昨夜は21時40分に寝た。予想最低気温は6℃だったのでかなり暖かくして寝た。すぐに寝ることはできたのだが2時30分頃に悪夢で目覚めた。何の夢だったかあまり覚えていないが、それからも悪夢に悩まされ続け、結局それからは寝ることはできなかった。 5時にはあたりが明るくなってきたので起きることにした。かなり着込んでシュラフの首元をしっかりと締めて寝たのでそれほど寒く感じなかったが、最低気温を調べると4℃になっていた。ここまで気温が下がったことに驚いたが、正直4℃まで下がったようには思えなかった。おそらくここが温泉地、というより温泉の中で、テントのすぐ横には湯船だけでなく暖かい湖が広がり、そして砂浜も地熱で温められているからだろう。
テントを開けると嬉しいことに空は晴れていた。あいにくこの砂湯キャンプ場の東側には森が広がっているので朝日は見えないが、それでも屈斜路湖は網走湖よりも美しく、温泉から沸き立つ湯気と相まって朝から素晴らしい景色だ。自転車を持ち出して朝から30分ほどキャンプ場の写真を撮って回った。
キャンプ場を出発すると屈斜路湖岸の道道52号線、通称クッシー街道を北に走る。この道は木々に囲まれていて、それでいて木々の隙間から屈斜路湖が見えるという最高のロケーションで私の大好きな道の一つだ。このあたりを走っている時にはまだ太陽が顔を出していたのでここでも写真撮影を繰り返しInsta360 ONE Xで動画も撮影する。
仕方がない、このレンズをフロントバッグに入れて9回の北海道自転車ツーリングで10000kmほど走っているのだ。これだけ振動を与えると物理的に動く構造となっているレンズの手ブレ補正機能が壊れるのは無理もない。ネットで調べたら中古の同じレンズが2万円弱で売っているので、これを修理ではなく中古で買ってくることにしよう。 道道52号線をしばらく走ると川湯に到着。川湯には無料の川湯温泉あし湯がある。一般的な足湯は東屋の中に足を入れる湯船がある。それが一般的な足湯のスタイルだ。ここも足湯の湯船が他より多少広い程度とそれほど大きくは変わらないのだが、何よりその足湯の前に広がる景色がいいのだ。足湯の目の前に川が… いや、温泉が流れているのだ。その雰囲気がよく、私はぜひともこの足湯に浸かりたいと考えていたが、まだまだ先が長かったので写真だけ撮って断念する。
店の前で少しだけラスクを食べて5分で出発。少し走ると今度は硫黄山だ。硫黄山の駐車場は有料だが自転車は無料だ。駐車場の料金所を素通りして駐車場の一番奥まで乗り付ける。硫黄の噴出している場所まで行っている時間はないので駐車場の一番奥から撮影だけ済ませてすぐに撤収する。ここまでは晴れていたが、硫黄山ありから薄日の差す薄曇りになってきた。
この国道391号線は幹線道路で大型トラックが多く走っており、しかも路肩がないか、あっても荒れていて自転車では走れないなど走りにくい道だった。しかしこのあたりの道東ではチャリダーの数も多いのか大型トラックが追い抜く時は反対車線までよけて追い抜いてくれるとか、対向車がいてそれができない場合は対向車がいなくなるまで追い抜かないようにしたりとすごくドライバーのマナーがいい人が多いように感じる。 今日は南東からの5〜6m/sの強い風が吹いていて屈斜路湖岸を走っている時は若干の追い風だったが、この国道391号線を走るようになると完全な向かい風となって走りにくくなった。頑張っても17〜18km/hくらいのスピードしか出ない。これで4日連続の向かい風。しかも日を追うごとにだんだんひどくなってくる。これには苦しめられた。 おまけに弟子屈に近づくにつれて空が曇って暗くなってきた。ここ数日ずっと思うのだが北海道は曇るととても昼とは思えないほどどんよりと暗くなって走っていても気分が晴れない。サングラスをしているせいもあるのだろうけど、それにしてもまだ朝なのにこれだけ暗い中を走るのは嫌だった。 向かい風に苦労しながらも9時20分に弟子屈の町に到着。弟子屈の町の入口にあるセイコーマートはパスするが、いつものように摩周駅に行くことにした。ところが摩周駅の場所をツーリングマップルで確かめていると、摩周駅のそばにAコープてしかががあり、その中のレストラン牧場に牧場風(牛乳)ラーメンがあると書かれていた。私はもう旅も終わりなんだし、ここで地元の名物でも食べていこうと立ち寄ることにした。
駅前のAコープの入口に自転車を止めてAコープの4階まで階段を登ったが、あいにくレストラン牧場はまだ営業していなかった。現在の時間は9時35分。入口には何時に開店するのか書いておらずあきらめて撤収することにした。後で調べたら開店時間は11時となっていた。待たなくてよかった。 仕方なく摩周駅に行くことにした。摩周駅で自転車とセットで写真を撮った後、牛乳ラーメンを食べ損ねた分、駅前でラスクを食べた。出発前にトイレに行こうとしたら駅の隣に足湯「ぽっぽ湯」があるのを発見した。今まで摩周駅には何度も来ているがこんな場所に足湯があるとは知らなかった。先程見た川湯温泉あし湯に比べるとずいぶん規模は小さいが、駅前に足湯があるのはありがたい。さすがに雨が降り出す前にキャンプ場に到着したかったので足湯には入らず写真だけ撮って出発する。食べ逃した牛乳ラーメンと合わせて25分の寄り道だった。
10時を少し過ぎたので私は今日宿泊を予定している中標津の緑ヶ丘森林公園キャンプ場に電話した。いざキャンプ場に行ってロッジが空いていないと困るので今日と明日の連泊でロッジの予約をお願いしようと考えたのだ。電話をすると問題なく予約を受けてくれた。これで台風12号の影響による大雨を気にすることなく今日と明日を過ごすことができる。 いつもだったらこうした時、雨の中での設営撤収は嫌だとウジウジしながら暗い気持ちで走るところだが、今日はそうした心配もなく安心して自転車を走らせることができるようになった。こんなことならこれまでもこうした時には迷わずホテルや宿を取るべきだったと後悔してしまうほどだった。空は相変わらず暗く曇っているが私の心は晴れてきた。 この国道243号線は弟子屈を出ると峠越えとなる。いつもはこの峠で苦しむところだが、今日は向かい風だというのになぜかあっという間に越えてしまった。今日は昼になっても気温が全然上がらず涼しいからか、もしくはロッジの予約が取れたことで走りに余裕が出たのだろうか? 峠を下って少し走ると多和平への分岐がある。ここからすぐに登りが始まるが、ここを登った丘の上からの眺めが美しい。それを知っていた私はこの丘の上まで頑張って登って、そこで牛乳ラーメンを食べ損なった分、昼食として11時ちょうどからおにぎりを食べることにした。 5分でおにぎりを食べてさあ出発しようとしたその時、前方からソロのチャリダーが元気に坂を登ってこちらに向かってくるのが見えた。今はシーズンオフでほとんどチャリダーを見かけることがなく、昨日美幌峠の登りで見かけたチャリダーも気づかないまま通り過ぎてしまい悲しい思いをしていた。 ちょうど私が反対車線側で休憩していたこともあって手を挙げて挨拶したら彼は止まってくれた。よく見たら彼ではなく彼女だった。20歳過ぎくらいに見えた彼女も、チャリダーと出会うのは珍しいようで自転車を止めて話に応じてくれた。そこで今回の北海道自転車ツーリングで初めてとなるチャリダーと話をすることができた。
私があまりの荷物の量に驚いていると私の荷物が自分と比較してあまりにも少なく見えたのか、私に「荷物を車で送ってもらっているのですか?」と聞かれた。もちろんそんな生ぬるいことはしていない。単にこれまでのキャンプツーリングの経験から荷物の必要/不要が判断できるようになり最小限に荷物を減らせるようになっただけだ。寒い季節というのも荷物を増やす原因にはなっているのだろうけど、私が見る限り厳選すればきっと彼女の荷物はもう少し減らせるはずだ。 そして彼女はロードの自転車で、私と同様に派手なサイクリングジャージーに加えてレーサーパンツまで履いて走っていた。私も普段地元をサイクリングする時はレーサーパンツを履くが、北海道自転車ツーリングではキャンプ生活となるのでレーサーパンツでは蚊に刺されやすいのと恥ずかしさからサイクリング用のズボンにしている。 通常女性がレーサーパンツを履く時は体のラインを隠すためにサイクルスカートを履くことが多いが、彼女はサイクルスカートも履かずにレーサーパンツとサイクリングジャージという姿で走っており気合いの入れようがすごかった。日帰りでツーリングに行くならその格好でもわからなくはないが、キャンプツーリングでその格好はスゴい。私でも感心してしまった。 彼女は昨夜、標津のしべつ海の公園キャンプ場に泊まって今日は弟子屈まで行くらしい。ただお互い明日の雨のことは気になるようで、私が中標津の緑ヶ丘森林公園キャンプ場でロッジを2連泊で予約したから明日はそこでゆっくり過ごすと言うと彼女も今日はキャンプ場ではなく弟子屈あたりでホテルを2泊取るつもりとのことだった。やはり雨の日に走ったりテント泊をしたくないのは誰しも同じだ。 彼女は弟子屈まで行ったら摩周湖に行こうか悩んでいたので私は止めるように勧めておく。理由はまず摩周湖に行くまでには標高で500mほど登らなければならないこと。さらに頑張って登ったとしても今日のような天気では湖面はまず見えないであろうこと。これを聞いた彼女はあきらめるようだった。 あまり引き留めると申し訳ないので2〜3分だけ立ち話したところでお互いの旅に向かって出発することにした。彼女は大量の荷物を積んだ自転車にレーサーパンツとサイクリングジャージーという姿で元気に弟子屈方向に向かって走っていき、私はそれを見送った。今回の北海道自転車ツーリングで初めて出会ったチャリダーとこうして話ができて私の心は晴れやかになった。私にとって彼女は女神のように見えた。
しかもこの道道885号線はツーリングマップルでお勧めの道に挙げられているほど景色がよく私の好きな道の1つでもある。空の暗さは相変わらずだし明日は1日大雨との天気予報だったが、ロッジの予約が取れたことや女神と出会えたことなど私の心は晴れており、気分よく軽やかにペダルを回していた。 いくら空が暗いと言ってもせっかく景色のよい道道885号線を走っているのだから写真撮影はしておきたい。私は自転車を道ばたに止めるとどこまでも続く長い直線道路をバックに写真を撮った。そしてInsta360 ONE Xも取り出して動画撮影。これで晴れていればいい景色なんだろうけど、それは贅沢というものだ。 道道885号線を走り続けて12時ちょうどに養老牛に到着。今日は午前中に昨日と同じ64km走った。ここでラスクを食べて少し休憩。この交差点には公衆トイレもあって休憩するには最適だ。私は過去のこの道を何度も走っているがこの交差点は唯一の休憩場所として何となくお気に入りになっている。
道道150号線が右に曲がるとここからはほとんどが下りの走りやすい道となった。向かい風だったが防風林と下り勾配のおかげでグングンとスピードを上げて走った。あまりキャンプ場に早く着きすぎるとチェックイン時間前になってしまうが、それよりも今にも雨が降り出しそうだったので、雨に遭う前にキャンプ場に着きたかった。
足の裏の痛み対策としては、いつもはハンカチをクッション代わりに靴底の母子球の付近に入れていたのだが、今回は100円ショップで靴底に入れるシリコンのクッションをみつけて持参しており、これがとても役に立ったようで今回は足の裏が痛くなることはまったくなかった。100円ショップで購入したシリコンのクッションだったがとても役に立った。
ではなぜそんな固いサドルで長時間自転車で走ってもお尻が痛くならないか? その答えの1つに乗車姿勢というのがあると思っている。私の場合、ツーリングでありながらサドルの位置に比べてハンドルが低く、ハンドル落差は11cmほどある。このハンドル落差により前傾姿勢が強くなり、ママチャリのように90度体を起こして乗るのに比べると、私の場合はおよそ35度という前傾姿勢で自転車に乗っている。これがサドルに体重をかけるのではなく単にサドルにお尻を置いているだけ、そして体重はペダルと腕にかかることになり、足の裏と手首が痛くなるのだ。さらに前傾姿勢がきつくて首を上げないといけないので首と肩も痛くなる。ツーリングなのだから前傾姿勢を止めてもっとハンドルを上げて上体を起こして乗ってもいいのではないのかという気がしないでもないのだが、この前傾姿勢は今に始まったことではないので今更変えることもできずずっとこの乗車姿勢を貫いている。
空港からキャンプ場は1kmほどしか離れていない。しかし道がよくわからなかったので5kmほど遠回りして一度坂を下って町まで出て、そこから再び登ってキャンプ場に到着した。後で調べたら道立夢の森公園から入れば坂を下らなくても直接キャンプ場に行けることがわかった。明後日空港に行くときにはこの道を使うことにしよう。
鍵をもらってロッジに行くと、ロッジは広さ的には6〜8畳くらいで作り付けの二段ベッドがある。使い込まれて薄汚れた感はあるがキャンプ場のロッジやコテージはみんなこんなものだろう。安いビジネスホテルだって寝具があるだけで汚れ感は同じではないかと思う。当たり前のことだがコンセントが付いていたのとテーブルが用意されていたのは嬉しかった。テーブルがあるかないかで利便性が大きく異なる。
ツーリングマップルを見ると中標津の町中に食事処やまやがあり、そこが大盛りで有名とのことだ。私は小食であまり食べられないのだが、話のネタに食べに行くことにした。自転車を走らせて食事処やまやに行くと残念な事に営業していなかった。いや、正確には16時30分から営業と書かれていた。この時には充電の目処が立っていたのでスマホのグーグルマップを見ながら走ったが、グーグルマップによると営業時間は11時〜20時となっている。おかしい、コロナの影響で営業時間が短くなったか?
今度はセイコーマートに行って買い出しを行う。今日の夕食と明日の3食、そして明後日の朝食の計5食分だ。こんなにたくさんセイコーマートで買い物するのは初めてというほどたくさん買った。いつもだったら買ったものを店の前で写真に撮るところだが、今回あまりにも量が多いのでさすがに今回はそれは避けてロッジで撮影することにした。 コンビニを出発すると坂を登って15時40分キャンプ場に戻る。セイコーマートで買った弁当は初めて購入するホットシェフで店内で調理した暖かいカツ丼だったのですぐに食べる。これはなかなかおいしかったが、できれば店でちゃんとしたものを食べたかった。
次に着替えだ。これまでは自転車で走る格好をしていたが、これからはキャンプ生活用のジャージーに着替える。これでようやく一段落だ。落ち着いたところでLineで会社に連絡を取る。何か大きな問題が起きているとのことだったが今日どうにかなるような話ではないようで、来週から対応して下さいとのことだった。何だか帰るのが嫌になってきた。 ロッジの入り口は庇が小さくてここに自転車を止めると雨でずぶ濡れになりそうだったので自転車を室内に入れることにした。さすがに土足禁止の室内に自転車をそのまま持ち込むことはためらわれたので、タイヤの下にコンビニ袋を敷いて床が汚れないようにしておく。 テントは今朝撤収した時には完全には乾かなかったので、室内に干したら乾かないだろうかとトライすることにした。すると室内に干したにもかかわらず思いの外簡単に乾いていった。ここで乾かさなければ最低でも4日はテント一式を濡れたままの状態にするところだったが、おかげで乾かすことができた。
17時15分には管理人さんも帰ってしまった。今日はテント泊も誰もいないのでこのキャンプ場は私一人っきりだ。シーズンオフの平日だし当たり前かという気もするが、これだけ広大なキャンプ場に私一人というのは何となく心細い。キャンプ場で私一人というのは2016年以来ではないだろうか。 しばらくは暮れゆくキャンプ場で写真を撮ったりした。それからは旅の日記を書いた。ロッジは照明があって明るくてテーブルもあり、しかもコンセントがあるのでスマホでテレビを見放題とあって快適きわまりない。これなら寝具だけ自前のものを要しなければならない以外、ホテルと変わりない。いや、部屋に自転車を持ち込んでいるだけこちらの方が快適だろう。
天気予報では夕方から雨になると言っていたが21時30分頃からようやく雨が降り始めた。以前陸別のカブトの里キャンプ場のコテージに泊まった時もそうだったが、だいたいこの手の建物は雨が降ると雨粒がトタン屋根を叩く音がうるさい。ここはカブトの里キャンプ場よりはマシだったが、それでもひどく降る時はテレビの音がかき消されるほどだった。 雨は次第に強さを増していったようだ。普段の生活とほとんど変わっていないがテレビでニュースを見つつウイスキーを飲んだ。明日は走らないとはいえあまり北海道自転車ツーリングの生活を変えたくなかったので22時30分には就寝することにした。今夜の予想最低気温は10℃とのことなので昨日のような寒さはないだろう。
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