアンナは昨日ボストンに来たばかりなのでカリウ夫人の住所を覚えていなかったのです。それでもポリアンナはカリウ夫人の家の前の道に沿って公園がある事を告げると、ミッキーはそれがコモンウェールズ並木通りだと判明したので、新聞を売った後、ポリアンナをそこまで連れて行く事にしました。カリウ家に向かう道でポリアンナはとうとう足の痛みで歩けなくなってしまいます。仕方なくミッキーはポリアンナをおんぶしてカリウ家に向かうのでした。そしてポリアンナは疲れからミッキーの背中で眠るのでした。 |
第33話 チップマックはどこ? |
数日前、ジェームスがリスに餌をあげているとシマリスがやってきて餌をねだり、それ以来ジェームスはシマリスを飼うようになっていたのでした。しかしポリアンナが事情を話してチップマックを返してもらいます。ジェームスとお友達になったポリアンナはこれからもチップマックと一緒に公園へ遊びに行かせてもらえるようカリウ夫人にお願いしますが、カリウ夫人は承諾してくれません。しかしポリアンナがあまり熱心にお願いするのでカリウ夫人も承諾しないわけにはいかなくなってしまい、知らない人と話をしない、帰る時の他は公園を出ない、4時半になったら寄り道せずに帰ってくる事を条件に、とうとうポリアンナが1人で公園へ行く事を許してしまいます。 |
第34話 カリウ夫人の悲しい秘密 |
日曜日、ポリアンナは朝から御機嫌でした。それは日曜日の朝は教会に礼拝に行けるからです。目を閉じて牧師様のお話を聞いていると、まるでお父さんといるようでポリアンナは嬉しくてたまらなかったのです。教会には何時頃出かけるのか聞かれたカリウ夫人は返答に困ってしまいました。それはカリウ夫人はここ何年もの間、教会には足を踏み入れた事がなかったのです。しかしポリアンナは頭から行くものと信じ込んでいる為、断りきれなくなって、とうとうポリアンナと一緒に教会へ出かける事になってしまいました。教会に入ったポリアンナは大喜びでした。ところが子供の聖歌隊を見たカリウ夫人は落ちつきをなくし、聖歌が始まると席を立って教会の外に出て行ってしまったのです。カリウ夫人は泣いていました。カリウ夫人は6年前に、まだ幼い甥のジェミーが行方不明になっており、聖歌隊の少年を見てジェミーを想い出してしまったのでした。帰り道にポリアンナはカリウ夫人に言いました。「私ね、本当はおば様の為に一緒に良かった探しをしようと思っていたのよ。でも、おば様にはおできにならないわ。だって全然必要がないんですもの、おできになりっこないわ」それを聞いたカリウ夫人は怒って先に帰ってしまいます。 |
第35話 若君ジェームス |
6年前、最愛の甥、ジェミー・ケントが行方知れずになってから何の希望もない暗い不幸せな毎日を送るようになったというカリウ夫人の話はポリアンナをひどく悲しませました。そこでポリアンナは親切な新聞売りのミッキーにジェミーを探してもらおうと考えたのです。でも公園に行ってもミッキーはおろか、ジェームスすら来ていませんでした。ポリアンナの病院通いはもうすぐ終わってしまいます。しかしポリアンナはジェミーを見つけるまではベルディングスビルに帰れないと考えたのです。 |
第36話 路地裏の天使 |
ポリアンナとミッキー、カリウ夫人の3人は路地裏の貧しいアパートの階段を上っていきます。階段や床は所々穴が開いており、階段の柵は今にも外れてしまいそうでした。そこはお金持ちのカリウ夫人には見た事もないような光景だったのです。ジェミーがこんな場所で生活しているとは… カリウ夫人はそう思わずにはいられないのでした。ポリアンナは激しく動揺するカリウ夫人の姿に不安を抱かずにはいられませんでした。ポリアンナとカリウ夫人はジェミーに会いました。カリウ夫人はジェミーの顔を見つめると、ジェミーに名前を聞きました。しかしジェミーという名前の他は何も覚えていなかったのです。カリウ夫人はどんなに突っ込んで問いただしてみても、いっこうに手がかりになるような答えは引き出せませんでした。カリウ夫人はジェミーが自分の探しているジェミー・ケントではないと判断して席を立ちました。ところがジェミーはポリアンナにもう会えないと言うのです。ジェミーの家ではカーヤがリュウマチで働けなくなり、ミッキーの給料だけではアパートに住む事すらできないのでした。ジェミーは行くあてすらないと聞いてポリアンナはカリウ夫人に何とかしてあげてほしいとお願いします。カリウ夫人はお金を援助しようと申し出ますが、カーヤは「ありがとうございますが、それはお断りさせて頂きます。私どもは貧しい暮しをしておりますが、まだ人様の施しを受けたことはございません」と言って辞退するのでした。カリウ夫人は勝手にするがいいわと言って出て行こうとしますが、あまりのボロアパートに嫌気がさし、カーヤにアパートの持ち主の名前を問います。カーヤは持ち主の名前を知りませんでしたが管理人の名前はヘンリー・ドッジだと言うのです。それを聞いたカリウ夫人はショックを受けアパートを後にするのでした。 |
第37話 本当のジェミーが欲しい!! |
カリウ夫人はいたたまれなくなってデラを呼び出します。デラはてっきりポリアンナが何かをしでかして追い出されようとしているのだと思い込んでいました。しかしカリウ夫人はデラとメイドのブリジットを連れてジェミーの見舞いに行ったのです。カリウ夫人はジェミーが自分の探しているジェミー・ケントかを見分ける事ができなかったので、ジェミーを知っているデラとブリジットにも見てもらおうと考えたのでした。ジェミーの住むアパートは見違えるほどきれいになっており、大家さんの口利きで家賃の支払いも待ってもらえるようになったとジェミーは大喜びでした。ところがデラもブリジットもジェミーがカリウ夫人の探しているジェミー・ケントかを見分ける事ができなかったのです。 |
第38話 どうして幸福になれないの? |
カリウ夫人は怒って帰ってしまいます。そしてそれから数日の間、寝込んでしまいました。ポリアンナは自分が無理にジェミーに会わせた為にカリウ夫人が寝込んだのだと思い込んで胸を傷めていました。 |
第39話 さよならパーティ事件 |
パーティーにはミッキーやジェミーだけでなくパレーおば様もベルディングスビルから駆けつけました。ポリアンナはパレーおば様に出会って抱き合って喜びますが、カリウ夫人を1人にして帰れないと言って泣き出したのです。ポリアンナはどうしてもカリウ夫人の為にジェミーを見つけたかったのです。その光景を影から見ていたカリウ夫人は自分の事をそこまで考えてくれるポリアンナを思って泣き出してしまいました。 |
第40話 たのしいボストン見物 |
ボストン見物はポリアンナとサディ、ジェミー、カリウ夫人の4人で出かけました。カリウ夫人はジェミーと知り合ううちにジェミーが気になります。ジェミーは足が悪くて一生歩く事ができず、しかも貧しくて1日中何も食べられない日もあるのです。それでも明るく他人への思いやりを忘れないジェミーにカリウ夫人は心を引かれだしたのです。そしていよいよ明日がボストン見物の最終日という日の夜、ポリアンナはカリウ夫人にジェミーを探してあげられなかった事を謝ります。カリウ夫人はポリアンナがいなくなっても良かった探しを続けると言ってポリアンナを安心させるのでした。しかしカリウ夫人には自信がありませんでした。ポリアンナがベルディングスビルに帰ってしまうと、また再び暗い生活に戻ってしまうのではないかと… そう考えるとカリウ夫人は涙が止まりませんでした。 |
第41話 嵐のはじまり |
ポリアンナはジミーだったら喜んで聞いてくれると思っていただけに、ショックですっかり悲しくなってしまいました。しょんぼり帰って来たポリアンナを見てトムは「ジミーはジェミーの事ではなくお嬢様のボストンでの生活を聞きたかったのですよ」と言ってくれたのでポリアンナは安心して家に帰るのでした。 |
第42話 失われた帰り道 |
パーティーもたけなわの頃、順番に歌を唄う事になりポリアンナとジミーは「星屑のシャンデリア」を歌います。今度はパレーおば様とチルトン先生の番になりましたが、チルトン先生の提案でみんなでロンドン橋の歌を輪唱する事になりました。その時ウィリスさんの家から急患の電話が入りチルトン先生は往診に出かける事になったのです。外は雨が降りそうな気配がしていました。ティモシーが御者を務めようとしますが、パーティーを抜けさせるのは申し訳ないとチルトン先生が1人で行く事になります。チルトン先生が馬車を走らせていると嵐の気配がしてきました。ウィリスさんの家に着く頃にはすっかりと雨が降りだしてしまいます。そしてウィリスさんを診断した後、嵐だからと言って引き止めるウィリスさんにパーティーの途中を抜けてきたからと言って嵐の中、馬車を走らせるのでした。 |
第43話 死なないでチルトン先生! |
パレーおば様とポリアンナはチルトン先生の帰りがあまりに遅いので心配してウィリスさんの家に電話すると2時間も前に家を出たと言うのです。トムとティモシーは嵐の中を探しに行くと馬のコニーだけがびっこを引きながら戻って来るのです。チルトン先生に何かあったに違いないとトムとティモシーは嵐の中を必死になって探していると、崖の下にチルトン先生が倒れているのを見つけたのでした。 |
第44話 悲しみをのりこえて |
ポリアンナはジェミーの名前を出すとジミーが機嫌を悪くするので、これからはミッキーのようにジェミーをジェームスと呼ぶ事にしました。ポリアンナが家に戻るとパレーおば様の姿が見えませんでした。食事の時間だというのに戻って来ないパレーおば様が心配になり、ポリアンナは探しに行きます。チルトン先生のお墓に行ったポリアンナはそこにバラの花が手向けられているのを見ました。誰にも知らさずそっとバラの花を供えに来たパレーおば様の気持ちを考えるとポリアンナの胸は痛みました。パレーおば様はチルトン先生の診療所に来ていました。そこでチルトン先生と一緒に働いていた楽しかった2ヶ月間を想い出していました。そしてこれから先どうやって生きていけばいいのかわからず泣き続けていたのです。ポリアンナが食事に誘いますが、食べたくないと言うばかりか1人にしておいてと言ってポリアンナを追い出すと、また泣き続けるのです。ポリアンナはカリウ夫人が来て賑やかになったらパレーおば様も元気になるだろうと思っていたのですが、この様子だとパレーおば様はカリウ夫人に会わないかも知れないと思うと、ポリアンナは小さな胸を痛めるのでした。 |
第45話 荒れた花園 |
でもそんなポリアンナの不安もカリウ夫人とジェミーに会うとどこかに吹き飛んでしまいました。しかしカリウ夫人が屋敷に着くとパレーおば様は挨拶だけ済ませるとすぐに部屋に引きこもってしまったのです。ポリアンナは悲しくなってしまいますが、カリウ夫人は優しくポリアンナを慰めるのでした。 |
第46話 ジェミー・ケントの謎 |
チルトン先生の突然の死によってすっかり気落ちしたトムは今日まで仕事をする気力さえなくしていたのです。ようやく立ち直りを見せたのはジミーの懸命な説得のおかげでしたが、ポリアンナはその事を知りませんでした。そしてポリアンナとジェミーはトムを手伝って荒れたバラ園の手入れをするのでした。 |
第47話 危険な遊び |
ポリアンナとジミーはジェミーを丘の上に連れて行きました。都会暮しのジェミーは丘の上の岩山から見える大自然の風景に感激してしまいました。残されたパレーおば様とペンデルトンさん、カリウ夫人は自分達の不思議な巡り合わせを語りました。それはこの3人は、いずれも自分の子供でない子供を預かっているのです。しかも預かるつもりなんかまったくなかったのに、ポリアンナのおかげで今では預かって良かったと思っている。そう言って3人は語り合うのでした。 |
第48話 助けて!ジェミー |
ポリアンナは自力では這い上がる事すらできません。しかしジミーは馬を取りに行っており、車椅子のジェミーはもちろん、お嬢様育ちのサディも助けに行く事はできませんでした。そこへジミーが馬に乗って駆けつけるとポリアンナを助けだしたのです。ポリアンナはジミーのおかげだと言って大喜びしますがジェミーは泣き出してしまいます。ジェミーはポリアンナが危険な目に逢っても自分は何もする事ができなかったのです。そしてジェミーは歩けるようになりたいと心から願うのでした。本当のジェミー・ケントでありたい、ジェミーは今そう願わずにはいられませんでした。本当のジェミー・ケントであれば安心して手術のできる日を待つ事ができるのです。 |
第49話 解きあかされた過去 |
そしてついにカリウ夫人の一行がボストンに帰る日が明日に迫りました。カリウ夫人はどうしてもジミーを以前に見たような気がしたので、デラに相談しました。そしてジミーがジェミー・ケントではないかと考え始めたのです。そこへポリアンナがやって来ました。カリウ夫人は訳を話してポリアンナにジミーの小さい頃の話しを聞きます。ポリアンナはジミーがジェミー・ケントであるはずかないと言って笑いますが、ジミーから昔聞いた農家での話をしました。それはハリー弁護士の報告にぴったり一致したのです。しかしそれだけでジミーをジェミー・ケントだと決めるわけにはいきません。もっと確かな証拠が必要だとカリウ夫人やデラは言いました。ポリアンナは確かな証拠の存在を知っていました。ジミーには素性の書かれた書類袋がある事を… 1年近く前、ポリアンナはジミーをペンデルトンさんの息子にしたくて、その書類袋を取りに行って事故に遭ってしまったのです。でもポリアンナにはその確かな証拠の存在を言う事はできませんでした。もしジミーがジェミー・ケントだとすれば、今カリウ家で暮しているジェミーはきっと出て行ってしまうでしょう。あれだけ手術して歩けるようになる事を楽しみにしているジェミーを悲しませるような事はポリアンナにはできなかったのです。それにジミーがジェミー・ケントだとするとジミーはペンデルトンさんのもとを離れカリウ家で暮す事になります。そうなったらせっかく子供ができて明るくなったペンデルトンさんは、また昔のペンデルトンさんに戻ってしまうと考えたのです。ポリアンナはどうしたらいいのか悩みました。そしてポリアンナはパレーおば様に相談に行き、すべてを話しました。パレーおば様にも決断に困る問題でしたが、パレーおば様は一晩かかって結論を下しました。 |
第50話 ボクがジェミーだ! |
そうです、ジミーこそカリウ夫人が長い間探し求めていた甥のジェミー・ケントだったのです。けれどそれを名乗れば周りの人たちを深く悲しませる事になってしまうのです。どうしたらみんなを傷つけずにすむのかジミーは途方に暮れるばかりでした。 帰りが遅いので心配してやってきたポリアンナはジミーを慰め励まします。そしてジミーは例え自分がジェミー・ケントであろうともペンデルトンさんの子供でいようと決心したのです。ジミーとポリアンナは再びペンデルトン家に戻り、その事をペンデルトンさんに伝えました。ペンデルトンさんは喜びましたがカリウ夫人の事が気にかかって仕方ありません。カリウ夫人はジェミーをかわいがっていますが、ジェミーをかわいがればかわいがるほど本当のジェミー・ケントが気になるのでした。それを聞いたジミーは自分がジェミー・ケントだという証拠は、この書類袋しかないのだからここだけの秘密にしておけばカリウ夫人にはわからないと言います。しかしポリアンナはカリウ夫人の事が心配でした。カリウ夫人はジミーが本当のジェミー・ケントだと思い込んでいるが証拠がないから手を出せず、このままではまた暗く落ち込んでしまいそうだったのです。そんなカリウ夫人に黙っておく事などポリアンナにはできそうもありませんでした。それでもジミーはペンデルトンさんの子供でいたいと言ってペンデルトンさんと泣きながら抱き合うのでした。 |
第51話 幸せはすぐそばに |
ついにジェミー・ケントが見つかってしまった… ジェミーはショックでした。しかし次の瞬間、ペンデルトンさんが機転をきかし「今、私がカリウ夫人に結婚を申し込んだところなのだよ。そうしたらジミーのヤツ、カリウ夫人の返事も聞かないうちからカリウ夫人に抱きついたんだ」と言ってごまかしたのです。その場に居合わせた人たちは突拍子もない言い訳に目が点になってしまいますが、しばらくするとみんな拍手して口々にお祝いを言うのでした。 |