夏休みはコロナウイルスの影響で北海道自転車ツーリングを断念したが、北海道自転車ツーリング自体をあきらめたわけではなかった。様子を見つつ何とか今年、北海道自転車ツーリングができないものかとスケジュールを調整し、9月のシルバーウィークに1週間休みを取ることができた。いつもとは違って秋の開催となるがそれが今日から始まるのだ。 昨夜は22時前には就寝した。ここ1週間くらいから私の住む三重県も天気はすっかりと秋に近づいてきて早朝は20度近くまで下がるようになってきた。さすがにこれだけ気温が下がると窓を開けて寝ると寒くて風邪を引くので窓を閉めるようにしている。しかし昨夜はやたらと暑くて寝たのは早かったが途中で何度も目覚めることになり、あまりぐっすりとは寝られなかった。 朝4時に目覚まし時計の音で目覚めると体温を測りすぐに出発準備を始める。36.2度で平熱だった。体温を測定するのはコロナ対策のため例え休みの日でも体温の記録は会社から義務付けられているのだ。もちろんそれは北海道自転車ツーリング期間中も同様にだ。出発準備はほとんど前日までに済ませていたので朝食にスーパーで昨日買い置きしていた弁当を食べるが、ぜんぜん食欲がわかず食べきるのにすごく苦労した。洗面を済ませると4時45分に真っ暗な中、車で津なぎさまちに向かった。
時間も余っていたのでスマホでこれから先の天気予報をチェックする。今日の天気は晴れ時々曇りで最高気温は24度。ちょっと暑くなりそうだ。今夜の最低気温は12度。これならまだ耐えられるだろう。明日は晴れ後曇り、明後日は曇り時々雨、それ以降は曇りが続き、25日以降は雨になりそうだ。6日も先の天気予報などあまり気にする必要もないと思うが、明後日、三国峠を越えるときに雨が降るのは気になる。こうなったら雨が降るようなら明後日は幌鹿峠と白樺峠をショートカットして糠平から上士幌に直接抜けるコースを考えた方がいいかもしれない。いずれにせよ今日、明日の天気は大丈夫そうだ。
今日搭乗する予定の飛行機はANA701便、中部国際空港8時20分発、札幌千歳空港10時5分着だ。出発まではあと50分ほどある。いつもだったら間違いなくラウンジに行くところだが、今回はラウンジで飲み食いしているとコロナが怖い。搭乗口近くの待合い場所でおとなしくしていようかとも思ったが、ウイスキー1杯飲むだけなら大丈夫だろうと考えてラウンジに入ってウイスキーのコーラ割りを飲みながら20分だけ旅の日記を書いた。
ターミナルを出てすぐの場所に輪行袋を置くと、とりあえず先に吉野家で食事をしてお腹を満たす。外食はマスクを外すので少し心配ではあるが、あまり心配ばかりしていては何もできない。とりあえず隣に人がいないところに陣取って、すぐに食べるだけ食べて店を出てきた。
いつもだったら出発前に空港ターミナルにあるローソンで買い出しするのだが、わざわざローソンで買い出しせずとも道中にセイコーマートがあるだろうと考えてここでの補給はパスする事にした。私としては補給はできる限りセイコーマートでしたいところだ。 11時ちょうどにようやく千歳空港を出発。久しぶりの北海道に心が躍る。自転車で色々とツーリングしてきたがやっぱり北海道はいい。ここから月形までは80km弱。昨年と違って風は向かい風ではないので16時30分くらいには到着しそうだ。 ここで今回の北海道自転車ツーリングで走る自転車を紹介しよう。自転車本体は何も変わらず17年前に購入したパナソニック製BOSD−1、デモンタブルのクロモリフレームだ。走行距離はもうすぐ7万kmになり、飛行機輪行が多いためフレームはボロボロに傷ついているが、走行性能にはまったく問題がなくいまだに現役で走っている。 購入当時からはフレーム以外の部品はBB、ヘッドパーツに至るまで交換し、北海道自転車ツーリングの5年目くらいまでは毎年のように色々と交換していたが、今ではすっかりと定着してしまい、もうチェーンやタイヤ、スプロケットなどの駆動系の消耗品を交換するくらいになってしまった。 自転車雑誌を読むようになってバイクパッキングを知り私も北海道自転車ツーリングにバイクパッキングを取り入れようかとも考えたが、やはりサイドバッグの荷物をシートバッグに振り分けるのは不可能に近く、かと言って今のサイドバックで収納力は足りているのにそこにシートバッグを追加するのも意味がないと考えて導入はしなかった。 ただしステムバッグだけは導入を決めた。これはペットボトルが入る程度のバッグをヘッドチューブに平行に取り付けるものだ。容量はそれほど大きくないがシートバッグやサドルバッグと違ってアクセスがよく、普段のロングツーリングではスマホのモバイルバッテリーを入れたり補給食を入れたりしていた。 北海道自転車ツーリングにおいてはフロントバッグがあるので補給食を入れる場所には困らないが、今年はコンビニで補給する時にもマスクが必要になり、そのマスクの保管場所にステムバッグを使おうと考えたのだ。 マスクは自転車に乗っている時とキャンプ場にいる時はしないとしても、少なくともコンビニに入る時とキャンプ場の受付をする時と温泉に入る時くらいはマスクを付ける必要がある。平均すると1日5回くらいだろうか。この時ずっとマスクを付けっぱなしなら問題ないのだが、付けたり外したりを4回繰り返すことになる。さすがに毎回新品のマスクを使うと9日間の北海道自転車ツーリングで50枚入りの箱を使い切ることになるので使い古しのマスクを再利用すべくどこかに保管しておかなければならない。そこでマスクを袋に入れてステムバッグに保管することにした。 しかし一般的な不織布マスクでは一度使った後に折りたたんで収納するのはなかなか難しいのでそんな時に役立つのが布製の国から支給されたアベノマスクだ。これは簡単に二つ折りできるしシワにもならないので自転車でのツーリングにはとても適している。私も普段の生活では不織布マスクを使用しているが自転車でのロングツーリングではアベノマスクを愛用している。 だが1日だけならこれで問題ないが、9日間となるとアベノマスク1つでは足りないし自転車で走っている間にマスクを入れておく場所も必要だ。しかもコンビニに行くたびにマスクが必要になるので取り出しやすい場所がいい。そう考えるとアクセスの良いステムバッグはコンビニで使うアイテムを入れる場所にして、マスクとマイバッグとなるモンベルのU.L.MONOバッグMとEdy払いに使うスマホを入れる場所にしよう。 そう言えばコンビニに入るのはマスクだけでなくマイバッグまで必要になりとても面倒になった。まあ環境を考えると仕方がないのだが、なによりキャンプをするチャリダーにとってコンビニ袋がもらえずにマイバッグばかり使っているとゴミをまとめる袋に困るようになる。マイバッグにゴミを詰めるのは気が引けるし、汚いゴミをバラバラとバッグの中に入れておきたくない。セイコーマートはコンビニ袋も引き続き無料支給とのことなのでできる限りコンビニはセイコーマートを使うようにしよう。
そうした情報は一切入手しないまま鎖国していた私はそんな事も知らないまま「ロードは23cが当たり前だ」と信じていたが、自転車雑誌を読むようになってからは文明開化を迎え、バイクパッキングやワイドリム化、ディスクブレーキ、グラベルロードなど色々と学んでいった。 ところでタイヤを太くするにはホイールもそれに対応している必要がある。そこで私は自分のホイール、DURA−ACE WH−9000−C50−CLの対応するタイヤサイズを調べたところ、何とびっくり! このホイールは既にリム内径が17cでワイドリム化されておりロードの25c化に合わせて25cのタイヤを履いたときに空気抵抗が一番削減されるように設計されていることを知ってしまった。何ってこった、私が何も知らずにワイドリム化されたディープリムホイールに23cの細いタイヤを履いて喜んでいただけだったとは。 そこで私はホイールの推奨タイヤ幅のMAXとなる28cまで思い切ってタイヤ幅を広げることにした。北海道自転車ツーリングもロングライドがメインなのでタイヤが太い方が乗り心地もいいしダートも走りやすく乗り換えない理由はない。幸いな事に私の自転車は超ロングホイールベースのツーリング仕様なのでタイヤは45cでも入るほどホイールベースが長いので問題はない。 しかしよく考えたら私の自転車はリアディレイラーとカセットスプロケットはマウンテン用を入れて34Tまで対応しキャリアを付けるためのダボは付いているし、タイヤは45cでも入れることができる。これでディスクブレーキが付いていたら今流行のグラベルロードだと言い張れるのではないかと思えるほどだ。そう考えると私の自転車は15年ほど時代の斜め上を行ってるのだろう。 さらにどうせ28cまでタイヤ幅を広げるのであれば、私が愛用しているパナレーサーのリブモではなく日本一周や世界をまたに走るチャリダー御用達のシュワルベ社のマラソンを履く事にした。このタイヤはパンクに対して極めて強いが、その分リブモに比べて2倍近く重いという問題がある。しかしどうせキャンプツーリングだと重さはあまり気にならないだろうと考えて28cのマラソンの導入を決意。さすがにこんな重いタイヤで週末の日帰りロングライドは避けたいが、北海道自転車ツーリングでは走りやすい事だろう。このマラソンを履いてキャンプツーリングしていたら日本一周とか、はたまた世界一周しているような気分に浸れることだろう。 ちなみに世界一周するようなチャリダーの三種の神器はオルトリーブのサイドバッグ(バックローラークラシック)とTubusのキャリア、そしてこのシュワルベのマラソンのタイヤだそうだ。私は世界一周をするわけではないが三種の神器のうちTubusのキャリアとシュワルベのマラソンの2つは手に入れた。後はオルトリーブのサイドバッグだけだ。これも今サイドバッグを購入するとすれば間違いなくオルトリーブを選択するだろう。しかし私がサイドバッグを購入した18年前にはバックローラークラシックなるものは存在せず、オルトリーブも日本進出していなかったように思う。それで当時は大容量のパニアバッグとして一般的だったオーストリッチのパニアバッグ特大を選択したが、これが耐久性抜群すぎて壊れるところが存在せず、壊れないから買い換えることもなく今に至っているという次第だ。 北海道自転車ツーリングの2週間前にタイヤを23cから28cに変更したが、その直後に走ったツーリングで乗り心地が大きく改善したことに気付いた。まるで高級絨毯の上を走っているようだ。タイヤとチューブは大幅に重くなったのでヒルクライムには向かないが乗り心地は大きく改善したことで長距離のツーリングには疲労しにくくなることだろう。特にアスファルトの細かなひび割れが23cだとてにそのまま細かい衝撃が伝わり、ひび割れの場所を走りたくないと思っていたものが、28cのタイヤに交換したことでアスファルトのひび割れが気にならなくなった。 そして合わせてチェーンも昨年の北海道自転車ツーリングの直前に変えて以来、1年間で7000km弱も走ったのでこれも交換。ところがチェーンを交換したらスプロケットの13Tだけが歯飛びするようになった。おかしい、カセットスプロケットも昨年の北海道自転車ツーリングの直前に変えたはずだから、7000km弱しか走っていないはずだ。 これまでカセットスプロケットは4つ使い切ったが、いずれも15000kmほどは走る事ができた。チェーン交換2回に1回くらいの交換タイミングだった。しかし今回はその半分以下で歯飛びするようになってしまいちょっとショックだった。予備のスプロケットは既に用意していたので交換しようとしたが、さすがに7000km弱で一式交換するのはもったいないと考えて13Tの歯だけ交換した。これはシマノスモールパーツで入手可能だから、北海道自転車ツーリングから帰ったら買っておくことにしよう。 そしてライトのステーも交換した。これまではミノウラのLH−50 BESSOを使っていた。しかし北海道自転車ツーリングだけとはいえ10年も使ったことで老朽化で壊れてしまった。気に入っていたので同じモノをもう1つ買おうかと思ったがあいにく既に廃番となっていて入手する事はできなかった。仕方なくそれ以前に使っていた日東のランプホルダー3を持ち出して装備した。 千歳空港を出発すると道道130号線に入る。滑走路を潜るトンネルを過ぎるといつもの千歳空港の標識の前で撮影する。ここに来ると北海道に来たことを実感できる。今年はコロナの影響でゴールデンウイークと夏休みの2回も北海道行きを見送った。今年はもう北海道には行けないのではないかと心配したが、何とかこうして北海道に来ることができ嬉しさがこみ上げてきた。
北海道自転車ツーリングを千歳からスタートしたのは過去15回中の9回、その9回のうち初日に月形まで行ったのは2008年、2010年、2011年、2019年の4回だけ。今回で5回目となる。過去にはヤリキレナイ川に立ち寄ったりしていたが、最近ではあまり寄り道しなくなり、同じコースを走っている。真っ直ぐ走れば千歳空港から月形まで80km弱、5時間20分と言ったところだろうか。 いつもはずっと国道36号線から道道258号線を走って長都駅から道道967号線に入る。しかしこの道道258号線は過去に何度か走ったが交通量が多い上に路肩が狭くてとても走りにくい。他に迂回路がないか探したところJR千歳線の道道とは反対側にいい道があるのを発見。今回はこの道を走ったが道道258号線よりも遙かに走りやすく、今後千歳から月形に行く際はこの道を走ることになるだろう。 グーグルマップによると長都駅の駅前にセイコーマートがあるはずだったが、なぜかセイコーマートはなくてヤマザキデイリーストアになっていた。ここから先は千歳の街を外れることになるのでセイコーマートに出会うのはもう少し先になりそうだ。先程空港で牛丼を食べたばかりなので、しばらく補給できなくても大丈夫だろう。
今日は西から4〜5mの風が吹いているが千歳から岩見沢までは北北東に走るので若干の追い風気味の横風で、走りにくいというほどではない。走っている時はサイドバッグを付けていないこともあり平均25km/hくらいで走り続けた。北海道自転車ツーリングとしてはハイペースだ。 この道道967号線は千歳空港に降りる飛行機の飛行コースになっていて着陸する飛行機の音がよく聞こえる。その中に混じって時々F15の爆音が聞こえた。私は爆音が聞こえる度に写真に撮ろうと思って空を見上げるが、あいにく空には低い雲がたれ込んでF15の姿は見えなかった。 いつもはこの道道967号線沿いに気ままな販売所があって私は毎回写真を撮るのだが、今回は見かけなかった。見逃しただけかもしれないが、過去に見かけた時も営業しているように見えなかったことから撤去したのかもしれない。 国道274号線との交差点で信号待ちをしていた時、信号機に変なカバーが付いていることに気付いた。LED信号機の前に何やら変な形をした透明なカバーか付いているのだ。形状からしておそらくLED信号機は電球に比べて発熱量が少なくて雪に弱い事から点灯面に雪が付着しないようにカバーを付けたものと思われたが、私はこのタイプの信号機を初めて見た。
ここからは道道45号線を北上する。相変わらず風は強いが若干の追い風気味の横風だったので自転車では走りやすい。しばらく走ると北長沼水郷公園が見えてきた。ここはトイレや水場のある公園なのだが不思議なことに私はここで休憩したことがない。おそらく長沼のせせらぎ公園が千歳から走ると休憩するにはちょうどいい場所にあり、せせらぎ公園で休憩すると北長沼水郷公園は近すぎるというのが原因だろう。今回も写真だけ撮って素通りする。
パンだけ食べるとすぐに出発。再び国道234号線を北上する。このあたりを走っている時には雲は多いが太陽が差し込んでいる時間が長く、この先天気予報通りに晴れになりそうな気配に感じられた。景色のいい場所で自転車を止めて撮影する。この調子だと初日から夕陽が期待できそうだ。
ところで今回は3年前まで使っていたGPSロガーを再び持ってきていたが、なぜか栗沢のセイコーマートから岩見沢の南公園までのログが取れていなかった。3年前まではこんな事はなかったが、今回はちょっと調子が悪そうだ。ただログが取れているかいないかは帰宅してデータをPCに吸い出さないとわからないのが問題だ。 14時5分にようやくヤマト運輸の営業所に到着。これまでヤマト運輸の岩見沢4条通センターに1回でたどり着けたことがなく、いつも道に迷い地図を確かめながらたどり着くパターンだったが、今回は地図を確かめることなく1回でたどり着くことができた。ここで4日前に営業所留めで発送したサイドバッグを受け取る。これを15分で自転車に取り付けて14時25分に出発。昔はサイドバッグの取り付けにもっと時間がかかったものだが、最近は早くなってきたと思う。
ここまで走ってきた時にはこれに4.5kgのフロントバッグが付いていた。だから自転車としては荷物も含めると19kgの重さがあったことになる。ここに15kgのサイドバッグを取り付けるので自転車の総重量は合計34kgになった。そりゃあ重く感じるはずだ。 岩見沢の町にはコンビニが何軒かあるが1時間ほど前に栗沢の町で補給したばかりだったのでコンビニはパスして先に進む。道道6号線に入り跨線橋でJR函館線を渡る。今日は西から4〜5m/sほどの風が吹いている。千歳から岩見沢までは北北東に進むので若干の追い風となって走りやすかったが岩見沢から先の道道6号線は北北西に進むので若干の向かい風となって走りにくい。それでも時速20km/h近いスピードで走り続けた。 岩見沢の町に入る頃から空は曇り始めたが、岩見沢の町を出る頃には空は完全に雲で覆われてしまい、雨こそ降っていないがまだ15時前だというのに空は真っ暗になってきた。北村に北村ふれあい公園という無料のキャンプ場がある。走りながらキャンプ場を見てみるとすごい量のテントが張ってあってびっくりしてしまう。この調子だと月形皆楽公園も込んでいるかもしれない。
セイコーマートを出発すると旧美唄川を渡る北栄橋の手前にある東屋で15時15分から2〜3分間休憩する。5年くらい前までの北海道自転車ツーリングではこうした東屋では旅の日記をポメラで書きながらしっかりと休憩していた。しかしここ数年はあまり休憩中に旅の日記を書くことも少なくなり休憩時間は短くなる傾向にあった。今年はブルベを目指して練習していたこともあり、さらに休憩時間を短くしようと考えている。基本的には食事の時間を除くと肩と腕を回したり屈伸運動だけすればすぐに出発してもいいくらいだ。
道道6号が右に曲がって北東に走るようになると追い風となって一気に走りやすくなった。この北東方向の空は一部だけ晴れて青空が見えているが天頂から西側の空は真っ暗だ。しかも西側の遠くの方では雨が降っていそうな雰囲気だ。これだけ空が暗いととても昼間とは思えず気分まで暗くなってくる。 そんな時、ライダーが追い抜きざまに手を挙げてくれた。私は少し意表を突かれたがすぐに手を挙げ返す。きっとライダーはバックミラーで私の様子を見ているはずだ。夏のシーズンならライダーに手を挙げるのは当たり前で私も積極的に挙げてきた。しかしもうシーズンオフとなりライターもほとんどいないし、一般の地元のライダーとキャンプ場を旅するライダーとの見分けが付かないことから私は今回の北海道自転車ツーリングではライダーと手を挙げての交流はあきらめていた。しかしライダーの方から手を挙げてくれるとは思わなかった。これには嬉しかったし元気付けられた。
16時ちょうどに月形皆楽公園到着。5時間で79km走ったので休憩も含めた平均時速は15.8km/hといったところでとても早い。休憩時間を除いた平均時速は19.5km/hに及んでいる。今日は初日からかなりのハイペースで走った。 キャンプ場の入口には満員という看板が出ていた。さすがに自転車で来た人を追い返しはしないだろうと思って受付に行くと、フリーサイトはもうテントは張れないが自転車だったら中島が空いているよと管理人から教えてもらい無事受付してもらえた。月形皆楽公園キャンプ場はこれで8回目の宿泊となる勝手知ったるキャンプ場だ。千歳空港に降りてそのまま北に向かうとちょうどいい距離にあるし、池の畔にあるキャンプ場で雰囲気も良く、温泉やコンビニが近いこともあってお気に入りのキャンプ場だ。しかしこれだけ込んだ月形皆楽公園キャンプ場を見るのは初めてだ。
雨の中20分で設営を完了し、米を水で浸して自炊に備える。そして9日間のキャンプ生活に備えて荷物の積み替えだ。今の荷物の積み方は宅急便で送ることを前提にしたものだが、これをキャンプ生活で使いやすいように荷物の積み場所を変えていく。しかしいっこうに雨が止む気配はない。天気予報では晴れになっているのだが不思議なものだ。
食事が終わったところで気付いた。まだ17時50分という時間にもかかわらずもう真っ暗だ。いつもの北海道自転車ツーリングだったらこの時間はまだ太陽が出ていて明るいはずなのに何でこんなに暗いんだろうと思っていたが、よく考えたら私が思っていた日没時間は夏の北海道自転車ツーリングの話で、今回はそれより40日も遅いので日が沈む時間も早くなっているのだ。一体どれだけ早くなっているのだろうと思って調べたら、この40日間で日没が70分早い17時37分となっていた。もちろん日の出も45分遅くなっている。つまりたった40日遅いだけで昼の時間が2時間近く短くなったのだ。
このキャンプ場には隣に月形温泉ゆりかごがある。私はこのキャンプ場に泊まると必ずこの温泉に浸かっていたが、今年はコロナの影響もあり感染のリスクを減らすためできるだけ温泉の回数を減らそうと考え今日は行かないつもりでいた。夏ではないのだし汗もそれほどかかないだろうから2〜3日に1回の温泉で十分だろう。そんな考えでいたがよく調べてみると明日行く予定の層雲峡オートキャンプ場は5km走れば温泉があるのだが、明日は走行距離が長く到着が遅くなるからおそらく行っている時間はないだろう。明後日行く予定の上士幌にはふれあいプラザ浴場という温泉があるが、悲しいことに第三月曜日が定休日で見事にヒットした。22日に行く予定のオンネトーには野中温泉があるがここは硫黄泉を楽しむための温泉で洗い場がない。次に温泉が期待できるのは4日後の女満別まで温泉には入れそうになかったことから今日入っておくことにした。
温泉に入ってゆっくり浸かり19時から休憩室で旅の日記を書く。この休憩室は飲食の持ち込みが許可されているのでウイスキーを持ち込み、休憩室で売っていたコーラで割って飲み、ほろ酔い気分で旅の日記を書いた。テーブルを使って酒を飲みながら旅の日記が書けるのはとても楽だった。しかし温泉が21時まで営業しているのに対して休憩室は20時20分までしかやっておらず、1時間30分ほど書いたところでテントに戻る。 21時にテントに戻ると夜景を撮影し、テントに入って再びウイスキーを飲みながら旅の日記を書く。自転車での休憩中に旅の日記を書かないと書き終えるのに3〜4時間、あるいはそれ以上かかってしまうのが問題だ。さすがにこの時間になると外は寒く、長袖とは言えTシャツ1枚では寒い。
しかし今年は秋のツーリングになるので最低気温の平均値が7〜8℃くらい、寒い時には5℃以下になることが予想されとても今までのシュラフで耐えられるとは思えなかった。そこで今年は同じモンベルのU.L.スーパーストレッチダウンハガー#2を持って行くことにした。これなら快適睡眠温度域が−4℃になっているので10℃くらいは楽勝、着込みさえすれば5℃くらいの最低気温であれば耐えることができるだろう。 問題は冬用のシュラフはものすごく嵩張るのだ。重さは夏用の倍くらい、体積に至っては3〜4倍はあるだろう。こんなに大きなものを果たして自転車に積めるのだろうか? 私はこれが嫌でシュラフは夏用のまま更に服を着込むことで対応しようかと考えたが、下手に寒さに耐えられなくて風邪でもひいて熱を出したらコロナの心配で大変なことになるだろう考え、安心を取って大きくても冬用のシュラフを持って行くことにした。今日からのキャンプ生活ではその大きな冬用のシュラフにくるまって寝ることになる。 ただ、実際に冬用のシュラフをサイドバッグに入れてみるとあまりにも大きくてテントが入らなくなる。そこで15年ほど前に買って一度も使ったことのなかったシートゥサミットのコンプレッションサックを持ちだしてシュラフを圧縮してみた。冬用のシュラフと言ってもダウンだから圧縮すればそれなりに小さくすることができ、冬用の圧縮前が夏用の4倍の体積だとすると圧縮後は2.5〜3倍くらいまで減ったイメージだ。ここまでしてようやくサイドバッグに詰めることができたが、問題は撤収がメチャクチャ面倒になった。シュラフの収納だけで10分はかかることだろう。 では衣服は夏と秋でどれだけ変わったのか? 夏に持って行く服は自転車で走る間の服として半袖のサイクリングジャージーが2着とパッド付きのインナーパンツが2着、そしてズボンが1着と靴下が2着だ。15〜16℃以下で半袖のサイクリングジャージーだけでは寒い時には防寒着代わりにレインスーツを着る。そして寝る時用にジャージ上下(モンベルのシャミース)が1着と長袖シャツが2枚、普通のパンツが2枚、靴下は自転車用と共用。これが普段の夏の北海道自転車ツーリングで持参する衣服のすべてだ。 しかし今年は秋の訪問となり気温も昼間で3〜5℃、夜は5〜8℃は下がることが見込まれた。そこで上記の夏用の衣服に加えて自転車に乗っている時用に長袖のサイクリングジャージーを1着、そして寝る時用に長袖シャツを1着、タイツを1着を追加した。シャツは毎日2枚重ね着して寝ることになるので予備でもう1着持参し、足用にタイツも追加だ。 これだけあれば寒い時には上はシャツ2枚にジャージー、それでも寒ければ長袖のサイクリングジャージーも着る。下はタイツにジャージ、それでも寒い時には自転車で走る時のズボンも履く。これで冬用のシュラフにくるまれば最低気温5℃でも大丈夫だろう。 ただ長袖ジャージや長袖シャツ、タイツを追加したことでさらに荷物の量が増えた。これまで北海道自転車ツーリングでは衣服は圧縮袋に入れていたが、寝る時用のジャージーだけは圧縮せずにスタッフバッグに入れていた。しかしこれではかさが大きくなることから今回からジャージを圧縮袋で圧縮してからスタッフバッグに入れることにした。これならジャージだけでなく寝る時用のシャツやパンツ、タイツまでスタッフバッグに入れることができ、何とかサイドバッグに収めることができた。 それからもしばらくは旅の日記を書き続けた。日の沈むのがいつもより70分も早いので夜が長い。22時に寝るとしても18時に暗くなってから4時間もある。これは可能な限り昼間は旅の日記を書かずに走りに徹して、夜暗くなってから旅の日記を書くようにしよう。 それにしても今日は予想以上に早く走れた。行程の2/3はサイドバッグを積んでいないとは言え平均時速19.5km/hは記録ではないだろうか? これもコロナによる外出自粛にも関わらずゴールデンウイークからの4ヶ月半で3600kmも走り込んだ成果かもしれない。梅雨がなかなか終わらずに走りに行けなかったり夏は暑くて昼間走るのは断念して仕事前の朝早い時間に毎日走りに行ったりといろいろ工夫した。 自粛警察の方々に言っておくと、外出自粛が叫ばれている中でのツーリングは、食事どころはもちろんコンビニさえ立ち寄らないように気を使った。例え200kmのロングツーリングでさえ補給食はすべて持参して感染リスクを減らした。いずれにしても明るい時間が短くなった以上、走る距離を従来と同じにするには早く走るしかない。 明日は走行距離が長いので6時には出発したい。北海道自転車ツーリングの1泊目の朝はまだ慣れていないこともあり出発準備に時間がかかる上にシュラフの撤収に時間がかかるので4時には起きたい。いつもだったら4時頃から明るくなり始めるのだが、明日の日の出は5時18分なので真っ暗な中を撤収作業することになる。いつもは辺りが明るくなることで目覚めていたが、真っ暗ではおそらく起きられないだろうから4時に目覚ましをセットして21時30分に寝ることにする。
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