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輪西屯田中隊本部跡
室蘭の町中、JR東室蘭駅から北西に700mほどの所に中嶋神社がある。この中嶋神社の境内にあるのが輪西屯田中隊本部跡だ。北海道の警備と開拓の為、また明治維新によって大量に職を失った士族のために1874年に屯田兵制度ができた。ここ室蘭にも1887年から移住が始まり鳥取・愛媛・兵庫・福岡・佐賀・石川の各県から総数220戸、1109人がこの室蘭の地に入植し、当時未開の荒地や泥炭地であった蘭東地域の開墾に従事した。この輪西にも多くの兵屋や中隊施設が建てられたが、室蘭は泥炭湿原地で、かつ海からの潮風により作物が育たず、入植者が農耕で生計を立てることはできなかった。また室蘭には天然の良港があったことや、早くに鉄道が引かれたことから夕張で産出される石炭が室蘭に集まり、やがて製鉄所ができて屯田兵村はそのほとんどは取り壊されてしまい、現在残っているのは1886年に中隊本部建設の際、建てられた木造平屋建て切妻造りの小さな小屋のような旧火薬庫が残るだけとなってしまった。また1909年には屯田兵たちの開拓の苦労をしのび青銅製鉾形の記念碑が建てられ境内に祀られている。また中嶋神社社務所内には屯田兵着用の軍服・軍帽・食器などが展示され、記念碑や火薬庫と合わせて室蘭市指定文化財に指定されている。
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中嶋神社
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中嶋神社の鳥居
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火薬庫
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輪西屯田中隊本部跡記念碑
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