朝4時50分に目覚める。このキャンプ場のカラスはお寝坊さんのようで、鳴き始めるのが遅いようだ。テントを出ると昨日に続いてテントや自転車が夜露でびっしょりになっていた。このキャンプ場のフリーサイトは周りを木で囲まれているので朝日はまったく期待していなかったが、ちょうど木々の隙間の山間から朝日が昇っていたので写真を撮影する。
今日はキャンプ場のトイレで大が出たのでお腹の調子はよいようだ。驚いた事に早くも隣のテニスコートではパコパコとテニスが始まっていた。撤収作業を続け、6時30分にキャンプ場を出発する。池田の町まで下って道道73号線に入り、池田大橋を越えてコンビニに立ち寄る。昨夜と今朝は自炊せずにコンビニメニューで済ませたので、ゴミがいつもよりたくさん出たが、困った事にこのコンビニにはゴミ箱がなかった。このままゴミと一緒に本別まで走らなければならないかと思ったが、幸いな事に店内にゴミ箱があったので捨てさせてもらう。コンビニでパンと牛乳と凍らせたペットボトルを購入し、店の前でパンを食べた。 7時前にコンビニを出発し、国道242号線を北上開始。この国道242号線は若干の上り坂なのに加えて2〜3m/s程度の弱い向かい風だったので、朝から少し苦労する。2年前にこの道を走った時にはこんなに苦労した覚えはなかったはずだが… それでもこの国道242号線は交通量は多いが路肩が広くて走りやすく、山間の農村地帯を走る道で今日もよく晴れて景色もいい事からのんびりと走る。昨日向かい風の中を頑張って走りすぎたせいか、少し膝の関節が痛くなっていた。 この国道242号線は牧草地の横を走り抜けるが、この牧草地でトラクターが牧草を刈り取っていた。面白そうだなと思って走りながら見ていると、トラクターが牽引する大きな機械の後部扉が開いたかと思うと、そこから牧草ロールがゴロンと転がり落ちてきた。そのニワトリが卵を産むかのような光景に、私はしばらく見とれてしまった。あの大きな機械が牧草を刈り取ってロール状に巻き取り、それが所定の大きさに達したらその場に産み落としているのだ。なるほど、だから牧草地のあっちこっちに牧草ロールが転がっているのだとようやく理解できた。牧草地に転々と転がった牧草ロールをどうやって集めるのかと思っていたが、おじさんが牧草ロールを人力で転がして集めていたのには思わず笑ってしまった。後で知った事だが北海道にある直径2mもあるような大型の牧草ロールは重さが350kgもあるそうだ。
さらに国道242号線を走ると、北海道ラリーとツール・ド北海道の宣伝看板が見えてきた。北海道ラリーとは毎年北海道の帯広や音更、陸別付近の林道で行われるラリーの事で、2004年からはWRCに昇格しており、世界選手権の一環としてレースが行われている。ツール・ド北海道は毎年北海道の道東から道央にかけて開催される日本最大の自転車レースで、1997年からは「ツール・ド・北海道国際大会」となっている。さらに走ると道東自動車道の高架が見えてきた。2年前はこの高架下で雨宿りしながらレインスーツを着たなぁ〜と思うと感慨深くなってしまった。 8時50分に本別に到着したが、せっかくこれだけ晴れているのだし、国道392号線に入ってすぐのところにある、本別の町を見下ろす事のできる展望台に行く事にした。少しばかり登らなければならないが、景色の為なら何のその。陸橋を渡って2年前に廃線となった北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線を越える。2年前に走った時にはまだ線路は引かれたままだったが、今では線路も枕木も撤去されてしまい、盛り土だけが過去にここが線路だった事を忍ばせるだけだった。
ここからの国道242号線はアップダウンのないフラットな道で、しかも弱い追い風だったので走りやすかったが、路肩が荒れていて道はあまりよくなかった。本別の町を出発してしばらく走ったところに「交通安全 亀亀運動実施中」という看板があった。これは昨年、月形キャンプ場で見た女性チャリダーの走りを私が勝手にネーミングしたカメ作戦に何となく似ていたので思わず写真を撮ってしまった。
私はこの道の駅で当初の予定通り北上して留辺蘂に向かうか、それとも東進して阿寒湖に向かうか悩んだ。阿寒湖だと上に抜ければ美幌・網走だし、東に抜ければ弟子屈・中標津だし、下に抜ければ釧路と選択肢が多く、留辺蘂に比べて景色の多い場所も多い。当初の予定とはコース変更になってしまうが、せっかくこれだけ晴れているのだし、コースを変更してでも景色のきれいな道東に向かおうと、私は阿寒湖に向けて走る事にした。 道の駅を10時45分に出発し、国道241号線に入ったとたん、空が曇ってしまった。今日も少し暑かったので、日差しが遮られたのはありがたいが、その分だけ景色は悪くなってしまった。国道241号線は足寄川沿いに走る道ではあるが、過去に走った時の記憶以上にアップダウンがあった。途中、ソロのチャリダーとすれ違ったので挨拶すると、その500m程後方に今度は女性のソロのチャリダーとすれ違った。両方とも白人の外国人のように見えたので、2人組みで走っているのかもしれない。 アップダウンの多い国道241号線を走っていると、野菜の直販所があるのが目に入った。何を売っているのかと何気なく見ていると、何とトマトも売っているではないか。私は月形キャンプ場以来トマトを食べていなかったので、無性にトマトを食べたくなり自転車をUターンさせて野菜の直販所に飛び込んだ。 直販所にはトマトが3つばかりザルに入れられて置かれており、そこには100g30円と書かれていた。これが安いのか高いのかわからなかったが、とりあえずトマトの1つをつかむと、それを秤の上に置いた。180gを示していたので50〜60円といったところか。ところが秤のメモリは店のおばさんからは見えず私の自己申告のみ。しかも正しく180gと申告したら「40円かな」と言って、おまけしてくれたのか計算できなかったのか、よくわからないまま40円払ってトマトを購入した。店の裏手に水道があったので、水道を借りてトマトを洗い、その場で丸かじりして食べた。このトマトはよく見ると小さな傷があり、おそらくその傷ゆえに出荷できなかった野菜を直販所で売っているような感じだったが、そんな小さな傷など気にもしない私は、安い値段でトマトを食べる事ができ大満足だった。 野菜の直販所からさらに走ると今度はラワンドライブインが見えてきた。このラワンドライブインは4年前の2004年の北海道自転車ツーリングの時に立ち寄って、おいしい牛乳を飲んだ店だ。私はあれ以来、市販の牛乳ではない絞りたての牛乳を飲んだ事がなかったので、せっかくここまで来たのだし、再びあのおいしい牛乳を飲もうとラワンドライブインに立ち寄る事にした。
おばさんに牛乳の事を色々と聞いてみた。もちろんこの店の牛乳は牛から搾った牛乳を煮沸しただけのものだそうだ。煮沸しなくても飲めない事はないが、煮沸した方が牛乳に甘みが出るそうだ。牛乳は冷蔵庫で冷やしておけば1週間ほどもつそうで、クール宅急便で送れば地方発送もできるとの事だった。ちなみにこのラワンドライブインはライダーハウスもやっているそうだ。
さらに走るとパーキングがあったので12時20分から休憩する。どうせ曇りだからと適当な場所に自転車を止めてパンを食べながら休憩していたら、突然雲の切れ間から日が差し始め、暑くてたまらなかった。出発からここまで75kmを5時間50分で走っているので、ちょうどカメ作戦の時間通りだ。 パーキングを12時30分に出発し、さらに国道241号線を走る。すると上足寄本町という小さな町に着いた時、看板にこの先Aコープがあると書かれていた。私はこんな小さな田舎町にAコープがある事自体信じられなかったが、いざ目の前に現れたAコープを見てびっくりした。そこにあったのはガソリンスタンドと郵便局が併設されたAコープとは名ばかりの小さな商店だった。私はAコープといえば敷地1000平方メートルはありそうな大型のスーパーを想像するのだが、こんな小さな田舎町にそんな大型スーパーがあるはずもなく、いわゆる田舎の万屋のような感じの店だった。
さらに走ると前方に雌阿寒岳と阿寒富士が見えるようになってきた。雌阿寒岳と阿寒富士だけはなぜか晴れていて、進行方向の目の前に見えるので眺めがよい。あっちこっちで自転車を止めながら雌阿寒岳と阿寒富士の写真を撮影しつつ国道241号線を走った。 13時20分に茂足寄パーキングに到着。このパーキングは駐車場も広く、トイレもきれいで、しかも雌阿寒岳と阿寒富士の眺めもよく、私のお気に入りのパーキングとなってしまった。パーキングでパンを食べ、旅の日記を書いて休憩し、13時40分に出発した。 ここからは一気に登りがきつくなった。それだけでなく、登り始めると同時に太陽が顔を出し、一気に日差しがきつくなって汗だくになってしまった。何で峠を登る時だけ晴れるのかとぼやきながらも急坂を登り続けた。すると前方からママチャリに乗ったソロのチャリダーが下ってきた。大きなザックに荷物をすべて背負い、家庭用のフロアポンプまで持っている。よくまああんな自転車で走るものだと感心していたら、もう一台、ママチャリのチャリダーとすれ違った。高校生で金はないけど自転車で旅をしたい人は、家にあるものを適当に積んでママチャリで旅をする事になるのだろうけど、よくやるなぁ〜と感心してしまう。私などは軽量化された山岳用の装備を金に糸目を付けずに次々と買って楽な旅をしているが、装備に金をかけるのではなく、ある物を使って知恵と努力で何とかしてしまうのが、何より楽しいしそれが本当のチャリダーという気がしてならない。かといって彼らのようにフロアポンプを背負って自転車で旅するなど考えたくもないが、彼らにとってはそれもいい想い出なのだろう。彼らを見ているとそんな気がしてくるから不思議だ。
これは後で知った事だが、牧草を巻き取って牧草ロール、正式名称ロールベールにする機械の事をロールベーラと呼び、ロールベールの止め方もネットバインディングとトワインバインディングの2種類があって、機械によってバインディングの方法が異なり、またラッピングまで自動で行うものもあったりと、ロールベーラーにも色々種類がある事がわかった。これはやはり自転車で走りながら牧草地で牧草を刈り取っている農家の人を直撃して、そのロールベーラの使い勝手や、できあがったロールベールの状態などをまとめ、ロールベーラの評価を行うホームページを作らなければならないようだ。 さすがに日差しのきつい中、ずっと足寄峠を登り続けていたので疲れてしまい、林道の入り口に日陰を見つけたので14時20分から休憩する事にした。足寄峠の頂上まではあと4kmのはずだが、全身汗でびっしょりと濡れてしまった。今日は朝コンビニで凍らせたペットボトルを購入していたので、何とか冷たいジュースを飲んで体を冷やした。そしてパンを食べながら少しばかり休憩し、14時35分に再び出発した。
両側にラワンブキが広がる薄暗い森の中の林道を歩き続けた。標識には600mと書かれていたが実際にはそれ以上あったと思われる。15分程歩いてどうにか林道を先まで歩くと簡単な駐車場があり、そこからさらに山道が続いていた。つまり国道から駐車場までが600mで、そこからさらに山道を歩かなければならないのだ。仕方なく私は山道を歩き始めた。一応整備はされていたが、傾斜のきつい山道を下っていくと、次第に滝の音が聞こえ始め、やがて目の前に滝が広がった。
5分ほど白藤の滝を写真撮影し、また山道を登ってダートの林道を歩き国道まで戻ってきた。35分の寄り道だったがまずまず楽しむ事ができた。15時20分に出発し、再び国道241号線を自転車で走り始めた。ここが足寄峠の頂上だと思っていたが、実際には足寄峠の頂上はもう少し坂を登った先にあり、15時30分にようやく標高645mの足寄峠の頂上に到着した。 足寄峠の頂上には頂上を示す標識があったので自転車を止めて写真撮影する。ふと後ろを振り返ると、ここ数日ほとんど見かけた事のないような大きな入道雲が広がっていた。これはそのうちに雨が降りそうな雰囲気だ。何とかキャンプ場までは雨が降らなければよいがと祈りつつ、足寄峠を越えて阿寒湖側に下り始めた。
レインスーツを着て、さらに国道241号線を下ると阿寒湖畔の町に到着した。ツーリングマップルの20万分の1の地図では阿寒湖畔キャンプ場がどこにあるのかよくわからず、国道を走るべきかホテル街の道を走るべきか悩んだが、地図を見ると何となく国道沿いのように思われたので、国道241号線を走ると、すぐに国道沿いの山側に数多くのテントが見えるようになり、阿寒湖畔キャンプ場は見つかった。 16時ちょうどに土砂降りの中、阿寒湖畔キャンプ場に到着し、受け付けを済ませる。管理人は今日はキャンプ場に団体客が来ていてキャンプ場の奥の半分は貸し切りになっているから入らないようにと言われた。もちろん団体客はうるさいから、そんな事言われなくても近くにテントを張る事はない。受け付けの人に聞くと、雨は30分ほど前に降り始めたばかりとの事。やはり白藤の滝に行かなければ、乾いた地面にテントを張れたのにと後悔する。 管理人から阿寒湖畔の観光マップをもらうが、ついでに宮永英一の「〜響きあう鼓動〜 北の大地に熱い風が吹く」というコンサートの案内を渡そうとしてきた。どうせ行かないのだしゴミになるだけだからと断ると、このすぐ近くのアイヌコタンの特設会場屋外ステージ会場で21時からコンサートがあるから、キャンプ場まで音が聞こえてくるのでちょっとうるさいですよとの事だった。まあ夜中まではやっていないだろうから問題はないと思うが。 雨が降りしきる中、受け付けを済ませてフリーサイトへ向かう。そしてどこにテントを張ろうか散々悩んだ。雨が降りそうな時は水の溜まらなそうな少し高くなった場所を選ぶものだが、既に雨がかなり降っている状態では地面はどこもかなり濡れていてテントを張ったら床が濡れるのは目に見えている。このキャンプ場には屋根のある東屋もあるが、今日は連休直前の週末という事もあり、そこそこ宿泊者がいるので、東屋にテントを張る事はできない。どうしようかと散々歩き回っていると、大きな木の下に地面の濡れていないエリアを発見した。どうやら木が傘の役割をしたようで、テントが張れるくらいのスペースは地面が濡れていない。そこで私はさっそく木の下に自転車を乗り付けてテントの設営を開始した。 相変わらず雨は降り続いていたが、大きな木のおかげでテントはほとんど濡れずに設営する事ができ、テントの周りは雨が降っていてもレインスーツもいらないほどだった。設営する前に雨が降ってくれたおかげで、こんな雨に濡れずに済むいい場所を発見する事ができ、先程とは逆に白藤の滝に行った事がよかったと思えてしまった。キャンプ場にはテントの横に自転車を止めた外国人がいたが、テントの中に荷物を全部入れているので、この外国人がチャリダーなのかどうかはわからなかった。 設営を済ませたら今度は洗濯する事にした。昨日温泉で着替えた服をまだ洗濯していなかったのだ。こんな雨の日に洗濯物が乾くとは思えないが、木の下に洗濯物を干せば、乾くまでは至らなくても、水滴を落とすくらいはできるだろうと考えた。屋根のある炊事場でいつものようにスーパーの袋に洗濯物と洗剤を入れて洗濯をしていたら、炊事場にやってきたキャンパーのおじさんから「いい方法だね」と感心された。キャンプ場ではごく一般的な洗濯方法だと思っていたが、知らない人から見たら、非常に安上がりで便利な方法に見えたに違いない。何せ私はこの方法を知ってからキャンプ場で洗濯機を使った事がないのだ。 洗濯を済ませて木の下に干し、それから米を水に浸していると、いつの間にか雨が止んでしまい、空には青空も見えるようになってきた。これはありがたい。温泉に行くのに濡れずに済むし、もしかしたら阿寒湖に沈む夕陽が見られるかもしれない。私はさっそく17時から自転車で温泉に向かう事にした。
今度は温泉に向かう。向かった先はキャンプ場の受け付けの人がお薦めてしくれた阿寒ビューホテルだ。国道から阿寒ビューホテルに向かうと、見えてきたホテルはかなり立派な観光ホテルで、汚いチャリダーの来るような場所ではなかった。しかし今さら引き返せないので自転車置き場に自転車を止めていると、ホテルの玄関前に立つ案内嬢に「お泊まりですか」と声をかけられた。チャリダーがこんなホテルに泊まるはずないだろと思いながらも「いや、日帰り入浴です」と答え、フロントに向かった。脱衣場にはロッカーがないとの事で、フロントに貴重品を預けて入浴料615円という半端な金額を払おうとしたら、10円玉を床に落としてしまった。私は落とした瞬間を見ていなかったのと、フロントが多少薄暗く、床が10円と同じような色をしていたので落した10円玉見つけ出す事ができず10秒ほど床に目を落とした後、探すのを断念してしまった。 ホテルの温泉に行くとびっくりしてしまった。とてつもなく湯船が広いのだ。いったい何人入れるのかと思えるほど大きかった。この広い温泉に私を含めて3人しかおらず、寂しく感じてしまうほどだった。この温泉には他にも25mの温水プールや露天風呂があるとの事だったが、温水プールは水着着用が必須だったし、露天風呂は1つだけで、今の時間帯は女湯になっているとの事だったので入る事はできなかった。それでもこれだけ広い湯船があればそれで十分だった。しかも脱衣場には櫛や整髪料まで完備されており、さすが観光ホテルと思わせるような内容だった。 風呂場に持ち込んだタオルは昨日テントの中にこぼしたワインを拭いて部分的に赤く染まっていた。タオルに石けんをつけて体を洗ったら赤く染まったのもとれるだろうと思っていたが、薄くなっただけで完全にとれる事はなかった。恐るべし赤ワイン。 温泉からあがりフロントで先程預けた貴重品を受け取ると、フロントのお姉さんから「10円見つけました」と言って10円玉を渡された。きっと私が温泉に行っている間に探してくれたに違いない。宿泊客でもないだだの日帰り入浴の客にここまで気を遣ってもらい、私はすっかりと阿寒ビューホテルのファンになってしまった。このホテルには休憩室がなかったので、ロビーで旅の日記を30分ほど書いて18時に出発した。 ホテルを出ると外は完全な曇り空で、傘を差さなくていい程度に雨が降っていた。夕陽を見ようと企んでいたが、この天気ではとても夕陽が見られそうにはなく、仕方なく再度阿寒湖に向かうのは断念する。その代わりにホテル街のコンビニに向かい、寝酒とヨーグルトを購入。コンビニを出ると雨が本格的に降り出したが、キャンプ場は500m程先のすぐそこだったのでレインスーツも着ずに濡れながらキャンプ場まで戻った。 18時20分にキャンプ場に戻ると、暗くならないうちにと自炊を開始する。ところが自炊を初めてすぐに突然激しい雨が降り出した。近くの家族連れのキャンパーはもう雨は降らないだろうと焚き火に点火までしていたが、激しい雨に焚き火は消え、慌てて炊事場に逃げ込んでいた。私がテントを張った大きな木の下は、この激しい雨にも濡れる事はなく、炊飯はそのまま続けたが、時々大きな滴が落ちてくる事があったので、食事は炊事場でする事にした。今晩はカレーとワカメの味噌汁だ。トマトやカップ野菜を買い忘れていたが、今朝カップの野菜を食べたし、昼にはトマトも食べているのでまあいいだろう。
夕食を終え18時50分からテントに入って天気予報を確認する。釧路や帯広の今朝までの天気予報は9日〜10日は晴れ時々曇り、11日〜13日は曇り時々晴れ、14日は曇りだったのが、今天気予報を確認すると9日〜12日は曇り時々晴れ、13日は曇り、14日〜15日は曇り一時雨に変わっている。天気のいい日が続くから留辺蘂や遠軽をパスして道東に来たというのに、道東に入ったとたん天気が悪くなったのでは元のコースの方がよかったのではないかと思わないでもないが、今さら言っても仕方がない。 とりあえず今立てている計画は、9日は摩周湖経由の多和平、10日は開陽台経由の羅臼、11日は知床峠を越えて知床観光船経由のウトロまでは考えてみたが、それも天候次第だろう。それか9日は別海まで走り、10日は野付半島経由で尾岱沼、11日は羅臼、12日は知床峠を越えて知床観光船経由のウトロというのでもいいだろう。 しかしこれらのコースはいずれも明日、阿寒横断道路で双湖台と双岳台を越えなければならない。この道は4年前の2004年にも走った事があったので、できれば走った事のない国道240号線を北に抜けてチミケップ湖に行くか、同じく国道240号線を南に抜けて阿寒に行ってシュンクシタカラ湖に行こうかと考えた。しかし阿寒湖畔からだとチミケップ湖も阿寒も微妙に近すぎて嬉しくない。100kmくらい離れていれば選んだかもしれないが、いずれもここから40〜50kmの距離しかなく、結局4年前と同じ阿寒横断道路を走って弟子屈に抜ける事にしよう。 テントの中でヨーグルトを食べた。これは昨日も食べたヨーグルトだが、これが以外とおいしい。これは日本ルナというメーカーのマンゴーバナナヨーグルトで8月4日に発売したばかりの新製品だそうだ。16時間じっくり丁寧にはっ酵させて作った、酸味が少なく、きめ細やかで口当たりが特長のデザートヨーグルトだ。芳醇な味わいとコクのマンゴーと、爽やかで上品な風味のバニラを同時に楽しめる、やみつきになる美味しさだそうだが、まさにやみつきになりそうだ。 このところ寝酒はカルピスサワーを飲む事が多いが、このカルピスサワーは貸し切り温泉のプレゼントキャンペーンを実施していた。これはカルピスサワーの缶に貼ってあるシールを集めて送ると貸し切り温泉に招待してくれるというのだ。15枚集めると露天風呂付き客室ペア宿泊券、8枚集めると貸切温泉湯宿ペア宿泊券が当たるのだ。今日までにカルピスサワーをずいぶん飲んでしまったが、シールは集めていなかったので、今日から集める事にしよう。15枚は無理でも8枚なら集める事ができそうだ。剥がしたシールは携帯電話にでも貼る事にしよう。 雨は相変わらず降り続いており止みそうな気配はない。明日の朝には止んでくれればいいのだが。この阿寒湖畔にはワンセグの電波が入らず、20時30分にはやる事もなくなってしまったので寝る事にした。今日も昨日と同様に寒くなりそうな雰囲気だったので、シュラフに潜り込んで暖かくして寝る。今日は団体客がいてうるさかったのと、国道沿いで車の走る音が聞こえるので、今回の北海道自転車ツーリングで初めて音楽を聴きながら眠りについた。
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