HIRAO'S HOME PAGE > 世界名作劇場 > 愛少女ポリアンナ物語 > 愛少女ポリアンナ物語 第2部 ストーリー詳細

愛少女ポリアンナ物語 第2部 ストーリー詳細

第28話 忍びよる影
 パレーおば様とチルトン先生は結婚し、とうとうポリアンナはベルディングスビルに帰って来る事になりました。駅に着いたポリアンナは何十人ものベルディングスビルの人々に出迎えられ大感激してしまいます。そればかりでなく今日からハリントン家でパレーおば様とチルトン先生と一緒に暮す事ができるのです。ポリアンナには夢のようでした。パレーおば様は昼間、チルトン先生の診療所のお手伝いをしています。ニューヨークの偉い先生がさじを投げたポリアンナの足をチルトン先生が治したと言ってチルトン先生の診療所は大繁盛で、チルトン先生もパレーおば様も大忙しでした。1週間が過ぎてポリアンナは検査とリハビリテーションの為、再びパレーおば様と一緒にボストンへ向かいました。5時間を越える旅の後の検査や訓練はポリアンナにとって想像以上に苦しいものでした。しかしそれ以上に慣れない診療所の仕事で疲れの重なっているパレーには骨の折れる事だったのです。病院で倒れそうになったパレーおば様を見てポリアンナはたいそう心配するのでした。
第29話 さよなら!ベルディングスビル
 それから数日後、休暇を取ったデラがチルトン先生の診療所を訪ねてきました。そしてポリアンナを貸してくれと言うのです。デラにはポストンに1人で住む姉がいました。デラは暗く不幸せな毎日を送っている姉の為にポリアンナと一緒に病院に通う2〜3ヶ月の間だけ、姉と一緒に住んでもらって、そこから病院に通ってもらおうと考えたのです。パレーおば様は反対でした。最愛のポリアンナを片時も手放したくなかったのです。チルトン先生に相談したうえ、パレーはテラの提案を断る事にしました。ところが次に検査の為にボストンに行こうとした時、パレーおば様は疲労の為、倒れてしまったのです。パレーおば様はチルトン先生が看病し、ポリアンナはティモシーがボストンの病院に連れていく事になりました。ポリアンナの小さな胸は痛みました。家中が忙しさにてんてこ舞いしたあげく、ついにパレーおば様が倒れてしまったというのに何の役にも立てないどころか週に1度病院に通わねばならない為にいっそうみんなを忙しくさせているのがポリアンナには辛くてたまらなかったのです。
 デラはポリアンナからパレーおば様が倒れた事を知ると、エームス先生に頼んでチルトン先生に手紙を書いてもらいました。その手紙にはデラの姉のカリウ夫人の為にポリアンナを貸してあげてほしいと書かれていました。チルトン先生はその手紙を読むとポリアンナをカリウ夫人のもとに預けるべきだと考え始めました。カリウ夫人は6年ほど前にご両親お姉さん、ご主人、子供を失い、さらに自分の子供のようにかわいがってきたも行方不明になってしまうという不幸に見舞われ、心の病気になってしまったのです。パレーはそれを聞いた時、まるで自分の事のような気がしました。そしてパレーおば様はポリアンナとカリウ夫人の為にポリアンナを病院に通う間だけカリウ夫人の家で預かってもらう事に決心したのです。ポリアンナはその事を知ると大変喜びました。気の毒なカリウ夫人の為に良かった探しをしてあげて、きっと元気にしてみせるとポリアンナは言うのでした。
 ナンシーやダルギンはポリアンナがボストンに行ってしまう事には反対でした。せっかく半年ぶりにお嬢様が帰ってきてハリントン家も明るくなったというのに、またボストンに行ってしまうのが寂しかったのです。ポリアンナがボストンに行ってしまう事を知ったジミーはポリアンナにボストンへは行かないようにとお願いしますが、ポリアンナの決心は変わりませんでした。ジミーにはペンデルトンさんがいる、でもカリウ夫人は独りぼっちで太陽や青空があることも忘れてしまうような不幸せを送っているかと思うと、ポリアンナはカリウ夫人を救えるのは自分しかいないと考えていたのです。しかしそれを聞いたジミーは怒って帰ってしまいました。ジミーには不幸なカリウ夫人をほっておけないポリアンナの気持ちがよくわかっていたのです。孤児だったジミーがペンデルトンの子供として幸せな生活を送れるようになったのも、みんなみんなポリアンナのおかげだったのです。ポリアンナは自分がボストンへ行けばすべてよくなると思っていただけに、ジミーに反対された事に悩んでいました。しかし事情を察したトムはみんながお嬢様と別れるのが辛くて反対しているだけだと言って慰めるのでした。そしてポリアンナは迎えに来たデラに連れられて再びボストンの町に旅立っていきます。駅にジミーが見送りに来ていなかったのでポリアンナは悲しい思いをしましたが、汽車が出発してからジミーが馬で追いかけてきたのです。そしてポリアンナはジミーと仲直りし、別れの言葉を言ってボストンに旅立っていくのでした。
第30話 大都会ボストンの生活
 ボストンのカリウ夫人の家に着いたポリアンナはびっくりしてしまいました。ポリアンナはてっきりカリウ夫人の家は貧乏だと思い込んでいたのですが、とんでもなくお金持ちの家だったのです。ハリントン家やペンデルトン家もお金持ちでしたが、カリウ家はその何倍もお金持ちだったのです。こんな大きな家にチップマックを持って入ると怒られると思ったポリアンナは、とりあえずチップマックを玄関脇の植え込みにカゴごと隠しておく事にしました。ポリアンナは宮殿と見間違うばかりの豪華な建物や部屋に大喜びです。ポリアンナはカリウ夫人に簡単な挨拶をすませるとメイドのメアリに部屋に連れていってもらいました。ポリアンナの暮す事になった部屋もまた豪華でした。ポリアンナはてっきり屋根裏部屋のような部屋で生活するものだと思い込んでいただけに大喜びでした。ところがカリウ夫人はデラを呼び出すと、エームス先生が頼むから仕方なく預かるが少しでも面倒を起こしたらすぐに追い出しますからねと言うのです。カリウ夫人はうるさくされるのが大嫌いだったので、ポリアンナの存在が煙たかったのです。デラはポリアンナをカリウに任せるとさっさと帰ってしまいました。ポリアンナは昼間からカーテンをかけた暗い部屋で静かにしているカリウ婦人のもとにやってくると、さっそくにもカリウ夫人に部屋の中を案内させ、さらには衣装部屋で何十着もある素敵なドレスを見ると感激して、その中の一番素敵なパーティー用のドレスを取り出すとカリウ夫人に着てくれるようにお願いするのでした。ポリアンナの頼みを断る事のできなかったカリウ夫人は、すっかりとポリアンナのペースに乗せられ頭を抱え当惑しながらも渋々ドレスを着るのですが、あまりのポリアンナの喜びように半ばあきれ顔でカリウ夫人はポリアンナを眺めるのでした。
第31話 チップマックがいない!
 翌朝、検査の為、病院に行こうと玄関に出たポリアンナはチップマックを探しますが、チップマックはどこにも見つかりません。とうとうポリアンナは泣き出してしまいました。このあたりには野生のリスがたくさんいるからチップマックも嬉しくて遊んでいるだけでしょうとメアリが言ってくれたのでポリアンナも安心して病院に行く事にしました。しかしポリアンナが病院から戻ってきてもチップマックは戻ってきていませんでした。ポリアンナはお昼までに見つければ大丈夫、そう思って引き止められないようにそっとカリウ家を抜け出す事にしました。ポリアンナはボストンの公園を探し回りました。しかしどこにもチップマックは見つかりません。ポリアンナは通りかかる人にシマリスを見かけなかったか尋ねますが、誰も相手にしてくれません。ポリアンナはボストンの町のほとんどの人が知らない人とは口をきこうとしないのが不思議でした。でも誰も答えてくれない以上、1人でチップマックを探すしかありませんでした。
 ポリアンナが黙って家を出ていった為、カリウ家では大騒ぎになっていました。家中の人間がポリアンナを探して近所を探し回り、デラまで呼び戻してしまいます。その頃、夢中でチップマックを探すうちに道に迷ったポリアンナはボストンの北の外れにあるイタリア街に迷い込んでしまいました。見た事もない町、さっぱり通じない言葉、空腹と足の痛みと例えようもない不安がポリアンナを襲うのでした。
第32話 迷子のポリアンナ
 とうとう夕方になってしまいました。ポリアンナは自分がどこにいるのか、そしてどこに向かっているのかまったくわからないまま、足の痛さをこらえて歩き続けていました。しかしとうとうポリアンナはベンチに座り込むと泣き出してしまいます。ところが新聞売りの少年ミッキーがポリアンナを見かねて声をかけてくれました。ポリアンナはやっと言葉が通じる人間に出会えてほっとします。ポリアンナはミッキーにカリウ夫人の家を尋ねますが、ミッキーは知りません。そればかりかポリアンナは昨日ボストンに来たばかりなのでカリウ夫人の住所を覚えていなかったのです。それでもポリアンナはカリウ夫人の家の前の道に沿って公園がある事を告げると、ミッキーはそれがコモンウェールズ並木通りだと判明したので、新聞を売った後、ポリアンナをそこまで連れて行く事にしました。カリウ家に向かう道でポリアンナはとうとう足の痛みで歩けなくなってしまいます。仕方なくミッキーはポリアンナをおんぶしてカリウ家に向かうのでした。そしてポリアンナは疲れからミッキーの背中で眠るのでした。
 カリウ夫人はポリアンナの事で心配するのがたまらなくなってしまい、デラにポリアンナが見つかっても、もう帰ってもらうと言いだします。ところがそこにミッキーに背負われたポリアンナが帰ってきたのです。カリウはポリアンナにあなたの為にどれだけ心配したかと言って怒りますが、追い出そうとする言葉がカリウ夫人の口から出る前にポリアンナはカリウ夫人に抱きつき「おば様はそんなに私の事を、良かった。私嬉しいの、私の事をそんなに心配してくれるなんって。おば様は本当に優しい人なのね。私、おば様にお会いできて本当に良かったと思うわ、ありがとうおば様」と言うのです。カリウ夫人はその先の言葉を言う事ができませんでした。しかしカリウ夫人は今回の事に懲りたのかポリアンナを病院に通う以外は一切外出禁止にしてしまいます。
 カリウ夫人はポリアンナが1人で退屈するといけないと思って、お隣のサディという娘を連れてきました。ところがポリアンナはチップマックが心配でサディと遊ぶどころか食事も喉を通りません。ポリアンナを心配したカリウ夫人はとうとうメアリと一緒にポリアンナをチップマック探しに出かける事を許可するのでした。
 そして5日ほどたったある日の事。車椅子に座ったジェームスという名の少年がチップマックと遊んでいたのです。ポリアンナはチップマックを見つけた嬉しさで駆け寄りますが、ジェームスは「これは僕の騎士、ランスロットだ」と言い張るのでした。
第33話 チップマックはどこ?
 数日前、ジェームスがリスに餌をあげているとシマリスがやってきて餌をねだり、それ以来ジェームスはシマリスを飼うようになっていたのでした。しかしポリアンナが事情を話してチップマックを返してもらいます。ジェームスとお友達になったポリアンナはこれからもチップマックと一緒に公園へ遊びに行かせてもらえるようカリウ夫人にお願いしますが、カリウ夫人は承諾してくれません。しかしポリアンナがあまり熱心にお願いするのでカリウ夫人も承諾しないわけにはいかなくなってしまい、知らない人と話をしない、帰る時の他は公園を出ない、4時半になったら寄り道せずに帰ってくる事を条件に、とうとうポリアンナが1人で公園へ行く事を許してしまいます。
 1人で公園に出かけたポリアンナは、そこで以前迷子になった時に助けてもらったミッキーとチップマックを助けてくれたジェームスに出会います。ミッキーは働きに出かけたのでポリアンナはミッキーとリスに餌をあげで遊びます。ところがミッキーの昼食はドーナツ1個で、しかも食べられるだけましで、一生懸命働いても何も食べられない日もあると聞いてポリアンナは胸が痛みました。ポリアンナは今まで食べ物に関しては何一つ不自由した事がなかったのです。ジェームスは言いました。「でも時々ひもじい思いをするのもいいものなんですよ。そうでなきゃ、じゃがいもや牛乳がどんなにおいしいかわかりませんからね。喜びの本に書く事がなくなってしまいますよ」ジェームスは治る見込がないまま一日中車椅子で生活しており、どうにも気が滅入って仕方なかったので、ほんの少しでも嬉しかった事をノートに書き出すようになりました。それが喜びの本でした。それを聞いたポリアンナはジェームスが良かった探しの天才だと言って喜ぶのでした。
第34話 カリウ夫人の悲しい秘密
 日曜日、ポリアンナは朝から御機嫌でした。それは日曜日の朝は教会に礼拝に行けるからです。目を閉じて牧師様のお話を聞いていると、まるでお父さんといるようでポリアンナは嬉しくてたまらなかったのです。教会には何時頃出かけるのか聞かれたカリウ夫人は返答に困ってしまいました。それはカリウ夫人はここ何年もの間、教会には足を踏み入れた事がなかったのです。しかしポリアンナは頭から行くものと信じ込んでいる為、断りきれなくなって、とうとうポリアンナと一緒に教会へ出かける事になってしまいました。教会に入ったポリアンナは大喜びでした。ところが子供の聖歌隊を見たカリウ夫人は落ちつきをなくし、聖歌が始まると席を立って教会の外に出て行ってしまったのです。カリウ夫人は泣いていました。カリウ夫人は6年前に、まだ幼い甥のジェミーが行方不明になっており、聖歌隊の少年を見てジェミーを想い出してしまったのでした。帰り道にポリアンナはカリウ夫人に言いました。「私ね、本当はおば様の為に一緒に良かった探しをしようと思っていたのよ。でも、おば様にはおできにならないわ。だって全然必要がないんですもの、おできになりっこないわ」それを聞いたカリウ夫人は怒って先に帰ってしまいます。
 ポリアンナはカリウ夫人がなぜ怒ったのかよくわかりませんでしたが、カリウ夫人に謝りに行きました。そしてそこでどうしておば様が良かった探しができないかを説明したのです。「良かった探しは嫌な事や辛い事がないとダメなの。嫌な事や辛い事がたくさんあればあるだけ、その中から嬉しい事や良かったと思う事を探すの。それは難しければ難しいほどおもしろいし、見つけた時は生きている事が嬉しくなるの。でもおば様みたいにお幸せでは… こんなに何もかもが素敵で嬉しくなることずくめでは良かったの探しようがないわ、おば様みたいにお幸せな方は…」ポリアンナがそこまで話すとカリウ夫人はやめてちょうだいと言って話を遮りました。そして鏡に向かってこう言ったのです。「ポリアンナ、私には何も嬉しい事などないの、私には良かったと思う事なんか何一つありはしない」「おば様、それじゃあ生きてるって事にならないわ」「そうよ、その通りよ、ポリアンナ」「どうしてなの、私わからない。おば様がそんな風だなんって、あんまりお気の毒すぎるわ。どうしたらいいのおば様、私おば様みたいにいい事ずくめの方に良かったを探してあげる事なんてできないわ。どうやって見つけたらいいのかわからないわ。デラが言ってたのは本当だったのね。おば様はもう6年も何の希望もない暗く不幸せな生活を送っているというのは…」そう言って2人は抱き合って涙を流すのでした。
 カリウ夫人はポリアンナに自分の過去を話し始めました。カリウ夫人の夫と子供は7年前に相次いで亡くなったのです。しかしその頃はまだ両親と一緒に暮しており、姉のドリスが子供のジェミーを連れてきていました。ところが6年前に姉のドリスも病気で倒れて他界してしまいます。カリウ夫人やその両親は残された息子のジェミーをたいそうかわいがり、カリウ家とカリウ夫人の実家のウェザビー家の莫大な遺産をすべて受け継がせようと考えていました。ところがジェミーは父親のエドワード・ケントと共にどこかに消えてしまったのです。生きる支えを失った両親は次々と他界し、妹のデラがロンドンの留学先に戻って行くと、大きな屋敷にはカリウ夫人がたった1人残され、何の希望もないまま6年の歳月を過ごしていたのでした。
 それを聞いたポリアンナはカリウ夫人を気の毒に思いカリウ夫人の為にジェミーを探そうと言います。カリウ夫人は何度も手を尽くして探してみたが見つからなかったと言ってあきらめていましたが、ポリアンナはジェミーはきっと生きている。きっといつか出会えると思った方が毎日が楽しくなると言うのです。ポリアンナはカリウ夫人の為に良かったを探しました。毎日夜が明けるとジェミーに逢える日が1日近づいたと考えれば、きっと良かったと思えるようになる、生きている事が嬉しくなると言うのです。しかしカリウ夫人は泣きながら「私には無理よ」と言うのでした。
第35話 若君ジェームス
 6年前、最愛の甥、ジェミー・ケントが行方知れずになってから何の希望もない暗い不幸せな毎日を送るようになったというカリウ夫人の話はポリアンナをひどく悲しませました。そこでポリアンナは親切な新聞売りのミッキーにジェミーを探してもらおうと考えたのです。でも公園に行ってもミッキーはおろか、ジェームスすら来ていませんでした。ポリアンナの病院通いはもうすぐ終わってしまいます。しかしポリアンナはジェミーを見つけるまではベルディングスビルに帰れないと考えたのです。
 次の日ポリアンナが公園に行くとジェームスが来ていました。そこでポリアンナはジェームスという名前はミッキーが勝手に付けた名前でありジェームスの本当の名前はジェミーといい、5年前に父親に先立たれて今はミッキーの家に引き取られていると聞いたのです。ポリアンナはカリウ夫人の探しているジェミーが、このジェミーではないかと考えました。でももしジェミーがカリウ夫人の探しているジェミーでなかった場合、カリウ夫人はがっかりすると考えて、ジェミーがカリウ夫人の探しているジェミーだとはっきりわかるまでは秘密にしておく事にしました。でもポリアンナはジェミーがカリウ夫人の探しているジェミーだった時の事を考えると胸がどきどきしてくるのでした。
 ポリアンナはカリウ夫人に「ベルディングスビルに帰る前におば様と一緒に公園を散歩したい」と言ってカリウ夫人を公園に連れ出します。ところが公園にジェミーは来ていませんでした。ポリアンナはカリウ夫人を連れて公園中を歩き回りますがジェミーの姿はどこにも見つけられません。カリウ夫人はすっかり気分を悪くしてしまい、これではもう一度公園に連れ出す事などできそうにありません。結局ジェミーを見つけられないまま公園から帰ってしまいました。ところがポリアンナたちがカリウ家に帰って来ると、カリウ家にミッキーが来ており、ジェミーが寝込んでいてポリアンナに会いたがっていると言うのです。ポリアンナはジェミーの見舞いに行こうとカリウ夫人をしつこく誘いますが、カリウ夫人は怒って家の中に入っていこうとします。これ以上ごまかせないと悟ったポリアンナはとうとうカリウ夫人にジェミーはカリウ夫人の探しているジェミー・ケントかもしれないと言ってしまいました。それを聞いたカリウ夫人はさっそくジェミーの家を訪れます。どうぞジェミー・ケントでありますように。大きな不安と期待の中でポリアンナはカリウ夫人の為に祈り続けるのでした。
第36話 路地裏の天使
 ポリアンナとミッキー、カリウ夫人の3人は路地裏の貧しいアパートの階段を上っていきます。階段や床は所々穴が開いており、階段の柵は今にも外れてしまいそうでした。そこはお金持ちのカリウ夫人には見た事もないような光景だったのです。ジェミーがこんな場所で生活しているとは… カリウ夫人はそう思わずにはいられないのでした。ポリアンナは激しく動揺するカリウ夫人の姿に不安を抱かずにはいられませんでした。ポリアンナとカリウ夫人はジェミーに会いました。カリウ夫人はジェミーの顔を見つめると、ジェミーに名前を聞きました。しかしジェミーという名前の他は何も覚えていなかったのです。カリウ夫人はどんなに突っ込んで問いただしてみても、いっこうに手がかりになるような答えは引き出せませんでした。カリウ夫人はジェミーが自分の探しているジェミー・ケントではないと判断して席を立ちました。ところがジェミーはポリアンナにもう会えないと言うのです。ジェミーの家ではカーヤがリュウマチで働けなくなり、ミッキーの給料だけではアパートに住む事すらできないのでした。ジェミーは行くあてすらないと聞いてポリアンナはカリウ夫人に何とかしてあげてほしいとお願いします。カリウ夫人はお金を援助しようと申し出ますが、カーヤは「ありがとうございますが、それはお断りさせて頂きます。私どもは貧しい暮しをしておりますが、まだ人様の施しを受けたことはございません」と言って辞退するのでした。カリウ夫人は勝手にするがいいわと言って出て行こうとしますが、あまりのボロアパートに嫌気がさし、カーヤにアパートの持ち主の名前を問います。カーヤは持ち主の名前を知りませんでしたが管理人の名前はヘンリー・ドッジだと言うのです。それを聞いたカリウ夫人はショックを受けアパートを後にするのでした。
 家に向かう途中、ポリアンナはカリウ夫人に「何ってひどいところなんでしょう。あの家を持っている人は自分で住んでみればいいのよ。そうすればどんなにひどいかわかるわ」と言います。ところがカリウ夫人は「やめてポリアンナ、知らなかったのよ、きっと… あんなにひどいところが自分の借家の中にあるなんって。あの家の持ち主は思ってもみなかったに違いないわ。だから今度は直すと思うわ」と言うのでした。そうです、あの借家の持ち主はカリウ夫人その人だったのです。屋敷に帰り着くとすぐにカリウ夫人はヘンリー・ドッジ宛の手紙を書きました。それはカリウ家が所有するたくさんの貸し家をすぐに修理する事。その他、改良すべき点を厳しく命じる手紙でした。
 ポリアンナはカリウ夫人にジェミーをカリウ家に引き取るように提案します。ジェミーはカリウ夫人の探していたジェミー・ケントだと決める事はできませんでしたが、ジェミーでない証拠もなかったのです。だったらジェミーが本当のジェミー・ケントだと思って引き取った方がみんな喜ぶとポリアンナは言いますがカリウ夫人にはできない相談でした。しかしポリアンナがカリウ夫人の探しているジェミー・ケントがジェミーのように貧しい暮しをしていたら、誰かに引き取ってもらった方が幸せなのではないかと言ってしまった為、カリウ夫人は泣き出してしまいました。カリウ夫人はジェミー・ケントがジェミーのような暮しをしていると考えただけでも悲しかったのです。カリウ夫人は途方に暮れる思いだったのです。モロフェイ横丁でジェミーを見た時には違うと思いました。私のジェミー・ケントはこんな弱々しい子供であるはずがない。けれどポリアンナの言う通り、確かに違うという証拠もないのです。年頃も目や髪の色もまんざら似ていない事もないのです。カリウ夫人はどうしていいのかわからず、ただ泣き続けるのでした。
第37話 本当のジェミーが欲しい!!
 カリウ夫人はいたたまれなくなってデラを呼び出します。デラはてっきりポリアンナが何かをしでかして追い出されようとしているのだと思い込んでいました。しかしカリウ夫人はデラとメイドのブリジットを連れてジェミーの見舞いに行ったのです。カリウ夫人はジェミーが自分の探しているジェミー・ケントかを見分ける事ができなかったので、ジェミーを知っているデラとブリジットにも見てもらおうと考えたのでした。ジェミーの住むアパートは見違えるほどきれいになっており、大家さんの口利きで家賃の支払いも待ってもらえるようになったとジェミーは大喜びでした。ところがデラもブリジットもジェミーがカリウ夫人の探しているジェミー・ケントかを見分ける事ができなかったのです。
 ジェミー・ケントの父親エドワード・ケントは6年前、ジェミーを連れて家を出ていきました。ケント家はその昔、カリウ家と肩を並べるほど立派でしたが、エドワードやその父親の代が何の苦労もせずにわがままでおごり高ぶっていた為、ケント家は潰れてしまったのでした。そこでエドワードは息子のジェミーに自分の二の舞を踏ませてはいけないと考え、カリウ家から離れる事にしたのです。エドワードはジェミーをたとえ貧しくても人間味豊かな人の痛みをわかる強い男に育ってほしいと考えていたのでした。その為にジェミーを甘やかしていたカリウ家から離したのです。その事を知っていたデラはジェミー・ケントが人の痛みを知る事のできる強くて優しい子供に育っている、だからジェミーという名の恵まれない子供を自分だと思って面倒を見てもきっと喜んでくれると言ってジェミーを引き取るように説得するのでした。
 その夜カリウ夫人はまんじりともせず考え続けました。カリウ夫人にはポリアンナやデラの言い分は十分すぎるほどわかっていました。でもやはりジェミー・ケントではないかもしれない子供を引き取ることはできない相談でした。けれど違うと思うそばから、もし本当のジェミー・ケントだったらという思いが頭をもたげてくるのです。その思いは本当のジェミー・ケントが現れない限りいつまでも続くのです。
 カリウ夫人は一晩考えた末、ジェミーを引き取る事にしました。ポリアンナは大喜びでした。そしてカリウ夫人とポリアンナはモロフェイ横丁のジェミーの住むアパートを訪ね、カリウ夫人は始めて行方知れずの甥ジェミー・ケントの事と今回の経緯をジェミーに話して聞かせたのです。ところがジェミーは「僕は行かれません。本当に僕を欲しいと思っていらっしゃるんじゃないからです。僕じゃない、本当のジェミーだけがかわいいんです。それはちゃんとわかっているんです。僕は違うジェミーです」と言って断ってしまうのでした。
第38話 どうして幸福になれないの?
 カリウ夫人は怒って帰ってしまいます。そしてそれから数日の間、寝込んでしまいました。ポリアンナは自分が無理にジェミーに会わせた為にカリウ夫人が寝込んだのだと思い込んで胸を傷めていました。
 ポリアンナは病院での検査や治療が終わったので来週にもベルディングスビルに帰れる事になりました。ところがポリアンナは今のままではカリウ夫人をおいて帰れないと言います。ポリアンナはカリウ家に来た時、カリウ夫人が6年間不幸せな生活をしていると聞いて何とかジェミーに会わせてあげようと努力しましたが、ポリアンナのその努力がカリウ夫人をもっと不幸せにしたような気がしていたのです。
 ポリアンナがカリウ夫人を心配して安心してベルディングスビルに帰れない事を知ったデラは姉にほんの数日でいいから明るく振る舞ってポリアンナを安心してベルディングスビルに帰してあげるように説得します。カリウ夫人は自分の為に尽くしてくれたポリアンナの事を思いお別れパーティーを開き、その後にはボストン見物にポリアンナを連れて行く事にしました。そしてこれまで何の希望もないまま生活していた6年間に終止符を打ち、生きていた事が良かったと思えるような生活をしようと決心したのです。デラは大喜びでした。カリウ夫人はポリアンナの部屋に入ると眠っているポリアンナの横に座り「心配かけてごめんなさい、それからありがとう」と言うのでした。
第39話 さよならパーティ事件
 パーティーにはミッキーやジェミーだけでなくパレーおば様もベルディングスビルから駆けつけました。ポリアンナはパレーおば様に出会って抱き合って喜びますが、カリウ夫人を1人にして帰れないと言って泣き出したのです。ポリアンナはどうしてもカリウ夫人の為にジェミーを見つけたかったのです。その光景を影から見ていたカリウ夫人は自分の事をそこまで考えてくれるポリアンナを思って泣き出してしまいました。
 カリウ夫人はパレーおば様と話をするうちにとっても仲良しになってしまいました。それはお互い人とは付き合わず1人でひっそりと過ごしていたのが、ポリアンナが来た事によって生活を乱され、始めのうちは嫌だと思っていたがしだいにその生活に慣れ、今ではポリアンナなしでは生きられないようになっていたという点が2人ともぴったりだったからです。カリウ夫人もパレーおば様もポリアンナのおかげですっかり明るくなり、声をあげて笑い合うのでした。
 パーティーはモルフェイ横丁の子供達も加わって賑やかに行われました。パーティーの席上で、ふとした事からジェミーとお隣のサディが仲良くなり、明日から始まるボストン見物にはジェミーも参加しようと言い出したのです。カリウ夫人は反対でしたがポリアンナとサディからお願いされ断る事ができずに渋々ジェミーも一緒にボストン見物に連れて行く事になったのです。
第40話 たのしいボストン見物
 ボストン見物はポリアンナとサディ、ジェミー、カリウ夫人の4人で出かけました。カリウ夫人はジェミーと知り合ううちにジェミーが気になります。ジェミーは足が悪くて一生歩く事ができず、しかも貧しくて1日中何も食べられない日もあるのです。それでも明るく他人への思いやりを忘れないジェミーにカリウ夫人は心を引かれだしたのです。そしていよいよ明日がボストン見物の最終日という日の夜、ポリアンナはカリウ夫人にジェミーを探してあげられなかった事を謝ります。カリウ夫人はポリアンナがいなくなっても良かった探しを続けると言ってポリアンナを安心させるのでした。しかしカリウ夫人には自信がありませんでした。ポリアンナがベルディングスビルに帰ってしまうと、また再び暗い生活に戻ってしまうのではないかと… そう考えるとカリウ夫人は涙が止まりませんでした。
 サディは今日でジェミーと会えなくなる事がとても悲しく感じました。ジェミーは毎日公園に来ていますが、サディは1人で公園に行く事は許してもらえなかったのです。ジェミーは「カリウの奥様、親切にして下さってありがとうございました。奥様の親切は一生涯決して忘れません。もうお会いすることはないと思いますが、本当のジェミーさんが1日も早く見つかりますように」と別れを告げで帰って行きます。カリウ夫人は遠ざかって行くジェミーを見ていると涙が溢れ出し、ジェミーを追いかけると「もう一度考えて、私のジェミーの代わりに… 私と一緒に暮してほしいの」と言うのです。ジェミーは「ええ、行きます。僕をかわいいと思って下さるから」と言ってカリウ夫人の子供になる事を了解したのです。2人は抱き合って涙を流して喜ぶのでした。
 その翌日ポリアンナは想い出多いボストンの町に別れを告げてデラに連れられベルディングスビルに帰ってきました。ポリアンナは大好きなジミーに誰よりも先に聞いてもらいたかったのです。ジミーと同じような幸せをポリアンナの仲立ちによって掴む事のできた少年の話しをジミーはきっと喜んでくれると信じていたのです。ところがジミーはポリアンナが戻って来た事は喜びましたが、ジェミーの話を聞くとジミーは怒りだしてしまいました。ジミーはジェミーという名前が嫌いだったのです。昔、ジミーがお父さんと2人で農家で働いていた時、ジミーの事をジェミーと呼んだ人がいて、それを知ったジミーのお父さんは「ジェミーなんって男の名前じゃない、そんな女みたいな名前は大嫌いだ」と言ってひどく怒ったのでした。その後ジミーのお父さんは亡くなりジミーは孤児院に入れられてしまったので真相はわからないままになってしまったのですが、ジミーのジェミーという名前嫌いは変わらず、ポリアンナに「ジェミーなんって名前は聞きたくない、ジェミーなんか大嫌いだ」と言って帰ってしまうのでした。
第41話 嵐のはじまり
 ポリアンナはジミーだったら喜んで聞いてくれると思っていただけに、ショックですっかり悲しくなってしまいました。しょんぼり帰って来たポリアンナを見てトムは「ジミーはジェミーの事ではなくお嬢様のボストンでの生活を聞きたかったのですよ」と言ってくれたのでポリアンナは安心して家に帰るのでした。
 チルトン先生とパレーおば様はポリアンナが帰って来たお祝いのパーティーを開こうと計画しました。パーティーに招待されたジミーはポリアンナとケンカしていた事を気にしましたが、ペンデルトンさんに説得されて参加する事にしました。パーティーの参加者は9人だとナンシーは聞いていたのですが、誰が来るのかは聞いていません。そしてパーティー当日、屋敷にペンデルトン一家がやって来ました。ポリアンナはジミーを暖かく迎えジミーはうまく仲直りする事ができたのです。そしてチルトン先生はナンシーたちをパーティーに招待しました。ナンシーたちはてっきり他のお客様が来るものだと思い込んでいただけにびっくりしますが、大喜びでパーティーに参加するのでした。ポリアンナにチルトン先生、ハレーおば様、ペンデルトンさん、ジミー、そして雇い人であるナンシー、トム、ダルギン、ティモシーも参加してパーティーは盛大に開かれました。
第42話 失われた帰り道
 パーティーもたけなわの頃、順番に歌を唄う事になりポリアンナとジミーは「星屑のシャンデリア」を歌います。今度はパレーおば様とチルトン先生の番になりましたが、チルトン先生の提案でみんなでロンドン橋の歌を輪唱する事になりました。その時ウィリスさんの家から急患の電話が入りチルトン先生は往診に出かける事になったのです。外は雨が降りそうな気配がしていました。ティモシーが御者を務めようとしますが、パーティーを抜けさせるのは申し訳ないとチルトン先生が1人で行く事になります。チルトン先生が馬車を走らせていると嵐の気配がしてきました。ウィリスさんの家に着く頃にはすっかりと雨が降りだしてしまいます。そしてウィリスさんを診断した後、嵐だからと言って引き止めるウィリスさんにパーティーの途中を抜けてきたからと言って嵐の中、馬車を走らせるのでした。
 チルトン先生が崖の続く山道で馬車を走らせていると落雷で木が倒れてきて馬車が壊れてしまいます。チルトン先生は仕方なく馬を連れて歩いて家まで戻ろうとしますが、その途中で雷に怯えた馬が暴れチルトン先生は足を踏みはずし崖を谷底まで滑り落ちてしまったのです。
第43話 死なないでチルトン先生!
 パレーおば様とポリアンナはチルトン先生の帰りがあまりに遅いので心配してウィリスさんの家に電話すると2時間も前に家を出たと言うのです。トムとティモシーは嵐の中を探しに行くと馬のコニーだけがびっこを引きながら戻って来るのです。チルトン先生に何かあったに違いないとトムとティモシーは嵐の中を必死になって探していると、崖の下にチルトン先生が倒れているのを見つけたのでした。
 チルトン先生は屋敷に担ぎ込まれました。気がついたチルトン先生はペンデルトンさんをそばに呼び「私が亡くなったらパレーとポリアンナを頼む」と言うのです。チルトン先生は自分の命が長くない事を知っていました。「パレー、この2ヶ月、私は幸せだった… ありがとうパレー」「これから先も幸せになれるわ、私とポリアンナの3人で」「もう少し生きていたかった… パレーとポリアンナと一緒に。ポリアンナ、お前が歌っていたあの歌を歌っておくれ」そう言われたポリアンナは涙でつまりながらも星屑のシャンデリアを歌います。それを聞いていたチルトン先生は「ありがとうポリアンナ、私はお前に会えて本当に良かったと思う。お前の良かったが私を幸せにしてくれた。ありがとうポリアンナ」そう言うと静かに息を引き取ったのでした。
 ポリアンナもパレーおば様もチルトン先生の胸で泣きました。そしてペンデルトンさんもジミーもナンシーもトムもダルギンもティモシーもみんな一晩中泣きました。14年間ケンカ別れしていた恋人がようやく結ばれて、これからチルトン先生とパレーおば様とポリアンナの幸せな生活が始まろうとしていた矢先にチルトン先生が亡くなってしまったのです。朝になってトムは庭に出ると「なぜでございます神様、なぜこんな惨い仕打ちを… 私はこれまで一度だってあなた様をお恨みした事はございません。でも今度ばかりはお恨みます。なぜこの年寄りをお召し下さらんのです。なぜこれからという旦那様を…」そう言って泣き崩れるのでした。お葬式の後ポリアンナは落ち込んでいるパレーおばさんの為に良かった探しをしようとしますが、どうしても良かったを見つける事ができません。ポリアンナはどうすればよいのかわからず、岩山の上で涙を流し続けるのでした。
 チルトン先生の訃報を知ったカリウ夫人とジェミーはパレーおば様とポリアンナの悲しみを思うと胸が痛くなりました。しかしカリウ夫人にはどうする事もできません。ところがジェミーはベルディングスビルに行きたいと言い出します。ポリアンナやパレーおば様のそばにいて少しでも悲しみを取り除いてあげたいと考えたのでした。カリウ夫人とジェミーは自分達を引き合わせてくれたポリアンナの為に何か役に立てることはないかと思っていたのです。
 ポリアンナはカリウ夫人とジェミーが来るという知らせを聞いて大喜びをしました。そしてジミーに知らせに行きますがジミーはジェミーの話をすると機嫌が悪くなるのです。ジェミーが来る、その知らせにムシャクシャしながらジミーはそんな自分に腹を立てていました。そしてもちろん思いがけない事件が待ち構えていようとは知る由もないジミーだったのです。
第44話 悲しみをのりこえて
 ポリアンナはジェミーの名前を出すとジミーが機嫌を悪くするので、これからはミッキーのようにジェミーをジェームスと呼ぶ事にしました。ポリアンナが家に戻るとパレーおば様の姿が見えませんでした。食事の時間だというのに戻って来ないパレーおば様が心配になり、ポリアンナは探しに行きます。チルトン先生のお墓に行ったポリアンナはそこにバラの花が手向けられているのを見ました。誰にも知らさずそっとバラの花を供えに来たパレーおば様の気持ちを考えるとポリアンナの胸は痛みました。パレーおば様はチルトン先生の診療所に来ていました。そこでチルトン先生と一緒に働いていた楽しかった2ヶ月間を想い出していました。そしてこれから先どうやって生きていけばいいのかわからず泣き続けていたのです。ポリアンナが食事に誘いますが、食べたくないと言うばかりか1人にしておいてと言ってポリアンナを追い出すと、また泣き続けるのです。ポリアンナはカリウ夫人が来て賑やかになったらパレーおば様も元気になるだろうと思っていたのですが、この様子だとパレーおば様はカリウ夫人に会わないかも知れないと思うと、ポリアンナは小さな胸を痛めるのでした。
 ポリアンナはペンデルトンさんに相談に行きました。パレーおば様の為に良かったを見つけられないと悲しむポリアンナに、「焦っちゃダメだポリアンナ、よく考えてごらん。僕やパレーさんが明るい気持ちを取り戻す為にどれだけ時間がかかったかを。焦って君までがメソメソしてしまったらそれこそパレーさんは立ち直れなくなってしまう。今こそ君は君らしい元気一杯の明るさで頑張らなくちゃいけない。チルトンがいってしまった今こそ良かったを探さなければならない。そうすれば僕やカリウ夫人やこの町の不幸せだった人たちが生きていて良かったと思い始めたようにパレーさんも元気を取り戻す。チルトンは天国へ行ってしまったがパレーさんの胸の中で生き続けているはずだ。そしてポリアンナ、君の胸の中で生き続けているはずだ」と言って励まします。ポリアンナはこれからも良かった探しを続けていこうと決心するのでした。
 ポリアンナは何とかパレーおば様の気持ちを引き立てようと精一杯明るく元気に振る舞いました。けれどもパレーおば様はどうしても心を開こうとしませんでした。そして一週間が過ぎました。今日はカリウ夫人とジェミーが来る日です。駅まで迎えに行ったポリアンナは不安でした。もしパレーおば様が部屋にこもりっきりになったままでカリウ夫人に会わなかったらどうしよう。そう考えるとポリアンナは、このままカリウ夫人とジェミーに帰ってもらおうかとさえ考えてしまうのでした。
第45話 荒れた花園
 でもそんなポリアンナの不安もカリウ夫人とジェミーに会うとどこかに吹き飛んでしまいました。しかしカリウ夫人が屋敷に着くとパレーおば様は挨拶だけ済ませるとすぐに部屋に引きこもってしまったのです。ポリアンナは悲しくなってしまいますが、カリウ夫人は優しくポリアンナを慰めるのでした。
 カリウ夫人の美しさに見とれたティモシーは言われもしないのに部屋に荷物を運んで案内したりと鼻の下を伸ばして御機嫌でした。それを見ていたナンシーはやきもちを妬いてダルギンにあたります。ところがダルギンはティモシーの味方をするばかりかカリウ夫人にトムも元気にしてほしいと言うのです。トムはチルトン先生が亡くなって以来、仕事が手につかず、ずっと馬小屋で落ち込んでいるのでした。ポリアンナはジェミーを連れて庭を案内しますがトムが仕事をしていなかったので自慢のバラはみんな枯れていたのです。トムは仕事が手につかなくなってしまった事を知ったポリアンナはトムをたいそう心配するのでした。
 チルトン先生の飼っていた馬のコニーを見舞いに行ったジミーは、そこで落ち込んでいるトムを見かけます。トムはもう2人をお護りする事ができなくなったと言うのを聞いて、ジミーは「あの時チルトン先生はおっしゃったよ、2人を頼むって。あんなにトムじいさんを頼りにしていたじゃないか。それなのにもうダメだなんって言ったら天国のチルトン先生が悲しむよ」と言って励ましますが、トムは神様のひどい仕打ちを恨むばかりです。ジミーは怒って「ポリアンナがニューヨークの先生から二度と立てないって言われた時、トムじいさんは何って言ったんだよ。トムじいさんの言った事は嘘なのかい? 嘘でなんかあるものか。あの時、神様はちゃんとポリアンナを元どうりの元気な体にしてくれたよ。それなのにトムじいさんが神様を恨んでいるなんって知ったらポリアンナはきっと悲しむに決まってるよ。そんなのポリアンナがかわいそうだよ、パレーおばさんがかわいそうだよ。お願いだよトムじいさん、ポリアンナとパレーおばさんを護ってあげてよ。チルトン先生はトムじいさんがそれをしてくれるって信じてるよ、きっと信じて安心してるんだよ。だから元気出してよトムじいさん」そう言って泣き続けるのでした。それを聞いたトムは自分の考えが間違っていた事に気づき、さっそく庭の花壇の手入れを始めるのでした。
第46話 ジェミー・ケントの謎
 チルトン先生の突然の死によってすっかり気落ちしたトムは今日まで仕事をする気力さえなくしていたのです。ようやく立ち直りを見せたのはジミーの懸命な説得のおかげでしたが、ポリアンナはその事を知りませんでした。そしてポリアンナとジェミーはトムを手伝って荒れたバラ園の手入れをするのでした。
 ところがパレーおば様は今日も食事も取らずに1人で診療所に行くと悲しみにひたっていたのです。それを知ったポリアンナはたいそう悲しみました。それを見かねたカリウ夫人が診療所を訪れ1人で泣いているパレーにポリアンナがかわいそうだ、ポリアンナは自分が悲しいのをこらえて不幸な人たちに良かったを探そうと一生懸命になっていると言ったのです。パレーおば様は今まで自分の悲しみの事しか考える余裕がありませんでしたが、この時始めてポリアンナは悲しみから立ち直り、さらに自分の為に良かったを探そうとしてくれている事を知り心を打たれました。そしてパレーおば様は立ち直ったのです。
 ジェミーがベルディングスビルに来たのはポリアンナを励ます為でもありましたが、足を手術できる体力をつける為でもありました。当初エームス先生からジェミーの足は治らないと言われていたのですが、ジェミーがカリウ家で暮すようになってから手術できるだけの体力があれば歩けるようになるかもしれないと言われていたのです。でもジェミーは手術する事に気乗りしませんでした。それは手術する前にカリウ夫人の探している本当のジェミーが現れたら、自分は手術する事なくカリウ家から出て行かなければならないと考えていたからです。お世話になる理由がなくなればジェミーはカリウ家を出るつもりでいました。それを聞いたポリアンナは6年間も見つからなかったのに手術する前に本当のジェミーが見つかるはずないと言ってジェミーを励ますのでした。
 カリウ夫人がとても美しい貴婦人だと聞いたペンデルトンさんは、ジミーを誘って一度カリウ夫人にお目にかかろうと屋敷を訪れます。ジェミーがいる間は絶対にパレーおば様の屋敷には行かないと心に決めていたジミーでしたが、ペンデルトンさんがポリアンナからの誘いの電話を受けてしまった為に、とうとう訪問する羽目になったのです。ところがジミーを見たカリウ夫人はジミーとどこかで会ったような気がしてなりません。ジミーは会った記憶はありませんでしたが、カリウ夫人はいつかどこかで会ったと考えていたのです。
第47話 危険な遊び
 ポリアンナとジミーはジェミーを丘の上に連れて行きました。都会暮しのジェミーは丘の上の岩山から見える大自然の風景に感激してしまいました。残されたパレーおば様とペンデルトンさん、カリウ夫人は自分達の不思議な巡り合わせを語りました。それはこの3人は、いずれも自分の子供でない子供を預かっているのです。しかも預かるつもりなんかまったくなかったのに、ポリアンナのおかげで今では預かって良かったと思っている。そう言って3人は語り合うのでした。
 ジミーは今日もポリアンナやジェミーと遊びに出かけます。ペンデルトンさんはジミーを送っていく事を口実に何とかカリウ夫人に会おうと考えますがジミーにきっぱりと断られてしまい、がっかりしてしまいます。ペンデルトンさんは美しいカリウ夫人にすっかりと虜になっていました。ポリアンナとジミー、ジェミーの3人が魚釣りをしていると、そこへ突然デラとサディがやって来ました。サディはジェミーがベルディングスビルに行ったと聞いて自分もデラにくっついてやって来たのです。こうして4人の子供達の楽しい夏休みが始まりました。4人は森に遊びに出た時、それぞれの将来の夢について語り合います。ジミーは建築家になって橋を作る仕事をしたいと言います。ジェミーは小説家になって人々を楽しませたい、サディはカリウ夫人のような素敵なレディーになりたいと、それぞれの夢を語り合うのでした。ジミーが馬に乗れる事を知ったサディは馬を見たいからと言ってジミーに馬のマックを取りに行ってもらいます。その間にサディは谷になった川の対岸にきれいな花を見つけました。でも近くに橋がないので取りに行けそうにありません。ポリアンナは谷に倒木がかかっていて対岸まで渡ろうとしますが、途中でバランスを崩して谷の真ん中で落ちそうになり、木に手でぶらさがっているだけの状態になってしまうのでした。
第48話 助けて!ジェミー
 ポリアンナは自力では這い上がる事すらできません。しかしジミーは馬を取りに行っており、車椅子のジェミーはもちろん、お嬢様育ちのサディも助けに行く事はできませんでした。そこへジミーが馬に乗って駆けつけるとポリアンナを助けだしたのです。ポリアンナはジミーのおかげだと言って大喜びしますがジェミーは泣き出してしまいます。ジェミーはポリアンナが危険な目に逢っても自分は何もする事ができなかったのです。そしてジェミーは歩けるようになりたいと心から願うのでした。本当のジェミー・ケントでありたい、ジェミーは今そう願わずにはいられませんでした。本当のジェミー・ケントであれば安心して手術のできる日を待つ事ができるのです。
 その翌日ジミーは重い足取りでパレーおば様の屋敷へ向かっていました。昨日のジェミーの気持ちを考えるにつけ、会うのも、また会わないのも辛く思えるのでした。それでも今日も4人の子供達は仲良く遊びます。その頃パレーおば様の屋敷ではパレーおば様、ペンデルトンさん、カリウ夫人、デラの大人たち4人が密談をしていました。それはジェミー・ケントに関する報告書についてでした。ハリー弁護士の調べによりジェミーとエドワードは家を出た後、ある農家で働いていたところまでは突き止めました。しかしそれから先はわからなかったのです。
第49話 解きあかされた過去
 そしてついにカリウ夫人の一行がボストンに帰る日が明日に迫りました。カリウ夫人はどうしてもジミーを以前に見たような気がしたので、デラに相談しました。そしてジミーがジェミー・ケントではないかと考え始めたのです。そこへポリアンナがやって来ました。カリウ夫人は訳を話してポリアンナにジミーの小さい頃の話しを聞きます。ポリアンナはジミーがジェミー・ケントであるはずかないと言って笑いますが、ジミーから昔聞いた農家での話をしました。それはハリー弁護士の報告にぴったり一致したのです。しかしそれだけでジミーをジェミー・ケントだと決めるわけにはいきません。もっと確かな証拠が必要だとカリウ夫人やデラは言いました。ポリアンナは確かな証拠の存在を知っていました。ジミーには素性の書かれた書類袋がある事を… 1年近く前、ポリアンナはジミーをペンデルトンさんの息子にしたくて、その書類袋を取りに行って事故に遭ってしまったのです。でもポリアンナにはその確かな証拠の存在を言う事はできませんでした。もしジミーがジェミー・ケントだとすれば、今カリウ家で暮しているジェミーはきっと出て行ってしまうでしょう。あれだけ手術して歩けるようになる事を楽しみにしているジェミーを悲しませるような事はポリアンナにはできなかったのです。それにジミーがジェミー・ケントだとするとジミーはペンデルトンさんのもとを離れカリウ家で暮す事になります。そうなったらせっかく子供ができて明るくなったペンデルトンさんは、また昔のペンデルトンさんに戻ってしまうと考えたのです。ポリアンナはどうしたらいいのか悩みました。そしてポリアンナはパレーおば様に相談に行き、すべてを話しました。パレーおば様にも決断に困る問題でしたが、パレーおば様は一晩かかって結論を下しました。
 翌日の朝早くパレーおば様はポリアンナを連れてペンデルトンさんの屋敷に向かいました。事の一部始終をペンデルトンさんに話したパレーおば様はジミーを呼び出しポリアンナを含めた4人で書類袋を囲みました。書類袋にはジミーが30才の誕生日を迎えるまでは開封してはならないと書かれており、ペンデルトンさんもジミーも中を見た事がなかったのです。ペンデルトンさんはジミーがジェミー・ケントかどうかはその中に書かれている、それを見るかどうかはお前が自分で決めなさいと言います。ジミーは中を見る決心をしました。そして書類袋の中にはジミーがジェミー・ケントである事を証明する書類が入っていたのです。ペンデルトンさんはもちろんジミーを手放したくありませんでしたが、ジミーがジェミー・ケントだとわかった以上、手放さないわけにはいきません。この書類の事を黙っていたとしても、いずれはハリー弁護士がここを突き止めるでしょう。ペンデルトンさんはジミーにカリウ夫人の所に行きなさいと薦めます。ところがポリアンナはジェミーの足の手術が終わるまで、ジミーがジェミー・ケントである事を黙っていてくれとお願いします。ジェミーは本当のジェミー・ケントが現れたらカーヤの所に戻ってしまう事をポリアンナは知っていたからです。ジミーは1人で考えたいと言って家を飛び出し馬に乗って駆け出してしまうのでした。
第50話 ボクがジェミーだ!
 そうです、ジミーこそカリウ夫人が長い間探し求めていた甥のジェミー・ケントだったのです。けれどそれを名乗れば周りの人たちを深く悲しませる事になってしまうのです。どうしたらみんなを傷つけずにすむのかジミーは途方に暮れるばかりでした。  帰りが遅いので心配してやってきたポリアンナはジミーを慰め励まします。そしてジミーは例え自分がジェミー・ケントであろうともペンデルトンさんの子供でいようと決心したのです。ジミーとポリアンナは再びペンデルトン家に戻り、その事をペンデルトンさんに伝えました。ペンデルトンさんは喜びましたがカリウ夫人の事が気にかかって仕方ありません。カリウ夫人はジェミーをかわいがっていますが、ジェミーをかわいがればかわいがるほど本当のジェミー・ケントが気になるのでした。それを聞いたジミーは自分がジェミー・ケントだという証拠は、この書類袋しかないのだからここだけの秘密にしておけばカリウ夫人にはわからないと言います。しかしポリアンナはカリウ夫人の事が心配でした。カリウ夫人はジミーが本当のジェミー・ケントだと思い込んでいるが証拠がないから手を出せず、このままではまた暗く落ち込んでしまいそうだったのです。そんなカリウ夫人に黙っておく事などポリアンナにはできそうもありませんでした。それでもジミーはペンデルトンさんの子供でいたいと言ってペンデルトンさんと泣きながら抱き合うのでした。
 ポリアンナの提案でカリウ夫人には本当の事を話す事にしました。でもジェミーにそれを話してしまうと手術の前にカーヤの所に帰ってしまうのでジェミーには隠しておく事にしました。
 その頃パレーおば様の家ではカリウ夫人とデラ、そしてジェミーとサディは待ちくたびれていました。パレーおば様とポリアンナは黙ってペンデルトンさんのところに行ってしまったので、いったい何があったのかと不安になっていたのです。サディはポリアンナに屋敷の中を案内してもらう約束をしていたので、ティモシーに頼んでサディとジェミーの2人だけで屋敷の中を探検する事にしました。
 ようやくパレーおば様がペンデルトンさんを連れて屋敷に戻ってきました。そしてカリウ夫人とデラを呼ぶと、ジミーがジェミー・ケントである事を告げたのです。カリウ夫人は大喜びでした。でもジミーはカリウ夫人のところには行かないと言ったのでカリウ夫人はペンデルトンさんを責めます。しかしパレーおば様はペンデルトンさんがジミーをカリウ夫人のところに行かせようとした、自分は1人になってもかまわないとまで言ったと言ってペンデルトンさんを弁護します。訳を聞かれたジミーは「僕が行けばジェミーがかわいそうだから… おばさんはそのつもりでなくても、ジェミーはきっと辛い思いをする。それに孤児院にいた素性のわからない僕を引き取って、こんなにかわいがってくれたペンデルトンさんを、とても1人にはできない」と言うのでした。そしてポリアンナとジミーはカリウ夫人にジェミーにはジミーがジェミー・ケントである事を知らせず、これまで通りジェミーをかわいがってあげてほしいとお願いするのでした。カリウ夫人もジミーはジェミー・ケントではなくジミー・ペンデルトンとして暮した方が良いと考え、これまで通りの暮しを続けようと決心したのです。ジミーは6年ぶりに再会した喜びでカリウ夫人に「ルースおばさん」と言って抱きつきました。ところがちょうどその時、屋敷の探検から帰ってきたサディとジェミーがその光景を見てしまったのです。
第51話 幸せはすぐそばに
 ついにジェミー・ケントが見つかってしまった… ジェミーはショックでした。しかし次の瞬間、ペンデルトンさんが機転をきかし「今、私がカリウ夫人に結婚を申し込んだところなのだよ。そうしたらジミーのヤツ、カリウ夫人の返事も聞かないうちからカリウ夫人に抱きついたんだ」と言ってごまかしたのです。その場に居合わせた人たちは突拍子もない言い訳に目が点になってしまいますが、しばらくするとみんな拍手して口々にお祝いを言うのでした。
 ジェミー・ケントが見つかった事もあってカリウ夫人とジェミー、サディはもう少しベルディングスビルに残る事になりました。デラだけは休暇が終わってしまうのでボストンに帰ってしまいました。
 カリウ夫人はペンデルトンさんにお礼を言います。うまく機転をきかせて取り繕ってくれた事を感謝するのでした。でもカリウ夫人はジェミーに黙っているのは何だか騙しているようで気が進みませんでした。でもいつかきっとジェミーに話せる日が来ると信じていたのです。パレーおば様から、とっさによくあんな事を思いつきましたねと言われたペンデルトンさんは、カリウ夫人との結婚の件はとっさではなく前の晩から話そうと決心していた、でもジミーの事でそれどころじゃなくなったと言うのです。ジミーを餌にプロポーズしたと思われたら困るからあきらめて引き下がるつもりでいたのです。そしてペンデルトンさんはあらためて「考えてみてくれませんか、私との結婚を…」と言ったのです。カリウ夫人はペンデルトンさんの言葉をとても嬉しく思いましたが、動揺していたので返事はしばらく待ってもらう事にしました。
 パレーおば様は子供達とカリウ夫人、ペンデルトンさん、そしてナンシーとティモシーを連れて自分の所有する山小屋へ泊まりに行く事にしました。翌日の朝早くそれぞれの思いを胸に一行はパレーおば様の山小屋へと出発しました。山小屋に着いた一行は山小屋の掃除やキャンプファイヤーの準備で大忙しです。その頃パレーおば様の屋敷ではトムとダルギンがお茶を飲みながらゆっくりとくつろいでいました。「本当に良かったねぇ〜 何もかもうまくおさまって」「ああ、その通りだなぁ〜 何もかもポリアンナお嬢様のおかげだよ。お嬢様がこの家におられて本当に良かった」と語り合いながら…
 キャンプファイヤーが始まり子供達は大喜びです。カリウ夫人はみんなの集まっている前でジェミーに言いました。「私ね、ポリアンナやジミーを見ているうちに、もし本当のジェミー・ケントがいても、どこかできっと幸せに暮しているに違いないと思えるようになったの。無理に探し出して平和を乱すより、そっとしておいた方がいいんじゃないかって… 私にはもうあなたというジェミーがいるし、ポリアンナが言っていたようにあなたが幸せになれば本当のジェミー・ケントもきっと幸せになってくれると思うの。だからまずあなたにできる限りの治療をさせてあげたいの」ポリアンナやジミーはその言葉を聞いて大喜びでした。
 サディやジェミーはこんな素晴らしい場所に連れて来てくれたポリアンナにお礼を言います。ペンデルトンさんも「私達がこうして巡り合って、それぞれが幸せを手に入れる事ができたのは、みんなポリアンナのおかげだ」と言います。カリウ夫人も「ポリアンナが一生懸命良かったを探して私達に生きる喜びを与えてくれて、みんなを結びつけてくれたんですわ」と言ってくれます。みんなはポリアンナに拍手しました。ポリアンナも大喜びでした。
 カリウ夫人の一行は楽しい想い出を胸にボストンへ帰っていきました。やがてベルディングスビルに秋が訪れてチップマックは冬ごもりの支度を始めました。そして冬が訪れクリスマスを迎えたのです。ポリアンナのもとにはたくさんの人からクリスマスカードが届けられました。その中でもポリアンナを一番喜ばせたのはジェミーからのカードでした。そのカードにはジェミーが手術に成功し歩けるようになった事が書き記されていました。
 その手紙を読み終えるとパレーおば様はポリアンナに言いました。「お前のお父さんが言った通りだったわね、ポリアンナ。良かったを探しなさいポリアンナ。その良かった探しがお前をきっと幸せにしてくれる。私も一生懸命良かったを探して幸せにならないとね。それが亡くなったチルトン先生の意志だと思うの。おじさまは私が強く生きる事を望んでいると思うのよ。それにねポリアンナ、私の幸せはすぐそばにあるのよ。私の幸せはポリアンナ、お前がいる事。お前は私のすべてなの」2人は抱き合って言うのでした。「一緒に良かったを探しながら、元気に生きていきましょうね、ポリアンナ」「おば様ありがとう、私おばさまと一緒にいられて本当に良かったわ」と…
戻る
inserted by FC2 system