昨日は2回ほど雨の音で起こされたが、それ以外はぐっすりと眠ることができ、朝目が覚めたら4時40分だった。今日は二度寝せずにすぐに起きることにする。テントから出ると空は一面の雲に覆われいつ雨が降り出してもおかしくない状態だったが、幸いなことに雨は降っていなかった。 校舎に行って干したままにしていた洗濯物の状況を確認するが、あまり乾いていなかった。パンツや靴下は履ける状態ではなかったが、幸いなことにズボンはほとんど乾いていたしサイクリングジャージーはいつものことなので濡れたまま着る。残りは走りながら干すしかないが今日のような天気では乾くかどうかも怪しい。 5時20分から朝食にラーメンを作った。家から計8袋のマルちゃん正麺を持ってきたがこれが最後の正麺となる。今回の北海道自転車ツーリングではよく食べたものだ。この先の下川のコンビニで5袋入りのラーメンのパックを買うとしよう。 今日は北海道自転車ツーリングの11日目でいつもだったらこれが最後の自炊となる。ガスもアウトドア用の250のガス缶がちょうどなくなるかなと思っていた。このかみとくツーリストにはゴミ捨て場がある。ここでガスがなくなれば捨てていこうと思ったが、あいにくまだ2回分くらいのガスは残っていた。それでも捨てていこうか悩んだが、250で10日分と言うことは私が持っている残りの110のガス缶だと5日しか持たない事になる。どうせ米も残り少なくなっていることだし一日どこかでコンビニ弁当にしてもいいような気はしたが、ガスが残っているのに捨てていくのはもったいない気がしたのでいつも通り持っていくことにした。この先どこかで捨てる場所くらいあるだろう。
朝から雨は降っていなかったが6時になってテントを撤収しようとした矢先に激しい雨が降り始めた。朝起きたとき雨は降っていなかったのでもう少しフライを乾かしてから撤収しようと撤収を先延ばしにしていたのが裏目に出たようだ。激しい雨はすぐにおさまったが、それでも傘なしでは外に出られない程度の雨が降り続いておりテントを撤収するのがためらわれた。 しばらく雨が止むのを待っていたが止みそうな気配はなかったのであきらめて6時30分から雨の中撤収する事にした。ところがその途端雨は小降りになり撤収は大いに助かった。それでも傘を差さなくていい程度には降っていたので、まずペグをすべて抜き取るとフライシートを手早く外して畳み、袋に入れるのは後回しにしてテントのポールを抜き取り、ポールを折り畳むのも後回しにしてテントを折り畳み、これを袋に入れるのも後回しにしてグランドシートを畳んだ。これが雨に濡らさないで済む最速の撤収方法だ。後はそれぞれを袋に入れていくだけだ。 ようやくテントが撤収でき7時に出発準備完了。この先岩尾内湖までの給水ポイントがわからないのでとりあえずボトル2本に満タン1650cc積んでおく。この頃には雨は完全に止んでいたが、今日は一日雨の天気予報だからと日焼け止めも塗らず逆に雨も降っていないのにレインスーツを着てシューズカバーまで装着して出発した。 今日は晴れていればオホーツク海側の国道238号線に出るつもりでいたが、もちろんこの天気ではこのまま道道120号線を南下することにした。道道120号線はかみとくツーリストを出発すると2kmくらい先から大きな丘越えが始まる。もちろん朝一番のパワーで一気に乗り切る。それから先は緩やかな登り傾斜が続いた。
交通量のほとんどない徳志別川沿いの道を走り続け、大した登り勾配もないまま7時45分に天の川トンネルの手前にある牽牛駐車公園に到着した。ここはトイレや水場、東屋などがありとてもいい場所に思われた。昨日のペンケナイ公園といい道道120号線にはこうした太陽の日差しや雨をしのげる東屋や給水場所のある公園が多いのがありがたい。ここで少し旅の日記を書いて10分休憩する。牽牛駐車公園を出発するとき少し晴れ間が見えてきた。今日はキャンプ場の出発時からシューズカバーまで付けてエクストリームウェザーモードで走っていたが、今日は走り始めてからまだ一滴も雨は降っておらずもう脱いでしまおうかとも思った。しかしトンネルを抜けると気象が大きく違うかもしれないと考えレインスーツを脱ぐのはもう少し先に延ばすことにした。
それからも道道120号線は登りが続いたが、勾配が3〜4%しかなく正直言うとかなり楽な登りだった。所々6%に達するところもあったがそれは一部の区間であり、一般的な国道の峠が6%程度で一定に登り続けることを考えるといかに楽な登りかがわかるだろう。さすがに最後の登りは勾配6%程度あったが、それでも朝一番のパワーで一気に登りきり9時ちょうどに標高387mの西尾峠に到着した。ここまで標高差で310mほど登ったことになる。西尾峠の頂上には大きな木の標識があったので写真だけ撮って休憩することなくすぐに出発する。
その緩やかな下り道を下り続けると9時20分に仁宇布に着いた。この仁宇布は小中学校こそあったが中頓別以上に小さな町だった。この仁宇布道道120号線は終了となり道道49号線に入る。ここからは本日の最高峰となる標高428mの松山峠だ。仁宇布の標高が275mなので標高差で約150mの登りだ。私は出発から2時間30分が経過しそろそろお腹が空いてきたので道道49号線に入ってしばらく走ったところのパーキングで9時35分から休憩し最後のおにぎりを食べる。 おにぎりを食べているとキタキツネが通りかかった。キタキツネは私に気付いていたが気にとめるでもなく私の横10mくらいの所をスタスタと歩いていった。私がおにぎりを食べていたので多少でも興味があるかと思っていたがキタキツネにはそうでもないらしい。どちらかと言うと車からエサをもらうのは嬉しいが、生身の人間からもらうのは怖いように思える。 天の川トンネルを抜けてからここまで曇りと晴れが半々くらいだったが、次第に青空のエリアが3割くらいまで増えてきたので日焼け止めを二度塗りすると共に手の甲にも塗っておく。私のサイクリンググローブはメッシュが荒いのでサイクリンググローブをしていても手の甲を日焼けしてしまうのだ。さらに昨日洗濯してまだ乾いていない服を荷台に広げて乾かすことにした。そして9時45分に出発する。
私は過去の北海道自転車ツーリングで2回ほどこのような状況に追い込まれたことがある。1回は2007年に裏摩周の清里峠で、2回目は2008年に北太平洋シーサイドラインで数十匹のアブに襲撃された。いずれもひたすら耐えて乗り切ったが、3回目となる今回も耐えるしかないようだ。やはり交通量の少ない道道の峠道ではどうしてもこういう状況になりやすい。私はあと20分だけ我慢すれば頂上に到着するからそれまで我慢だと自分に言い聞かせてアブが次々と足や腕に止まっては刺していくのを振り払いながら坂を登り続けた。 こういう状況では一目散にこの場を離れたいのでいつもよりも力を出し、本来なら20分かかる予定が計算間違いでわずか5分で松山峠に到着した。私はそろそろ休憩したかったが頂上もアブだらけでゆっくりしていることができず、写真だけ撮って逃げ去るように松山峠を反対側に下り始めた。時速20kmに達すると一気にアブを振り切ることができた。松山峠はさすがにブレーキなしで下ることはできなかった。そういえばアブのことばかり気を取られていたので気づかなかったが、松山峠の登りも6%程度の勾配があったようだ。
10時30分に道道60号線に合流。そろそろどこかで休憩したいと思い、道道60号線に入ってすぐにパーキングがあったのだが、ちょっとでも止まるとアブがすぐに寄ってくるので止まることができず、せいぜい一瞬止まって水を飲んでチョコを食べるのが限界だった。 ここからは幌内越峠の登りが始まる。幌内越峠の標高が340mに対して道道60号線との交差点の標高が182mなので約160mの登りだ。道道60号線の交差点を過ぎるとすぐに登りが始まる。この幌内越峠の登りも勾配6%くらいで一般的な国道の峠と同程度だった。ここでもアブにつきまとわれたがその数は10匹を越えることはなく、また足や腕を随時チェックし少しでも止まったら叩き潰して撃墜していた。おそらく10匹くらいは撃墜したはずだ。
雨の中で峠を下るのはブレーキシューがすり減るので嫌だなと思っていたが、実際には勾配がなだらかでブレーキをまったく必要としないまま下ることができた。今日は南東から3〜4m/sの風が吹いているので、もし私が南側から幌内越峠を登ったとしたら峠ということに気づかなかったかもしれないと思えるほどだった。 頂上で降り始めた雨は止む前に太陽が出てきた。これは暑くてたまらない。本来レインスーツは太陽の日差しを浴びながら着るようにはできていないが雨が降っているのなら脱ぐこともできない。ただ下りだったので救われた。やがて雨は止み道路も乾いていたのでレインスーツを再び脱いで出発した。
珊瑠から先はなぜか道が立派になって沢よりも遙かに高いところを走るようになった。私はダムでも作っているのかと思ったがそんな現場もなかったのでよくわからずじまいだった。ただ沢の上を走るので眺めだけはよかった。後で知った話だがここにはサルンダムが建設予定になっていたが民主党政権の際に「コンクリートから人へ」のマニフェストのもと事業中止が決まったが、自民党政権に戻った途端に復活したとのことだ。自民党政権が続けばそのうちにここにもダムが完成することだろう。 この新しい道の道ばたになぜかバッタが大量発生しており、私の自転車が接近するとみんな一定に飛び立っていく。飛んでいる分にはいいのだが私の体に体当たりしたりスポークに巻き込まれたりする奴が続出する。そのうちに何匹かが私の体に貼り付いて腕をよじ登ったりしていた。
下川の町が近づいた頃、一瞬だけ雨が降った。私はすぐに荷台に広げていた洗濯物を取り込んだが、レインスーツを着るほどではないと判断しそのまま走っていたらすぐに雨は止んでしまった。本当に今日は雨が降ったり晴れたりと天気はめまぐるしく変わる。 朝からここまでずっと気温は20℃ちょっとくらいと比較的涼しかったが、下川の町が近づくと急に気温が上がってきた。きっと宗谷管区から上川管区に入り旭川が近づいているからだろう。私はこんな暑い地方はさっさと通り過ぎたい気持ちでいっぱいだった。
岩尾内湖へ進むと明日は自動的に於鬼頭峠と北見峠を越えることになる。もし明日晴れるようであればこれらの峠を越えるのではなく今日のうちにオホーツク海側に出た方がいいような気がしたので明日の天気予報も確認するが、明日は上川も北見も曇りだった。これなら岩尾内湖まで行ってもいいだろう。
道道101号線の下川と岩尾内湖の間には標高423mの糸魚峠が存在する。この峠もそれほど急な登りではなく勾配6%ないくらいだった。しかしさすがに本日4つ目の峠となると足が重くなりなかなか前に進まなかった。この道道101号線でエゾシカとエゾリスを見かけた。いずれもすぐ逃げていったので写真に撮ることはできなかった。それにしても交通量の少ない道道では野生動物をよく見かける。
キャンプ場に着くとどこにテントを張ろうかと悩んだ。奥側のサイトは車で乗り入れできるので家族連れが多くてテントを張る気にならない。入り口側の林の中はまだ誰もテントを張っておらず、こちらなら静かに過ごせそうだ。今日は雨が降りそうだったので私は入り口側の林の中のサイトを丹念に歩き少しでも雨水が流れてこない場所を探した。何度も歩き回ったが結局私の野生の勘は昨年とまったく同じ場所を選んでしまった。昨年は雨で散々な目に遭ったが今年はリベンジといきたいものだ。
岩尾内湖の周辺には温泉はないが管理棟に温水シャワーがあるので着替えを持って16時55分からシャワーを浴びに行くことにした。今回の北海道自転車ツーリングでは初日と5日目の定山渓で温水シャワーを浴びたがいずれも5〜10分100円だった。しかしここの温水シャワーは10分300円と暴利をむさぼっている。これだったら温泉や銭湯と大して変わらないではないか。手早くシャワーを済ませて着替えてテントに戻った。
17時50分から炊事開始。今日の食事は中華丼と味噌汁とヨーグルトだ。今日は風が強かったので火加減が難しかった。風のある日は同じ炊飯でもガスを余分に消費するので嫌だ。しかしそれでもうまくご飯を炊くことができたようだ。もう慣れたものだ。後片づけに行くとなぜか炊事場の水道から出る水が白く濁っていた。さっき水を汲んだ時や洗濯した時はまったく問題なかったのになぜだろう。ちょっとここの水をボトルに入れるのは危険そうなので、明日の朝は管理棟まで水を汲みに行くことにしよう。後片づけまで済ませて18時50分からテントの中で旅の日記を書く。今日は旅の日記を書いてこなかったので書くことがたくさんある。
朝の天気予報では今日は一日雨と言っていたが、蓋を開けてみれば午前中は雲り時々晴れ、午後は晴れといった予報とはまったく異なる結果だった。幌内越峠の下りで10分程度通り雨に遭遇したが、こんなのは雨のうちには入らないだろう。 そして今日はよく峠に登った。標高387mの西尾峠に始まり、標高428mの松山峠、さらに標高340mの幌内越峠、そして標高423mの糸魚峠、そして岩尾内ダムへの登り等、今日の積算上昇高度は1050mにも達してしまった。しかも足はまったく痛くなっていない。完全に完治したようだ。今日の峠越えは明日の北見峠越えという本番に向けての前哨戦みたいなものだから、今日この調子なら明日は大丈夫だろう。
私はこの道北の道道の峠を走るのにもっと苦労するだろうと思っていたが、予想と違って軽々とこなせてしまったので自分がスーパーサイヤ人になったような気がした。確かに今回の北海道自転車ツーリングを始めた頃の道南での走りに比べて最近は峠を越えるのも楽になった気がする。それは気のせいだけでなく食料と電池が減った事で自転車が出発時に比べて6kgは軽くなった事も影響しているだろう。そう考えると出発時に食料を持ちすぎている気がしないでもない。 この道北の道道は北から南に向かって走るより南から北に向かって走る方が楽だ。なぜなら峠の南側の方が勾配が緩やかなのだ。しかも今日もそうだったがこの時期の北海道は南風が多いので追い風で走れる。今日のような追い風でこの勾配だったら平地と同じ感覚で峠を越えることができるのではないだろうか。 この道を走りたいかと言われると微妙なところだ。確かに交通量はほとんどないので車を気にせずに自転車を走らせることができる。しかし私にとっての利点はそれくらいで、景色は森の中ばかりで撮影しても変化に乏しくライダーやましてチャリダーと出会うこともないし、何よりアブに襲われるのが嫌だ。私に言わせれば晴れていれば絶対にオホーツク海側を走った方が楽しいような気がする。 今夜紹介するアイテムはサングラスだ。自転車ツーリングでは目にホコリや虫が入ってくるし紫外線防止のためにもサングラスは必須だ。それまでは眼鏡をかけていたが2009年からサングラスをかけるようになった。サングラスにもピンからキリまであるが、私が愛用しているサングラスは山本光学製のCYNIUM−RPだ。これは自転車用の偏光サングラスで、さすがにサングラス専門メーカーの山本光学が作るだけあってフィット感はすばらしくよい。しかも偏光サングラスなので景色もきれいに見える。 このサングラスの欠点は写真撮影する時に現れる。私の場合、天気がいい日に写真撮影する時は必ずPLフィルターを付けて撮影する。しかしこの時偏光サングラスをかけたままファインダーを覗くと偏光板同士が干渉して虹ムラがかかってしまうのだ。仕方なくサングラスを外して撮影するのだが、普通はサングラスを頭の上に跳ね上げればよいのだが、ヘルメットを被ったままではそれもできず、サングラスを外すしかないので不便だ。次に買い換える時には通勤で夜使うときのことを考えて調光サングラスという選択肢も考えなくはないが、それでもまたこの偏光サングラスを買ってしまいそうな気がする。 そう考えていて2日目に早くも壊してしまい早くも新しく購入する必要が生じた。今回の北海道自転車ツーリングの間だけは安物のサングラスで済ますとしても、それ以降はまた買い直さなければならない。私はまた山本光学のCYNIUM−RPを買うつもりでいたが、あいにくCYNIUM−RPは既に生産中止となっており入手できなかった。そこで今度は同じ山本光学の自転車用調光サングラスLION−Bphを購入した。これは調光サングラスという紫外線量に応じて可視光線透過率が84%から13%まで自動的に変化してくれるというありがたい機能があり、トンネルに入ってもサングラスを外す必要がないのだ。ところがこの調光サングラス、直射日光が直接レンズに当たればレンズが暗くなってかなり透過率が下がるのだが、自分のようにヘルメットにバイザーを付けているとサングラスのレンズに直射日光が当たらずあまり暗くならなくて眩しいのだ。私はレンズだけでも偏光レンズに交換しようかと早くも画策している。 明日の天気予報は上川も北見も一日曇りらしい。これなら明日予定通り道道101号線を南下して愛別町に入り、そこから北見峠を越えて白滝高原キャンプ場に行くとしよう。昨日も五右衛門風呂に入ったが、明日は焚き付けだけでなく薪割りからスタートなのでできるだけ早くキャンプ場に着いておきたい。 22時まで旅の日記を書いていたが今日はほとんど旅の日記を書いてこなかったので書くことが多く、22時を過ぎても書き終わりそうにない。これ以上書いていると明日の行動に差し障りが出るので今日の分の旅の日記を書き終えるのは断念しこのあたりで切り上げて寝ることにする。今夜もかなり暖かく、ジャージーの上は着ずにシュラフに入って寝ることにする。
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