朝4時50分に目覚める。このキャンプ場にはカラスがおらず、目覚まし代わりにしていたカラスの鳴き声がなかったので寝坊したようだ。6時には出発したかったので急いで撤収し、5時30分には撤収完了。しかし今日の朝食を昨日のうちに買って来なかったので、朝食がない。この先、コンビニもありそうになかったので、ラーメンを自炊して食べる事にした。ラーメンを作っているとスーパーカブのおじさんも起きてきたので、今日の走るコースについてしばらく話をし、ラーメンを食べ終えて後片づけを済ませると、6時過ぎにキャンプ場を出発した。
昨日と違って風は向かい風だし、荷物は重かったので、昨日ほど楽には層雲峡まで行けなかったが、それでも昨日とはまた違った朝日に染まる層雲峡の美しい景色を眺めながら、層雲峡、銀河の滝を過ぎ、道内3番目に距離が長いという全長3388mの銀河トンネルに突入。本当は銀河トンネルを迂回する小函遊歩道を走りたかったが、昨日、銀河の滝に行った時の調査で、小函遊歩道は通行止だとわかっていたので、仕方なく銀河トンネルに入るというわけだ。さすがにこれだけ長いトンネルの路肩を走るのは恐かったので、逆走になるが右側の歩道の上を走る。歩道を走っていれば車にはねられる心配はないが、トンネル内の歩道は路面は荒れている事が多く、またトンネル内は暗くて路面が見にくいので、路面の状況に細心の注意を払いながら比較的ゆっくり走る。昨年はライトが暗くてトンネル内はほとんど路面が見えない状況だったが、今年は昨年付けていた2つのライトのうち、暗い方を別の新しいライトに取り替えており、これがそこそこ明るかったので、昨年よりは格段に走りやすかった。それにしても、こんな3kmを越える長いトンネル内でもヘッドライトを点灯せずに平気で走っている車がいるのにはびっくりした。ヘッドライトさえ点灯していれば反射板が光るので自転車に気付くはずなのだが、ヘッドライトを点灯していなければトンネル内を走っている自転車などまったく見えないだろう。彼らがトンネル内で自転車をはねるのは時間の問題だ。私の場合、昨年函館バスにはねられそうになった恐怖体験があったので、今年は反射板だけでなく、ヘッドライトを点灯していない車からも視認できるように、暗いところで振動すると自動的に赤色LEDが点滅するタイプの反射板を泥よけの上に付けているので、少しは視認性が上がっている事だろう。こういったトンネル内でもヘッドライトを点灯しない車がいるのを見ると、自転車は絶対に目立つ必要があるとまさに実感してしまう。
銀河トンネルを抜けると今度は全長573mの新大函トンネルだ。ここにもトンネルを迂回するかたちで遊歩道があり、この遊歩道は走れるだろうと期待していたが、残念な事にここも通行止だった。仕方なく新大函トンネルに入るが、このトンネルの歩道は一応舗装されているが、とてつもなく荒れており、まるでダートを走っているようだった。
国道39号線は大雪国道と言うらしい
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草の生えていた歩道を走る
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2つのトンネルを抜けると山肌に切り立った岩は見えなくなり、層雲峡とのお別れを実感する。徐々に傾斜が急になりペースが落ち始める。太陽の日差しはきついが、まだ朝早く気温が低いのでそれほど苦にならない。トンネルを抜けた後もしばらくは右側の歩道を逆走していたが、歩道は所々舗装されておらず、草ぼうぼうの歩道を走らされたりしたので、歩道を走るのが嫌になってしまい、いつも通り左側の路肩に戻る。やがて国道39号線との分岐が来た。私は大雪湖、三国峠を越えて糠平に行く予定だったので、国道39号線とお別れし、国道273号線に入る。国道273号線に入るとすぐに急な傾斜が始まるが、すぐに上りは終り、着いた先は大雪ダムだった。大雪ダムの上から見る大雪湖には霧がかかり幻想的な雰囲気をかもしだしている。
大雪ダムから見た大雪湖。少し霧が かかっていて幻想的な雰囲気だった
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大雪ダムから見たダムの下流 この大雪湖も渇水でほとんど 水は流れていなかった
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今日の出発地点、層雲峡青少年旅行村キャンプ場の標高は500m程度で、大雪湖の標高は800m程度だから、ここまでで標高300mほど登った事になる。これから登る三国峠は標高1150mだから、まだ半分も登っていない。地図を見ると国道273号線はしばらく大雪湖に沿って走るので、大雪湖の湖畔のフラットな道を左側に大雪湖を見ながら走るものだと期待していたが、実際に大雪湖が見えたのは大雪ダムのそばだけで、全長685mの樹海トンネルを抜けると、それ以降は登りの続く山道となり、大雪湖はほとんど見る事ができなかった。このまま三国峠まで登り続けるものだと思っていたが、大雪ダムから70mほど登ると、再び急坂を下って大雪湖と同じ標高まで戻ってしまった。このあたりは歩道が広いので、思わず歩道を走ってしまうが、一度歩道に上がると降りる場所が数kmに1ヶ所というような状態で、車道に降りる事ができない。登りなら歩道でも問題ないが、下りでスピードが上がると歩道を走るのは恐いので車道に降りたいが、降りる場所がなくて困ってしまった。
大雪湖では風が全くなく 湖面は鏡のように反射していた
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大雪湖と離れてさらに国道273号線を南東に進む。もちろんここも登りが続くのだが、傾斜はそれほどでもなく、またこのあたりは視界も開け、樹海の中の真っ直ぐな一本道を右側にユニ石狩岳、音更山、石狩岳を見ながら走るので、走っていて気持ちがいい。スピードも15km/hくらいで走れるし、太陽の日差しはきついが、これなら楽勝で三国峠を越えれそうだと思っていたが、三国峠の4kmくらい手前から傾斜が急になり苦しみ始める。おまけに今日は向かい風でスピードは8kmくらいまで落ちるが、登り坂ではもともとスピードが遅いので向かい風は気にならないし、まして風が当たる分だけ涼しくてありがたいくらいだ。
左からユニ石狩岳、音更山、石狩岳 こんな景色を見ながら快適に走る
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三国山を見ながら緩い登りを登る この国道273号線は 日陰がなくて困った
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そんな時、200〜300m前方に人がうろうろしているのが目に入った。こっちはゆっくりと登り坂を登っているので、こんな人家もないような場所で一体何をしているのだろうと観察していると、何やら昆虫採集の網を持って何かを追い回しているらしい。通り過ぎる時に「何を捕ってるのですか」と聞くと、蝶を捕っているとの事だった。確かに周囲に何匹かの蝶は舞っていたが、私が見る限り紋白蝶ばかり。私は蝶には詳しくないのでよくわからないが、きっとこのあたりには珍しい蝶がいるに違いない。そう言えば国道を走っていると路肩に蝶の死骸をよく見かける。きっと車にはねられて風で路肩に吹き寄せられたに違いない。それ以外にもバッタやトンボなど、路肩には昆虫が多数いるので、避けながら走るのはなかなか気を使う。
それからも苦労しながら急な登りを登る。時間は9時を過ぎ、気温が上がってきたのでもう汗だくだ。早く三国峠の頂上まで登って頂上にあるパーキングエリアで頭から水を被りたいと思うようになった。頂上まであと2kmになった時、自転車に積んでいる750mlのボトルを1本飲み干した。ボトルは残り1本あるが、どうせあと少し登れば三国峠パーキングエリアだし、そこで給水できると考え、ボトルの水を捨てようかと考えたが、せっかく水があるのだから、この場で水浴びしようとボトルの水を頭からじゃぶじゃぶとかけた。これがまた気持ちがいい。キャンプ場でやっていた水浴びの即席版だ。キャンプ場で水浴びしていた時は、ちゃんとタオルを首にかけて服を濡らさないようにして頭から水を被り、水を被った後はタオルで頭を拭いていたが、どうせ服は汗でずぶ濡れなんだし、頭から水を被り、濡れたままの頭にヘルメットを被り走る事にした。頭から水が滴り落ちるが、それが冷たくてまた気持ちいい。もちろんTシャツも濡れるが、どうせ汗で濡れているので関係ないし、この天気だから10分も走れば乾いてしまうだろう。
急な登りを登ると後ろには残雪を残した大雪山が ここでも日陰が全く見えない
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そんな時にもすれ違うライダーは手を上げて、こんな高い所までよく登って来たと誉めてくれるかのように手を振って通り過ぎていくのが嬉しい。そんな時はこちらも苦しそうな顔はせず、こんな坂は楽勝だよと言うようににっこりと微笑みながら手をあげる。しかし実際にはずいぶん辛いものだ。
4kmほどの登りを30分以上かけて苦労して登ると、ようやく三国トンネルが見えてきた。トンネル内はひんやりとして涼しく、しかも若干の下りだったのでスピードが出る。この三国トンネルも1152mと比較的長く、後ろから車が来たら嫌だなと思っていたが、私がトンネルを通過する間、後ろからはもちろんの事、前からも車は来なかった。車の来ないトンネルは暗くてひんやりしていて、それでいて静かなので無気味だが、暑くてたまらなかった私には快適だった。
三国峠で記念撮影
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三国峠からの眺め。樹海ばかりで それほど見晴らしは効かなかった
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三国トンネルを抜けるとすぐに三国峠パーキングエリアが見えてきたので立ち寄る。ここでライダーや観光客に、あのチャリダーはこんな高い所まで登って来ていると見せつけるのが目的だ。なんせこの三国峠は標高が1150mあり、北海道内で車が行ける一番高い場所なのだ。私がパーキングに自転車を止めると1人のライダーが話しかけてきた。ライダーの方から話しかけられるのは珍しかったので、喜んで話しに応じると、彼は私に早かったですねと言う。どうやら登っている途中で彼は私を追い越し、その時に私が手を上げて挨拶したらしい。私はライダーには全員手を上げていたので記憶にはなかったが、彼の方は覚えていたらしい。彼は自転車にも少し興味があったようで、しばらく彼と話をして、お互いに三国峠の標識の前で写真を撮り合う。ちなみに私の撮った彼の写真には私の自転車にまたがる彼の姿が写っているはずだが、私の自転車はサドルが高いので彼はサドルをまたぐ事ができず、トップチューブしかまたげなかった。彼のバイクも見せてもらったがスノーピークのステッカーが貼ってあり、私もスノーピークのファンで、シュラフやバーナー、コッヘルはスノーピーク製を使っており、お互いスノーピークの商品の話をして親近感がわく。
三国峠休憩所でYさんとカレーを食べる
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しばらく彼と話をするうちに彼の知り合いらしき人も加わって3人で話をする。その知り合いらしき人が、三国峠休憩所で食事をすると言うので私もご一緒させてもらう事にした。今日は朝ラーメンを食べて以来、携行食のチョコだけでこの三国峠の頂上まで登ってきたので、お腹が空いていたのだ。彼と一緒に休憩所でカレーを食べながら話をするうちに、彼は奈良県出身で、大和郡山市にある似たような職種の人だという事がわかり、私も同じ奈良県の天理市に長く勤めていた事もあって、これまた親近感がわく。彼は大学時代の先輩や後輩が私の勤める会社にも何人かいると言い、同じ事業所内にもいると教えてくれた。ここで出会ったのも何かの縁と、彼とは名刺を交換する。彼(Yさん)とは食事後もしばらく話をし、そしてお互いの目的地へと進む為、パーキングエリアで別れた。
休憩所で食事を終えて自転車まで戻ると、私の自転車の近くに3台の私と同じようなフル装備の自転車が止まっていた。今回の旅で初めて近くで見るチャリダーの自転車だったが、本人がどこかに出かけているようで周囲にはおらず、話をする事はできなかった。この三国峠パーキングエリアの水は雪解け水なのかとても冷たく、まるで冷蔵庫に入れていたのではないかと思わせるほど冷たかった。私はその冷たい水をボトルに詰め、ついでにいつものように水浴びをしようとするが、ちょうどその時、観光バスから観光客の一団が押し寄せて来て水飲み場を占拠してしまった為、冷たい水での水浴びは断念せざるをえなかった。
三国峠を下ってすぐの松見大橋の全景 これはツーリングマップルにも載っている写真だ
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松見大橋をバックに 自転車を記念撮影
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急坂の直線を自転車で急降下 どこまで行っても日陰がない
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三国峠パーキングエリアをあとにして急坂を下ると、すぐに大きな橋が見えてきた。これはツーリングマップルにも載っていた橋だ。自転車を止めて樹海にそびえる大きな橋にしばし見とれ写真を撮る。橋を渡りきったところで、この橋が松見大橋という名前である事がわかった。橋を渡ると下りの長い直線が続き、その直線をノンブレーキで一気に駆け降りる。途中、ロードの自転車で登ってくる人がいたのでお互い手を上げて挨拶。荷物はまったく積んでいなかったので、チャリダーと言うよりは地元のスプリンターだろう。
坂を下ればすぐに糠平かと思っていたが、地図をよく見ると糠平まで30km近くあるようだ。でもまだ10時過ぎだし急ぐ必要はまったくない。樹海の中を走る一本道の直線をひた走る。もう三国峠は越えてしまったのでアップダウンは少ないが、11時にもなると気温が上がり、さらに天気は晴天で、太陽の日差しが容赦なく照りつけて顔や腕をジリジリと容赦なく焼いていく。おそらく気温は30度に達している事だろう。暑くてたまらず日陰で休憩しようとするが、この国道273号線は道路からずいぶん離れた所まで木を切り倒して道を作っており、確かに視界が開けていて眺めもいいし走っていて気持ちのいい道なのだが、代わりに日陰というものがまったくないのだ。ひなたで休んでも暑いだけなので、何とか日陰まで走ろうと頑張るが、日陰にたどり着くまでに5km程走らされる事になってしまった。日陰に入って三国峠パーキングエリアでボトルに給水した冷たい水を頭から被るが、もうこの時には生ぬるくなっていた。やはり濃い色のボトルだと太陽の熱ですぐに中身が熱くなってしまうのが問題だ。
やっと見つけた日陰でしばし休憩 本当にここまで全く日陰がなかった
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旧国鉄士幌線の廃線跡 バックに見えるのは糠平湖
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糠平湖に近づいてきた所でコンクリートアーチ橋への案内板があった。このコンクリートアーチ橋はタウシュベツ川橋梁という名前で、旧国鉄士幌線の廃線跡である。旧国鉄士幌線が1939年に十勝三股駅まで開通した際に、音更川の支流であるタウシュベツ川に架けられたが、1955年に糠平ダムが建設され、橋梁周辺が湖底に沈む事になった為、士幌線は湖を避けるように新線がひかれた。その際に、橋梁上の線路は撤去されたものの、橋梁自体は湖の中に残されることとなり、現在までその姿をとどめているそうだ。しかも糠平湖は季節によってダムの水位が大きく変わる為、橋梁全体が水に覆われて見えなくなってしまう時期もあれば、橋梁全体が見渡せる時期もある。その為、タウシュベツ川橋梁は別名「幻の橋」とも呼ばれる。古代ローマの遺跡を思わせるその姿は、周辺の景色とも調和しているとされ、第1回北海道遺産に選定された「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」の1つである。私も一度見てみたかったが、そこにたどり着くにはダートを5kmほど走らなければならないので断念。もしかしたら糠平湖の対岸から見えるのではないかと期待していたが、残念な事に国道273号線からはコンクリートアーチ橋どころか糠平湖すらほとんど見えなかった。
あと少しで糠平というところに急な登り坂があり、それを登ったところに全長270mの三の沢トンネルがあり、それを越えると道道85号線との分岐に来た。私はそこに自転車を止めると、これから先どうするか考えた。当初の予定では、この先道道85号線を走って然別湖に行き、国設然別湖北岸キャンプ場に泊まり、時間があれば東雲湖、鹿の湯に行き、翌日はそのまま南に大回りしてナイタイ高原牧場に行って上士幌航空公園キャンプ場に泊まろうと思っていた。ここから然別湖までは20kmもないだろう。まだ時間は12時だし、十分到達可能だ。しかし道道85号線で然別湖へ行くには標高1081mの幌鹿峠を越えなければならない。糠平の標高が550m程度だから標高で500m以上も登らなければならないのだ。しかも地図で見る限り相当な急坂のようだ。それを証明するかのように、道道85号線は国道273号線との合流地点から既に急坂が始まっている。もう既に気温は30度を突破しており、こんな状況で太陽の直射日光を浴びながら急坂を登れば、一昨日の二の舞になってしまう事は明らかだ。それに今日明日の帯広の最高気温を天気予報で確認すると34度になっている。こんな暑い場所には近づきたくないという思いもあった。一刻も早く最高気温が25度しかない涼しい釧路へ近づきたかった。そこで私は当初立てた予定を変更し、然別湖や東雲湖、ナイタイ高原牧場はパスし、糠平から直接、足寄を経由してオンネトー湖へ向かおうと考えた。そうすれば涼しさのメッカである釧路への到着が予定よりも1日早まる。それならば今日はこの糠平にある国設ぬかびら野営場に泊まればいい。そう考えた私はあまりにも小さい糠平の町を抜けキャンプ場に向かった。
国設ぬかびら野営場は場所がわかりにくいと聞いていたので、キャンプ場の場所を確認すべくゆっくりと自転車を走らせる。すると消防署の向かいの道端に糠平の町の地図が目に入ったので自転車を止めて場所を確認し、無事にキャンプ場にたどり着く事ができた。確かに国道273号線からはキャンプ場が見えないのはもちろんの事、キャンプ場への標識すら見えないので、このキャンプ場にたどり着くのは難しそうだ。
国設ぬかびら野営場の看板 立派な看板だが、国道からの 標識を見やすくしてほしい
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誰もいなかった国設ぬかびら野営場の全景
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国設ぬかびら野営場に到着して驚いた。なぜなら誰もいないのだ。比較的広いキャンプ場に私以外誰もいない。しかも受付には「夕方にお金を徴収に行きます」と書かれているだけで、管理人もいない。広くて静かなキャンプ場で、テントを張る場所は選びたいほうだいだったが、あいにく炊事場は1ヶ所しかなかったので、炊事場に近い盛り土の日陰にテントを張る。もっと驚いたのはキャンプ場のトイレだ。トイレが見当たらないので受付の地図を確認すると、フリーサイトから50mほど離れた森の中にぽつんとトイレが。しかもトイレへの道は細い山道で明かりもない。昼間ならともかく夜はどうするのだろうと思ってしまう。トイレは当然のごとく汲み取り式のボットン便所で、相当匂いがきつかった。
まだ時間は早かったし、これからどうしようかと炊事場で水浴びしながら考えていると、このキャンプ場から糠平湖へ続く自然散策道があり、そこでネイチャーウォッチングできる事がわかった。そこでカメラを持ってネイチャーウォッチングに出かける事にした。コースがいくつかあるようで、一番長いコースで歩いて2時間弱。まだ13時だったので時間は十分だ。私は喜び勇んで自然散策道に向かったが100mも歩かないうちに挫折した。自然散策道はまったく整備されておらず草は生え放題で、まるで藪こぎしているようで、とうとう鉈がないと前に進めなくなってしまったのだ。
ここにも旧国鉄士幌線の廃線跡が ここは静かで涼しくてお気に入りの場所だった
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ガッカリしながら戻ろうとするが、途中で糠平湖に降りる事のできる道があったので降りてみる事にした。そこは糠平湖ではなく糠平湖に流れる川だったが、ちょうどいい具合に日陰で、そばには旧国鉄士幌線の廃線跡も見える最高のロケーション。気温は高かったが小川が流れている事もあってそれほど暑さを感じない。小川を渡ると糠平湖の湖岸まで出れそうだったが、小川を渡ってしまうと日陰がなくなってしまうのであえて渡らず、私はしばし時間を忘れてそこでゆっくりする。30分ばかりそこで過ごしていると、空が曇り始めた。私はこれなら然別湖まで行けるかもしれないと思い、再びキャンプ場に戻ったが、戻った時には再び晴れてきたので断念する。
キャンプ場で水浴びしながら時間を潰そうとしたが、このキャンプ場は蚊が多く、じっとしているとすぐに蚊に刺されてしまう。そのうちに三国峠越えの疲れが出たのか眠くなってきたので、テントの中で昼寝をする事にした。まだ14時で気温も高く、日陰にテントを張ったとはいえ、テントの中に入ると熱がこもるが、それでも睡魔には勝てず、テントで横になるとあっという間に寝てしまった。
1時間ほど寝ただろうか。気付くと時計は15時30分を示しており、昼寝した時にはキャンプ場に私1人しかいなかったが、起きた時には家族連れが3組ほどテントを設営していた。糠平には温泉が何軒かあったので温泉に入りに行く事にした。目的の温泉、湯元館までは500mほど離れていたが、急な登り坂があるので自転車をキャンプ場に止めたまま歩いて行く事にした。温泉に行くついでに逆方向になってしまうが糠平湖の湖畔まで行く。ここもダム湖のようだが、観光客は誰一人おらず静かでとてもいい湖に見えた。戻る途中、歩道にヘビがいた。最初はヘビの抜け殻だろうと思っていたが、よく見ると完全に干からびたヘビだった。ヘビも相当暑かったのだろう。
坂を登って湯元館の温泉に入るが、500円も払った割には脱衣場や洗い場の設備が貧弱だった。こういう温泉もそれなりには味があるが、それであれば値段をもう少し安くしてもらいたいものだ。ただ、自分が温泉に入った時には露天風呂の存在に気付かず、屋内風呂しか入らなかったので、そう思っただけかもしれないが、後で知った話によると実際には開放的な露天風呂があったそうで、それならこの値段もうなずけるかもしれない。しかしそんな露天風呂があるなら入っておけばよかったと思ってしまう。この温泉もシャワーの温度を自分で調節する事ができず、念願の水シャワーは再びおあずけとなってしまった。
観光客は誰もおらず 静かだった糠平湖
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糠平湖の全景
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温泉からあがり、ロビー… というより受付前の廊下で休憩した後、再びキャンプ場に戻る。途中、糠平の町の商店で買い出しをする。買い出しと言ってもトマトと寝酒とアイスを買っただけだ。やはりこういう旅では野菜を食べる機会が少ないので、できる限り野菜を食べるようにしている。キャンプ場に戻るとテントの数は10ほどに増えていた。私のテントの隣にも名古屋から来た北海道が始めてというソロのライダーがテントを張った。私は彼と一緒に食事でもしようと考えていたが、あいにく彼はテントを張り終えるとどこかに出かけてしまった。
そのうちに大学生くらいの若い兄ちゃんが声をかけてきた。どうやら彼はキャンプ場の管理人のようで、お金を集めてまわっているらしい。彼は話好きのようで、色々と北海道の事を教えてくれた。この暑さは異常で、例年なら暑くても1週間ほど我慢すれば涼しくなるが、今年は涼しくならないそうだ。さすがに暑さに慣れていない彼は、この暑さには参っているようだった。それとこのキャンプ場で野生動物を見る事ができるかを聞いたが、見る事ができるのは春と秋にキタキツネやリスを時々見かける程度で、こんなに暑いと山の中でじっとしているそうだ。
今日の夕食、左からトマト、御飯、缶詰、味噌汁
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食事の準備をして18時に夕食。今日は御飯にサンマの蒲焼きの缶詰とトマトと味噌汁。御飯もうまく炊けたのでおいしく頂く。19時には後片づけも終り、いつものようにテントに入って足にエアーサロンパスをかけて至福の時を過ごす。20時から旅の日記を書き始めるが、近くにテントを張ったアベックの高笑いがキャンプ場全体に響き渡り迷惑この上ない。21時か22時には終るだろうと思っていたが、22時を過ぎても高笑いは終る事がなかった。今日は昨日と同様に夜は比較的涼しいが、それでも上はTシャツ1枚で十分だ。アベックの高笑いがうるさいので、シリコンプレーヤーでヘッドホンから音楽を聴きながら22時30分に寝る。しかし夜中の1時過ぎに目覚めるが、まだ高笑いは続いていた。すぐそばにはテントがたくさん張ってあり、その中で多くの人が寝ているというのに、いったい彼らはキャンプ場のマナーを知らないのだろうか?
走行データ
走行距離 |
71.7km |
走行時間 |
3時間54分 |
ペダリング数 |
9600回 |
平均時速 |
18.0km/h |
最大速度 |
49.7km/h |
平均ペダリング数 |
41rpm |
積算上昇高度 |
約800m |
総走行距離 |
439.3km |
天候 |
晴れ |
最高気温/最低気温 |
31℃/20℃ |
食事
朝食 |
ラーメン(自炊) |
昼食 |
カレー |
夕食 |
サンマの蒲焼き(自炊) |
出費
キャンプ場 |
国設ぬかびら野営場 |
250円 |
温泉 |
湯元館 |
500円 |
夕 |
ジュース |
120円 |
夕(商店) |
トマト、アイス、寝酒 |
223円 |
合計 |
1093円 |
キャンプ場
名称 |
国設ぬかびら野営場 |
場所 |
糠平の町の東の外れ
北緯43度22分0秒、東経143度11分46秒 |
費用 |
250円 |
設備 |
トイレ、炊事場 |
風呂 |
500mほどのところに温泉あり |
ゴミ |
ゴミ箱あり |
行きやすさ |
国道から標識が見えず必ず迷う
十勝バスの営業所から奥に入る |
乗り入れ |
テントまで車、バイクの乗り入れ不可 |
特徴 |
糠平にある目立たないキャンプ場
周りは森で囲まれているので眺めは
良くないが、そのぶんとても静か
フリーサイトはほとんど平地で盛り土が
してあり、テントを張るには苦労しない
トイレだけは遠くて汚いので覚悟が必要 |
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