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若草物語
ナンとジョー先生  感想

 「若草物語 ナンとジョー先生」はジョー先生とベア先生が作り上げた理想の学園プラムフィールドでナンやトミー、ナット、ダンなどの個性的な子供たちが事件や日々の生活を通じて成長していく様子を描いた作品です。
 愛の若草物語から19年後、おてんばで男勝りだったジョーはフリッツ・ベアと結婚し、生まれ故郷であるコンコードの町にベア先生が描く理想の学園、プラムフィールドを作り上げます。そのプラムフィールドにナンが入学するところから物語は始まります。ナンはとてもおてんばで男勝りで、女の子らしいところはほとんどなく、いつも男の子たちとケンカをしたり野球をしたりして遊んでいます。ジョー先生にとってナンは自分の子供の頃を見ているようで、ジョー先生はナンの事がとっても好きになってしまいます。
 ナン以外の子供たちにも個性的なのはたくさんいました。その中でもナットとダンは特筆すべきでしょう。ナットはヴァイオリンしかとりえのない気弱な少年でしたが、プラムフィールドに来てから見事に成長します。特にベア先生から教えられた「ナット・ブレイク、僕はやれる」というおまじないはとても素敵でした。学校にも行かず字も読めなかったナットが努力してロビンソン・クルーソーの小説を読み終えた時には感動したものです。また、デーズィに好きだとうまく告白できなくて悩むところなんかもいいですね。
 ダンは最初、とんでもない無法者でした。もうボストンの町で悪さの限りを尽くし、プラムフィールドに来てからもプラムフィールドの数少ない規則をすべて破っていました。しかしジョー先生の優しさにふれ、しだいに態度をやわらげていきますが、ついつい昔の癖でタバコと酒を飲んでしまい、そのタバコが原因で火事を起こし、ベア先生に追い出されてしまいます。ダンはベア先生の紹介でページさんの農場で働く事になりますが、ダンはそこで博物学の勉強に夢中になってしまいます。ダンはページさんの家にいてもプラムフィールドの事が忘れられず、不良グループに見つかってピストルで撃たれた事をきっかけにプラムフィールドに再び帰って来ます。それからのダンは見違えるように人が変わり、真面目な人になっていました。個人的には最初の頃はあまりダンの事が好きではなかったのですが、プラムフィールドに戻って来てからのダンはなかなか良かったですね。  「ナンとジョー先生」という作品は世界名作劇場の中では安心してみていられる部類の作品です。主人公が不幸でない事と旅をしない事以外は世界名作劇場の路線を歩んでいますし、何よりナンのおてんばぶりは見ていて微笑ましくなります。ただ1つ残念なのは、せっかく「愛の若草物語」の続編なのだから、四姉妹の様子をもう少し詳しく説明してくれてもよかったのではないかと思ってしまいます。両作品で登場したキャラクターは、ジョーはもちろんの事、その姉のメグ、そしてその夫のブルック、さらにエイミーの夫のローリーの4人だけです。ベスは若くして亡くなったので仕方ないとして、ローリーがあれだけ頻繁に登場したのだから、せめてその妻のエイミーも登場してほしかったのですが… ブルックさんのお葬式には来ていたようですが、セリフがないばかりかローリーさんの陰にかくれて顔が半分しか見えていませんでした。
 さて、この作品中で疑問に思う点が2点ほど存在します。まず1つはブルックさんのファーストネームが前作ではカールだったのに、この作品ではジョンに変わってしまった事。でもこれについては答えが「世界名作劇場大全」に載っていたので割愛します。もう1つはブルックさんが亡くなった時、メグがジョーに語った「私はこの12年間幸せだった」というセリフです。12年間というのは何を基準にしたものでしょう? というのは、メグがブルックさんと結婚したのは19年前だし、デミとデーズィが生まれたのは11年前なので、12年前に何があったのかはっきりとわからないのです。いったい何があったのでしょう?
 この作品で訴えている事は、やはり夢を決してあきらめる事なく追い続けるという事でしょう。ナンは挫折しかかったこともありましたが、ジョー先生の後押しを受け、見事にお医者さんになる夢を実現させています。ナットやトミーなど、他のプラムフィールドの子供たちもしかりです。みんな夢に向かって突進し、それを実現してしまうあたりがいいなぁ〜と思わずにはいられません。それと友人との別れについても特筆すべきものがあります。ナンはプラムフィールドの仲間が大好きだったので、みんながプラムフィールドを巣立っていく時、悲しく思いました。しかしページさんやジョー先生に諭され、友人が新天地へ旅立っていった方がその人の為になると考えた時は笑顔で送り出してあげるべきだという事に気付きます。このあたりはなかなか見所でした。ただ、できる事ならナンがプラムフィールドを去る時の様子も見たかったのですが…

評価
 項目 5段階評価 コメント
不幸度 ナンに不幸という言葉は似合わない
ほのぼの度 ☆☆☆☆☆ ほのぼのと言うかおてんばと言うか…
お薦め度 ☆☆☆ 子供たちのそれぞれの夢に向かって進む姿はいいですね。
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