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レ・ミゼラブル
少女コゼット  感想

 「レ・ミゼラブル 少女コゼット」は「家なき子レミ」以来、10年間中断していた世界名作劇場の復活第一作である。残念な事に地上波での復活とはならなかったが、BSでの復活となったおかげで野球や特番に邪魔される事なくしっかりと52話放送してくれるのがありがたいと言うべきだろう。そして何より復活を決断してくれた日本アニメーションとフジテレビに感謝したい。
 さて肝心の作品の方だが、かの有名なフランスの小説「レ・ミゼラブル」をコゼットの視点から描いた作品となっている。この原作は「レ・ミゼラブル」という名前で、日本では「ああ無情」、中国では「悲惨世界」と呼ばれているように、かなり悲惨でかわいそうな作品である。これをアニメ化するにあたり、テレビで放映できないようなシーンはかなり柔らかく置き換えたようだが、それでもワーテルロー亭でコゼットがこき使われたり折檻されたりするシーンは悲惨である。
 物語はファンティーヌが仕事を探す為にコゼットをテナルディエに預けるところから始まる。しかしこのテナルディエがくせ者で、コゼットを奴隷のようにこき使うだけでなく、ファンティーヌから次々とお金を巻き上げ、とうとうファンティーヌは仕事を失い路上生活者となって体を壊して亡くなってしまう。そんなファンティーヌを見たジャン・ヴァルジャンはファンティーヌの為にコゼットを守ろうと決意。ところがこのジャン・ヴァルジャンは過去にたった1つのパンを盗んだ罪で19年間も監獄に入れられ、人間の心を失っていたが、ミリエル司教様のおかげで善人に生まれ変わる事ができ、それ以来、人の為に尽くして生きていたのです。ジャン・ヴァルジャンは過去の罪でジャヴェール警部に追われながらもコゼットを守り、そしてパリの町で貧しい人々の為に働き、革命に身を投げ、そしてコゼットの幸せの為に尽くしていくが、コゼットに恋人ができると、自分は役目が終わったと身を引き、パリから遠く離れた村で静かに暮らしていたが、重い病気にかかり亡くなる直前にコゼットに真実を語るという、過去の世界名作劇場の作品と比べると少し重くて暗い内容になっています。
 10年ぶりに復活した世界名作劇場は、最初の10話ほどはコゼットがこき使われるという悲惨な世界が続きます。個人的にはこの最初の10話ほどは、かつての小公女セーラを見ているようで、セーラが面白いと感じる人は楽しめる事でしょう。しかし10話以降は物語はコゼットが主人公と言うよりはジャン・ヴァルジャンが主人公となり、ひたすら葛藤に耐える物語に変わります。そして21話から物語にマリウスが加わると、今度は恋愛物語へと姿を変えます。個人的には世界名作劇場に恋愛の要素が加わると「家なき子レミ」のように面白くなくなると思っていましたが、「少女コゼット」もマリウスの登場と共に面白さが半減したように感じます。このマリウスという男が優柔不断で、ここまではっきりしない男も珍しいでしょう。その後、物語はコゼットとマリウスの恋、パトロン=ミネットの暗躍、アベセ友の会の革命、コゼットの結婚へと続きます。
 世界名作劇場の10年ぶりの復帰作となった「少女コゼット」。前半は「小公女セーラ」を上回るいじめや悲惨さに涙なくして見られない展開が続き、さすがに10年ぶりの復帰作は力の入れようが違うと思っていましたが、後半からは恋愛もの特有のうだうだした展開が続き、少し興ざめさてしまいます。できればマリウスなど登場させずに、ひたすらコゼットがワーテルロー亭でいじめられ、テナルディエがコゼットも連れて夜逃げして、それをジャン・ヴァルジャンが探すという展開になれば、もっと楽しめたような気がしないでもないです。いずれにせよ世界名作劇場が10年ぶりに復活したというだけでもよしとしましょう。これを契機に世界名作劇場がずっと続く事を祈る限りです。

評価
 項目 5段階評価 コメント
不幸度 ☆☆☆☆☆ 特に10話までのコゼットとファンティーヌの不幸度はMAXです。
ほのぼの度 ☆☆ 常に何かしらの事件が起きておりほのぼの度は少ないです。
お薦め度 ☆☆☆☆ 前半は星5つで後半は星3つってところです。
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