HIRAO'S HOME PAGE > 北海道自転車ツーリング > 北海道自転車ツーリング2011 > お金をかけずにできる北海道自転車ツーリング

お金をかけずにできる北海道自転車ツーリング

お金をかけずにできる北海道自転車ツーリング
オホーツク海を見下ろす直線道路で自分撮り 時間はあるけどお金がない学生にとって、あこがれの北海道を自転車で走ってみたいけど、お金がなくて装備が買えなかったり、何を用意しなければならないかわからないという人は多いと思われる。私の場合、宿には泊まらずひたすらキャンプ場と自炊を繰り返した貧乏旅行をしているが、装備には金に糸目をつけずに山岳用などいいものを購入している為、あまり参考にならないことが多い。そんなやる気はあるけどどうしていいかわからないという学生向けに、最小限の費用で北海道自転車ツーリングする方法を書き記す。
自転車
 北海道自転車ツーリングするためにまず必要不可欠なものは当然自転車だ。これがなくては始まらない。学生と言えども自転車くらいは持っているだろう。もちろん一般の学生が持っているのは通学用のママチャリと思われる。ママチャリで長距離を走ることなどできないだろうと思われるかもしれないが、ママチャリで北海道をキャンプツーリングしている人はそれなりにいる。要はやる気だけの問題だ。
 まず自転車は通勤用のママチャリで十分。ただしママチャリを使う場合、サドルが低い場合が多いので、サドルに座った状態でつま先がギリギリ地面に付くくらいにサドルの高さを上げておく。こうすれば長距離を走っても足への負担が少ない。変速のないママチャリだと直線ではスピードがでないし、坂だと重くて登れず、ちょっとした登りでもすぐに押して歩くことになってしまう。そこは若さと根性で乗り切ればいいが、できることなら三段変速くらいの軽快車を選んだ方が楽なのは間違いない。
 ママチャリでツーリングをする時、変速の他にも色々と問題がある。それはパンクやチェーンが外れた時の対処が大変なのだ。ママチャリは一般的にホイールをナットで止めているので容易に外すことができない。そこでタイヤがパンクした時には自転車にホイールが付いたままの状態でタイヤを外してチューブを取り出し、その状態でチューブのパンクした場所を調べてパッチを貼り、再びチューブをタイヤに戻すことになる。これはクイックシューを採用するスポーツタイプの自転車に比べるとかなり大変だ。実際のパンク修理の方法は自転車を買った自転車屋さんに教えてもらうか、もしくはYouTubeなどでパンク修理の動画を参考にしてもらいたい。ただし動画を見ただけでパンク修理できる気になるのではなく、一度はパンク修理を実践しておいた方がいいだろう。北海道の原野で途方に暮れない為にも…
 もしお金に余裕があるなら、ぜひともスポーツタイプの自転車を買いたい。ママチャリに比べると巡航速度が圧倒的に速いし、何より坂を登るのが全然楽だ。スポーツタイプの自転車を買う時に注意すべき点は、必ずダボ付きの自転車を買うことだ。ダボとは自転車にキャリアを取り付けるためのネジ穴のことで、これがないとキャリアを取り付けることができない。高価な自転車になるほどダボが付いていないことが多いので、ここは3〜5万円程度のダボ穴とクイックシューの付いた安物のスポーツタイプの自転車を選んでおこう。あまり安物になるとクイックシューではなくナットでホイールを固定している場合があるので、これは選んではいけない。
 スポーツタイプの自転車には色々と種類があるが、大きく分けるとドロップハンドルを採用したロードバイクとフラットハンドルを採用したクロスバイク、そして山でも走れるようになマウンテンバイクがある。おそらくこのページを参考にするような人は北海道のダートの林道を長距離走ることはないと思われる。舗装路しか走らないのであればロードバイクの方がハンドルを持つポジションが多く楽に走れる。もちろんクロスバイクやマウンテンバイクでも走れないわけではないが、できれば極端に太いブロックタイヤやサスペンションの付いたマウンテンバイクは避けた方がいいだろう。これらは舗装路を走る上では抵抗にしかならない。
 3〜5万円という条件でスポーツタイプの自転車を選ぶなら、ランドギアかドッペルギャンガーあたりの自転車をお勧めする。もちろんこれらの自転車はスポーツタイプの自転車では最低ランクのものだが、ママチャリよりははるかにマシだし、キャリアとバッグを用意すればツーリングには十分使える。ただし、安物であることには変わりないので、今後長く自転車やツーリングを続けるのであれば、もう少しいいものを買った方がいいだろう。
GIANT グレートジャーニー もしもう少しお金に余裕があるなら10万円ほど出せばGIANT社のグレートジャーニーに代表されるキャンプツーリング専用の自転車を買うことができる。これらの自転車はキャンプツーリングする事を前提に作られた自転車なので、これで北海道を走っても不自由を感じることはないだろう。キャリアや泥よけは標準装備されているし、ものによってはサイドバッグも付いている。
 スポーツタイプの自転車だとリアの変速機は外装式となり24〜27段変速が一般的となる。この変速の組み合わせにはロード用とマウンテン用があり、ロード用は早く走るようにできているので、重い荷物を積んで坂を登るのならマウンテン用の組み合わせを選んだ方がよい。マウンテンバイクやキャンプツーリング用の自転車はマウンテン用の組み合わせとなっているが、ロード用の自転車はロード用の組み合わせとなっており、重い荷物を積んで坂を登るのには向いていない。まあ細かいことなので気にする必要性もないかもしれないが…
 以上をまとめると、ママチャリでも十分走れるがパンク修理が大変なのと、できれば変速があった方がいい。もし自転車を新しく買えるほど余裕があるのなら、ダボ穴とクイックシューの付いた自転車を選ぼう。林道に行かないのであれば太いタイヤとサスペンションは避けた方がいい。10万円も出せるならキャンプツーリング専用の自転車を買おう。
 自転車が決まったら次はキャリアだ。北海道を走っていると時々荷物をバックパックに入れて背中に背負っている人を見かけるが、これは避けた方がよい。なぜなら重い荷物を背中に背負うと重心が上がってしまい、自転車のバランスがとりにくくなる。さらに背中に背負って長時間走り続けると体への負担が想像以上に大きいのだ。よって荷物は体に付けるのではなく自転車に付けるのが望ましい。
キャリア・バッグ
 自転車に荷物を取り付けるためにはキャリアが必要になる。ママチャリだったら前カゴは当然付いているとして、前カゴだけでは荷物をすべて積みきれないのでリアキャリアも必要になる。買い物用のママチャリだとリアキャリアも付いているが、通勤用のママチャリにはリアキャリアが付いていないことが多いので、これはぜひとも取り付けよう。スポーツタイプの自転車を購入した場合も同じだ。スポーツタイプの自転車の場合は前カゴが付いていない。さすがにスポーツタイプの自転車に前カゴは取り付けられないのでフロントバッグを選ぶことになる。フロントバッグは必須ではないが、あった方が積載量は増えるし手軽に荷物を取り出しできるし、何よりフロントバッグの上に地図を広げて走ることができるので楽しい。
 リアキャリアを取り付けたら今度はバッグだ。バッグでツーリング初心者がよくやってしまう間違いが、パックパックに荷物を満載して、それを背負ってツーリングすることだ。確かにサイドバッグと違ってバックパックなら誰でも持っているし、さらに自転車への取り付けも考慮する必要がないので、ついつい背負って走ってしまう。しかしこれは絶対に止めた方がよい。重い荷物を背負って長時間自転車に乗ると体への負担が大きく、疲労が半端ではない。さらに重心が高くなることでバランスが取りにくくなり、不整地走行で転倒したり下りのカーブでふらつく原因となる。絶対に荷物は体に付けるのではなく自転車に付けるべきである。
オルトリーブ バックローラークラシック 荷物を自転車に取り付けるとして、一番お勧めするのはサイドバッグ(パニアバッグ)だ。サイドバッグは専用品なら荷物の出し入れや付け外しも楽でバッグも揺れることなく安定している。しかし専用品なので値段が高く、安くても7000〜8000円ほど、オルドリーブ等の防水を選ぶと2万円近くかかってしまう。このお金を問題なく出せる人は専用品を買った方がいいのは言うまでもないが、お金のない人は専用品にこだわる必要はない。例え専用品でなくても通勤通学用の鞄でも、ショルダーの取り付け金具にS環を取り付けてキャリアに吊してしまえば立派なサイドバッグだ。もちろんバッグが容易に落ちないようにしたり、スポークに巻き込まないようにしたり、踵に当たらないようにするなど色々と工夫は必要になるが、少なくともお金をかけずに手元にあるもので間に合わせることはできる。
コンテナケース ただしこの手の通勤通学用の鞄は容量が少なく、キャンプ道具などほとんど入らない。そこでリアキャリアにミカン箱くらいの大きなカゴかコンテナケースを取り付けて、そこに荷物を詰め込むという手がある。これなら容量的に足りないということはないが、問題はその取り付け方法だ。自転車用のゴムひもで取り付けていたのでは、すぐにズレて落下してしまう。パラシュートコードなど頑丈なロープを用意し、カゴに取り付け用の穴や金具を取り付けるなどして、絶対にズレない落ちないようにしっかり取り付ける必要がある。おそらくしっかり取り付けると取り外しが簡単にできなくなるので、貴重品は前カゴのバッグなどに入れて、後ろのにはキャンプ道具を入れるとよいだろう。
 キャリアとバッグをまとめると、まず荷物を人間が背負うのはやめた方がよい。必ず自転車にリアキャリアを取り付けて荷物は自転車に取り付けるべきである。バッグは専用品の方が何かと扱いやすいが、専用品でなくても家にあるものを工夫すれば代用することはできる。ただし、絶対に落ちないように工夫する必要はある。
キャンプ道具
 次はキャンプ道具だ。北海道を自転車で走るだけならキャンプ場に泊まらずに格安のライダーハウスに泊まったり、町中であれば民宿やビジネスホテルに泊まるなどの手もある。しかし自転車で走れる行動圏内にライダーハウスがあるとは限らないし、お金のない学生にとって民宿やビジネスホテルに泊まっていたらお金がいくらあっても足りなくなってしまう。そこでぜひとも格安のキャンプ道具をそろえて、安くで旅を続ける方法を考えてほしい。
モンベル U.L.スパイラルダウンハガー#5 キャンプ道具で必要になるのはテント、マット、シュラフの3点。この中でなくてはならないのがシュラフだ。北海道の朝は場所にもよるが10℃近くまで冷え込むのでシュラフなしでは寒くて寝ることができない。シュラフはもちろんダウンが暖かくて収納時の体積も小さいのでお勧めなのだが、ダウンのシュラフは薄いものでも2万円近く出費しなければならない。かさばるのを覚悟の上でホームセンターやネットで5000円くらいで売っているような安物の化繊のシュラフで済ませる手もある。化繊はダウンと違って収納時の体積が大きく、かつ重いという欠点があるが、体積と重ささえ気にしなければこれが一番安上がりだ。
 シュラフで気をつけなければならないのは、保温性だ。値段と収納時の体積ばかりにとらわれていると、肝心の保温性が犠牲になってしまい、せっかくシュラフを買ったのに寒くて寝られなかったのでは意味がない。シュラフは一般的に使用可能温度が記載されているが、この使用可能温度では間違いなく寝られないので、10℃は低いタイプを購入した方がよい。北海道で朝方に10℃まで下がるとして、使用可能温度が0℃まで対応したシュラフを購入することをお勧めする。0℃まで対応した化繊のシュラフだと、収納時の体積が大きすぎてサイドバックには入らないと思われる。その場合は何か防水の袋に入れて自転車の荷台に括り付けるのがよいだろう。
カスケードデザイン プロライト 次に必要なのはマットだ。マットはもちろんカスケードデザインに代表されるようなインフレータブルのマットが体積も小さく寝心地もいいが、1万円近くの値段がする。お金を安く上げるならホームセンターで売っているような銀のロールマットを自転車の荷台に括り付けていくのがいいだろう。この銀のロールマットがあると、いかにもキャンプしてますといった感じで誇らしい… と思う。ただしこの銀のロールマットはクッション性が低く、かつ滑りやすいので、凹凸のある場所や水平でない場所では寝にくい。どんな場所でも寝られる豪気な人ならいいが、枕が変わると寝られないような繊細な人は、一度銀のロールマットで本当に寝ることができるか試した方がいいだろう。
クロスター ツーリングドーム 最後はテントだ。テントは最悪の場合、なくても何とかなる場合がある。北海道のバス停は屋根が付いているし、駅寝や道の駅などを利用すれば、テントがなくてもシュラフとマットさえあれば何とかなる。私もかつてテントを持たずにシュラフとマットだけでキャンプ場に泊まっているチャリダーを見たことがある。しかし今ではテントもネットで探せば1000円で売っているし、高いものではないのだからぜひとも買っておきたい。1000円均一のテントは防水性が低く、かつフライシートがないので雨の日にはテントの中まで濡れて大変なことになる。よって雨の日には宿に泊るか屋根のある場所にテントを張る必要がある。他にも耐久性がないので1シーズン限りの使い捨てテントに近いが、値段を考えれば十分だろう。
バンドック ツーリングテント もしお金に余裕があるならフライシートの付いたツーリング用のテントを買った方が快適にキャンプ生活を過ごすことができる。LOGOSやコールマン、キャプテンスタッグなどのある程度名の通ったメーカーのツーリングテントならホームセンターの特売や楽天市場、アマゾン、ナチュラムなどのネット通販で5000円くらいで売っている。ブランドにこだわらないのであればバンドック、クロスター等の聞いたこともないようなメーカーのテントならフライシート付きで3000円くらいで入手も可能だ。ツーリングテントを買うなら張り綱のあるテントをお勧めする。張り綱があるのとないのでは耐風性が大きく異なる。
 重さや耐久性、耐風性も考慮するならアライやモンベル、ダンロップなどの山岳用のテントを選ぶことになるが、これらは1〜2人用でも3〜4万円するのでお金に余裕がないと買えない。1週間ほどの自転車ツーリングに1回しか行かないのであれば何万円もするテントを買っていたら元が取れないので、今後頻繁にテントを利用する機会があるかどうかを考えて購入しよう。
 キャンプ道具をまとめると、シュラフは必須で0℃まで対応した物がよい。お金に余裕があるなら小さくパッキングできるダウンの方がいいし、重さや収納時の体積さえ気にしないのなら化繊のシュラフでも問題ない。マットもお金に余裕があるなら小さくパッキングできるインフレータブルの方がいいが、収納時の体積を気にしないのであれば銀のロールマットでも問題はない。テントは雨の日にテントを張らず、かつ1シーズン限りの使い捨てにするつもりなら1000円均一のテントでも問題ない。しかし雨の日にもテントを設営するつもりなら最低でもフライシートの付いたツーリングテントを選ぼう。
自炊道具
 キャンプ道具の次は自炊道具だ。北海道を自転車で走るだけなら自炊しなくてもコンビニ等で食料を調達する手もある。しかしこれではお金もかかるし、ましてキャンプ場までの道にコンビニがあるとは限らない。北海道では国道から外れると丸一日走ってもコンビニに遭遇しないことなど日常茶飯事だ。そこでぜひとも自炊道具を用意したい。
イワタニ カセットガスジュニアバーナー 自炊道具でまず必要になるのがバーナーだ。アウトドア用のバーナーにはガソリンを使うものからガスを使うものまで色々と種類があるが、概して値段が高い。バーナーだけで5000円ほどする。しかもアウトドア用のボンベを必要とするが、北海道ではこのアウトドア用のボンベの入手は容易ではない。そこで一番安上がりに済ませるなら、一般家庭にもあるようなカセットコンロをそのまま持っていくことだ。これならどこの家庭にでもあるだろうからお金はかからないし、ガスもコンビニで容易に入手できる。体積が大きくて重いことが欠点だが、そこは若さで乗り切ろう。もしカセットコンロもなくて新たに買う必要があるなら、イワタニのカセットガスジュニアバーナー、もしくはその類似品をお勧めする。これなら3000〜4000円と比較的安いし、コンビニで売っているカセットガスがそのまま使用できるし、カセットコンロほど大きく重くない。
スノーピーク アルミパーソナルクッカー 次にコッヘルが必要になる。コッヘルも軽量化やスタッキングを考えると山岳用になってしまうが、これまた山岳用のチタン製コッヘルは高い。それに自転車ツーリングにチタン製は避けた方がよい。なぜならチタンは熱伝導率が低く炊飯には向かないのだ。炊飯できないとは言わないが、ご飯を焦がす可能性が非常に高い。それに比べるとアルミのコッヘルは熱伝導率が高いためバーナーの熱がコッヘル全体に伝わり炊飯に失敗することが少なく、かつ2000円くらいで売っているので財布にも安い。アルミのコッヘルはチタンよりも重いことが欠点だが、自転車で持ち運びするのなら数十gの重さの違いは問題とならないだろう。
 アルミのコッヘルを買うお金がなかった場合、家にある一番小さな鍋と直接火にかけることのできるマグカップを持っていっても事足りる。山岳用のコッヘルは単に軽量化と収納時にコンパクトになるだけだから、それさえ目をつむれば一般の鍋でも問題ない。これだけで米を炊いてレトルトのパックを暖め、さらにレトルトのスープか味噌汁を作ることができる。それとは別に鍋物や炒め物を作ったりするなら蓋がフライパンになったコッヘルを別途用意した方がいいが、昼間は自転車で走る人がそこまで料理に手をかけることができるか考えた方がいいだろう。それと家にある鍋とカセットコンロで一度は米を炊く練習をしておくこと。うまく炊けなかった米ほどまずいものはない。なお、ファミリーキャンプではないのだから通常、自転車でのキャンプツーリングには通常皿は持っていかない。鍋から直接食べるのが基本だ。
雨具
モンベル レインダンサー 長期間の自転車ツーリングに欠かせないのが雨具だ。雨の日は走らないという手もあるが、走っている最中に雨が降り出すこともあるし、数日間雨が降り続くと食料の買い出しのために雨の中を走る必要性もあるだろう。雨具として傘は論外。傘を差して荷物を満載した自転車を走らせるのは危険すぎる。そこで必要になるのはレインスーツ、通称合羽だ。雨具は雨の日に走らないという前提ならホームセンターで2000〜3000円くらいで売っているレインスーツで十分だ。しかし雨の日も走りたいなら2万円ほどするがゴアテックスのレインスーツをお勧めしたい。
 通勤通学で駅や学校まで10〜20分ほど雨の中を自転車で走るだけならホームセンターの安物のレインスーツで十分だ。しかし雨の中を一日中自転車で走り続けるとなると話は別だ。雨の中を1時間も自転車で走っているとレインスーツといえども雨が中まで染み込んでくるし、ましてそれで坂でも登ろうものなら、換気されないので汗がレインスーツの中に溜まり、雨で濡れているのと変わらない状態になってしまう。雨の日も走るつもりでいるなら、可能な限りレインスーツにはお金をかけて、できることなら防水透湿性が高いゴアテックスで、かつ脇の下等の換気できる場所があるレインスーツを購入したいところだ。
パールイズミ レインシューズカバー また、雨の中を走るのならぜひともシューズカバーは用意したい。いくらゴアテックスのレインスーツを着たとしても、雨の中を走るとレインスーツを滴り落ちた水滴は靴の中に入ってしまい、1時間も走ると靴の中がぐちょぐちょになってしまう。そこでぜひともシューズカバーを用意したい。しかしシューズカバーは3000円くらいの費用がかかるので、多少めんどくさいがコンビニの袋を靴の上から被せる方法もある。これだとタダでシューズカバーの代わりができるが、付け外しするのが面倒なのと、歩くとすぐに破けてしまうのが欠点だ。
 雨具をまとめると、レインスーツは絶対に必要。雨の日には走らないのであればホームセンターに売っている安物のレインスーツで問題ない。しかし雨の日にも走るのであれば、高くてもできることならゴアテックス製のレインスーツとシューズカバーを買っておきたい。
衣服
パールイズミ バイカーズパンツ 自転車で長期間のツーリングをする時の服装は、特に自転車用でなくても普段着で十分だ。ただし自転車で走る以上は自転車用の服装をしていた方が何かと便利であることは間違いない。特に下着やTシャツは速乾性のものを選んでおくことをお勧めする。長期間のツーリングをしているとどこかで洗濯をしなければならない。コインランドリーがあれば洗濯・乾燥まで済ますことができるが、コインランドリーがない場合はキャンプ場等の水道で洗濯する場合もあるだろう。そうした場合、どこかで乾かさなければならないが、夜間はなかなか乾かないし、昼間は自転車で走っているから乾かす機会がない。そんな時でも速乾性のものであればあっという間に乾いてくれるから何かと便利だ。
 夏場に自転車で走る場合、半ズボンで走る場合がある。これは長ズボンだとチェーンでズボンが汚れてしまうし、何より半ズボンは快適という理由なのだが、北海道をキャンプツーリングする場合、半ズボンは避けた方がいいだろう。なぜなら北海道のキャンプ場には多くの蚊やブユが生息しており、自転車で走っている間は刺されることはないと思われるが、キャンプ場に着いて荷物を開けたりテントを設営している間に刺されることだろう。特にブユは強力なので、刺されると足が血だらけになるし、一週間は痒みと跡が残ることだろう。虫よけのスプレーをするという手もあるが、自転車で走っていると効果はすぐに飛んでしまうし、休憩の度にスプレーするのも効率が悪い。何より虫よけのスプレー自体、ブユに対してはそれほど効かない。やはり長ズボンをはいて蚊やブユから防備した方がよいだろう。
パールイズミ バイカーズパンツ 自転車には自転車用のパンツというものがある。これは通常のパンツに自転車用のパッドを付けたもので、長時間のライディングでもお尻が痛くならないようになっている。専用品なので値段ももちろん1着3000〜4000円とお高く、かつ絶対に必要というわけではないが、長時間自転車に乗っているとお尻が痛くなる人には試してみる価値はあるかもしれない。
 長期間の自転車ツーリングに何着の服を持っていくかという疑問もある。最低限の衣服として自転車で走る時に着る服と、キャンプ場で着る時の服のあわせて2セットあれば何とかなる。キャンプ場に着いたら着替えて、それまでの服を洗濯し、朝になったらその洗濯した服に着替える。夜のうちに乾いていないことが多いが、速乾性の服なら自転車で10分も走れば乾いてしまうことだろう。ただしこの方法だと雨が降るとこのローテーションが成り立たなくなる。つまり前日の夕方に洗濯をしたけど全く乾いておらず、かつその日の朝は雨で寒かった場合、とても濡れたままの服を着る気にならない。かと言ってキャンプ場で着ている服のまま出発すると、その服まで雨で濡れてしまい、その日の夜に着る服がなくなってしまう。ここはやはり最低でも自転車で走る時に着る服を2セットと、キャンプ場や夜寝るときに着る服の計3セットは用意したい。
 衣服をまとめると、日常着ている服で問題ないが、速乾性の服にしたほうがよい。さらに蚊に刺されないためにも半ズボンも避けた方がいいだろう。そして衣服は最低限3セットは用意したい。
基本装備のまとめ
基本的には以上に挙げた装備があれば自転車ツーリングは可能だ。これであれば自転車を持っていることを前提にすれば1〜2万円の費用があれば自転車ツーリングは可能だ。もちろん旅費や現地での費用も必要になるので、それだけでは済まないが、時間と体力と気力があるなら北海道まで交通手段に頼るのではなく自走すればいいし、無駄使いせず毎食自炊していれば一日1000円あれば十分生活可能だ。一ヶ月の旅に出るとしても、装備も含めて5万円もあれば十分だろう。もちろんこの費用ではいい装備はそろえられないが、必要最低限の装備は用意できるし、何より経済的な面で自転車ツーリングできないなどという考えを振り払えるのがよい。これで外的要因は排除された。もちろん金をかけて装備を調えた場合に比べると、ありあわせの装備で間に合わせるのは何かと苦労するものだが、そこは知恵と勇気で乗り切り、そして自分の体力と気力がどこまであるかを試すだけだ。
日焼け
サンキラー クールパーフェクトストロング 自転車で長期間のツーリングをする時に避けて通れないのが日焼けだ。一日中屋外で太陽の紫外線にさらされ、それが何日も続くのだから、その日焼けはすさまじい。何も対策しなければ肌が火傷で熱を持ち、痛くて寝られなくなるだけでなく、皮がボロボロに剥けて汚くなることだろう。こうならないためには、農作業をするおばさんのように大きな帽子を被って、かつ肌を露出しないようにした方がよいが、自転車ツーリングであんな大きな帽子は被れない。そこで顔にはSPF50+、PA+++の強力な日焼け止めをたっぷりと塗り、手は自転車用の手袋に、腕はアームカバーか長袖の服を着て、さらにできることなら頭からタオルを被って顔に直射日光を当てないようにする事をお勧めする。また日焼けは晴れた日だけでなく、太陽の見えない曇りの日でも日焼けはするので、曇りの日でも日焼け対策をしっかりしておく。また、日焼け止めは効果が一日中持続するものではないので、4〜5時間おきに重ね塗りしなければ効果は持続しない。
SWANS CYNIUM−RP 日焼けと同時に対策する必要があるのが、目の紫外線対策だ。炎天下で一日中自転車を走らせていると、紫外線とアスファルトの照り返しで目がやられてしまうし、目から入る紫外線は肌にも悪影響を与える。ぜひとも自転車ツーリングでは紫外線(UV)カットの効果のあるサングラスをしよう。それに自転車で走っていると車の巻き上げる埃や虫が目に飛び込んでくる。そういった物から目を守る為にも、ぜひともサングラスはしたい。サングラスはUVカットの効果があれば1000円程度の安物でも問題ない。高いサングラスになると反射を押さえる偏光レンズや、明るさに応じてサングラスの濃さが自動的に変化する調光レンズなどがあるが、いずれも値段は1万円以上する。
洗濯
 長距離の自転車ツーリングとなると洗濯が欠かせない。洗濯はもちろんコインランドリーでしてもいいし、銭湯や温泉にはコインランドリーがあるところも多い。しかししかし宿泊場所の近くにコインランドリーがあるとは限らないし、何より洗濯している間、待っていなければならない。自転車ツーリングにおいてこの時間は無駄だし、もう少し時間を効率的に使いたい。
 そこでお勧めするのが自分で洗濯することだ。準備するものはスーパーやコンビニなどでもらえる少し大きめの袋と洗剤だけ。洗剤はホームセンター等に行けば1kgの大きいやつではなく、小分けして袋に入ったのが売っているので、あらかじめ地元で買って持っていくとよいだろう。
 洗濯の方法はスーパーの袋に洗濯物を入れ、洗剤も一緒に入れる。洗剤は小さな袋を一袋全部ではく、半分で十分だ。そしてキャンプ場等の水道の蛇口の部分にスーパーの袋の手提げの部分をかけて、そのまま蛇口を開いて袋に水を入れる。半分くらい水が溜まったら水を止めて袋に手を突っ込んでガシャガシャとかき回す。手もみ洗いというわけにはいかないが、5分もかき回していれば袋の中の水は濁り、洗濯機と同程度には汚れも落ちているはずだ。洗い終わったら汚れた水を捨てて2回くらいすすぎをすれば完了だ。あとは絞って干しておく。
 干す場所はせっかく自転車で旅しているのだから自転車に洗濯物を干してしまおう。その場合、乾かしている間は自転車が使えなくなってしまう。どうしても自転車が使いたい場合はロープと洗濯場バサミでも用意しておこう。こうすればコインランドリーなどに行かなくてもタダで洗濯ができる。問題はキャンプ場に着いて夕方から洗濯していたのでは洗濯物が乾かないこと。夜の間も干しておくという手もあるが、多くの場合は朝になったら夜露で干す前より濡れていることがよくある。乾いていなくても気温が高ければ濡れたまま着てしまおう。速乾性の服であれば自転車で10分も走れば乾いてしまうことだろう。他にも自転車に干しながら走るという手もある。荷台に洗濯物を洗濯バサミで止めて走れば、着て乾かすよりも乾くスピードは遅いが、結構乾くものだ。干しながら走ると走る場所によっては車の排気ガスで洗濯物が臭くなる場合もあるが、どうせ排気ガスの中を走ることになるのだから、気にすることもないだろう。こういった知恵を使えばコインランドリーなどに頼らなくても洗濯で困ることはないはずだ。
炊飯
 長期間の自転車ツーリングで自炊するのであれば、ぜひとも炊飯にチャレンジしたい。ご飯を食べるだけならコンビニで弁当を買ってくるか、もしくは暖めるだけのパックのご飯を活用するという手もある。しかしこれらは値段が高い上に体積や重さもあり、自転車での持ち運びには適さない。それに比べると精米しただけの米であれば体積や重さは遙かに小さく、水さえあればご飯を作ることができるのだ。
 炊飯と言ってもそれほど難しいことはない。カセットコンロと鍋があれば米を炊くことは誰でもできる。しかしうまい米を作るにはそれなりのコツがいる。そのコツを紹介しよう。 @水の量は鍋に指を突っ込んで指先が米に触れた時、水面が爪の付け根くらいにあるのが望ましい。どうせ正確な分量など計れないのだから、おおよその目安として米よりも水の方が1cmちょっと多めに入れておけば、だいたいはうまくいく。
Aとにかく米を水に浸す。これが一番重要。できれば1時間、最低でも30分は水に浸しておきたい。こうしないと芯の堅いまずい米が炊きあがってしまう。
B最初は中火で一気に沸騰させ、一度沸騰してしまえばあとは弱火にする。弱火にしないと水があっという間に吹きこぼれて堅い米しかできない。しかし弱火にし過ぎると今度はお粥のようになってしまう。ちょうどいいのは、鍋から水蒸気が絶え間なくあがり、時々鍋を伝わって吹きこぼれているくらいがいいだろう。この火力の調節はとても微妙で、ご飯の量や水量、風の強さなどに影響を受けるため、最適な火力というのは常に一定というわけではないが、これは慣れるしかないだろう。
C炊飯は火力も難しいが、一番難しいのは火を止めるタイミングだ。早すぎると炊けていないし、遅すぎると焦げてしまう。時間にするとおよそ15分くらいだが、これもご飯の量や水量、火力、風の強さなどに影響を受けるため一定ではない。一番簡単な見極め方法は鍋の蓋を取って確かめること。この時、中のご飯が茶碗に盛られているような米の状態になっていたら火を止めるのが遅すぎる。きっと鍋の底は焦げていることだろう。かなり茶碗に盛られた米に近いけど、まだ少し水分が残っているくらいの状態で火を止めるのが望ましい。少しくらい水分が残っていても蒸らせばちゃんとしたご飯になってくれるものだ。蓋を開けるのが一番簡単に見極めることができるが、蓋を開けずに見極めることもできる。一つは音を聞き分けること。米が炊きあがるとコン、コンというような小さな音を発する。この音を聞き逃さなければ音がした段階で火を止めればよい。ただしこれを聞き分けるにはかなり経験を要すると思われる。次は匂いに頼る方法がある。炊飯すると炊いている間は米の匂いがするが、炊きすぎると焦げ臭い匂いがする。ただし焦げ臭い匂いがした時にはもう鍋の底は焦げているので、あまりこの方法に頼るのは得策ではない。最後は水蒸気と吹きこぼれに頼る方法だ。ご飯を炊いている間は派手に水蒸気があがり、少しばかりの吹きこぼれがある。しかし炊きあがりに近づくと水蒸気は減り、かつ吹きこぼれもなくなる。これが炊飯完了のサインだ。いずれにしても鍋をじっと見ていなければならないので、なかなか手間のかかる作業ではある。
D炊きあがったら火を止めて、ご飯をこぼさないように鍋を逆さまにして10〜15分ほどそのまま放置し、ご飯を蒸らそう。こうすることで米がふっくらとして、多少の水加減や火を止めるタイミングのミスをカバーできる。
 これらがうまくいけば、普段炊飯器で食べるご飯よりも、もっとおいしいご飯を食べることができる。しかし時には炊飯に失敗することもある。もし派手に焦がしてしまったら焦げてない部分だけ食べて、焦げた部分は捨てるかお茶漬けにでもしよう。芯の残ったご飯ができてしまったら、さらに水を加えて5分ほど弱火で沸騰させて雑炊にして食べよう。ベチャベチャなご飯になったらそのまま食べるか、そのまま30分ほど放置すれば、水分が飛んでいい感じになる。いずれにしても炊飯そのものは難しくはないが、おいしいご飯を炊こうとするとコツがいるので、キャンプ場で米を炊く場合はあらかじめ家で練習しておいた方がいいだろう。
宿泊場所
 自転車ツーリングにおいて宿泊場所は重要な問題だ。お金があるならビジネスホテルや民宿、ユースホステルなどに泊まるのがよいだろう。そうすれば雨や風、熊やキタキツネ、そして電源にも苦労することなく泊まることができる。しかしこのページを参考にするような人はそんなにお金に余裕はないことだろう。そうすると、普通はキャンプ場での宿泊、よくてライダーハウス、もっと悪いと道の駅や駅、バス停、公園、道端での野宿になってしまう。
 北海道にはキャンプ場が300〜400ほど存在し、価格も本州より安いことが多く、設備の整ったオートキャンプ場でない限り、通常は無料か一泊500円以下で宿泊できる。しかも宿泊するのに予約もいらないので、天候や体調、トラブル等に合わせて随時、自転車で走る距離や行き先を変更する事ができる。ホテル等を予約するとこうもいかないので、気ままに旅行するチャリダーには一番お勧めできる宿泊方法だ。キャンプ場に泊まるのはテントさえ設営できればそれほど難しいことではない。問題は天候が悪いと設営・撤収が大変なのと、運悪くキャンプ場を安価で深夜まで騒げる宴会場と考えているような人たちがいることだ。天候の悪い日はライダーハウスに逃げ込み、騒ぐ人がいたら耳栓して寝酒を飲んでふて寝するだけだ。
 北海道には無料、もしくは1000円以下の安価で部屋だけ貸してくれるライダーハウスが多く存在する。ライダーハウスと名付けられているが、別にライダーでなくても自転車や徒歩の旅行者も多く宿泊している。しかし1部屋に雑魚寝の相部屋なのでプライバシーは皆無だし布団もないのでシュラフは必須だが、雨風は防げるので天気が悪い日は重宝するだろう。家族連れやカップルには向かないが、ソロで旅する旅行者が仲間との交流を求めて宿泊するのに向いている。
 北海道には数多くのキャンプ場やライダーハウスが存在するが、それ以上に北海道は広大なので、近くにキャンプ場がなかったり、日暮れまでにキャンプ場にたどり着けなかった場合は野宿するしかない。そこで北海道の田舎に限った場合の野宿する時のノウハウを説明する。
 安易な野宿場所として道の駅が挙げられるが、私はあまりお勧めしない。車で車中泊するなら道の駅もいいが、自転車ツーリングだと道の駅の隅の方にでもテントを張って寝ることになる。しかし道の駅には多くの車中泊する人がおり、一晩中エンジンをかけっぱなしという人も多い。特にキャンピングカー等のディーゼルエンジンを一晩中かけっぱなしにされると、薄いテントの生地などないも同然なので、ディーゼルエンジンの音がうるさくて寝られないのだ。自転車で宿泊するだけならうるさい道の駅など選ばなくてもいくらでもテントを張ることのできる場所はあるのだから、ぜひとも車中泊の車の来ないところを選びたい。
 では具体的にどんな場所がお勧めか。まず街中で野宿することは止めよう。さすがにこれは論外だ。他にも駅やバス停で寝る方法もある。北海道のバス停は本州のバス停と違って小屋のようになっており、雨風を防いでくれる。さすがに中でテントを張ることはできないが、扉を閉めてベンチの上にマットとシュラフで寝ることはできる。駅の場合も同様だ。ただし、バス停や駅で寝る場合、使わせてもらうのは最終から始発までの時間に限定しよう。そもそもこれらの施設は旅行者が泊まるためにあるのではなく、バスや電車を利用するためのものだ。北海道は旅行者が多く、こうした施設の利用に寛大なところはあるが、それはあくまで本来の目的に迷惑をかけない範囲の話であり、始発が来ているのにいつまでも居座っていると、そのうちに使用禁止になってしまう。もちろん利用させてもらったら感謝の意味を込めて使う前以上にきれいに掃除しておくことは言うまでもない。
 駅やバス停ではなくテントを張って寝たいなら、小さな村や集落の町外れにある公園がお勧めだ。こうした小さな村や集落には助成金で作られたような農村公園が町外れに必ずあるものだ。こうした公園はトイレや水道も完備されているし、利用者も少ないので安心してテントを張ることができる。こういった野宿に適した場所が見つかるかどうかは運次第だが、暗くなってからでは見つかるものも見つからなくなるので、できるだけ明るいうちに野宿場所を探すようにしよう。慣れてくれば野宿できる場所を見つける嗅覚が発達してくることだろう。ただしこうした場所でキャンプをすることが明確に認められているわけではないので、少なくとも次の内容には注意したい。
 まず日が暮れるまではテントを設営しないこと。明るいうちは本来の公園の利用者がいるかもしれない。彼らの迷惑になってはいけないので、明るいうちはテントを設営しない。次に朝は明るくなり始めたら鳥と共に起きて撤収を開始し、日の出と共に出発しよう。通常、こうした公園には朝早くから近所の住民が散歩に来るものだ。彼らに迷惑や嫌悪感を抱かせぬよう、可能な限り朝早くに起きて撤収し、公園で近隣住民と目があったらにこっと笑って挨拶しよう。そして野宿をした痕跡を残さないこと。間違ってもゴミを放置してはならない。自分が野宿する前と全く同じ状態にしておく。焚き火などするのも論外だ。そして最後に、もし野宿しているのを近所の住民やお巡りさんに注意されたら、逆らわずに素直に言うことを聞こう。もめたところで勝ち目はない。
自転車の運転
 自転車ツーリングでの走りは基本的には歩道ではなく車道の路側帯を走ることになる。しかし街中では交通量が多い割には路側帯がほとんどなかったり、路側帯に雪を捨てる穴があいていたりするので、臨機応変に切り替える必要がある。その中でもいくつか注意点がある。
 まず路側帯が荒れていることがとても多い。車道は車が走っているのできれいなものだが、路側帯は砂利やアスファルトの割れやめくれ、段差などが多い。舗装のやり直しでも車道は舗装し直しても、路側帯はそのまま放置する場合が多く、その場合車道と路側帯の間に段差ができていまい、その段差が2〜3段と連なると、自転車で乗り越えるのもかなり危険になるのだ。こうした場所を走る際には、とても慎重に走らなければならない。
 自転車ツーリングする上で走るのが一番怖い場所は何と言ってもトンネルだ。これは走った人にしかわからない感覚と言えよう。トンネルに入ると車のエンジン音や走行音がトンネル内で反響し、しかも音による距離間が全くわからないことから、いつ追い抜かれるかわからない状態で真っ暗で荒れた路面を走り続けなければならないのは苦痛以外の何者でもない。まるでトンネル内の轟音に後ろから襲われるような、そんなイメージだ。しかも長いトンネルの中でもライトを点灯しない車も多く、そんなドライバーが果たして自転車を認識しているのかどうかも疑問だ。もしトンネルを避けることのできる別のルートがあるなら、迷わずトンネルは避けるようにしよう。
 北海道は国道だけでなく道道や農道まで2車線のきれいな道が多くて走りやすいのだが、車の走行量の少ない道は北海道特有の温度ひび割れと呼ばれる、アスファルトに大きな温度変化が加わって、その収縮・膨張にアスファルトが追従できず、道路の進行方向に対して直角に等間隔に割れ目が生じる現象が見られる。このひび割れは進行方向に対して直角に道路の端から端まで深さ2〜3cm程度、幅10cm程度の窪みが10mおきに発生する。これを1つだけ乗り越えるのなら何の問題もないが、何km、何十kmにも渡って延々と続くと自転車にも体にもダメージが蓄積されて不快極まりない。後方から接近する車を気にしながら交通量の多い国道を走るか、それとも交通量は少ないが温度ひび割れの続く農道を走るかは判断が難しいところだ。
 また自転車ツーリングする際、ヘッドフォンで音楽を聴きながら走っている人が多い。しかし自転車は広報からの車の接近を耳で察知する場合が多く、ヘッドフォンで車の接近に気付かないとなると、これはかなり危険だ。せっかく北海道の大自然の中を自転車で走るのだったら、音楽を聴きながらではなく鳥のさえずりを聞きながら走ろうではないか。
 北海道を自転車ツーリングしていると、同じような装備をしたチャリダーはもちろんのこと、キャンプ装備を満載したライダーからも擦れ違いざまや追い抜きざまに手を上げて挨拶してもらえることが多い。これは北海道特有の現象で本州ではほとんど行われることはない。でも一人で走っているとライダーからこうしたエールを送ってもらえるのはとても嬉しいものだ。ライターから挨拶されたらぜひとも手を上げてこたえよう。いや、自分から手を上げて挨拶しようではないか。
走行距離
 初めてツーリングに行く人にとって、自分が一日に何km走ることができるかは悩むことだろう。それは自分の体力や乗る自転車、走るコースや天候によっても大きく異なる。しかしまず初心者の目安として50kmくらいを考えればいいだろう。朝5時に起きて2時間で支度をして朝7時に出発。例えママチャリでも時速10km/hくらいなら、おばちゃんが買い物に行くのと大差ないスピードなので十分走れるはずだ。すると50km走るのに5時間後の12時には到着することになる。途中で1時間休憩したとしても13時だ。最初のうちはこれでもいいかもしれないが、次第に早く着きすぎてやることがなくなり、もっと走りたくなってくることだろう。
 そうなると次は100kmが1つの目安となる。同様に5時に起きて7時に出発し、時速10kmで走れば17時には100km走ることになる。これだと休憩時間は考慮していないが、ママチャリでも峠に行かないなら休憩時間込みでも平均時速10kmで走るのはそれほど難しいことではないし、途中で観光を1時間したとしても18時には到着だ。
 もしママチャリではなくスポーツタイプの自転車なら、私のあみ出したカメ作戦がお勧めだ。これは2時間で25km走る方法で、仮に朝7時に出発したとして、8時30分に5km走ったとすると、2時間経過までの残りの30分は休憩し、これを2時間おきに繰り返すというものだ。この方法なら朝7時に出発したとすると休憩込みでも17時には125km走ることになる。ママチャリだと少し難しいかもしれないが、スポーツタイプの自転車で、かつ峠に行かなければ十分達成可能な条件だ。
重量
 初めて長距離のキャンプツーリングに出かける際、どんな物を持って行けばいいのか、なかなか判断に迷うものだ。そして結局“もしかしたらキャンプ場で使うかもしれない”というレベルのものまで持って行くことになりがちだ。しかし不必要な物まで持って行くとそれだけ荷物が多くなり自転車が重くなる。経験すればわかることだが、峠を登るとき自転車に搭載する荷物の重さはかなり重要となる。不必要なものまで持って行くと、平地だけならそれほど影響は少ないが、峠で坂を登ろうとすると重くて自転車のペダルを回すことができなくなり、結局自転車を押して登ることになるのだ。あまりにも重いとちょっとした坂でもすぐに自転車を押して登ることになり、走行距離がなかなか伸びない。しかも自転車を押しているからと言って決して楽ではない。当然それだけの重さの自転車を登り坂で押しているのだから、意外と重労働だ。
 そもそも“必要になるかもしれない”程度のものは、絶対に必要というわけではなく、なくてもそれほど困らないことが多い。そしてどうしても必要になったらコンビニやホームセンターで買えばいいのだ。北海道だとホームセンターは大きな町に行かないとないかもしれないが、コンビニくらいであれば1日走っていれば何店かは見つけることができるだろう。ここはぜひとも不必要なものは持たないようにして自転車を軽量化し、坂を登るのを少しでも楽にしよう。
← 2011自転車スペック  北海道自転車ツーリング2011  2012年1日目へ →
inserted by FC2 system