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北海道自転車ツーリング 3日目
上富良野〜麓郷〜日高 −雨の峠越え−
2008年08月03日

3日目の走行地図

3日目の速度グラフ
速度
3日目の高度グラフ
高度

 昨日、テントを設営した時には7〜8m/sの風が吹き荒れていたが、夜になると風もおさまり、幸いな事に朝まで穏やかなままだった。おまけに雨も降らなかったようだ。4時20分に起床。今日は晴れるのではないかと考え、天気次第では日の出公園展望台から日の出を撮るつもりでいたが、残念ながら空は一面の曇り空で日の出が見れそうにはなかった。天気予報を確認しても旭川の今日の天気は曇り一時雨、明日は晴れ一時雨になっている。これなら美瑛はあきらめて、今日はかなやま湖か日高まで走る事にしよう。
 まだ朝早かったので、のんびりと朝食にラーメンを作り、昨日の夕食で食べそこねていたカップ野菜と一緒に食べる。それからテントの撤収を始めたが、のんびりし過ぎたようで出発は6時になってしまった。昨日のドイツ人のチャリダーはまだ寝ていたのて挨拶なしで出発する。
撮影日時:2008/08/03 04:52:34 シャッター速度:1/10 絞り:F3.5 焦点距離:29mm
朝食にラーメンを自炊する
撮影日時:2008/08/03 06:05:51 シャッター速度:1/125 絞り:F6.3 焦点距離:29mm
かみふらの八景 日の出公園
 まずは日の出公園の展望台まで登る。しかしキャンプ場から展望台への道はあまりにも傾斜が急で、無茶はせずに最初から自転車を押して歩いたが、フル装備の自転車では押して歩いても大変だった。どうせ戻って来るのだから自転車はその場に置いていけばいいのだが、展望台から自転車の写真を撮りたいのだから仕方がない。
 展望台の上まで登り自転車を絡めて写真撮影を繰り返す。太陽が出ていないのは残念だが、ここからの眺めはなかなかのものだ。今まで富良野といえば中富良野森林公園キャンプ場しか泊まった事がなかったが、そこは高台の上にあって自転車で行くのに苦労する割には眺めが良くない。それに比べるとこの日の出公園オートキャンプ場はキャンプ場までそれほど登りがあるわけではないのにすぐ隣に眺めの良い展望台があり、すっかりと私のお気に入りのキャンプ場になってしまった。
 この日の出公園の駐車場にはキャンピングカーが2台ほど止まっていた。昨日私に話しかけてくれた人の車も止まっていたので、きっとこの公園で泊まったのだろう。日の出公園はタダだしトイレはあるし駐車場も眺めがいいのでキャンピングカーで泊まるには最適な場所に違いない。
撮影日時:2008/08/03 06:12:48 シャッター速度:1/100 絞り:F6.3 焦点距離:141mm
上富良野の町をバックに
自転車を撮影
撮影日時:2008/08/03 06:29:40 シャッター速度:1/80 絞り:F5.6 焦点距離:29mm
日の出公園オートキャンプ場
 展望台の上から写真撮影を繰り返し、のんびりと旅の日記まで書いて6時30分に出発する。コンビニに行こうかと考えたが、このキャンプ場にはゴミ箱が完備されていてゴミはすべて捨ててしまっていたし、これから坂を登るので自転車を重くしたくないし、この先まだまだコンビニはありそうだったので、朝一番でコンビニに立ち寄るのは止める。
 キャンプ場から国道275号線に戻り中富良野を目指す。この国道275号線は昨日は強い追い風だったので、逆向きに走る今日は向かい風だろうと覚悟していたが、幸いな事に朝は無風だった。今日まず最初に行く場所は北21号道路、通称パノラマロード江花の北の端から富良野盆地を眺めるかみふらの八景だ。ここは私が昨年まで愛用していたツーリングマップル2003年度版の表紙の撮影場所だ。私はこの場所でどうしても撮影したかったが、ツーリングマップルには撮影場所が富良野としか書かれていなかったので、富良野のどこで撮影したのかわからなかった。しかし5年間も愛用した2003年度版があまりにもボロボロになって御臨終となったので、今年は新しい2008年度版のツーリングマップルを購入したら、地図上に撮影場所が記載されていたのだ。せっかく富良野に来たのだし、今回その場所へ行ってみる事にした。ちなみに2008年度版のツーリングマップルは、2003年度版で私が指摘していた地図上の観光地の場所の間違いはほとんど修正されていた。
撮影日時:2008/08/03 06:51:00 シャッター速度:1/160 絞り:F9.0 焦点距離:77mm
JR富良野線の踏み切りにて
撮影日時:2008/08/03 07:09:19 シャッター速度:1/60 絞り:F6.3 焦点距離:77mm
かみふらの八景
 さて、パノラマロード江花を目指して国道275号線を走るが、国道275号線をどこで曲がるのかよくわからず、1kmほど通り過ぎてからようやく間違いに気付いた。どうにかパノラマロード江花に入り、JR富良野線の踏み切りを渡る。富良野線はどこまでもまっすぐな単線非電化のローカル線だったので、記念に写真を撮る。
 ここからは坂を登って、7時ちょうどにようやく北の端の頂上に着いた。国道334号線の朱円にある天まで続く道ほどではないが、それでもここからの眺めは大したものだ。このパノラマロード江花は交通量は皆無なので、私は道路の真ん中に自転車を持ち出して撮影した。それだけではない、今回の北海道自転車ツーリングでは何と自分撮りをする為にゴリラポッドというフレキシブルな三脚まで持ってきていたのだ。私はさっそく三脚を取り出すとカメラをセットして道の真ん中に据え付け、セルフタイマーを使って自分が自転車に乗っている姿を撮影した。ただ、セルフタイマーで動いている自分の姿を撮影するのはなかなか難しいもので、何回かトライしないと満足できる写真は撮影できなかった。
 15分ほど写真撮影し、眺めのいい景色を見ながら少し休憩し、今日はこれからどこに行こうかと考えようとした瞬間、ポツポツと雨が降り始めた。私はこの場所が少し標高の高いところにあるから雨が降り始めたのであって、国道275号線まで戻れば雨は止むだろうと考え、休憩なしでパノラマロード江花の急坂を下り、あっという間に国道275号線まで戻って来ると、案の定、雨は止んでいた。
撮影日時:2008/08/03 07:06:57 シャッター速度:1/320 絞り:F13 焦点距離:77mm
富良野のきれいな
景色をバックに登る自転車
撮影日時:2008/08/03 07:02:52 シャッター速度:1/125 絞り:F8.0 焦点距離:200mm
これがツーリングマップル
2003年度版表紙の撮影場所だ
 ここでこの先どうしようかと考えた。空を見ると北の雲は明るいが南の雲はどす黒く、これなら南に向かうと雨は確実だ。それでも北の美瑛に行っても晴れそうもないし、十勝岳は雲に隠れて見えないから間違いなく雨だ。それならやはり今日は日高まで行ってしまおう。日高まではここから70kmくらいだから麓郷に立ち寄れば、ちょうど今日の走行距離は100kmちょっとになる。そう考え、今日は麓郷経由で日高まで行く事にした。
 本当は国道275号線と道道298号線との間に囲まれた農道を走りたかったのだが、コンビニに立ち寄る為、私は国道275号線を中富良野に向かって走り始めた。しかし中富良野まで行かなくても国道沿いにコンビニはすぐに見つかり、おにぎりとパンと牛乳を購入して店の前で食べる。ここからは国道を離れ、念願の農道に突入する。農道であれば交通量は皆無だから後方から迫りくる車に気を付ける必要もないし、何より景色がいい。私は富良野の農道を走りながら何枚も写真を撮った。
 こういった農道を走る時、私は楽しみにしている事がある。それは畑に何が栽培されているか見ながら走る事だ。この富良野では畑の半分ほどが玉ねぎ畑て占められていた。残りの半分は人参、稲、とうきび、牧草などで、何が栽培されているのかよくわからない畑もいくつかあった。
撮影日時:2008/08/03 07:41:39 シャッター速度:1/60 絞り:F6.3 焦点距離:45mm
十勝岳を見ながら
富良野を走る
撮影日時:2008/08/03 07:51:43 シャッター速度:1/200 絞り:F7.1 焦点距離:230mm
富良野の農道は
何度走ってもいいものだ
 この富良野の農道を走ると私は必ずと言っていいほど自分がどこを走っているのかわからなくなってしまう。ここは幅5km、長さ10kmの似たような景色の続く広大な農地なのだから仕方がない。しかし国道275号線と道道298号線との間に囲まれた農道を走っている限りは迷子になる事はないので、安心して適当に走る。
 富良野の農道を適当に走っていると、何やら万里の長城のような、どこまでも続く施設が目に入った。よくよく見ると、それは直径2.4mのパイプをいくつもつなぎ合わせて何kmにも延ばし、それをフェンスで覆っているものだった。しかし私にはこれが何なのか全くわからない。水道管や下水道にしては太すぎるし一体何を通しているのだろうと走りながら謎は深まるばかりだった。後でわかった事だが、これはどうやら水田灌漑用のパイプラインだそうだ。
 やがて農道は終わりを迎え、道道298号線に入る。この付近には鳥沼公園があるので立ち寄る事にしてみた。鳥沼公園といえば数年前までここに無料のキャンプ場があり、長期滞在者が多い事で有名だった。住所をキャンプ場にして長期滞在者宛に郵便物を出したら届いたという伝説の残るキャンプ場だ。中に入っていくと、何となくそんな雰囲気の残る場所だ。不思議な事に沼から湯気のような霧が立ち上っており、神秘的だったので撮影する。
撮影日時:2008/08/03 08:21:54 シャッター速度:1/60 絞り:F5.6 焦点距離:45mm
沼に霧が出て神秘的だった鳥沼公園
撮影日時:2008/08/03 08:40:10 シャッター速度:1/125 絞り:F7.1 焦点距離:29mm
ハートヒルパーク展望台からの景色
 さらに道道298号線を離れ、道道253号線に入る。ここからは麓郷まで標高で200mほど登らなければならない。道道253号線に入るとすぐに急な登りが始まった。そして70mほど登って前方に霧が見え始めた頃、ハートヒルパーク展望台というパーキングがあったので8時40分から休憩する事にした。ここは展望台と名の付いている通り、富良野の町並みを見下ろす事のできる眺めのいい場所だ。写真撮影をしていたら雨が降り始めたので東屋で雨宿りしながら休憩がてらにパンを食べて旅の日記を書く。なぜか顔がヒリヒリするのでおかしいと思っていたら、今朝のわずか2時間の走りで腕を日焼けしていた。しまった、雨の降りそうな曇りでも日焼けしてしまうのだ。私は慌てて日焼け止めを顔に塗り込んだ。
 このハートヒルパーク展望台でのんびりと過ごし、30分休憩して9時10分に出発する。雨宿りしいる時はこれから向かう先は霧で雨が予想されたが、出発する時には霧は晴れ、雨も止んでいた。200m登らなければならないのに、まだ1/3しか登っていないので、ここからは気合いを入れて登る。2/3のところでもう一度休憩しようと考えていたが、あまり疲れる事なく頂上まで登ってしまった。
 この道道253号線を登った先は、八幡丘と呼ばれる美瑛のような丘が続く景色のきれいな場所で、写真を撮りつつ走る。晴れていれば言う事なしだが、雨が降っていないだけでも満足すべきというものだろう。自転車で走っていると途中から路面が濡れ始めた。おそらくついさっきまで雨が降っていたという事だろう。これ以上スピードを上げると雨雲に追いついてしまいそうだったので写真を撮りながらのんびりと走る。さっきハートヒルパーク展望台で30分も休憩したおかげで雨に遭わずに済んだのかと思うと、運がまわってきたような気がする。
撮影日時:2008/08/03 09:34:34 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:29mm
美瑛のような丘が続く道を走る
撮影日時:2008/08/03 09:55:07 シャッター速度:1/160 絞り:F8.0 焦点距離:115mm
八幡丘あたりは本当に景色がよかった
 道道253号線は道道298号線から200m登ってしまうと、あとは麓郷まで多少のアップダウンはあるが、ほとんど下りで楽な走りが続く。そこかしこで自転車を止めて写真撮影を続けながら自転車を走らせた。すると麓郷が近付いた頃、前方から7〜8人のチャリダーの集団がやって来た。ところが私の前方50mくらいのところで道道253号線を外れて、どこか山の方に入っていった。彼らはいったいどこに行くのだろうと彼らの曲がっていった方向を見るが、結局謎はわからなかった。
 10時20分に麓郷に到着した。麓郷の町は幹線道路から外れているので麓郷に行く目的がない限り立ち寄る事のない町だけに、ひっそりとしていてかつ趣きがある。私は麓郷の町で五郎の石の家に行くつもりでいた。五郎の石の家とはTVドラマ「北の国から」で実際に使われた家だ。正直言うと私は北の国からをほとんど見た事がないのだが、せっかく麓郷まで来たのだから立ち寄る事にした。途中、拾って来た家−やがて町という、これも北の国からにまつわる家もあったが、あまりたくさん立ち寄っていると時間がなくなって日高までたどり着けなくなってしまうので、写真だけ撮って通過する。
 この麓郷から五郎の石の家に向かう道は緩やかな登りのまっすぐな道で、まるで摩周湖に登っているのを想い出すかのようだ。そのまっすぐな道を走っている時、道のすぐそばに馬がつながれているのが目に入った。道から手を伸ばせば届きそうな距離だ。私は馬を撮影しようかと考えたがその時はそのまま素通りする。すると100mも走らないうちに、今度は道端に人参が落ちていた。どうしてこんなところに人参がと不思議に思いながら、この人参をさっきの馬にあげたら喜ぶかもしれないと考えた。しかし考えているうちに通り過ぎてしまい、帰りに同じ道を通るのだから、その時に考えようと通り過ぎてしまう。さらに走ると先程人参が道に落ちていた理由がわかった。すぐ近くに麓郷人参工場があり、人参をフォークリフトでトラックに積み込んでいる。きっとそこからこぼれたのであろう。
撮影日時:2008/08/03 10:20:32 シャッター速度:1/160 絞り:F9.0 焦点距離:34mm
拾って来た家−やがて町
撮影日時:2008/08/03 10:21:33 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:170mm
五郎の石の家へと続く直線道路を走る
 緩やかな坂を登り続け、10時40分にようやく五郎の石の家に到着した。駐車場に自転車を止めて、そこからは歩いて森の中に入っていく。静かな森の中を200〜300mほど歩いていくと五郎の石の家が見えてきた。北の国からはほとんど見た事がないので中には入らなかったが、雰囲気の良い場所で、こんな家に住んでみたいものだと思ってしまいたくなる家だった。
 五郎の石の家はドラマ「北の国から」「‘89帰郷」の中で丸太小屋が火災で焼け落ちたあとに畑の中に埋まっていた石を使い、黒板五郎が一人で積み上げて作り、移り住んだ石の家である。家の中には石風呂や暖炉、ストーブまであり、井戸から水をくみ上げて風呂に水を送る為の風車まであったりする。もちろん井戸も黒板五郎が一人で掘ったそうだ。
撮影日時:2008/08/03 10:42:05 シャッター速度:1/50 絞り:F4.0 焦点距離:29mm
五郎の石の家に行くには
こんな森の中を歩く
撮影日時:2008/08/03 10:44:31 シャッター速度:1/100 絞り:F7.1 焦点距離:115mm
これが五郎の石の家だ
 10分ほどだけ見学してすぐに引き返し、10時50分には出発。何だか慌ただしいが、あと70km以上の距離を走らなければならないし、その間に500m程の峠が二つもあるのだ。あまり観光地でゆっくりしていられないのだから仕方がない。
 帰りは下りなのでほとんどペダルを回す事なく麓郷まで下り、麓郷を通過。馬と人参の件はすっかりと忘れて通り過ぎてしまった。そして道道544号線に入って布部川沿いの快適な道を下る。不思議な事に布部川の真上2〜3mだけ霧のようなものがかかり、幻想的な雰囲気をかもしだしていた。さらに走るとおもしろい看板を見つけた。「ここが麓郷街道桜並木なわけでポイ捨てなし、きれいな景色きれいな道路できもちいい」と書かれた看板だ。いくら北の国からをほとんど見た事のない私でも、さすがにこれは理解できた。
撮影日時:2008/08/03 11:11:41 シャッター速度:1/125 絞り:F5.6 焦点距離:200mm
北の国からを洒落て書かれた看板
撮影日時:2008/08/03 11:14:08 シャッター速度:1/50 絞り:F5.0 焦点距離:38mm
これが麓郷街道桜並木だ
 道道544号線、通称麓郷街道桜並木を布部川沿いに下っていると、しだいに霧雨が降り始めた。最初のうちは路面が濡れない程度だったのでそのまま走り続けていたが、しだいに雨に変わって路面が濡れ始めたので、11時30分から大きな木の下で雨宿りがてらに休憩する事にした。よく考えたら9時頃ハートヒルパーク展望台で休憩して以来、休憩なしで走っていたのだから疲れて当然だ。
 大きな木の下で雨宿りしながらおにぎりを食べ旅の日記を書いて20分ばかり休憩する。11時50分頃、雨が小降りになってきたので、これならレインスーツなしで走れると考え出発する事にした。すぐにJR根室本線の踏切を越えて国道237号線に入り南に下る。ここから日高まであと55km。今がちょうど12時だから16時過ぎに日高に到着といったところか。頑張らなければと思うが、ここまでの走りでかなり体力を消耗しており辛い。ここまでの走りでも出発から6時間で70kmとカメ作戦の平均時速12.5km/hは下まわっているし、なかなか辛いところだ。おまけに国道237号線に入ってからは弱い逆風と若干の登りでさらに体力を消耗する。しかも小雨が降ったり止んだりを繰り返しているので、レインスーツこそ着ていないが地図をフロントバッグの上に出す事ができず、一本道とはいえ自分が今どこを走っているのかわからなくて困ってしまった。
撮影日時:2008/08/03 12:07:39 シャッター速度:1/250 絞り:F7.1 焦点距離:320mm
日高まであと53km
撮影日時:2008/08/03 13:31:30 シャッター速度:1/125 絞り:F5.6 焦点距離:230mm
国道237号線はシーニック
バイウェイ大雪・富良野ルートだ
 山部にさしかかるとコンビニがあった。おそらくこの先、日高までコンビニはなさそうだったので、おにぎりとパンを購入し店の前で食べる。ありがたい事に凍らせたペットボトルも売っていたので購入する。しかしタオルは首に巻いて使っているので、どうやって凍らせたペットボトルが溶けないように保冷しようかと考えたところ、軍手をペットボトルの上下から被せてしまえば、かなり効果的という事がわかり、さっそく実践する。軍手は千歳空港での自転車組み立てや、その後のヤマト運輸の営業所でのサイドバッグ取り付けで活躍したが、こんなところでも活躍するとは思わなかった。
 山部を過ぎると国道237号線は国道38号線と分離する。すると交通量は一気に減って、田舎道を走るようになった。この国道237号線はJR根室本線と併走しているが、金山手前の空知川の崖沿いに鉄道の廃線跡を見かけた。これは80年近く前までJR根室本線として使われていたが、曲線緩和の為に新線に付け替え、廃線となったそうだ。それにしてもあまりに崖に這いつくばうように線路が引かれ、その何ヶ所かで崩落が起きているのだから月日の流れを感じてしまう。
 そして13時ちょうどに金山通過。あと40kmだ。日高までたどり着けそうになかったら、ここから道道465号線に入って、かなやま湖畔キャンプ場に行くつもりでいたが、その必要もなさそうだったので、そのまま日高を目指して国道237号線を走り続けた。金山はまるで糠平のような小さな町だ。鉄道の駅があるだけ金山の方がマシのようにも見えたが、両方ともコンビニがない事には変わりない。
 13時30分に88km走ったところでパーキングがあったので休憩する事にした。お腹が空いてきたので、おにぎりを食べ始めた途端、大粒の雨が降り始めた。私はレインスーツを着たかったが、片手におにぎりを持っているのでレインスーツを着る事もできず、おにぎりを食べ終わる頃にはずいぶん濡れてしまった。今日はこれまでどうにかレインスーツを着る事なく雨をやり過ごしてきたが、どうやらここが年貢の納め時のようだ。私は今日初めてレインスーツを着て、シューズカバーまで装着した。そしてフロントバッグで雨をしのぎながら旅の日記を書き、14時ちょうどに雨の中を出発する。
 ここからは雨が降り続く中、レインスーツとシューズカバーという最強の装備だが、金山峠の急な登りで暑くてたまらず息が切れる。こんな事ならかなやま湖畔キャンプ場に泊まっておけばよかったと後悔したが、今さら遅い。しかし出発から20分かけて100mほど登っただけで標高490mの金山峠の頂上に到着。頂上で記念写真でも撮ろうと考えていたが、あいにく頂上には全長456mの金山トンネルがあるだけだった。金山トンネルを抜けると下りが続くが雨が激しくなり、もう大雨となってしまった。道が荒れていて怖かったのと、大雨だったのでブレーキを駆使してスピードを30km/hに保ち急坂を下る。雨の日の下りはブレーキのシューがすぐに磨り減ってしまうから困ってしまう。
 金山峠を下ればすぐに占冠だと思っていたが、実際には金山峠から占冠まで15kmほどあった。フロントバッグに地図を出せないのだから距離を間違えても仕方ない。ただ占冠までの国道237号線は下りばかりだったので楽だった。やがて15時10分に雨の降り続く占冠に到着。JRの占冠駅が立派だったので驚いてしまう。
 占冠の町中に道の駅「自然体感しむかっぷ」があったので、雨宿りと休憩を兼ねて立ち寄った。あいにく道の駅に東屋は見つからなかったが、道の駅の横の占冠ショッピングモールの軒下に自転車を止めて雨宿りし、パンを食べる。ここで凍らせたペットボトルを飲もうとするが、気温が低いせいかほとんど溶けておらず飲む事はできなかった。
撮影日時:2008/08/03 15:20:11 シャッター速度:1/40 絞り:F4.0 焦点距離:29mm
道の駅「自然体感しむかっぷ」に隣接する
占冠ショッピングモールで雨宿り
撮影日時:2008/08/03 16:09:02 シャッター速度:1/160 絞り:F7.1 焦点距離:200mm
日高峠の気温は21℃と涼しい
 もう時間も遅いしのんびりしていられないので10分だけ休憩して旅の日記も書かずに15時20分に出発。出発する時はありがたい事に雨は小降りになっていた。ここからは10kmほどだらだらした登りが続く。このままだと到着予定時刻は16時30分になりそうだったので、ピッチをあげて走る。頑張って10km走ると15時50分から坂が急になった。いよいよ今日最後の峠、日高峠だ。今330mなのであと170m登らなければならない。頑張ったら20分で登れると、休憩なしでピッチをあげるが、再び雨が激しくなってレインスーツは汗だくとなり、途中で自転車を止めて凍らせたペットボトルを飲む。
 予定通り16時10分に日高峠の頂上に到着。ここでも峠の頂上を示す標識はなく、写真撮影なしで素通りしてしまう。せめて頑張って登ってきたチャリダーへのご褒美に峠の頂上を示す標識くらい用意してほしいところだ。ここからは急な下りで雨の中、再びブレーキを酷使しながら下り、16時20分にようやく日高町に到着した。
 キャンプ場に向かう前に今日の夕食と明日の朝食を買う為、Aコープに立ち寄る事にした。ここ日高町にはコンビニだけではなくAコープもあるのを2年前に来た時に知っており、今日はいつもと違ったメニューにしようとコンビニではなくAコープに行く事にしたのだ。ところがAコープに行ってみると店が閉まっているではないか。私はAコープが潰れたのではないかと玄関前に貼ってある貼り紙を読んでみたがそんな雰囲気ではなく、単に日曜日が定休日なだけのようだった。仕方なくコンビニに行き寝酒と弁当を購入する。こんな雨の日に自炊できるとは思えなかったので、今日はコンビニ弁当で我慢だ。
 それからキャンプ場に向かい、16時30分に日高町沙流川オートキャンプ場に到着する。どうにかカメ作戦の平均時速12.5km/hを達成だ。受け付けのお姉さんに今日の日高町の天気を聞いてみると、昼頃に少し明るくなった時はあったが、一日中こんな雨降りとの事。この様子だと雨も止みそうにない。さすがにこんな天気の日にテントを張っている人など誰もおらず、管理棟裏のバーベキューのできる炊事場にファミリーテントが2つばかり張ってあるだけだった。私はどこにテントを張ろうかとキャンプ場の中を歩き回った。今日は1日雨なので水のたまらない高台がいいが、どこも地面はびしょ濡れで、とてもテントを張る気にはならない。私はキャンプ場入口近くの小さな炊事場に屋根があり、そこならどうにかテントが張るスペースがある事に気付いた。キャンパーが多い時には炊事場にテントを張るなどとてもできないが、今日のように誰もいない状況では問題あるまい。私は念の為に管理人のお姉さんに、炊事場にテントを張っていいかどうか尋ねると、快くOKしてくれた。とてもありがたかった。
 16時50分から炊事場にテントを張る。ここは下がコンクリートなのでペグは使えないが、屋根の下なのでペグを使わなくても雨に濡れる事はないだろう。今日は自炊せずにコンビニ弁当を食べるつもりでいたが、こんな炊事場の屋根の下にテントを張ったのなら自炊は問題ない。私はコンビニ弁当は明日の昼に食べる事にして、今日は自炊しようと米を水にひたした。
 そしてテントの中で着替えを済ませ、昨日と今日着た服を洗濯する。本当は昨日のうちに洗濯するつもりだったが、昨日の雨降りではとても乾くとは思えなかったので、洗濯を先送りしていたのだ。もちろん今晩洗濯してもこの天気では明日の朝までに乾くとは思えないが、さすがにそんな事を言っていたらいつまでたっても洗濯できずに着る服がなくなってしまいそうだったので、雨でも洗濯してしまう。炊事場にロープを張って屋根の下に干せるようにしたので、滴る水くらいは落せるだろう。明日晴れるようなら自転車の荷台に洗濯物を広げて干しながら走ればいいのだ。
撮影日時:2008/08/03 17:08:30 シャッター速度:1/13 絞り:F4.5 焦点距離:45mm
炊事場の屋根の下にテントを張る
撮影日時:2008/08/03 18:12:57 シャッター速度:1/13 絞り:F4.5 焦点距離:29mm
洗濯物まで干して炊事場を独占状態だ
 17時50分から自炊開始。今日は中華丼とあさげの味噌汁だ。18時10分には炊き上がり、15分蒸らす。その間、天気予報を見るが今夜は日高も旭川も雨だ。晴れを狙って旭川に行かなくて良かった。日高は明日の朝まで雨で、それ以降は晴れのようだ。おまけに明後日以降は9日まで晴れが続いている。この天気予報が正しければ嬉しい限りだ。18時25分から食事をして後片づけまで済ませ、18時40分から沙流川温泉ひだか高原荘に行こうとするが、その頃から雨が激しくなりメールチェックしながら雨が小降りになるまで時間をつぶす。
 入口近くにテントを張った事もあってよく見えたのだが、このキャンプ場では管理人が18時に帰ってしまう事もあり、それを狙ったかのように18時以降にキャンプ場にやってくる人が多数いた。普通のキャンプ場であれば18時以降にキャンパーがやって来る事などほとんどないので、彼らは管理人がいなければタダでキャンプができると思っているのであろう。ましてここはオートキャンプ場だから設備も整っており、タダでオートキャンプができてしまうのだ。雨の日でもこれだけやって来るのだから、晴れていれば18時以降に次々とキャンパーが押しかけて来るに違いない。
 19時に雨が弱くなったので自転車で沙流川温泉ひだか高原荘に行く事にした。歩いてでも行けない事はないが、傘がないのでレインスーツを着て歩いていくと、レインスーツを置く場所がないのだ。自転車ならサイドバッグに詰め込んでおけるので、距離は近いが自転車で行く事にした。自転車で温泉への短いダートを走っていると、突然ガシャンという音がした。何かが落ちたに違いないと思って自転車をUターンして薄暗くなった道路を見ると、そこにはバックミラーが落ちていた。どうやら私の自転車は北海道自転車ツーリングの初日からバックミラーがグラグラしていてハンドルに巻いたバーテープまで緩んできていたが、ダートを走った衝撃で外れて落ちてしまったようだ。その場で直そうとするが、暗い雨の中で直すのは困難を極めたので、テントに戻ってから直す事にする。
 沙流川温泉ひだか高原荘は宿泊も可能な比較的立派な温泉で、汚いチャリダーが入るには少し気が引けるが、気にせず玄関から入る。そして温泉に入って汗を流し、19時30分から休憩室で旅の日記を書き、20時10分には出発する。さすがに20時を過ぎると外は真っ暗だったが、HIDライトのおかげで安心して走る事ができた。テントに戻りバックミラーとバーテープを直す。無事に直す事ができた。天気予報では旭川や上富良野も日高と同様に雨だ。これなら日高まで来て正解だろう。外では北海道電力がダムを放流するから川の水が増えると延々放送しておりうるさくてたまらない。今日はF1ハンガリーGPのTV放送があるのでワンセグで見ようと思っていたが、残念な事にここ日高町はワンセグの電波が入らなかった。
 明日の予定を立てようとしていた21時前に、突然雨と風が激しくなり、テントにもろに雨がかかるようになった。もともとテントはかなり屋根の内側に設営しており、30度くらい雨が斜めから吹き込んでも大丈夫なようにしていたはずなのだが、激しい風の為にそれ以上に吹き込んでいるらしい。フライシートをペグダウンしていないのでテントの端が水びたしになってしまい、激しい風にテントは揺れ動いた。昨日もそうだったが北海道の雨と風はきつい。まるで嵐のようだ。
 明日は静内まで100kmちょっと走るだけなので、明日の朝はのんびりできるだろう。そんな事を考えながら21時30分にシュラフにも入らずに就寝するが、風雨が強くてなかなか眠れない。風は就寝と同時に弱まったが、雨は相変わらず降り続き、結局雨が吹き込まないか気になって、寝たのは22時30分になっていた。0時頃目覚めると雨は弱まっていたが、風は相変わらずだったし、テントの後ろが濡れていたので、テントを抜け出るとサイドバッグからペグを取り出し、後ろのフライシートだけペグダウンする。そしてシュラフに入って再び寝た。

走行データ
走行距離   125.3km
走行時間   7時間35分
ペダリング数   17600回
平均時速   16.4km/h
最大速度   53.5km/h
平均ペダリング数   38rpm
総走行距離   319.8km
天候   曇りのち雨
最高気温/最低気温   23℃/21℃

食事
朝食   ラーメン
昼食   パン
夕食   中華丼、あさげの味噌汁

出費
朝(コンビニ)   おにぎり、パン、牛乳   323円
昼(コンビニ)   おにぎり、パン、牛乳、ペットボトル   508円
夕(コンビニ)   寝酒、弁当   556円
キャンプ場   日高町沙流川オートキャンプ場   500円
温泉   沙流川温泉ひだか高原荘   500円
合計   2387円

キャンプ場
名称   日高町沙流川オートキャンプ場
場所   日高町から1kmほど南
  北緯42度52分10秒、東経142度26分29秒
費用   500円
設備   トイレ、炊事場
風呂   沙流川温泉ひだか高原荘が道の向かいに
ゴミ   持ち帰り
行きやすさ   標識があるのでわかりやすい
乗り入れ   テントまでバイクの乗り入れ可
特徴   日高町にあるキャンプ場
  温泉は隣にあるし日高町にも近いので
  家族連れやライダーが多く集まる
  フリーサイトには広い芝生に適度に木々があるので
  テントを張る場所には困らない
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