HIRAO'S HOME PAGE > 世界名作劇場 > 名犬ラッシー > 名犬ラッシー 感想

名犬ラッシー  感想

 「名犬ラッシー」は賢いコリー犬であるラッシーと飼い主の少年ジョンの心温まる友情物語です。
 物語はジョンがまだ仔犬のラッシーを拾うところから始まります。ジョンの両親は共働きだったのでジョンはいつも寂しく一人で過ごしており、ジョンが拾って来たラッシーを一生懸命育て、ラッシーはスクスクと成長していきました。ラッシーもお母さん犬と離れ離れになっていたので、お互い寂しいもの同士似たような境遇にあった二人はとても仲良しになり、ジョンがどこに行ってもラッシーはついて行くようになります。
 そして月日は流れてお父さんの勤めるウェリントン炭坑で石炭が出なくなり閉山に追い込まれそうになります。ジョンは引き続き石炭を掘り出す調査をしてもらう代わりに、ラッシーを石炭が再び出るようになれば返してもらうという条件でラドリング侯爵に預けます。ところがラドリング侯爵はラッシーを600マイル以上離れたスコットランドの屋敷に連れて行ってしまいます。ラッシーはジョンのもとに帰る為に屋敷を抜け出すと、そこから南に向かって長い旅を始めました。旅は容易なものではなく、ラッシーは幾度となく倒れましたが、確実に南を目指して歩き続けたのです。そしてジョンたちの努力の甲斐あってウェリントン炭坑から石炭が出るようになり、帰って来たラッシーと一緒に再び生活できるようになるのでした。
 この物語の見所はやはりラッシーの旅でしょう。本来原作では物語の半分以上をラッシーの旅で占められていましたが、アニメでは時間の関係かほとんど第24話のたった1話に凝縮されてしまっています。ここが一番面白いところだっただけにちょっと残念な気分です。おそらく物語の前半をジョンとラッシー友情物語にして、後半をラッシーの旅にあてようと考えていたところ、番組が途中で打ち切りになったので、あわててストーリーを短くまとめて作り直したと言ったところでしょうか。最終話もテレビでは放映できなかった事ですし…
 私は世界名作劇場の本放送の放映前に原作を読んでいたのは、この「名犬ラッシー」と「ピーターパンの冒険」だけでした。原作をあらかじめ読んでいたので、テレビを見ながら原作とはずいぶん違うなと思っていたのですが、それでも原作以上にずいぶんと楽しむ事ができました。だからこそラッシーの旅の話は、あんなに凝縮せずにもっとストーリーを広げてほしかったと思わざるをえません。
 さて、この物語で一番注目すべきは、やはりラッシーでしょう。世界名作劇場には色々な賢い動物が登場しますが、その中でもラッシーは群を抜いています。同じ賢い犬として「牧場の少女カトリ」のアベルが挙げられますが、それでもラッシーにはかなわないでしょう。ラッシーは遠足に行った先でラッシーを隠して連れて来た事をカリー先生に気付かれてしまった時、クリスの飼犬のセバスチャンだと言い張りましたが、それを疑ったカリー先生が突然「ラッシー」と呼び止めましたが、ラッシーは振り向きもしませんでした。さらにサンディの家のムーを隠した時に、ラッシーが追跡させられますが、ラッシーはジョンの言う通り、村人をムーの居場所ではなく山ブドウのある場所へと導いています。まるでラッシーは人間の言葉を理解しているようです。こんな賢い犬はそう滅多にはいないでしょう。
 あと、ラッシーが旅をしていた途中に世話をしてくれたダンとダリーの老夫婦も忘れる事はできません。二人はラッシーをハーセルフと名付けて可愛がりましたが、ラッシーはジョンの所に帰らなければならないので、いつまでもここにいるわけにはいきません。それを肌で感じ取った老夫婦はハーセルフを放してやります。このあたりの二人の会話には心打たれるものがあります。  この作品の訴えている事は、やはりジョンとラッシーの友情でしょう。ジョンはラッシーの事を親友だと言っていましたが、それ以上のものが感じられます。お互いを信じていたからこそ離れ離れになってもお互いの事を考えて一生懸命になっていた。そんな作風が感じられる物語です。

評価
 項目 5段階評価 コメント
不幸度 ☆☆ ラッシーがジョンと別れてラドリング侯爵に引き取られるのが…
ほのぼの度 ☆☆☆☆☆ ジョンとラッシーの日々の生活はほのぼのとしています
お薦め度 ☆☆☆ 後半のラッシーの旅は必見ですよ
戻る
inserted by FC2 system