昨夜は1時くらいに一度目覚めた時、ちょっと寒かったのでテントの入り口を閉めてジャージの上を着てシュラフに入って寝た。次に目覚めたのは4時30分になっていたが、まだ少し眠ったのでもう一寝入りする。次に目覚めたのは5時10分だった。今日もよく寝ることができた。 ただここ数日ちゃんと寝たつもりでも明け方によく夢を見るようになった。夢の内容はほとんどは目が覚めると同時に忘れてしまうのだが、今朝見た夢はよく覚えていた。それは自分がなぜかスタパ齋藤氏になっていた。なぜスタパ齋藤氏に? などと考えてはいけない。夢とはそういうものだ。拙者は長い間ノートPC用の液晶パネルを設計していたが、その中でもソニー担当だった拙者は1997年のVAIO立ち上げ当初から拙者の設計した液晶パネルが数多くのVAIOで採用された。その中でも256倍思い入れの深いのは2006年に発売になったVAIO type Uシリーズだ!! 毎日のように大崎のソニー本社に行って仕様や技術打ち合わせをしたものだ。その思い入れの深いVAIO type Uが発表される直前、ソニーの技術者と「こんなマニア向けのパソコン、絶対にスタパ齋藤氏が買ってブログに評価を書いてくれますよ」などと笑い話をしていたら、本当に氏が買ってブログに書いてくれたのだ!! しかも液晶は文字が小さくて見にくい事を除けばきれいと評価も高く、ズギャァァァン!!となるくらいヒジョーに嬉しく思ったものだ。(文字が小さいのは仕様でありソニーの問題であってうちの責任ではないと言えよう)それ以降ちょくちょく氏のブログを読むようになったのですな。きっとその影響が夢に出たのだろう、みたいな。
朝食は昨日残しておいたご飯でおじやを作る。まずまずうまくできた。このキャンプ場はアブが多く朝からまとわりつかれる。どうも赤い色のテントに近寄ってくる習性があるようだ。テントを張った場所が炊事場やトイレから離れていたので何度も遠い距離を往復することになり撤収には時間がかかってしまった。 このキャンプ場は非常にいいキャンプ場ではあるのだが1つ問題があった。それは朝水を汲みに入り口に近い手前側の炊事場に行ったとき水道から出てきた水が錆色をしていたことだ。おそらく水道管の中が錆びているのだろう。水を出しっぱなしにすれば解決したが、せっかくこれだけいいキャンプ場なのにこれはもったいない。
キャンプ場は標高200mくらいの所にあるが、標高153mほどの道道36号線との交差点まで下る。だから今日は標高655mの毛無峠まで標高差でまず500mほど登って小樽まで37km走り、さらに標高50m地点まで下った所から標高677mの朝里峠まで標高差で630mほど登って37km走って定山渓に行く予定だ。平地だとカメ作戦を使って出発から6時間といったところだが積算上昇高度が1130mほどあるので4時間ほど追加すると小樽まで5時間、定山渓までは10時間ということになる。6時40分出発だったので16時40分着といったところか。 ここから国道393号線は緩やかな登りを続ける。まだ朝一番のパワーで力があるし、これくらいの勾配で標高が稼げるならずいぶん楽な峠になるのだが。出発から1時間ほどは緩やかな登りを登り続けた。すると大きな標識のあるキロロの入り口が見えてきた。キロロとはスキー場を中心としたリゾート施設らしいが私に言わせればかつて2010年の北海道自転車ツーリングで訪れたトマムのような魅力を感じる。
キロロの入り口から勾配6%程度の坂となった。国道の峠としては標準的だろう。8時10分からどうにか見つけた道ばたの日陰で10分だけ休憩。エネルギー補給にチョコを食べ少しだけ旅の日記を書いて8時20分に出発する。 ところが出発してすぐに道路の電光掲示板に毛無峠片側通行と書かれていた。峠の登りでの片側通行はしんどいから嫌だなぁと思っていたら片側通行と書いた標識を荷台に載せた軽トラックが私を追い抜いていき、前方に設営を始めて反対車線を止めてしまった。私は間一髪のところで片側通行の白い目で見られずに上下車線とも通行止めになった国道を一人登ることになった。 それからも登りは続いた。この毛無峠の赤井川の登りは東向きに走るので朝一番だと直射日光を遮ることができず暑いのが大変だが、それ以外は標高が655mある割にはそれほど大変な峠ではない。 ところが片側通行はもう一ヶ所でもあった。しかも登りでかなり距離が長い。嫌だなと思いつつ走らないわけにはいかない。車の流れが途切れたときに片側通行の区間に突入するが、ここは片側通行の区間が1kmほどある。工事は2ヶ所で行われており、1つ目の工事区間を通り過ぎるまでは全線通行止めにして私専用道路にしてくれた。しかし1つ目と2つ目の間には500mほどの距離がある。この区間は道の中央にパイロンを並べて入れないようにしただけで、1つ目の工事区間の終わりにいたガードマンが私をパイロンの反対側に誘導してくれた。これで私が500mほど先の2つ目の工事区間に行くまでの間は車を通すことができる。私は2つ目の工事区間に向かって自転車を時速7kmで走らせ続けた。するとそのガードマンの兄ちゃんも私に歩いてついてくるではないか。もちろん歩きでは時速7kmで坂を登れないので次第にその距離が引き離された。しかし彼は驚いたことに私が2つ目の工事区間にさしかかる直前に坂を走って登ってきて車の流れが途切れるまで私を止めた。最初は何でついてくるのかわからなかったのでいつものペースで走ったが、2つ目の工事区間で私を安全に通すために来てくれたのならもう少し走るペースを落としてあげたのに。全力で坂を走って登ってきた彼に「すんまへんなぁ〜」と謝って2つ目の工事区間も両側とも通行止めの私専用道路にしてくれた道路を登り続けた。 工事区間がかなり長かったこともあって、気がついたら8時40分に標高655mの毛無峠の頂上に達していた。しかし残念な事に何の標識もないのでそのまま素通りする。頂上から標高で30mほど下ると再び25mほど登り、さらに標高で100mほど下ると55m登るというように毛無峠の頂上は何度もアップダウンが続き、さすがに峠を登りきった後にまた大きな登りがあるとうんざりする。このころ前から空荷のサイクリストが10人くらい登ってくるのとすれ違ったので挨拶だけする。
工事区間が終わるとすぐにパーキングが見えてきた。ここからは小樽の町並みが見渡せることを知っていたので自転車を止めて景色を見るが、木に邪魔されて視界は狭かった。このパーキングよりもそのすぐ下にある橋からの方が邪魔な木がない分だけ景色は良かった。
ずいぶん下った頃、突如右側に分かれ道があった。標識はなかったのにと思いつつこの道を下ればどこに行くのだろうという考えが頭をよぎった。交通量もそれなりにあるし行き止まりということはなさそうだ。ツーリングマップルに記載されている私が走る予定の道はまだ先だったが、私はこの道に行ってみることにした。 入った道は勾配が10%くらいありそうな急な下りで、もし道を間違えていたら戻るのは大変だぞと冷や汗ものだった。すると前方に見覚えのあるコンビニが見えてきた。これは毎年のゴールデンウィークでの北海道マイカードライブで何度も利用させてもらっている勝手知ったる望洋台のローソンだ。私はこれを見たとき自分が道を間違えていなかったとようやく安心した。 9時45分コンビニに到着。よく考えたら朝キャンプ場でおじやを食べて以来ほとんど何も食べず、かつ休憩も毛無峠の登りの途中で1回10分ほどとっただけでここまで来てしまった。ここで何かちょっと食べておこうと弁当を購入することにした。ローソンに入ると凍らせたペットボトルが売っているのを発見した。ニセコではとても涼しかったので欲しいとも思わなかったが今日はこれからも朝里峠を越えるのでぜひとも欲しい。私は弁当と500ccの紙パックのジュースと凍らせたペットボトルを購入。弁当とジュースはその場で食べ、凍らせたペットボトルはタオルは使用中なので軍手にくるんで保冷する。
さらに急坂を下るといよいよ朝里の町が見えてくると同時に10時15分に道道1号線に合流した。ここまでの走行距離は予定通り36kmだった。当初の到着予定時間は出発から5時間後の11時40分だったので1時間30分ほど早く到着することができた。かなり毛無峠が楽に登れたということだろう。 ここからは朝里峠に向けて登りが続く。先ほど登った標高655mの毛無峠は小樽の町に向かって下り続け朝里の町で標高50mまで下ってきた。ここから再び標高677mの朝里峠まで630mほどの登りとなる。先ほど越えてきた朝里岳から続く尾根を再び越えようというのだから、昨日に続いてのバカな行為だ。 道道1号線をしばらく登ると朝里大橋、通称朝里スカイループと呼ばれるループ橋が見えてきた。私はこの朝里スカイループを自転車で走るのは初めてだったので嬉しく思ってしまう。さすがに自転車でこの橋を登ると360度まわっても車やバイクと違って遠心力を感じることはできないが、それでも楽しい。しかしこのスカイループにあった温度計は28℃を示しており、やはりこんなに暑かったのかと思ってしまう。
朝里ダムから少し走ると10時55分にダム記念館に到着した。私は毛無峠を越える水は朝キャンプ場で給水してきたが、朝里峠を越える水はここで給水するつもりだったので入り口にある水飲み場でボトルに給水し、ついでにタオルやアームカバーをボトボトに濡らし頭から水をかぶって体を冷やす。ついでにダム記念館でトイレを済ませて中も見学しておく。ダム記念館の中にはベンチもあったので旅の日記を書きながら10分ほど休憩し出発する。
5分ほど体を冷やすとすぐに出発。ここからはヘアピンカーブの登り坂か続く。さっきまでは太陽が顔を出していたが、いよいよ空は雲が多くなってきた。さすがにさっきみたいにわずか15分でギブアップするのは問題なのでもう少し頑張って20分登り11時45分から道端で休憩する。ここでも凍らせたペットボトルにボトルの水を入れて溶かし、それを脇に挟んで体を冷やした。ここでも5分ほど休憩しただけで出発する。 休憩しながらボトルの水が多すぎて自転車が重いような気がしてきた。かと言ってここまで運んできた水を捨てるのももったいないので、ボトルの水をアームカバーにかけて涼しんだ。この頃になるとかなり雲行きが怪しくなっていた。ラジオの天気予報が言っていたように雨になりそうな雰囲気だ。雨になるなら今の段階で体を濡らしたくないが、雨が降らないなら体を濡らして体温を下げたい。難しいところだ。前方の高いところに橋が見えてきた。きっとあの橋までこれから登るのだろうけどかなり高いところにあった。あそこまで本当に登れるだろうかと疑問に思えるほどだ。
この頃、右足の調子がおかしくなり始めた。これまでの北海道自転車ツーリングでは足が筋肉痛になることは度々あったが、これは明らかに筋肉痛ではなく関節がおかしいような感じで、今までこんな場所が痛くなった事がないようなところが痛くなってきた。昨日今日と峠ばかりを越え続けたため足が悲鳴を上げているようだ。これ以上悪くならないように無理しないで走ることにした。 頂上近くになるとトンネルの数が増えきた。そして先ほど下から見上げていた橋にさしかかる。さすがに下から見上げていただけあって、上から見下ろすと眺めよかった。そして12時45分に標高677mの朝里峠の頂上に到着した。ようやく今回の北海道自転車ツーリングで予定していた前半の峠は雲石峠、朝里峠、チセヌプリ峠、毛無峠、朝里峠はすべて達成することができた。あとは明日以降、観光のようなものだ。
朝里トンネルを抜けて定山渓側に出ると雲は明るく雨は降りそうになかった。私はこんな事なら先ほどの頂上のパーキングでもう少し休憩しておけばよかったと思ってしまった。定山渓側の下りはそれほど傾斜がきつくないのでブレーキもほとんどかけることなく下ることができ楽だった。 頂上から標高で200mほど下ると路面が濡れ始めた。これは明らかにさっきまで雨が降っていたという事だ。あまりスピードを上げると雨雲に追いついてしまいそうだったのでできる限りスピードを落として走ることにする。しかし前に進む度に路面の濡れがひどくなっていき、ついさっきまで雨が降っていたことを伺わせた。
土砂降りの中自転車を走らせると突然日が射した。太陽が出ているのでレインスーツを着ているととても暑いが、土砂降りの雨が降っているので脱ぐことができない。困った天気だと思っていたがわずか15分で雨は上がった。しかし遠くで雷がゴロゴロと鳴っている。雷をやり過ごすためやはりどこかで休憩する必要がありそうだ。 さっぽろ湖が見えてきた頃には路面も完全に乾いてしまい太陽が出ていたことから完全にレインスーツを脱いで畳んでしまった。しかし畳んで走りだそうとした途端に太陽が出ているのに再び雨が降り始めた。う〜む、困ったものだ。まだそれほど雨は降っていなかったが念の為に再びレインスーツを着て様子見しながら走った。
ここでサングラスをなくしたことに気づいた。少なくとも朝里トンネルを越えて坂を下っていた時にサングラスをかけていたことは間違いない。おそらく雨宿りしていた時に自転車を倒したので、その時にサドルにかけていたのがどこかにいってしまったのだろう。315円のサングラスだったので金銭的には痛くないが、この先の北海道自転車ツーリングでサングラスは必要なアイテムなので、またどこかで入手しなければならない。明日は札幌市街を通過するので入手はできると思うが、なくしたショックとまた買わなければならないと言うショックで落ち込んでしまった。
店の前で付けてみるとかけ心地はよかった。さすがに315円のサングラスとは訳が違う。ところがコンビニを出発しようとした時、突如雨が降り始めた。今日はもう雨が降ったり晴れたりの繰り返しだ。仕方なく再びレインスーツを着て自然の村キャンプ場を目指した。 キャンプ場は定山渓から4kmほど走った山奥にあった。この短い距離を走っている間にも太陽が顔を出し、やがて雨は止んだ。定山渓自然の村キャンプ場に着いたが、駐車場で係員に呼び止められた。このキャンプ場は予約制なので私が予約していないことを知ると空きがあるか確かめると言う。どうにか空きはあるようだったが駐車場から管理棟までは遊歩道が700m続いているという。驚いたことに車やバイクはここに止めてキャンプ道具をリヤカーに乗せてキャンプ場まで700mの距離を運ばなければならないそうだ。しかし自転車は通行可との事だったので700mの遊歩道を自転車で走って昨日と同じ15時40分にキャンプ場に到着した。朝里峠頂上ではもう少し早く到着すると思っていたが、雨宿りしていたり何度もレインスーツを着たり脱いだりしていたら思った以上に時間がかかったようだった。
リヤカーで荷物を運んでテントを設営しようとするが再び雨が降り始めた。さすがに雨降りだとリヤカーで荷物が運べないので、雨が止むまで待ち、止んだところで荷物を運ぶ。そしてテントを設営した。荷物を整理していたとき携帯用の蚊取りの電源が入りっぱなしになっていた。どうも今日はラジオの電源が入っていた事と言い、勝手に電源が入ってしまうようだ。
テントの中は暑そうだったので17時20分からふれあいハウスのふれあいルームで旅の日記を書く。ここは多目的ホールが21時まで解放されているとのことで自由に使えたので、テーブルやベンチこそなかったが18時40分まで旅の日記を書いていた。しかしこれ以上ここにいると炊飯が真っ暗になってしまうのでテントに戻って炊飯を開始する。今日の夕食はカレーと卵スープとトマトとヨーグルトだ。
どうにかまともな米が炊けたのでカレーにして食べるがあまりおいしいとは言えなかった。それよりもトマトがとてもおいしかった。後片付けまで済ませると、さすがに連日の峠越えで疲れがたまっていたのでアミノバイタルを水で溶かして飲んで19時20分から1時間ほど横になる。
このキャンプ場を悪く言うつもりはないが少なくともライダーやチャリダーに勧められるキャンプ場でない。まず予約制であること、そしてテントを張る場所が勝手に決められてしまうこと。さらに子供の数が多すぎること。こんなキャンプ場を選んだ私が悪いのだろうけど、小樽から朝里峠を越えて定山渓近辺にキャンプ場を探すとここしかないのだ。ライダーなら気に入らなければ他を探すこともできるだろうけど自転車だとそうもいかない。今日はあきらめるしかないだろう。 20時30分から起きて旅の日記を書く。22時を過ぎた頃から子供たちの往来もようやく少なくなり静かになってきたが、隣の若者は相変わらずキャンプ場中に響き渡る大きな声で騒いでいた。22時過ぎに警備員らしき人が注意しに来たようだったが、彼らはハイハイと返事をしただけで騒ぎを静めることはなかった。 丸聞こえな話を聞いていると彼らのリーダー格の若者が昼から延々と会社の同僚の悪口を言っている。どうもその同僚の一人が先輩に対して馴れ馴れしい態度だというのが気に入らないらしく、それを大声で喋り続けてまわりの若者はほとんどが聞き役だ。そのネタだけで6時間も7時間も悪口を言い続けることができるものだと感心してしまう。私に言わせればその同僚よりもアンタの方がよほどタチが悪いように思えた。 今夜紹介するアイテムはシリコンオーディオプレイヤーだ。キャンプ場でまわりの家族連れがうるさい時などに寝られるようにと北海道自転車ツーリングの2003年からずっとシリコンオーディオプレイヤーを持参している。電源に困らないようにと単四電池で駆動し、かつコンパクトデジカメとメモリーを共用し、もしコンパクトデジカメのメモリーがなくなれば、シリコンオーディオプレイヤーのメモリーをフォーマットして使えるようにとメモリーにSDカードを使用するアイ・オー・データ機器製のMDM−H205SWを購入した。 このMDM−H205SWは単四電池が使える割にはサイズが小さい上に駆動時間も20時間と長く、またボタンと機能の組み合わせを自由にカスタマイズできるなど、なかなか基本を押さえた作りになっている。欠点は容量が少ない割には値段が高い事と、音楽データの転送に専用ソフトが必要な事くらいだろう。今となっては音楽を聴くくらいiPodやスマートホンで十分だろうけど、乾電池で長時間動くとなると選択肢は限られてしまう。 旅の日記はなかなか書き進めることができずいつしか時間は23時となってしまった。もうそろそろ寝ないと明日の行動に影響がでるのでウィスキーを2杯ダブルで飲んで酔っぱらった状態でラジオのイヤホンをして寝ることにした。かなり周りが騒がしい状態だったので果たして寝られるだろうか。
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