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愛少女ポリアンナ物語  原作

原作本の紹介 愛少女 ポリアンナ物語
原本 Pollyanna
Pollyanna, Grows up
発行年 1913年(Pollyanna)、1915年(Pollyanna, Grows up)
原作者 エレナ・ホグマン・ポーター
アメリカ人(1868年〜1920年)
訳書名 小女パレアナ
パレアナの青春
出版社 角川書店
翻訳者 村岡花子

アニメとのストーリーの違い
 アニメと原作は、第一部は基本的にほとんど同じ内容ですが、少しばかり異なる内容もあるので、それを紹介します。アニメでは西部の町に住むポリアンナがお父さんを亡くすところから始まりますが、原作では既にお父さんは亡くなっており、ポリアンナがベルディングスベルの町に汽車で向かっているところから始まります。物語の中盤はほとんど原作通りに再現されていますが、後半でまた若干異なります。ポリアンナが交通事故で歩けなくなった時、パレーおば様はチルトン先生に診てもらうのを頑に拒否しました。これはアニメでは単にチルトン先生と20年も前に喧嘩したのが原因とされていますが、原作ではもう少し奥が深く、チルトン先生をハリントン家に呼んだ時はチルトン先生に喧嘩の許しを請い、さらには結婚を申し込む時だと、ずいぶん昔にパレーおば様はチルトン先生に言っていたのです。だからポリアンナがチルトン先生に診てほしいとパレーおば様にお願いした時にもパレーおば様はかたくなに拒否し、そしてとうとうパレーおば様がチルトン先生を屋敷に呼んだ時には、あっという間に二人の結婚話が進んでしまいます。そしてアニメではボストンに行って手術するところや、結婚を申し込むところが描かれていますが、原作ではポリアンナから歩けるようになったとの短い手紙が紹介されているだけです。
 アニメと原作は第二部の特に後半で大きく異なるところもあるので、それを紹介します。第二部ではまずパレーおば様がポリアンナを手放す事になった理由が異なります。アニメではポリアンナが検査で5時間もかけてボストンに行く為、パレーおば様が心労で倒れてしまい、検査の間だけでもボストンのカリウ夫人の家で預かる事なっていますが、原作ではチルトン先生が仕事でドイツに行く事になり、ポリアンナがいるとパレーおば様が一緒について行けないので、ポリアンナだけボストンのカリウ夫人の家に預けてチルトン先生とパレーおば様はドイツに行くという設定です。
 そしてアニメでは半年後にポリアンナがベルディングスビルに帰って来ると、すぐにチルトン先生は亡くなってしまってカリウ夫人がジェミーを連れてベルディングスビルにやって来ますが、原作ではポリアンナがベルディングスビルに帰って来ると、今度はポリアンナを連れてドイツに行ってしまい、6年後にチルトン先生が亡くなり、パレーおば様も鉄道株が暴落して財産を失い、ほとんど一文なしになって、ポリアンナが20歳の時にパレーおば様と一緒にベルディングスビルに帰ってくるのです。ハリントン家は貧乏のあまりナンシーを始めとするメイドはすべて解雇し、馬車はティモシーに売却、それでもお金が足りず、夏の間だけ屋敷をカリウ夫人に貸して、そのお金で生計を立てているほどでした。よってカリウ夫人がベルディングスビルにやって来た時にはポリアンナもジミーもジェミーも20歳で立派な大人という設定でした。
 さて、この大人になってからの物語はアニメにはない設定ですが、当人達にとっては深刻な恋愛の悩みを原作では面白おかしく描いているので少し紹介してみます。まずポリアンナはジミーの事が好きなのですが、ポリアンナはジミーとカリウ夫人が相思相愛で、いずれは結婚すると思い込んでいるので、ジミーの事は忘れようと努力します。そのジミーはポリアンナの事が好きなのですが、ジミーはポリアンナとジェミーが愛し合っていると思い込んでいて、体の不自由なジェミーに自分がポリアンナをかけて勝負するのは卑怯だと思っているのでポリアンナの事はあきらめようと考えています。しかしジミーはジェミーの好きな人がポリアンナではなくてサディだと聞かされて安心しますが、逆にポリアンナの好きな人はペンデルトンさんで、二人は将来結婚するとまで聞かされます。しかしジミーは相手が自分の義理の父親であるペンデルトンならポリアンナをかけて勝負しても卑怯にはならないと考え、ジミーは勇気を振り絞ってポリアンナに告白しますが、ポリアンナはすぐに回答しません。もちろんポリアンナもジミーの事が好きなのですが、ポリアンナのお母さんであるジェニーがペンデルトンさんの求婚を断って牧師のジョンと結婚した為、ペンデルトンさんは頑固な偏屈者となった事もあり、もしペンデルトンさんが自分に求婚してきた場合、自分は断る事ができないとポリアンナは考えていたのです。しかしペンデルトンさんの好きな人が自分ではなくカリウ夫人だと知ったポリアンナはジミーとの結婚を決意しますが、ジミーは素性の知れない捨て子で、そんな人にハリントン家を継がせる事はできないとパレーおば様に反対されてしまいます。それを知ったジミーは自分の父親が自分に託した書類の事を思い出し、書類を開けたジミーとペンデルトンは、そこで初めてジミーがカリウ夫人の姉の子供であるジェミーという事が判明し、めでたくポリアンナとジミー、そしてそれにかこつけてペンデルトンさんとカリウ夫人も恋仲になるというストーリーです。これが面白おかしく描かれているので、この部分がアニメ化されなかったのが残念なところです。
アニメとのキャラクターの違い
 原作とアニメでのキャラクターの違いはほとんどありません。あえて挙げるとすればスージーの設定でしょう。アニメではスージーはカリウ夫人の家の隣に住んでいて、ポリアンナと同じくらいの年齢となっていますが、原作ではリボンを売っている貧しい少女で、年齢もポリアンナより5歳くらい年上のように描かれています。さらにアニメでは描かれていませんが、スージーはジェミーと恋仲になります。それ以外の人物設定はアニメと原作ではまったく同じです。
 ポリアンナは設定こそアニメと原作で同じですが、原作の名前はパレアナという名前になっています。このパレアナの名前は、母親であるジェニーがジェニーの妹であるパレーとアナの名前を足してパレアナと名付けられたというエピソードがあるのですが、アニメではポリアンナに改名されたので、このエピソードはなくなってしまいました。パレアナのパレはパレーおば様のパレから取ったという事がわかれば、また違った意味で作品を楽しめるのではないでしょうか。
 人物設定ではありませんが、原作にはシマリスのチップマックは登場しません。これはこの当時の世界名作劇場に共通の、主人公に無理矢理ペットを飼わせる作戦の一環でしょう。よってアニメではチップマックが病気になったりいなくなったりしましたが、これらのエピソードは当然原作にはありません。第二部でポリアンナはチップマックを探してボストンの町で迷子になりますが、原作ではポリアンナが勝手に歩き回って迷子になる設定です。
まとめ
 アニメは原作を忠実に再現しており、アニメも原作も同様に楽しむ事ができると言えるでしょう。ただ、アニメの方がより感情移入して泣けるかもしれません。この作品の見所は不幸な境遇にありながらも無邪気に良かった探しを続けて人々に希望を与えるポリアンナの姿ですが、大人のドロドロとした恋愛感情をカラッと面白おかしく描いているのも楽しめます。とくに原作では20歳になってからのポリアンナが描かれており、その大人になったポリアンナをめぐる色恋沙汰は、本人達は必死でしょうけど読んでいる方は「そんなバカな」と思わず笑ってしまうほどで楽しむ事ができます。ポリアンナはジミーとカリウ夫人が結婚すると思い込んでいるし、ジミーはポリアンナとペンデルトンさんが結婚すると思い込んでいるし…
 この作品の最大の魅力は「良かった探し」ですが、これはポリアンナがまだ幼い子供だったからこそ、できた遊びでもありました。では20歳になったポリアンナは良かった探しを続けているのでしょうか。本人いわく、20歳になっても10歳と同じように喋っていてはおかしいとの事で、良かった探しも下手になっていました。それにパレーおば様はチルトン先生が亡くなり、無一文でドイツから戻ってからというもの、すっかりとポリアンナに出逢う前の時のように屋敷に閉じこもり愚痴ばかりこぼすようになり、そのパレーおば様の世話をするポリアンナも、毎日の生活に追われて良かった探しも難しくなってしまいます。それでもポリアンナはパレーおば様に元気になってもらえるように頑張って良かった探しを続けますが、ある日の事、ポリアンナの良かった探しに気分を害し、とうとうパレーおば様の怒りが爆発し、ポリアンナに向かって良かった探しを止めるように言ってしまいます。それを聞いたポリアンナはある策略を企てました。翌日、ポリアンナは良かった探しを一切止めてしまっただけでなく、何かにつけて不平たらたらと愚痴をこぼし、一日中まるでパレーおば様のように機嫌が悪かったのです。パレーおば様は最初のうちこそ不思議そうにポリアンナを見ていましたが、夕方になる事には事の次第に気付き、とうとうポリアンナに自分が悪かったと言って降参してしまいます。さすがのパレーおば様も、こんな愚痴っぽい日が続いたら生きていけないようで、ポリアンナに良かった探しを続けるように、そして自分もこのところ良かった探しをしていなかったので、これからは一生懸命やってみると言うのでした。

評価
 項目 5段階評価 コメント
アニメとの類似性 ☆☆☆☆☆ 20歳になったポリアンナが描かれていないくらい
入手の容易度 ☆☆☆☆☆ 有名な作品だけあり大きな本屋なら必ずあります
お薦め度 ☆☆☆☆☆ アニメを見た人でもそうでない人でも十分楽しめます
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