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北海道自転車ツーリング
2020 コロナウイルス

 今年は年始から全世界がコロナウイルスに振り回されていた。世界中で都市封鎖や外出禁止令が発令され、ここ日本でも全国に緊急事態宣言が発令され休業やイベントの中止、テレワーク、外出自粛となった。私の住む場所は田舎なので公共交通機関での通勤が皆無に等しく感染のリスクは低かったが、それでもテレワークが導入され出勤は2日に1回、それ以外は在宅勤務となった。
 私は毎年ゴールデンウイークには車で自走して北海道に行き、道内を1週間ほど駆け回るので2月末には大間から函館に渡るフェリーを予約する。2月末の段階ではまさかこんな事になるとは予想もできず今年もいつものように予約したのだが、いざ4月になると北海道に緊急事態宣言まで発令されてしまい、泣く泣く北海道旅行をあきらめるしかなかった。
 おかげで今年のゴールデンウイークは外出自粛の中どこにも行くことができず、家にこもるしかなかった。自炊続きで料理の腕はメキメキ上達し、部屋は掃除ばかりするのでまるでモデルルームのようになった。そんな中、在宅を推奨するために普段は有料のネット動画が無料で見る事ができるサービスがあった。
 家にいても暇だったので何を見ようかと物色し、自転車関係のアニメがいくつかあったのでそれを見ることにした。私自身が競技としての自転車レースをやらないことからレースものは避け、何となくまったりした感じの「ろんぐらいだぁす!」を1話から全部見たところ、自転車で走る楽しさを再認識することになりすっかりとハマってしまった。
 最近は地元でのツーリングもちょっとマンネリ気味で、日帰りツーリングも2ヶ月に1回くらいしか出かけなくなっていた。しかし自転車で風を感じながら自分の力で遠くまで出かけることが楽しい事をアニメを通して再認識した私はゴールデンウイークの後半はひたすら自転車でツーリングに出かける毎日を送った。元々私もツーリングはやっていたので装備を新たに買いそろえる必要もないし、峠を越えて100km走る体力も問題ない。
 問題となるのは不要不急の外出自粛の中どうやってツーリングに出かけるかという事だが、そこは住んでいる場所は田舎ゆえツーリング中は3密どころか1密さえないので問題ない。補給食は日常の食材と一緒にあらかじめスーパーで買ってジャージーのバックポケットに入れて走りツーリング中はコンビニや店に立ち寄らない、観光地や市街地は避けて山の中ばかりを選んで走り給水とトイレは田舎の公園で済ませるなどのルールを自分に課して、ゴールデンウイークの後半はひたすら自転車で走り倒していた。
 この「ろんぐらいだぁす!」はブルベという言葉が何度も登場する。私もブルベは聞いたことはあったものの具体的な内容はよく知らなかった。色々調べてみるとブルベとはタイムや順位にとらわれることなく長距離を比較的ゆとりある制限時間内で走りきるという自転車のイベントだ。しかしタイムや順位を争う競技ではないとは言え、その走行距離はとても長く、400kmを27時間以内とか600kmを40時間以内とか1200kmを90時間とか、桁を1桁間違えてませんかと言いたくなるようなとんでもないものばかりだ。
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ロングライドに行く機会が増えた
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伊勢湾フェリーで渥美半島一周
 このブルベの中で一番走行距離の少ないのが200kmを13時間30分以内で走るというものだ。平地だけなら200kmを13時間30分以内というのはそれほど無理なスケジュールではないが、“平地だけしか走らない”などという生やさしいブルベは存在せず、多くはこれでもかと峠を入れてくるのだ。
 私はこのブルベが私のように長距離を走るチャリダーにとっての勲章のようなものに思えてしまい、ぜひともブルベで完走したいと考えるようになった。しかし私はこれまで1日160km程度は何度も走っていたが200kmは一度も走ったことがなく未知の領域。しかも私のこれまでの走りは時間を全く気にせずのんびりと走るものだったので、カメ作戦のように休憩を含めた平均速度が12.5km/hを基本としており、ブルベの休憩を含めた標準速度15km/hを遙かに下回っていた。
 そこで私は今までのようにのんびり走るのではなく、日帰りのツーリングでは速く走るように心がけた。もちろん単にスピードを追求するだけなら平地だけを走れば速く走れるのだがそれでは意味がない。地元に多数存在する標高400mクラスの峠もいくつか組み込みつつコースを設定して練習を続けた。さらにブルベは過去のコースが開示されているのでそのコースを実際に走ってみてどれくらいのタイムで走れるかも確かめた。その結果、2/3くらいが過去のブルベでも使われた峠やアップダウンの続く山道を走っておよそ10時間で170〜180km走れることが判明。これだったら残り20〜30kmを2時間かけて走っても制限時間の13時間30分に十分間に合う計算だ。
 そんな感じでブルベ完走に向けて週末のロングライドを続けていたら、外出自粛の嵐の吹き荒れた5月だけで1400km走っていた。北海道自転車ツーリングを除いて1ヶ月にこれだけの距離を走るというのは私としても初めての経験だった。しかもこれまで地元で日帰りツーリングする時はだいたい1日80〜100kmを目安に走っていたが、これが1日の走行距離が2倍に伸びたことで走る場所が大幅に広がり、これまで自転車で走った事のない場所も走れるようになった事からそれも楽しみになった。
 せっかくブルベ200km完走が現実味を帯びてきたのだが、残念ながらコロナウイルスの影響でブルベは軒並み中止や延期となってしまい、まだトライはできていない。ブルベに備えて反射ベストまで買ってしまったので、再開したらぜひとも参加してみよう。ただし私はガーミン等のGPSナビを持っていないのでキューシートを頼りに走る事になるのですが、普段見かけない道案内なだけに、これで本当に走る事ができるのか心配です。
 また太平洋岸自転車道の存在を知ったのも大きかった。この太平洋岸自転車道とは銚子市から和歌山市までの太平洋岸1400kmに渡って続く自転車道で、私の住む三重県にも太平洋岸を中心に整備されている。整備されていると言っても専用の自転車道があるわけではなく国道や県道の数百mおきに青い矢印がマークされていたり(ない場所もある)曲がり角で案内があったり、20〜30kmおきに地元の公園を利用した休憩所があるくらい(時々トイレや水道のない休憩場所もある)だが、それでも案内があるのは嬉しいし、次の休憩場所までの距離がわかるのが何よりいい。
 さらにこれまで地元の日帰りツーリングでは輪行などやったこともなかったのだが、外出自粛や県をまたいでの移動が解禁されれば、例えば和歌山の潮岬や福井の日本海側まで走って輪行で帰ってきたり、あるいは鳥羽から伊勢湾フェリーで渡って知多半島一周、さらには車で現地まで走って琵琶湖一周や淡路島一周、しまなみ海道往復、乗鞍ヒルクライムなど夢が広がっている。
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オルトリーブのサドルバッグL
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110缶と小型コッヘルでまとめるとゼリー2つ分
 これとは別にコロナの影響で外出自粛で家にいる時間ができたことでAmazonのKindle unlimitedに契約した。これは月980円で色々な雑誌や電子書籍が読み放題になるというものだ。その中に私が読みたいと思っていたカメラ雑誌や自転車雑誌が含まれており、しかもバックナンバーから読み放題だったことからCycle SportsやBiCYCLE CLUBなどの自転車雑誌を4年ほど前から今に至るまでほとんど読み尽くすこととなった。
 私は12〜13年前までは自転車の雑誌も色々と読んで勉強していたが、自分の自転車ツーリングのスタイルが決まり装備が固定されるようになると、いつしかそうした雑誌を読まなくなり情報が途絶していた。ところが自転車雑誌を読むようになるとバイクハッキングやグラベルロード、ワイドリム化など私が聞いたこともない言葉がいくつも飛び出して特集まで組まれている有様で、まさに鎖国していた島国が文明開化を迎えたようだった。
 その中で私の興味を一番そそったのはバイクパッキングだった。恥ずかしながら私自身、これだけツーリングやロングライドをやっていながらバイクパッキングという言葉も聞いたことがなかったのだが、ここ5年ほどで自転車のサドルの後ろに取り付けるシートバックが大型化したこと、及びキャンプ道具がウルトラライト化したことにより、サイドバッグを付けることなくシートバックとフレームバッグとトップチューブバッグだけでキャンプツーリングをするのが流行っているらしい。
 これの利点はリアキャリアを必要としない、つまりキャリアを取り付けるダボを必要としないため自転車を選ぶ必要がなくカーボンロードでも十分対応可能なこと。そしてサイドバッグがない分だけ走行性能も高く、キャンプツーリングでありながら普段のロードバイクに近い感覚で走る事ができ、荷物が少ない分重量も比較的軽いので峠も走りやすいことからバイク雑誌で何度も特集が組まれるほど人気となり大型のシートバッグも各社から発売されている。
 時代に取り残されていた私も文明開化を迎えようと北海道自転車ツーリングでバイクパッキングを検討することにした。しかし色々と調べてみたところ、このバイクパッキングでは絶対的な容量が少なく対応できるのはせいぜい1〜2泊までであり、私のように10泊もするような長期間のツーリングだと必要な荷物をすべて詰め込むのはさすがに厳しいようで、私も今回の北海道自転車ツーリングでのバイクパッキングの導入は断念してしまった。
 しかしシートバッグがあればバックパックを背負わなくても手軽に輪行袋やレインスーツ、一眼レフカメラ、コッヘルやバーナーなどをツーリングで持ち運びできることから、廃番となったオルトリーブのサドルバッグLをヤフオクで入手し日帰りツーリングでは愛用している。このサドルバッグでもキャンプではなくホテル等を利用すれば1〜2泊は問題なさそうだ。
 というわけでコロナ騒動のおかげで再びツーリング熱が高まり毎週末走りに行くようになった。7月には梅雨前線の停滞でほとんど走りに行けなかったにもかかわらず5月〜7月の3ヶ月間だけで2700kmも走り、しかも1日の走行距離が200kmになると行動範囲が大きく広がった。これまで走った事のない場所を走るというのもあってとても楽しくロングライドを楽しむようになった。それだけではなく毎回200km走ると体への負担が大きいので、時には近場の100kmにとどめて、シートバッグにコッヘルとバーナーを積んで峠の頂上でラーメン作ったりコーヒー飲んだりというポタリングも楽しんでいる。
 今年の北海道自転車ツーリングも楽しみではあるのだが、コロナの第二波や第三波によって再び北海道に緊急事態宣言が出ないことを祈る限りだ。

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