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旧中村家住宅
江差の町中、いにしえ街道沿いに旧中村家住宅がある。江戸時代からこの場所で近江商人の大橋宇兵衛氏が日本海沿岸の漁家を相手に海産物の仲買商を営んでいたが1915年に大橋家が江差を離れるにあたり支配人の中村米吉が譲り受けたものだ。この建物は1971年に重要文化財に指定され、さらに1974年に中村家より江差町に寄贈。1982年からは一般に公開している。建物は主屋・文庫倉・下ノ倉・ハネダシの4棟からなり、下ノ倉は江戸時代末期の建築、主屋と文庫倉が1889年に建築された。近江商人だった大橋家では北前船がハネダシに直接乗り入れられるようにして、本州の各藩から持ち込んだ物資の数々を直接陸揚げしていた。笏谷石を積み上げた土台に、総ヒノキアスナロ切妻造りの大きな二階建ての主屋に入ると3人の手代が座れる帳場となっており、中でも2階部分は隠し階段や釣り上げ階段があり容易には入れないようになっている。これは北前船との商談の内容を他者に絶対聞かれてはいけないという商人らしい発想から作られたものだ。また主屋2階の窓ガラスは明治時代の日本製のガラスがそのまま使われており、ガラスが平板ではなく波打っているのが明らかにわかる。当時は火災が多かったことから倉は4重の防火扉となっており、重い扉でも簡単に開け閉めできるように木のコロがついている。奥の下ノ倉とハネダシは展示資料室になっており、下ノ倉では北前船を始めとした日本海交易の資料の数々を、そしてハネダシではニシン漁を始めとした漁具の数々を展示している。
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旧中村家住宅
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旧中村家住宅内部
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展示室
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防火扉の蔵
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