昨夜は夜中の1時に一度目が覚めただけで、それ以降はぐっすりと眠ることができた。目が覚めると4時20分だったので、起きることにした。テントの外に出ると外は深い霧に包まれており、視界は100mほどしかなかった。昨日残したご飯をおじやにして食べる。5時くらいになると、雲の切れ間から太陽が顔を出したようで、霧の中から太陽の光が射し込み幻想的な雰囲気を醸し出していた。 二日間張り続けたテントを撤収し、5時40分に出発。よく考えたらこのキャンプ場では受け付けの時にもらった紙を返却してチェックアウトしなければならなかったのだが、そんな事はすっかりと忘れて、紙を返却しないまま出発してしまった。
美瑛の町を出ると、次はケンとメリーの木を目指す。ケンとメリーの木は昨日も撮影していたが、今日は青空をバックに撮影できそうだったのと、どうせ旭川に向かうにはケンとメリーの木に立ち寄っても遠回りではないので、立ち寄ることにした。カルビーの工場前の急坂を苦労しながら登る。今日は昨日と違って自転車がフル装備なので、ペダルが重い。どうにか坂を登って7時ちょうどにケンとメリーの木に到着。いつもの場所から自転車と一緒に撮影する。
西瑞穂の駅前に犬の学校と書かれた看板があった。犬の学校があるのだと思っていたが、後で調べたら1回の訓練で約3000円。犬のホテルが中型犬で一泊3200円だそうだ。これだったらチャリダーの方が宿泊代は安そうだ。 国道237号線の直線道路を走り続け、8時10分に環状1号線に到着。標識にはこれが道道90号線と書いていなかったので少し迷うが、無事に道道90号線に入ってさらに北上を続けた。この頃からしだいに町中の道となり、交通量はそれほどでもないが、信号が多くなって走りにくくなる。この道道90号線でも信号待ちの合間にパンを食べておなかを満たした。
その山の中の国道12号線を走っていると、全長1805mの春志内トンネルが見えてきた。私はもちろんトンネルに突入するつもりでいたが、標識を見ると歩行者と自転車は迂回路を走るように書かれている。私は迂回路を走ろうか、それともこのままトンネルに突入するか悩んだが、あまにりトンネルの中が危なそうだったので迂回路を進むことにした。
ツーリングマップルにも載っていなかったので私は気付かなかったのだが、この石狩川の対岸には旧函館本線の廃線跡を利用した旭川サイクリングロードが旭川から神居古潭まで続いており、とても走りやすい自転車道が続いているそうだ。今度旭川から深川まで自転車で走る事があったら交通量の多い国道12号線ではなく、旭川サイクリングロードと石狩川自転車道を乗り継いで走ってみる事にしよう。 そして名ばかりの自転車道を進むと、突然「通行不可」の標識が見えてきた。これを見た時、せっかくここまで来たのに再びトンネルまで引き返さなければならないかと一瞬ドキッとしたが、よく見たら高さ4.5m以上通行不可と書かれていた。中国雑技団でもない限り、自転車で高さ4.5m以上にはならないと思うが。
それからも国道12号線を進むと、今度は全長432mの神居古潭トンネルが見えてきた。このトンネルも自転車と歩行者は迂回路を走るように書かれていたので、少し戻って石狩川沿いの迂回路に入る。迂回路は先程の自転車道とは異なり、ちゃんとセンターラインのある神居古潭へ向かう道でもあり、景色もきれいだったので写真を撮った。 神居古潭には神居古潭変成岩と呼ばれる結晶片岩や蛇紋岩が石畳や甌穴(おうけつ)などの奇岩が数多く見られ、景色もすばらしい。しかもそれだけでなく、この付近には竪穴式住居跡、ストーンサークルなど、縄文時代にさかのぼる遺跡群が点在し、古くから集落が存在していたそうだ。私はこの神居古潭を見学していこうかとも考えたが、早くキャンプ場に着きたかった事もあり、遠くから写真だけ撮って先に進む。 この国道12号線の旭川から20kmほどは人家も少なくコンビニもない。私は旭川の町中でパンを食べ尽くして食料が底を尽いていたが、旭川から深川・滝川あたりにかけては人家も多く、コンビニにも困らないだろうからと考え、旭川のコンビニで食料を補給しなかったのだ。結局、旭川からずっとコンビニを探しながら走り続けるが、国道12号線は人家の少ない辺鄙な場所を走り続けるばかりで、ハンガーノックになりそうだった。ツーリングマップルを見ると、この先には道の駅「ライスランドふかがわ」があり、その名前の通りライスがあるに違いないと考え、道の駅を楽しみにしながら走った。
そしてハンガーノックになりかけながら、10時20分にようやく道の駅「ライスランドふかがわ」に到着した。出発から4時間40分で68km走っているので、休憩を含めた平均時速14.6km/hとなり、美瑛で観光していた割にはカメ作戦よりハイペースだ。さっそく道の駅に入るが、残念な事に米を特徴とした料理はあまり置いていなかった。その代わりにこの道の駅にはコンビニが隣接していたので、コンビニでカルビ弁当と牛乳を購入し、花壇の日陰に自転車を止めて弁当を食べた。弁当を食べ終えても20分ばかり旅の日記を書き、本日初めてとも言える休憩をとる。そして11時ちょうどに出発し、再び国道12号線を南西に走り始めた。 ツーリングマップルを見るとこの付近から石狩川自転車道が始まっている。私は自転車道に入ろうかとも思ったが、よく考えたら石狩川自転車道は私が4年前に挫折した自転車道だ。どうせ期待して行っても、また4年前の二の舞になりそうだったので、石狩川自転車道は断念する。さらにこの近くには北竜のひまわりの里があるが、20kmほどの寄り道になってしまい、観光時間も含めると2時間以上のロスになる。今日は早めにキャンプ場に入ってズボンを洗濯して、早めに温泉に入って旅の日記を書いてしまい、夜はゆっくりと過ごそうと思っていたので、ひまわりの里もパスする。
道の駅を出発してしばらく走っていると、後方からロードに乗ったサイクリストに追い抜かれた。スピードは向こうがわずかに早いだけだったので、私はしばらくの間、彼の後ろを走った。しかし明らかにオーバーペースだったので、スピードを落とすと徐々にその差は広がっていった。そして彼の姿が500mくらい前方に見えるようになった頃、道の駅「たきかわ」に11時40に到着した。 先ほどの道の駅でコンビニ弁当を食べていたとは言え、少しおなかも空いてきたのと、この道の駅には農産物の直販所があったので、カットメロンを一切れ購入しベンチに座って食べた。冷えてもいなかったがおいしかった。今日も気温は25℃くらいだったが、直射日光を浴びて暑かったので、道の駅のトイレでタオルとアームカバーを濡らして、再び国道12号線を走り始めた。 道の駅を出発すると、ここからは滝川の町に近づいたこともあり、信号が多くなって走りにくくなる。やがて滝川の町の中心部を走るようになると、国道451号線に右折して石狩川を越える。この国道451号線は私にとっては恐怖の道路だ。石狩川までの短い1kmちょっとの道に信号が6〜7個あるのだが、これらのすべての信号に引っかかってしまったのだ。これらの信号は一斉に青になったり赤になったりするのだが、200〜300mおきに信号があるので、1つ先の信号が青のうちに自転車ではそこまでたどり着くことができず、必ずギリギリのタイミングで赤になり、さんざんストップ&ゴーをさせられて嫌気がさしてしまった。
向かい風の中を走るのは辛く、早く道の駅「つるぬま」に着かないかと、そればかり考えて走った。こんな時は景色を楽しみながら走るものだが、せっかくの晴れた景色なのだし写真でも撮ろうとすると、すさまじい交通量で、5分以上車が途切れることもなく、ひっきりなしに追い抜いていくので写真を撮ることもできなかった。きっとお盆休みの最終日でみんな札幌に帰る人達だろう。しかしせっかく高速道路が休日1000円になったのだし、この区間は高速道路が併走しているのだから、高速道路を走ればいいのにと思ってしまう。 向かい風に苦しみながらも13時10分に道の駅「つるぬま」に到着。私はこの道の駅で東屋を陣取って休憩がてらに旅の日記でも書こうと考えていた。しかしいざ道の駅に来てみると、すでに年寄り連中に東屋を完全に占拠され、立ち退く気配もなかったことから、私は木陰で5分ほどだけ休憩してすぐに出発することとなった。ここでしっかり休憩して向かい風の疲れを取ろうと考えていた私のもくろみは見事に崩れ去ってしまった。
14時20分にようやく月形皆楽公園キャンプ場に到着。もう勝手知ったるキャンプ場なのでゴミ袋ももらわず、いつもの東屋の隣にテントを張った。これまでの過去2回はずっと東屋のベンチの横にテントを張っていたが、それは天気予報が雨だったからで、晴れていれば東屋にテントを張る必要はない。今日は風が強かったので東屋の横がちょうどいいくらいだ。 今日はキャンプ場への到着が早かったのと、太陽の光が燦々と降り注いでいたので、マットとシュラフを乾燥させる事にした。テントは薄い生地なのであっという間に乾き、マットとシュラフもすぐに乾く事だろう。風が強いのでマットが飛んでいかないように押さえているのが大変だった。 テントを設営し、マットとシュラフを乾燥させている間に、テントの中で今まで履いていたズボンをレインスーツのズボンに着替えて、14時50分からズボンの洗濯開始。今日は最後の夜なのでここでズボンを洗濯しておかないと、汚いままのズボンではANAのプレミアムクラスをお断りされかねないので、ズボンをスーパーの袋に入れて炊事場でジャブジャブと洗濯。いつもよりも水がずいぶんと汚れた。洗濯が終わると乾燥だが、いきなり乾燥機にかけるより、少しでも干しておいた方が乾きが早いので、自転車に干しておく。 洗濯物を干している間、15時10分から月形温泉ゆりかごへ行く。温泉の中は大混雑で、脱衣場も人であふれていた。まだ早い時間なのになぜこんなに混雑しているのか理解できなかった。湯船と洗い場は何とかなったが、露天風呂は混雑して入れそうになかったので断念。そのまま湯船からあがり、15時50分から休憩室で旅の日記を書いた。 温泉の売店でトマトジュースが一杯50円で売られていたので購入して飲む。市販のトマトジュースではなく、いかにもトマトをジューサーですりつぶして作ったジュースのようでおいしかった。今日はキャンプ場に着いたのも早く余裕があったので、休憩室で1時間30分ほど旅の日記を書き、帰り際にフロントでトマトを買う。この月形温泉ゆりかごにはいつも地元の農産物が直売されているのだが、今回はトマトの袋に生産者の名前まで書かれていた。 17時40分にテントに戻ると、ありがたいことに干していたズボンがほとんど乾いていた。これなら乾燥機を使わなくても乾きそうだ。自転車に干していたズボンをテントに干し直し、自転車ですぐ近くのコンビニに向かう。コンビニで弁当を買うか、それともいつものように米を炊くか悩んだが、結局まだ米とガスが余っていたので米を炊くことにした。今年の北海道自転車ツーリングはいつものように18日ではなく11日に短縮しているので、米やガスの残量を気にしなくていいから楽だ。 今回の北海道ツーリングではローソンやサンクスのコンビニではいつも支払いはエディにしていた。ところが携帯電話にチャージしているエディの残金が減ってきたので、ここで2000円をチャージしたところ、残金が4000円ほどになってしまった。これで明日、大阪まで帰れるかどうか心配になってしまったが、まあ明日立ち寄るコンビニはローソンかサンクスに限定してしまえば現金を払う必要はないのだし、きっと大丈夫だろう。
18時20分から自炊開始。自炊の間も旅の日記を書き続け、炊きあがると米を蒸らして19時から食べ始める。今日の夕食は中華丼とトマト。最後の夜なのでもう少し豪勢にしようと思っていたが、結局こうなってしまった。本当はキャンプ場の隣にあったラーメンむつみ屋の月形総本店で評判といわれる黒味噌ラーメンを食べたかったのだが、その楽しみは次の機会に残しておこう。 19時を過ぎ、薄暗くなった中で食事をしていると、チャリダーの集団がキャンプ場にやって来た。10人近くのメンバーがいたので、きっとどこかの大学のサイクリング部だろう。ただ食事中だったので挨拶できずにいたら、キャンプ場の奥の方に行ってしまい、話しかけることはできなかった。
明日は千歳空港まで80kmほど走るだけ。フライトの時刻は15時25分なので、遅くとも14時には千歳空港に着いておきたい。それにラウンジで酒を飲む時間を考えたら、12時頃には着いておきたいので、明日は早めに起きて朝早く出発することにしよう。 20時から1時間ほど旅の日記を見直して加筆修正し、21時過ぎにはやることがなくなってしまった。そこでカメラを持ち出してキャンプ場周辺の撮影に出かけた。一番目立つ明るい被写体は月形温泉ゆりかごだったので、玄関前にまで行って写真撮影する。ところが人がカメラを構えていると、温泉を出てきた家族連れがそれを見て自分達も写真を撮ろうと人の前に立って写真を撮り始めるのには閉口した。こうした観光客にはカメラを見せない事が重要だ。明日は朝が早いのでテントに戻り、少し早いが21時30分に寝ることにする。
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