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主題歌評論

 このページには世界名作劇場の主題歌に関する批判的な内容も含まれていますので、心臓の弱い方は主治医に御相談の上、覚悟を決めてお読み下さい。

 世界名作劇場の主題歌は個性的なのがたくさんありますが、個々の主題歌を紹介します。世界名作劇場をすべて見ていない人でもバンダイから「名作アニメコレクション」というタイトルの世界名作劇場の主題歌ばかりを集めたビデオが発売されていますので、こちらを購入する事をお薦めします。(YYV−007)
アルプスの少女ハイジ
 アルプスの少女ハイジのオープニング「おしえて」を見て、いったいどれほどの人があのブランコに乗ってみたいと思った事でしょう。雄大なアルプスの山々から始まり、本当にハイジが楽しそうに大きなブランコに乗って小鳥とたわむれている… そして雲に飛び乗って雲の上からアルムの山を眺めおろす。子供心にはとってもインパクトの大きいオープニングでした。曲の方も現地の人のヨーデルを多用してアルプスを表現しておりすばらしい演出でした。世界名作劇場1作目のハイジから現地の人の言葉を入れるようになったのですが、さすがにヨーデルでは何と言っているのかわからないし、歌詞カードにも書いてないので、いまだに何と言っているのか不明です。
フランダースの犬
 主題歌の「よあけのみち」はとても明るい調子の歌で大杉久美子さんの美しい歌声もあってとても楽しそうなネロとアロア、パトラッシュが描かれています。オープニングの最後にパトラッシュがネロの乗った荷車を引いて空高く昇っていくシーンがありますが、子供の頃にはまさかこれが本当になろうとは夢にも思いませんでした。「よあけのみち」も初期の世界名作劇場の特徴として現地の言葉で歌うフレーズがあり、オープニングの最初にベルギーの言葉(オランダ語?)で歌うところがあります。子供の頃にはもちろん何と言っているのかわからず、適当にそれらしく歌っていた記憶があります。今はCDの歌詞カードがあるので
  LALALA LALALA
  ZINGEN ZINGEN
  KLEINE VLINDERS
  LALALA LALALA
  ZINGEN VLINDERS LALA
と歌っているのは理解しているのですが、それでも早口すぎて歌えません。ちなみにフランダースの犬のレンタルビデオ版にはこの現地の言葉のフレーズの入っていないバージョンも収録されているのですが、何かとても違和感を感じます。
母をたずねて三千里
 これほど作品内容と主題歌がマッチしたオープニングがかつてあったでしょうか? アニメのオープニングというのはその作品の顔でもあり、オープニングを見ただけで作品の内容や雰囲気が掴めるように作るものですが、そういう意味では「草原のマルコ」ほどすばらしいオープニングはないでしょう。大杉久美子さんの「山もなく谷もなく何も見えはしない」のフレーズに合わせるかのように本当に何もない大草原をマルコがたたずんでいる。そしてマルコの旅の記憶、フォルゴーレ号での長い航海、ペッピーノ一座との楽しい旅、イタリアの星での感動の励ましなどが次々と浮かんでは消えていく。そして「さあ出発だ」と同時に曲の調子がアップテンポになると鳥が一斉に飛び立ち、日の出と共にマルコがロバのばあさまに乗って固い決意でお母さんに逢う為に旅を続ける。そんなマルコの意気込みが見ている方にも伝わってくるような、そんなすばらしいオープニングです。「草原のマルコ」には前2作のような現地の言葉で歌うフレーズはありません。その代わりにエンディングの「かあさんおはよう」にイタリア語で
  ボンジョルノ ミア マードレ(おはようお母さん)
と歌っています。この「かあさんおはよう」のエンディングも子供心にはインパクトが強く、地球はこんなに小さいものなのかと思ったものでした。確かにこんなに地球が小さかったらジェノバ〜ブエノスアイレスはひとまたぎですね。
あらいぐまラスカル
 「あらいぐまラスカル」の主題歌「ロックリバーへ」も主題歌の歌詞や映像から作品内容が伝わってくるようなとても素晴らしいできです。スターリングとラスカルが楽しそうに野原をかけずり回り、そして定番となったラスカルのイタズラもちゃんと再現されている、また美しい大杉久美子さんの歌声もオープニングのできの良さを一段と高めている、そんな素晴らしいオープニングでしょう。さて「ロックリバーへ」も例にもれず現地の言葉(英語)で歌うフレーズがあります。
  Hidy Hidy little Rascal
  Like the wind, O little Rascal
  Hidy Hidy, my friend Rascal
  Come with me, O little Rascal
  Hidy! Here Rascal
と歌っているのですが、もちろん子供の頃には何と言っているのかまったくわかりませんでした。今でも早口すぎて歌えませんが…
ペリーヌ物語
 主題歌の「ペリーヌものがたり」も、とても作品内容にあった歌詞と映像で、特に大杉久美子さんの高いソプラノの美声は聞く者を魅了します。映像はそれまでの世界名作劇場主題歌と異なり、かなり生活色の濃いものとなっているが、そこがまたいいのだ。オープニング前半のペリーヌがお母さんと一緒に旅をするシーン、そしてペリーヌがバロンと一緒にタンポポにつかまって飛んでいき、ペリーヌのたった一人の生活が始まる。バロンが蝿を食べてしまうのはご愛敬としてもとても生活感を感じさせる素晴らしいできです。ペリーヌの服はパリに着く頃にはすっかりと色あせてしまうので物語の後半にはオープニングのペリーヌの服がすごく鮮やかに見えてしまいます。世界名作劇場主題歌の定番となっていた現地語のフレーズはペリーヌ物語以降廃止になりました、ちょっと残念な気がしますね。ちなみにTV版のオープニングで2番まで歌っているのはこの「ペリーヌものがたり」だけです。この「ペリーヌものがたり」の歌詞は3番まであって、1番が春、2番が秋、3番が冬の歌になっているのですが、なぜ夏だけないのか不思議です。
赤毛のアン
 「ペリーヌ物語」までの主題歌は「アルプスの少女ハイジ」のオープニングを除いてオープニングもエンディングもすべて大杉久美子さんが歌っていましたが、「赤毛のアン」の主題歌「きこえるかしら」は大杉久美子さんではなく大和田りつこさんが歌っている。歌自体はとてもうまいのだが、作品内容にあわない歌詞とアンが馬車に乗り続けているだけの単調な映像を見ると、今までのオープニングのできが良かっただけにちょっと物足りない気がします。やはりアニメのオープニングというのは見ただけで作品の内容や雰囲気が掴めるように作らないとね。
トム・ソーヤーの冒険
 「赤毛のアン」までの主題歌はすべて日本コロムビア所属の歌手が歌っていたが、この「トム・ソーヤーの冒険」の主題歌「誰よりも遠くへ」から「ピーターパンの冒険」まではポ○ー・キャ○オン所属の歌手が歌っている。残念な事にポ○ー・キャ○オン所属の歌手は日本コロムビア所属の歌手に比べると歌唱力が断然低い。まだ「誰よりも遠くへ」を歌っている日下まろんさんはポ○ー・キャ○オンの中ではマシな部類だが、それでもコロムビア・ガバー・バージョンで「誰よりも遠くへ」を歌う大杉久美子さんに比べると歌唱力の違いを思い知らされる。まさに冬の時代に突入である。歌詞の内容や映像は作品にマッチしており、とても良くできているだけに残念でならない。
家族ロビンソン漂流記 ふしぎな島のフローネ
 主題歌の「裸足のフローネ」も歌詞と映像が作品にマッチした素晴らしい主題歌です。シャボン玉に乗ったり浜辺を走るフローネの姿に無人島で明るく生活するフローネが思い浮かんできそうな、そんなオープニングです。歌っているのは「トム・ソーヤーの冒険」でベッキーの声をあてていた藩恵子さん。彼女の裏声は賛否両論あると思いますが、個人的には好きだったりします。
南の虹のルーシー
 主題歌の「虹になりたい」は、もう素晴らしいの一言です。セピア調の家族の写真からオーストラリアに渡る移民船団、そしてオーストラリアの大自然へとオーバーラップしていき、最後はオーストラリアの広大な大地にかかる大きな虹を羊飼いの少年が見上げている姿で終わる。このオープニングを見ただけで、まるで劇画を見ているようにオーストラリアへ渡った移民の苦労がここまで伝わってきそうな、そんな素晴らしい素晴らしいオープニングです。この「虹になりたい」の映像はまったくアニメーションしませんが、この作品においてはこれだけいい物ができているんだから、わざわざアニメーションする必要もないのではないかと思わずにはいられません。「虹になりたい」を歌うのは往年のフォークソングの女王であるやまがたすみこさん。素晴らしい映像に負けないだけの歌唱力で歌っており、ポ○ー・キャ○オン系列の主題歌の中ではかなりうまい部類に入ると思います。個人的にはコロムビア・カバー・バージョンの大杉久美子さんの歌う「虹になりたい」の方が好きだったりしますが… いずれにせよ往年の名作「母をたずねて三千里」に勝るとも劣らない素晴らしいオープニングであることは間違いありません。
アルプス物語 わたしのアンネット
 主題歌「アンネットの青い空」の映像はアルプスの大自然を明るく元気に生きるアンネットが描写されており、とても良いです。同じアルプスを舞台とした作品でもハイジとアンネットではオープニングだけでも大きく違いますね。同じなのはアルプスの大自然がのびのびと描かれている事くらいか… ただ歌詞が「アンネットの青い空」というタイトルのわりには、あまり作品には合わないような気がするのは私だけでしょうか? 「アンネットの青い空」を歌うのは「裸足のフローネ」に続いて藩恵子さん。ただし「アンネットの青い空」は得意の裏声を使わず地声だけで通しています。
牧場の少女カトリ
 オープニングの映像はすごくできがいいです。映像を見るだけで仕事熱心なカトリをイメージでき、すごく好感が持てるのですが、少し歌詞が作品内容に合っていないような、ちょっと残念なオープニングです。歌っているのは小林千絵さん。まあポ○ー・キャ○オンの中ではマシな部類でしょう。映像はいいんだけどなぁ〜
小公女セーラ
 主題歌「花のささやき」は従来の世界名作劇場主題歌のように明るいものではなく、かなり暗い調子に仕上がっている。暗いのは別に構わないのだが、映像と歌詞がまったく作品にマッチしていないのは何とかしてほしい。セーラが椅子に座って宙を舞って宇宙まで飛び出していくのが作品とどのような関係があるのか聞いてみたいところだ。しかし「花のささやき」を歌う下成佐登子さんのコブシの効いた歌唱力だけは絶賛に値する。この曲だけは山野さと子さんの歌うコロムビア・カバー・バージョンの「花のささやき」を必要としないほどです。(山野さと子さんが下手という意味ではなく下成佐登子さんが山野さと子さんに匹敵するくらい上手いという意味です)
愛少女ポリアンナ物語
 主題歌「し・あ・わ・せカーニバル」は歌詞や音楽の調子はとても明るく、どんな不幸な境遇にも負けずに生きるポリアンナの明るさが伝わってくるようで、とてもいいです。しかし映像は最初の泣きそうな顔で走るポリアンナと、最後のパレーおば様に飛びつくポリアンナはとてもいいのですが、延々とポリアンナとジミーが車に乗って走り回っているシーンはもう少し考えてほしかったと思う。まあ歌詞と映像の批評はこんなところですが、問題の歌は… 歌唱力について書くと悪口しか書けないので、これを含めて以下4作品の歌唱力についてのコメントは差し控えさせていただきます。ただ一つ言いたいのは新人や売れないアイドルの宣伝の為にこういったアニメの主題歌を歌わせるのだけはやめてもらいたいです。
愛の若草物語
 主題歌「若草の招待状」の映像はとても良いです。いきなり最初からお父さんにお尻をぶたれるエイミー、ウェディングドレス姿のメグ、お母さんにプレゼントしようとするが後ろからぶつかられてずっこけるメグ、ロミオとジュリエットの芝居の練習をしていてセットが倒れてきてセットを突き破るジョオ、どれも個性的な4姉妹を見事に表現しており見事です。歌詞の方もそれなりに作品にマッチしておりまずまずです。ところで「愛の若草物語」には主題歌が「若草の招待状」と「いつかきっと!」の2つ存在する。放送開始直後は「若草の招待状」が使われていたが早い段階から「いつかきっと!」に変更されている。「いつかきっと!」は2番まであり、1番はメグとジョオ、2番はベスとエイミーの曲となっているがオープニングとしては1番と2番が交互に使われていたようだ。映像の方は「若草の招待状」も「いつかきっと!」もまったく同じ物が使われている。「いつかきっと!」を歌っているのはそれぞれの声優。歌の上手い下手はおいといて、個人的にこういう企画物は好きです。「いつかきっと!」にもコロムビア・カバー・バージョンがあって、それを歌っているのは大杉久美子さん、山野さと子さん、橋本潮さん、堀江美都子さんの4人だそうです。この曲は堀江美都子さんのCD「堀江美都子 歌のあゆみ6」に収録されています。私はまだこのCDを持っていないので、この夢のような共演を一度でいいから聞いてみたいものです。「若草の招待状」の歌を歌っているのは… アルムの山は寒い冬が続いています。
小公子セディ
 主題歌「ぼくらのセディ」の歌詞は素晴らしいです。久しぶりに作品にぴったりマッチした歌詞を作ってくれたなとそういう印象がうかがえます。曲の調子も明るいし、セディは連呼するし、これで歌を歌っているのがコロムビア・カバー・バージョンの「ぼくらのセディ」を歌っている橋本潮さんだったら文句ないのですが… 映像の方も素晴らしく、作品中でひたすら乗馬の練習を繰り返していたセディの姿が思い起こされるようです。白馬の跳ね馬にまたがるセディはまるでフェラーリの跳ね馬のようでとってもかっこいいので個人的には好きだったりします。
ピーターパンの冒険
 主題歌「もう一度ピーターパン」は映像、歌詞共に作品を連想させる素晴らしいオープニングです。特にピーターパンとウェンディが飛び回るシーンは最高です。ネバーランドへGo!Go!と思わず歌ってしまいます。「もう一度ピーターパン」を歌っているのは… アルムの山では厳しい冬が続いています。
私のあしながおじさん
 「おじいさん見て! 雪割草よ」アルムの山の厳しい冬も終わりを告げ、暖かい春がやってきたのです。そうです、長かったポ○ー・キャ○オンの冬の時代は去り、日本コロムビアの時代が戻って来たのです。しかもそのトップバッターはアニメ主題歌の女王、堀江美都子さん! あの美しい歌声が戻ってきたのです。主題歌「グローイング・アップ」も期待を裏切らない見事な歌唱力で歌いきってくれます。ただ歌詞の内容が若干作品に合っていないような気がしますが、それはこの際おいときましょう。映像の方も喜怒哀楽の激しい主人公ジュディを見事に表現しきっており、素晴らしいの一言です。オープニングを見るだけで色々な表情のジュディを見る事ができて幸せそのものです。オープニングの中では個人的には鉛筆を握ってほおづえついているジュディが一番好きだったりします。
トラップ一家物語
 主題歌は有名な「ドレミの歌」にあわせて主人公マリアの楽しそうな姿が映し出されていきます。主題歌は原作であるサウンド・オブ・ミュージックの中で挿入歌として使われていた「ドレミの歌」を使っていますが、知らない人にはなぜ「ドレミの歌」になったのかわからないとおもいますが、伊藤恵里さんの歌声はとても美しいのでよしとしましょう。
 ちなみに「トラップ一家物語」の主題歌は「ドレミの歌」のはずなのですが、世界名作劇場のオープニング曲ばかりを集めたビデオ「名作アニメコレクション」では、なぜかエンディングの「両手を広げて」が収録されている。「トラップ一家物語」のビデオでもオープニングは「ドレミの歌」ではなく挿入歌の「ほほえみの魔法」が使われている事から、おそらく版権の問題で「ドレミの歌」が使えなかった為であろう。
大草原の小さな天使 ブッシュベイビー
 前期主題歌の「APOLLO」を初めて聴いた時は、ぶったまげてしまいました。なんと世界名作劇場主題歌で初めての男性歌手の起用で、やたらと曲が暗いのです。作詞作曲が谷村新司さんだと聞いて思わず納得してしまいました。しかし沢靖英さんの歌はうまいです。映像はジャッキーがアフリカ・ケニアの大地を旅していた時の様子が描かれています。ただ、一緒に旅をしていたテンボが描かれていないのはちょっと残念。主題歌は途中から変更になり、山野さと子さんの歌う「微笑みでプロローグ」に変更になります。映像の方は前半は同じで、後半はジャッキーとテンボとミッキーの3人が楽しそうに遊んでいる映像に変わりますが、こちらの曲の方がいかにも世界名作劇場の主題歌らしく感じます。「微笑みでプロローグ」はさすがに山野さと子さんが歌っているだけあって歌はうまいです。ただし歌詞の内容をもう少しストーリーにマッチさせてほしかったという思いが…
若草物語 ナンとジョー先生
 主題歌「明日もお天気」の映像は、おてんば娘のナンを見事に表現しており、とてもいいできに仕上がっています。しかし復活した日本コロムビアの時代もわずか3年で終わってしまい、「明日もお天気」を歌っている小坂明子さんも日本コロムビアの歌手に比べると若干歌唱力に劣ります。あと、せっかく映像は素晴らしいのですが、歌詞があまり内容にあっていないのも残念なところですね。
七つの海のティコ
 主題歌「Sea loves you」はとてもノリのいい曲で、ティコと一緒に大海原を泳ぐナナミの姿に、ストーリーがイメージできるような素敵なオープニングに仕上がっています。歌っているのは篠塚満由美さんで、歌唱力はまあまあといったところでしょうか。歌詞の内容もそれなりに作品内容にマッチしており、好印象を抱きます。
ロミオの青い空
 主題歌「空へ…」は少し暗い曲ですが、とても良い感じに仕上がっていると思います。歌っているのは笠原弘子さんで、なかなかの歌唱力。歌詞の方もそれなりに作品内容にマッチしているのではないでしょうか。映像の方もいいにはいいのですが、ロミオしか登場しないというのはいただけません。「ブッシュベイビー」の時でも主人公しか登場しませんでしたが、ロミオにはアルフレドをはじめとする黒い兄弟の仲間がいるのだから、せめて彼らも登場させて煙突掃除の辛い仕事に絶えながらもロミオとの友情の場面を描き出したりすれば、もっと素敵になったのではないでしょうか。
名犬ラッシー
 主題歌「終わらない物語」は明るい感じの曲で、森岡純さんの透き通った歌声もさることながら、ジョンとラッシーの旅を描いた映像はとても素晴らしいものに仕上がっています。実際にジョンとラッシーが一緒に旅をした事はありませんでしたが、まあそれはこの際おいときましょう。ただ、できる事ならサンディとコリンも登場させて、岩の城で遊んでいるシーンなんかも欲しかったなぁ〜と思ってしまいます。それでもラストに登場するジョンとラッシーが鉱山の滑車を見下ろすシーンと、汚れた靴を描いた場面はとても良いです。ただ、難点を1つ挙げるなら歌詞が若干作品に合わないような…
家なき子レミ
 主題歌「愛について」は世界名作劇場の数ある主題歌の中では1番暗い感じの歌ではないでしょうか。ただしそれは悪く言っているのではなく、とてもいい感じに仕上がっていると思います。第1話の本放送を初めて見た時「やるな、さだまさし!」と呟いてしまったほどですから… 前述の通り、曲は大変暗いのですが映像は大変良く、レミとヴィタリスさんとの旅の苦労がここまで伝わってきそうな、そんな素晴らしい映像です。ただし毎度の事ですが、もう少し作品に合わせた歌詞にしてほしかったなぁ〜と…
まとめ
 世界名作劇場全24作品の中で、どの主題歌が1番素晴らしいか? あえてこの難題に答えを見いだすなら、私は「母をたずねて三千里」の主題歌「草原のマルコ」と「南の虹のルーシー」の主題歌「虹になりたい」の両方を挙げるでしょう。この手の番組のオープニングは、主題歌を見ただけで番組内容が理解でき、なおかつ本編が始まるまでに子供たちを物語の世界へ引き込む為の役割を果たしているのです。その為には歌詞はもちろん作品の内容に合ったものでなくてはならず、映像もオープニングを見ただけで内容を理解できるような映像でなければならないのです。もちろん歌手は歌唱力のある歌手を起用し、間違っても新人歌手の宣伝に使ってはいけません。これらの難題をすべてクリアしているのは「草原のマルコ」と「虹になりたい」だけではないかと思います。
 「草原のマルコ」は大杉久美子さんの「山もなく谷もなく何も見えはしない」のフレーズに合わせるかのように本当に何もない大草原をマルコがたたずんでいる。そしてマルコの旅の記憶、フォルゴーレ号での長い航海、ペッピーノ一座との楽しい旅、イタリアの星での感動の励ましなどが次々と浮かんでは消えていく。そして「さあ出発だ」と同時に曲の調子がアップテンポになると鳥が一斉に飛び立ち、日の出と共にマルコがロバのばあさまに乗って固い決意でお母さんに逢う為に旅を続ける。そんなマルコの意気込みが見ている方にも伝わってくるような、そんなすばらしいオープニングです。
 また「虹になりたい」はセピア調の家族の写真からオーストラリアに渡る移民船団、そしてオーストラリアの大自然へとオーバーラップしていき、最後はオーストラリアの広大な大地にかかる大きな虹を羊飼いの少年が見上げている姿で終わる。このオープニングを見ただけで、まるで劇画を見ているようにオーストラリアへ渡った移民の苦労がここまで伝わってきそうな、そんな素晴らしい素晴らしいオープニングです。
 これが「赤毛のアン」の主題歌「きこえるかしら」や、「小公女セーラ」の主題歌「花のささやき」のようなオープニングではここまで感情移入できないような気がするのですがいかがでしょうか?
補足説明
 世界名作劇場の主題歌にはいくつか特徴があります。まず第1に子供たちが歌える事。子供たちが歌いやすい歌というのは印象に残りやすいものです。またレコード用に作った曲とTVで放映する曲を変えないようにする事。よくレコード用に作った曲は前奏が長すぎるからTV放映では前奏をカットしたり、ひどい場合は曲の途中をカットしたりしています。こんな事をすると子供たちからTVと違うとクレームが付くので、できる限りTV放映とレコードを同じにして、子供たちが歌いやすいように作っているそうです。確かに世界名作劇場の主題歌には一部前奏をカットした曲もありますが、最近の外のアニメ等に比べれば、その割合ははるかに低いです。ただし、TVでは伴奏を押さえて歌を引き立たせるような事をしていたらしく、実際にはレコード用とTV用の2回レコーディングしていた事もあったようです。
 世界名作劇場の主題歌制作にあたっては、まず作詞家の先生に作品のイメージを伝えて詞を作ってもらい、今度はその詞を作曲家の先生のところに行って曲を作ってもらったそうです。任された作詞家の先生も大変だったようで、「母をたずねて三千里」の音楽を任された坂田晃一先生などはアルゼンチンの民族音楽を聴き続け、その努力の甲斐あって、あの名曲「草原のマルコ」が完成したそうです。
 ただ残念な事に、上記のような作り方をしていたのは世界名作劇場の初期の頃だけのようで、80年代に入るとアニメの主題歌は子供向けに作られたものではなく、J−POPを使い始めるようになる。世界名作劇場の主題歌も時代の流れには逆らえず、作品に合わせて曲を作ると言うよりは、レコード会社とのタイアップで曲や歌手が決まってしまうというような状態になっている。この状態は必ずしも良い結果を生むというわけではなく、世界名作劇場の主題歌においても、中盤において質が低下しているように感じられる。これは歌い手の歌唱力だけでなく、編曲にも問題がある。「愛少女ポリアンナ物語」以降の数作品において、果たして生の楽器は使っているのだろうか? 私が聴く限り、生の楽器は1つも使わず、すべてMIDI・シンセサイザーで作ってしまうという安上がりな手法を使っているので、歌唱力だけでなく伴奏までスカスカである。こうした状態は、一時的にレコード会社の推薦する歌手のレコード売り上げが伸びたとしても、長い目で見れば決して良い結果を生むわけではなく、ぜひとも今後のアニメの主題歌制作において参考にして頂きたい。
株式会社ヤマハミュージックメディア発行「ピアノでアニメ2」の日本アニメーション株式会社 取締役制作部長 中嶋順三のお話より一部抜粋
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